殲ー20艦載化は簡単なことではない その2

 以前紹介した「殲ー20艦載化にはまだ難点あり」の後編で、やはり過剰な期待をたしなめるような内容です。

http://military.china.com/zh_cn/jqsj/040/


殲ー20艦載化は必ずしも海軍の需要に符合しない

盲目的に殲ー20の艦載型を作ることはあるいは中国の空母戦略をかき乱すか

イントロダクション:前回の「軍情視界」では技術的角度から殲ー20はしばらくのところ空母艦載機になるのは難しいといういくつかの難点を分析した。これに対し高度の関心を持つネット仲間はいくつかの異なる見解も提出し、中国が充分大きな空母を作り出しさえすれば、殲ー20の艦載化には問題なくなる、と考えている。だが、もしある戦闘機の「オーダーメイド」で新型空母を作るとしたら、これは明らかに理性が足りないし、必ずしも中国海軍の戦略的発展計画にも符合せず、甚だしきに至っては誤った脇道に入り込む可能性がある。

中国の空母艦隊発展と防御性の国防政策は矛盾しない

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「『中国の空母分段』の真相がすっかり明らかに」)

海軍は誕生の初めから、国家の対外戦略と相互に緊密に関連している。中国海軍の発展の趨勢から見て、将来アジア太平洋地域の構造、甚だしきに至っては世界の構造に影響し得る強大な海上作戦力量に発展することは一種の必然である。相応に、中国は遠海作戦任務が執行できる空母戦闘群も発展させる。だが中国が強大な海軍を発展させるにはまず、外来の軍事的脅威を受けないという必要性を満足させねばならない。中国の国防白書も、中国は依然防御性の政策を実行すると強調している。このため、中国海軍は防御性の海軍と強大な海軍という両者の統一体である。「防御」は海軍の性質を示し、「強大」は海軍の力量を示す。中国海軍の発展は将来高い技術の条件下で海上の局地戦の勝利を得るためだが、その前提は国家の発展戦略に従い、奉仕することである。海軍の高い技術の武器装備の建設を強化し、海軍の総合戦力を向上させることは、決して現有装備の全てを取り替える必要があることを意味しない。中国海軍の発展はいくつかの国の海軍を参考、手本あるいは仮想敵とすることはなく、増してや軍備競争することはなく、全部の精力を高度で最先端の技術装備の勝負の上に注ぐ。このため、殲ー20艦載化の技術的難関が全て攻略されたとしても、殲ー20艦載化と中国海軍の現段階の発展策の相互の矛盾を総合評価することにより、この性能がずば抜けた第4世代機艦載化の希望は実現できないということになる。

空母およびその艦載機は実用に適すればもうOKである

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「殲ー20艦載化の不確定性は多すぎる」)

中国海軍戦略の全体計画は比較的遅かった 依然「補習」を必要とする

軍事専門家張召忠はかつて、1986年になって劉華清司令員が国防大学に行って「海軍戦略」という題名の講演を行ったが、これがやっと中国海軍が初めて明確にした戦略だった、と語った。中国海軍戦略の全体計画の出発がやはり比較的遅かったことが見て取れ、しかも空母保有国となるのは去年やっと実現したことなのである。ある視点は、中国の空母は遠大な立脚点を持つべきで、建造するとなれば世界スーパークラスのものを建造する必要があり、さもなければ永遠に他人の後を追いかけることになり、何の意味もない、と考える。空母は海空攻撃と遠距離兵力投入任務を遂行する特殊プラットフォームであり、決して「お飾り」ではないし、増してや「大国の夢想」の虚栄心を満足させるのに用いてはならない。空母は威嚇あるいは戦争するのに用いるのであり、国家の強硬な意志を執行する必要がある。また、いかなる国家も空母を発展させようとすれば経済的実力や国家戦略とのバランスを考慮することが必須である。このため、実用に適することこそが最高の基準であり、現段階では空母に関する「補講」を行うことこそが最も現実的なのである。

殲ー15は中国海軍にとって使用に充分だと言える

何をもって使用に適すると言うのか。それは国家戦略と海軍の任務に適応すること、および新たな技術革命と相互に関連することである。まず、発生する可能性のある戦争の中で有効な作用を発揮しなければならない。つまり、その他の軍の兵種との協同の中で敵を圧倒する、あるいは強敵との対戦の中で敵を恐れさせるところがあることが必須である。周知のように、我々の潜在的脅威は東海と南海にある。だが、スーパー空母を持つアメリカと真に正面からの軍事対抗が発生する可能性は決して非常に大きくはないし、しかも中国はアメリカに対し主に拒止であり、陸上基地武器を用いればもうアメリカ空母戦闘群の中国近海に対する脅威を有効に威嚇することができ、中国が空母と艦載機を出動させてこれと空母決戦を行う必要はない。次に、我々にはスーパー空母を製造、使用する時にも一定の困難がある。1つは技術的ボトルネックで、もう1つは経費の問題である。我々にとってスーパー空母というこの接触したことのない空母は、使用経験のない国にとって相当困難である。この意味から言って、より大きなスーパー空母がないのだから、殲ー20艦載化の可能性は非常に小さいということになる。現在中国が使用する排水量6万トン前後の中型空母と殲ー15艦載機はアジア太平洋地域においてアメリカを除くあらゆる国を有効に威嚇でき、中国にとって実用的だと言える。

空母の発展は実地に立脚し規律通りに事を行う事が必須

中国空母は現在有無の問題を解決しただけ

中国の空母発展は実際上「2ステップ」の戦略を実施している。すなわち、第1ステップとして「ワリヤーグ」号の艦体を使って初の空母を改装、建造し、科研、訓練プラットフォームとし、まず海軍に空母がないというこの切迫して解決を必要とする問題を解決する。第2ステップとして、独立自主で自ら設計し、自主知的財産権を持つ中国第2、第3隻目の空母を建造する。より遠大な発展に関しては、現在まだ正確に評価することはできない。つまり、遼寧艦の就役は中国空母の有無の問題を解決したに過ぎないのである。

中国は現在空母の有無の問題のみ解決した。短期間内、遼寧艦はまだ最大の戦闘力を発揮することはできない。この艦が「限られた役割」を演じ、主に訓練と評価の任務を引き受ける、と考える外国メディアもある。一方空母の使用と実戦の経験がいずれも不足している状況下ですぐに殲ー20のような大型第4世代機の空母上への運び込みを強行すれば、難度とリスクがいずれも非常に大きく増加し、明らかに空母発展の客観的規律に符合していない。中国に現在最も欠けているのは必ずしも空母発展の資金や技術的蓄えではない。空母に最大限に戦闘力を発揮させたければ、多数の厳しい試練に耐える技術を持った経験豊富な艦載機飛行員が必要である。1人の飛行員を優秀な艦載機飛行員に養成するには、非常に長い時間が必要である。だが中国には現在遼寧艦1隻しか空母がなく、短時間内に多数の艦載機飛行員を量産するのにはやはり難度がある。中国軍の中に真に第4世代機で飛んだ飛行員は数えるほどしかいないからなおさらである。現段階では、中国はより多くの精力を艦載機飛行員と空母作業人員の養成訓練に注ぐべきであり、将来大量の人材の備蓄ができた後でやっとさらに一歩より高いレベルの戦略、戦術的必要性が考慮できるのである。

もし殲ー20が中国空母艦隊に搭載されても、必ずしもアメリカの相手ではない

中国にはすでに空母があるが、この空母が真に遠洋作戦艦隊の核心となり得るにはまだ非常に長い通らねばならない道がある。中国が殲ー20を艦に搭載し、これを真の艦載機としたとしても、搭載機の数が限られ、実戦経験が不足している中国空母戦闘群は依然アメリカ海軍と正面からの対抗はできない。中国海軍の現在におけるアメリカ海軍との隔たりは、1機種の先進艦載機ですぐに解決できるものではなく、中国海軍が対抗する必要があるのは作戦体系が完備され、作戦手段と経験が豊富な世界トップの海軍なのである。この隔たりは歴史的なものであって技術的なものではなく、このため現在の中国空母発展の目標は明らかに米軍と海上決戦を行うことではなく、中国の戦略的必要性に適した全く新しい海軍発展の模式を探索して見つけだすことである。

一部の空母を持つ国の次世代空母

アメリカの「フォード」級空母

「フォード」級は「ニミッツ」級に次ぐアメリカ海軍の「未来型空母」(CVN 21プロジェクト)の第1号艦である。この艦は10万トン級の大型原子力空母であり、2015年に就役を開始する見込みである。

イギリスの「クイーンエリザベス」級空母

イギリス海軍が建造中の「クイーンエリザベス」級空母は全長284m、全幅73m、排水量6.5〜7万トンに達し、最大航行速度は27ノットを超え、イギリスが歴史上建造したトン数最大の戦闘艦である。

インドの「ヴィクラント」号

「ヴィクラント」号空母はインドが自ら研究開発する初の空母であり、建造コストは約6.6億アメリカドルに相当する。その満載排水量は4万トンで、全長260m、全幅60m、高さは14階建ての建築物に相当する。

殲ー20艦載化は必ず中国空母発展戦略に影響する

中国の2つのスター級の装備、すなわち「ワリヤーグ」号空母と殲ー20戦闘機が関心を持った視線を引きつけない時は全くない。各種の異なる推測はすでに徐々にこの両者を結合している。これは何故少し前ネット上に殲ー20戦闘機が中国の未来の艦載機かもしれないという推測が出現したのかの理由でもある。だが殲ー20がもしも艦載化されたら、必ずや中国の国産空母の全体計画を深刻に妨害することになる。殲ー20がもし中国の未来の主力艦載機だったら、未来の中国国産空母は比較的長い一定の期間内「搭載できる機がない」状態に直面することになるのはごくはっきりしている。その原因は、機体重量はそうでなくとも、第4世代機は第3世代機と比べてはっきりした技術的飛躍があり、その艦載型戦闘機に訓練や使用の過程で第4世代戦闘機艦載型とでは非常に大きな差異がある結果をもたらす。このうち最もはっきりしているのは第4世代機と他のプラットフォームとの間の意志疎通に非常に大きな問題があることだ。ならば将来第4世代機を装備した空母の通信システムはその他の作戦ユニットと有効に協同できないことが想像できる。このため、第4世代機を「基準機」として設計された空母は必然的に第3世代戦闘機の艦載型を搭載することはできない。

また現段階において殲ー20は中国にとってまだ試験飛行段階にあると言え、一方第3世代戦闘機はまさに実在するものである。もし第4世代戦闘機の艦載型を有効に搭載できる空母の建造の前、あるいは同時に、濃厚な過渡的および実験的性質の、第4世代戦闘機艦載型を搭載する空母を建造するのはメリットよりむしろデメリットの方が大きい。このことから、殲ー20の空母持ち込み計画の中国空母計画に対する妨害の一端が見て取れる。

専門家の評論

孫聡:殲ー15は長期にわたり攻防の主力としての作用を発揮することになる

中国空母艦載機発展過程の中で殲ー15は絶対に単なる空母での発着を満足させるだけの初歩プラットフォームではない。増してや優曇華の花のようにはかなくすぐに後発者によって取って代わられる「第3世代戦闘機」でもない‥‥

より多くの声

香港メディア:中国の001A型空母、大連で建造中!

専門家、「中国は将来空母の無人機を研究開発する」と語る

中国国産空母が建造中であるか否か、熱い議論を引き起こす 日本メディアの「デマを打ち破る」

宋心之:米日が艦載版殲ー20を騒ぎ立てるのは自身の軍備を拡大するため

(頑住吉注:この内容は前編と同じなので省略します)

より多くの声

中国の原子力空母建造の条件はフランスより優れている

週刊アジア:中国、3隻の中型空母を建造中

外国メディア:殲ー15、YJ-62対艦ミサイルを搭載してアメリカ空母を震撼させる

ネット仲間の調査

あなたは中国国産空母はどんな方面をより改良すべきだと思いますか?

搭載機の数と種類 7.48% 24票

電子情報化設備 10.29% 33票

カタパルト発進方式の採用 32.4% 104票

固定翼早期警戒機の搭載 12.78% 41票

原子力動力推進の採用 35.21% 113票

その他 1.87% 6票

総票数 321票

中国の「利剣」無人機はあるいは空母艦載機になるか

今後の海上作戦環境は余りにも複雑で、もし海から陸への攻撃行動を発動したら、相手方の防空体系を理解しない状況下でもし無人機がないと防御突破能力はすぐに影響を受ける。もし防御を突破して入り込めても、代価は余りにも高くなり、もし有人機が相手方によって撃墜されること多すぎたら、攻撃行動は大きな損失を受ける。有人と無人の優勢を一体に結合し、無人機と有人機に異なる環境下で自分の優勢を充分に発揮させる、これは非常に絶妙な組み合わせである。

結び

まとめると、空母の大躍進を行うことは国を誤ることにしかならない。海軍建設は重点をもって比率、バランス通りに発展する方針を実行すべきである。科学的に海軍の作用、地位、遠大な目標、性質を確定した後、まず国際および国内の状況から出発し、全局的なところから出発し、海軍の各時期の目標、任務、規模、構成などの問題を計画し、海軍建設を巨視的で正確な軌道に入れるべきである。当然、外国をそっくり真似をすることはもっといけないし、某一国とのバランスを基準にして自らの海軍を建設してはいけない。本国の海軍の戦略的任務および各種条件を根拠にしてこそ、自らの国情に適した海軍発展の道が探索できるのである。


 訳したんで一応紹介しましたけど、「ちょっとみんな冷静になれ」という主張は前回でほぼ言い尽くされ、今回のは蛇足っぽいですね。ちょっと論理展開に無理が感じられる部分もありますし。






















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