日印、日豪協力に対する見方

 今日はコラムでベトナムを中心とした中国その他との関係に関する短い記事を複数取り上げていますが、ここでは日本、インド、オーストラリアという比較的大きな国の間での協力と中国との関係に関する記事を2つ紹介します。

http://military.china.com/critical3/27/20130606/17877369.html


日印、南海で協力 中国、あるいは大事が降りかかるか

「インド時報」5月28日の報道による:この国(頑住吉注:インド)は1隻の最も先進的な駆逐艦と1隻のステルス護衛艦を含む4隻の軍艦を派遣し、マラッカ海峡を突っ切ってマレーシア、ベトナム、フィリピンに向かわせた。これと同時にインド首相シンは28日、日本との安全保障業務と安全に関する関係を強化し、中国に向け有力な情報を発した。これは中国首相李克強が対インド訪問を終えてからたった1週間しか離れていない。この2つの会議の開幕式で発表した演説の中で、シンは日本をインドの「東を見る」政策の核心に置き、かつ、「経済および戦略という角度から見て、インドは日本が取得した成就に対し濃厚な興味を抱いている」とした。彼は、「我々は地域と共通の利益に関わる問題で政治対話を強化し、かつ我々の戦略的協議を拡大すべきである、と語った。我々は安全保障業務と安全に関する対話、軍事演習、安全保障業務技術協力を増加すべきである。」 シンは全く隠すことなく、インドと日本はこの地域の「主要国」であり、アジアの平和、安全、繁栄を保証することは印日両国の責任であると語り、アジアは中国をもって中心とするとの視点に反対した。さらに中国を不快に感じさせたのは、シンが何と釣魚島問題上、日本サイドに立ったことである。

中国の釣魚島をめぐる争いでの立場が強硬なことに直面し、加えてここ何年かの中国の実力の急速な発展があり、これには中国艦隊や原潜が頻繁に日本近海に出現していることが含まれ、東京はその国家の安全と領土の主権がもはや安全ではないと考え、中国から来る巨大な脅威を受けている。このため日本は止むを得ず防御措置を取り、中国の脅威をゆりかごの中で扼殺しようとしている。このため日本政府は力を惜しまず武器輸出三原則を変更し、かつ平和憲法を変更することを自らの務めとし、北朝鮮の核の脅威と釣魚島の衝突を口実に、ほしいままに中朝脅威論を騒ぎ立て、もって憲法を変えるための民意の基礎を獲得し、日本の軍事力発展を制約するボトルネックを突破し、日本を正常な国家とし、もってその軍備を拡充し中国を牽制しようとしている。他方において日本は大きな力を入れてアメリカ、オーストラリア、インドなどの国との関係を発展させ、いわゆる「民主安全菱形」を建立し、地域外の大国の力量に頼って、勢力が不断に増長する中国に対抗することを企図している。

日印両国は歴史上いずれも中国と不愉快な事が発生したことがあり、両国とも最近中国と領土をめぐる紛糾が存在した。このため日印が対中国問題で協力するのは必然の結果と言える。最近日印両国は非常に接近しているようで、経済の往来を強化するだけでなく、同時に軍事的関係も強化している。これに対し、外界のある評論は、インドが日本と同盟を結んで東西から中国を挟撃する可能性があるとし、またインドメディアや一部の関係者も極力インド政府が日本と連合して中国に対抗するのを煽っている。だが事実としては決してこのようではなく、インドと日本が接近するのは一種のポーズを見せているに過ぎない。すなわち意図的に中国に向け、日本との協力は中国に対抗する戦略的選択であり得るのだ、と表明している。その意図は中国に条件を出す分銅を増やすことにある。インドはチベットの絶対多数の領土を実効支配しており、中国はアカサイチンを実効支配しているだけである。つまり、現在インドは中国に対し優位を占めているのであって、中国がアクティブに衝突を挑発して引き起こさなければ、インドがチベットで中国を刺激することはない。だがもしインドと日本が協力して中国に対処したら、北京の強い不満を引き起こし、このため中国はチベット問題でインドに報復する可能性が高い。これはニューデリーにとって得より損が多いと言え、このため日本と協力し中国に対抗する問題で、インドは日本と逢場作戯(頑住吉注:機会があるときだけたまに遊ぶ)である可能性が高い。

日本は中国の釣魚島に関する注意力を転じさせる、南海のいわゆる自由航行ルートの安全を維持保護するため、周辺国と中国との衝突を挑発して引き起こし、中国に必要な面倒事を作り出している。日本はその戦後最大の「南洋へ下る」戦略を制定し、アクティブに南海の業務に介入し、地域の国に大量の軍事および経済援助を提供し、その中国に対抗する実力を助け、かつフィリピンを日本の反中国の急先鋒に作り上げようと企図している。これと同時に、インドは中国の真珠の鎖による包囲に反撃し、中国のチベット地域における対インド圧力を弱めるため、非常に大規模な「東進」戦略を制定した。その意図はマラッカ海峡に進出する海上ルートを支配し、東南アジアおよび南海を自らの勢力範囲に収めることにあり、大きな力を入れてベトナムを抱き込み、また関係を発展させ、ベトナムをその「東進」戦略のジャンピングボードに変え、チベット、インド洋の前に中国に対抗する「第三の戦場」として切り開き、南海をインドが中国に対抗する海上の前線陣地に変えようと企図している。

地域外の大国の関与がどんどん多くなるにつれ、南海問題はますます緊張し複雑なものに変わっている。もし日印の策略の処理が当を得ていれば、南海問題は両国の中国との「囲碁」の中での挽回の一局となる可能性が高い。日本、インド、ベトナム、フィリピンは南海問題で協力でき、中国にとってこれはおそらく1つの危険信号であると言える。どんな角度から考慮しても、日印の協力しての中国への対抗は、両国の今後数十年の正しい選択であると言える。日本はずっと力を尽くしてインドと連合して中国に対抗しようとしているが、インドは決して日本のコマになりたがってはいないようである。インドと日本は接近しているが、これは決して両国が協力して中国に対抗することを表してはおらず、インドメディアの大騒ぎも決してインド政府の意見を代表することはできない。事実として中国との対抗はインドの利益に符合しない。中印相互の貿易額は日印の貿易額をはるかに上回る。現在インドの発展の前途の見通しは明るいし、インドには中国との優勢の相互補完もある。もしインドが日本と協力して中国に対抗する立場を堅持すれば、これはインドにとって極めて大きな制約であると言え、さらにはインドが中国・パキスタンによる両面からの挟撃に直面することになる。このためインドと日本の協力しての中国への対抗は、インドにとってあまり多くのメリットはなく、日本が中国を牽制し対処するコマになるだけだ、と言える。


http://military.china.com/news2/569/20130607/17879298.html


印豪両国、安全保障業務協力を強化 インドメディア、協力は中国を抑止するものと直言

【グローバルネット報道 駐インド特約記者 陳晨 李淵】 インドメディアは6日、インド国防大臣アンソニーは4日と5日にオーストラリアを訪問し、オーストラリア国防大臣スミスと会見し、双方は5日に戦略と安全上の利益につき討論し、これには海軍の安全と双方向の安全保障業務協力などが含まれた、と報道した。会見後双方は合同で声明を発表し、双方の海軍交流を継続して保持し、もって信頼と親密感を建立する必要があり、これにはインド軍艦が今年10月シドニーで行われる国際艦隊閲兵および2015年の合同海上演習への参加が含まれる、と強調した。現在インドはインド洋海軍フォーラムの順番で務める主席国であり、オーストラリアは次の主席国である。

「印豪、安全保障業務関係を強化し中国を抑止」 6日「インド時報」はこのタイトルで直言した。インド「経済時報」の文章は、双方はいずれも中国の日増しに増強される軍事力とインド洋地域に対する介入に警戒感を持っているが、両国はいずれもアジア太平洋地域において中国を抑止するいかなる多国間戦略構造あるいは枢軸と見られることにも反対している。中国の南海における壮大な志が日増しに増強されるにつれ、中国は周辺諸国との徐々にエスカレートする領土をめぐる争いの中にも陥っている。だが印豪はこの時一致して、海洋の安全と国際法に符合する海上の自由航行はアジア太平洋、インド洋地域の成長と繁栄に対し非常に重要である、と強調した。

「インド教徒報」は、インド海軍が国際艦隊閲兵に参加することは、軍事力増強をデモンストレーションする1つの機会であり、インドの大戦略の一部分である、と考える。インドのこの大戦略は、インド洋地域において中国の不断に増加する海軍のプレゼンスを抑止する必要がある。インドのニューデリーテレビ局は、最近中国は軍艦と飛行機を使用して、日本を含む隣国を「恫喝」している、とする。中国はさらにインド洋地域で海上戦力のプレゼンスを増強しており、これには潜水艦や軍艦が含まれる。「インドスタン時報」はさらに、北京はインド洋地域に「弧形」の影響力をまき散らすことを試みているところだ、と誇大宣伝している。インド国防省のある機密文書は、彼らがどんどん多くなる中国潜水艦のインド洋進入を憂慮していることをはっきり示している。去年、中国の攻撃型潜水艦と疑われる、記録に残された接触は少なくとも22回あった。中国はずっと疑いの目を用いてインドと、インド洋・太平洋地域のその他の国との日増しに増強される戦略的関係を見ており、過去すでにインドがオーストラリアを丸め込んで味方に引き入れ、アメリカとの合同軍事演習に参加させたことに対し関心を示した。

日増しに勃興する中国を憂慮するため、アジア太平洋地域はインドがこの地域においてバランサーの役割を演じることへの期待を強めている。だが、インドの「商業基準報」は、ニューデリーは中国を抑止する道具になることを希望しない、とする。「インド時報」は、インドはアジア太平洋地域諸国との戦略および軍事的関係を強化しているが、中国と建設的な関係を建立することも非常に希望している、と認める。アンソニーは来週(頑住吉注:もう今週です)中国を訪問し、「実効支配ライン」における軍事的対峙の防止メカニズムにつき協議する。

いくつかの西側メディアはインド軍事外交の「言外の意味」をも機会に乗じて推測している。「アメリカの音」は、オーストラリア政府はすでにシグナルを発しており、インドにウランを輸出し、もってこのアジアの新興大国との関係を高めるのに便とする意向がある、とする。インド国防大臣アンソニーの、シンガポール、オーストラリア、タイに対する訪問の目的は、ニューデリーの地域との軍事的関係を向上させることである。イギリスの「デイリーメール」は次のように考える。シン首相は最近日本を訪問し、一方アンソニーはアジア太平洋地域に対し重要な旅行を展開している。だが、オーストラリアは慎重で、「中国包囲」のゲームの中に巻き込まれない。中国はオーストラリアの最大の貿易パートナーなのだ。

オーストラリアのルオイ国際政策研究所の専門家ローリー マイデコフは次のように考える。オーストラリアは時々中国とも海軍軍事演習を行っており、中国は必ずしもこれ(頑住吉注:インド・オーストラリア関係)を反中国同盟とは見なさない。事実としてインドはいかなる強固な盟友でもなく、オーストラリアはインドからいかにして突発事件に対応するか学習しているに過ぎない。


 どの国も中国の圧力から逃れる関係を手に入れたい、でも相手国のために犠牲は払いたくない、しかも冷戦時代のソ連とは違い、中国とは切っても切れない貿易関係がある、ということで小国だけでなく、比較的大きな影響力を持つ国もバランスを取るのに非常に苦心しているようです。しかし日本にとってインドやオーストラリアは間違いなくアメリカの次に頼りになる存在であり、相手の難しい立場も理解しながら関係を強化するよう努力するしかないでしょう。












戻るボタン