RPG30

 ごく最近登場したRPGファミリーの最新型、RPG30に関するページを2つまとめて紹介します。まずはこちら。

http://xmwb.news365.com.cn/jjlw/201202/t20120202_240935.html


破甲の槌:ロシア、新型ロケットランチャーを研究開発

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「新型ロケットランチャーの内部構造を示す模型」 この2枚の画像はいずれもRPG30とされていますが、どう見ても違うタイプですよね。上の画像は上下垂直に砲身が並んでいますが、下の画像ではサイトの位置関係からして細いバレルはメインのバレルの右斜め下にあります。また上に比べて下の正副砲身の太さの差はより極端です。)

兵個人用ロケットランチャーは歩兵の肩撃ち兵器であり、主に近距離での装甲車両、トーチカの火力ポイント、地上あるいは半地下の掩体などの堅固な目標の破壊に用いる。各種の制御誘導兵器が現在すでに大量に戦場で使用されているにもかかわらず、兵個人用ロケットランチャーは歩兵近距離作戦で堅固な目標を攻略するための主要な武器である。

技術の進歩につれ、兵個人用ロケットランチャーファミリーはまさにどんどん隆盛を極めているところである。

様々なロケットランチャーのブランドの中で、最も有名ものとしてソ連/ロシアのRPG系列に勝るものはない。RPG系列の伝説を保ち続けるため、ロシアは不断にこの系列に新タイプを追加している。例えばRPG-18、RPG-22、RPG-26、RPG-27、RPG-29等である。そして今、RPG系列にまたしても新タイプが追加された。これこそまさに登場したばかりのRPG-30ロケットランチャーである。

発展の状況

ロシアが研究開発したRPG-30の目的は、装甲車両の能動防御システムに対応することである。能動防御システムは、実は「弾をもって弾を撃つ」装置であり、対戦車誘導弾やロケット弾の戦車に対する脅威を大幅に削減できる。近年来西側の国は続々と先進的能動防御システムを研究開発している。例えばアメリカの「ハードキル」システム、イスラエルの「トロフィー」システム、フランスの「シパテン」システム、ドイツの「エイビス」システム等である。これらの能動防御システムは、既存の対装甲兵器の作戦効果を急激に低下させる。

このため、ロシアサイドは既存の対装甲兵器の改造にさらに力を入れ(例えばロケット弾の口径増大、弾丸速度向上、タンデム弾頭化など)、他方では能動防御システムを制し得る新型対戦車兵器を研究開発した。

RPG-30ロケットランチャーの研究開発任務は依然RPG系列の研究開発者であるバザート社に与えられた。アメリカの軍事情報専門家であるジョナサン プルイスマールによれば、ロシアは2008年11月19日にRPG-30ロケットランチャーを公開展示し、力を入れて国外顧客に紹介、推薦したものの、このランチャーは現在でも概念研究と最初のテストが終わっただけで、実際の装備までにはまだ一定の距離があり、2015年前後にやっと現役となると見積もる必要がある。

研究開発の考え方から話をすると、RPG-30は相当に斬新であり、誘餌弾を利用して能動防御システムを誘い出し、妨害し、さらにメインのロケット弾が虚を突いて突入し、装甲車両を打撃する。その成功のカギは、能動防御システムが再度反応してくる前(約0.2〜0.4秒)に欺瞞と打撃の過程を完成させることである。

構造性能

RPG-30ロケットランチャーは典型的な編成を問わず使用できる兵個人で携帯しやすい対装甲兵器であり、使い捨てである(ロシアはRPG-30の発射筒は繰り返し使用できると称しているが、危険な戦場で発射筒の検査、処理、改めての装弾を行うことは難しい)。

ロケットランチャー
RPG-30ロケットランチャーは2本の筒を連結した構造を採用している。発射筒の80%以上の部品はプラスチック部品である。ロケット弾の弾頭部は全てプレス部品である。ロケットモーターの連結ネジ、燃焼室、尾翼座が付属した噴射管はいずれもアルミ合金の熱型押し出し成型である。非金属材料と1回性成型技術の大量使用により、工程や材料が少なくて済み、重量が軽く廉価である。

上の発射筒の外形はRPG-27と基本的に同じで、筒の肉厚は5mmである。発射筒の両端と中央部にはアルミ製の補強ゾーンがある(中央部は2カ所)。下の発射筒はより細く、筒の肉厚はやはり5mmで、その両端にはやはりアルミ製補強ゾーンとゴム製の密封蓋がある。出荷時、上の発射筒内にはあらかじめロケット成型炸薬弾が装備され、両端はゴム蓋で密封される(発射時に開く必要はない)。発射時、プルリングを持って安全ピンを抜き出し、後部照準器を起こし、トリガーを圧せば即発射できる。

表面的に見るとRPG-30の構造はRPG-27と比べずっと複雑だが、携行状態から戦闘状態までの転換時間は依然6秒しか要しない。

照準装置:RPG-30はRPG-27と似た簡易折りたたみ式機械式照準器を採用しており、後部照準器と照尺からなっている。後部照準器は板状を呈し、板にはピープがあり、かつ簡単な温度補正装置が装備されている。前部照尺はフレーム型の窓で、中には3枚の横向きのレティクル板があり、それぞれ50m、150m、200mの射程に対応する。機械式照準器の他、RPG-30ロケットランチャーには倍率2.5倍、視野12度の光学照準器が使用できる(頑住吉注:開く必要のないゴム蓋、3枚のレティクル板など、ここの説明は2枚目の画像により合致する感じです)。

弾薬:現在までの報道から見て、RPG-30の上の発射筒にはPG-30型105mm口径ロケット弾が使用される。PG-30のタンデム弾頭の第2弾頭部は純度の高い銅製の炸薬の形に合わせたライナーを採用し、第1弾頭が戦車の反応装甲を破壊した後に650mm厚の均質鋼装甲を貫通できる。

RPG-30の下の発射筒に使用される誘餌弾の性能は不詳だが、その主要作用は敵の能動防御システムの欺瞞であるから、その構造はメインのロケット弾より簡単であるはずで、重量もずっと軽いはずである(RPG-30システムの全重量は10.3kgであり、RPG-27の重量を基準に推測すれば、下のロケットランチャーと弾の全重量は2.5kgを超えないのではないか)。

疑問

RPG-30は2発の弾薬の共同作業に頼って能動防御システムに対抗する。このため2発の弾薬間の発射の協調こそが明らかに特別重要となる。既存の技術から言えば、時間延期の方法を用いて2発の弾薬を相前後して発射することに問題はない。だが重量、外形、モーター等の方面の差異により、誘餌弾とロケット弾の速度にはきっと差異がある。2発の弾薬に筒を出た後で同一歩調を保持させねばならないというのは比較的困難なことである。現在関係する資料はなく、筆者はバザート社も良い方法が思いつかず、そこで有効射程を短縮する方法をとり、2発の弾薬が目標に到達する時間差をできる限り小さくしたのではないかと推測する。さもなければRPG-30の射程が何故RPG-27より短いのか解釈することはできない。

結びの言葉

現在RPG-30の性能に関して言えば、それでもメインバトルタンクを有効に攻撃するにはまだ不足である。例えばそれがメインに使用するPG-30ロケット弾の破甲厚度は650mmにしか達せず、各国の改良型第三世代メインバトルタンクの前面装甲を撃ち抜くことはできない。敵の能動防御システムが複数の方向から来襲する多数の打撃兵器を同時に探知し打撃できると仮定すると、もしRPG-30の2発の弾薬のマッチングが完璧でも、相手の防御を突破することは難しい。

その他の国に関して言えば、RPG-30の性能が果たしてどうであろうが、その設計概念の出現だけですでにその意義は重大である。何故ならばそれは「装甲と対装甲の争い」がまたしても1つの新しい対抗段階に入ったことを示しているからである。


 対戦車弾が飛来するのを感知し、こちらから何らかの迎撃物体を発射して防ぐ「能動防御システム」は爆発反応装甲と違って複数回の防御が可能ですが、1回防御を行ってから次の防御を行うまでに0.2〜0.4秒かかるので、デコイ弾が命中してから0.2秒未満にメイン弾を命中させなければならないが、もちろん同時でもいけない。デコイ弾とメイン弾の速度を完璧に一致させないと距離が離れるほどタイムラグが大きく、あるいは小さくなりすぎることになるので、有効射程を短く設定した。だがもし「能動防御システム」が複数の目標を感知し対応できるものだったら効果はない。もちろん均質装甲に換算し650mm以上の防御力が命中ポイントにあっても効果はない、ということですね。もしこうだとすれば、メーカーの有効射程の設定、公称値は妙に正直だということになるでしょう。普通ならRPG-27と同じ射程であるとしながら、控えめに「でも比較的近距離でないと能動反応装甲に対する有効性は保証できません」とただし書きをすればいいはずです。ただ、検索して調べると、「RPG-30の射程はRPG-27より短い」という前提に疑問が生じました。英語版「Wikipedia」によれば、RPG-30とRPG-27の有効射程はいずれも200mになっています。一方RPG-26は250m、RPG-28は300m、RPG-29は500mとなっています。この筆者の勘違いなのか、あるいは西側に伝わっている情報が不正確なのか、ちょっと判断がつきませんが。

 次にRPG-30に関するもう一つのページの内容です。

http://bbs.tiexue.net/post_3419390_1.html


ロシア製RPG-30新型ロケットランチャーに対する私の改良提案

最近、「戦車装甲車両」誌にロシアのRPG-30新型ロケットランチャーに関する記事が掲載された。

その文章は、RPG-30新型ロケットランチャーの誘弾とメインの弾の速度のマッチングは難題であるとしていた。我々は簡単な分析を行い、推進剤がロケットランチャーの発射筒内で燃焼を終了した後に筒を出る誘弾とメイン弾が初速に頼って飛行するのは、明らかに事前に戦車の能動防御システムの作動を誘発させるためであり、誘弾の初速はメイン弾より早い必要がある。再び図から判断すると、両者の空気抵抗係数は異なり、誘弾の速度低下はメイン弾に比べ遅い。これは両者の戦車に接近する時間には隔たりがあり、当然距離によっても隔たりが出る、ということを意味する。目標までの距離の増加(射程の増加)につれ、両者が到達する時間の隔たりは距離が離れるほど大きくなる。

もし目標までの距離が近く、しかも誘弾とメイン弾の速度差が小さければ、両者が小さな間隔で戦車に接近するため、誘弾に誘発された能動防御システムによってメイン弾も一緒に打撃を受け(以下「1回での両者打撃」と略称)、誘弾の作用は失われる。

それでは両者の速度差を大きくすればOKなのか否か? もし目標までの距離が遠いと、両者が比較的大きな時間間隔で戦車に接近し、ひとたび時間差が0.2〜0.4秒を超えれば、誘弾に誘発された能動防御システムが次のサイクルでやはりメイン弾を打撃でき(以下「2回での両者打撃」と略称)、これでは同様に誘弾の作用は失われる。

「戦車装甲車両」誌の文章から見て、ロシアがこの難題を解決した方法は、射程の短縮によって両者の速度の最良のマッチングを達成することであるが、これは本当に止むを得ず取った方案である。

それでは射程も延長しながら「1回での両者打撃」も「2回での両者打撃」も避けることはできるのか否か?

できる。私の構想は簡単だ。それは目標までの距離(射程)によって摩擦の方式によって誘弾の初速を調節し、したがって両者の速度の最良のマッチングが達成されるというものである。

この構想は誘弾のロケット発射筒上にある。誘弾の位置の前に縦軸に沿って2つの穴を開ける。例えば楽器の笛の穴のようにである。ただし笛の穴と同じ大小の穴ながら一部異なるのは、2つの穴の面積が1:2(例えば1つは1.5平方cm、もう1つは3.0平方cm)であることだ。通常は2つの穴は栓によってふさがれている(この時、栓には摩擦機能はない)。発射される誘弾は筒内で栓と摩擦しない(このようにするのは難しくない。この位置のロケット発射筒を隆起させ、栓のヘッド部を内壁とツライチにすればOKである)。推進剤の燃焼ガスも栓から漏れて射手を傷つけることはない。

だがこの栓1は回すことができ、ゴムの突起が付属した摩擦機能のある栓に変わる。この時発射される誘弾は筒内でゴムの突起と摩擦し、生じた摩擦力が誘弾の初速を低下させる。同時に推進剤の燃焼ガスはやはり栓から漏れて射手を傷つけることはない。

目標までの距離は計測して知ることができるので、射程を4段階に分けることができる。

第1段階は近距離であり、2つの栓はいずれも操作する必要がない。つまり摩擦はなく、誘弾の初速は最大である。

第2段階は2番目の近距離であり、面積の小さい方の栓に摩擦機能を持たせ、大きい方は操作しない。つまり比較的小さい摩擦力となり、誘弾の初速は2番目に大きくなる。

第3段階は2番目の遠距離であり、大きな面積の栓に摩擦機能を持たせ、小さい方は操作しない。つまり比較的大きい摩擦力となり、誘弾の初速は2番目に小さくなる。

第4段階は遠距離であり、大小の面積の栓にいずれも摩擦機能を持たせる。つまり摩擦力は最大となり、誘弾の初速は最小となる。

この他、目標までの距離が近ければ脅威も大きくなり、射手の素早い操作が要求される。栓の操作がいらないことは素早い操作という要求にも符合する。

一方目標までの距離が遠ければ当然脅威もやや小さくなり、射手の栓を操作する手順が増えて反応までの時間が長くなるというのは欠点だが、受け入れ可能である。

以上は私の構想の基本的考え方である。当然難題の解決方法は多い。1つには例えば2つの速度が異なる誘弾にし、射程によって選択して使用する。2つ目は誘弾の重量あるいは空気抵抗を調節可能にし、これにより初速調節の目的を達成する、等々である。だがいずれにもシステムが複雑、コストが上昇する、重量の増加が多すぎるという欠点が存在する。

このため、私は変換式の栓を用いる方法が最も簡単と考える。

指摘が必要なのは次の点である。

1.誘弾を装備したロケット筒の強度を保証するため、2つの穴は横向きに開けるのではなく縦軸に沿って開ける。穴には前後があるので、誘弾が2つの穴を通過する時の速度は異なり、摩擦の時間も当然異なる。このため私が前述の文で提示した2つの穴の面積の比率は1:2なのである。ただ、解説の便のため構想中の距離は仮のものとした。具体的な比率は特定が待たれる。

2.摩擦栓は誘弾本体の片側を摩擦するので、誘弾を動揺させる。だが幸いロケット筒の長さは誘弾の長さよりずっと大きく、少なくとも2倍以上はある。つまり、摩擦栓を通過後、誘弾は依然ロケット筒内にあり、まだ筒を出てはいない。このことは動揺を最低程度に減らす。

3.突起のゴム塊であるが、突起をどのくらいにし、面積をどのくらいにし、形状をどのようにすれば、誘弾の速度も低下させられ、誘弾の安全も保証できる(摩擦はすごいものになる。さもないと初速の調節範囲が大きくならない)のかに関し、私の学識には限りがあり、より高い学識を持つ人の研究と分析を乞う次第である。

私の構想にある誤りや不足のところに関する批判やご叱正を歓迎する。


 「戦車装甲車両」誌の記事は読んでいないので詳細は不明ですが、発射タイミングをずらして同一速度の正副2発のロケットを発射するのではなく、初速を変える、また発射筒内ですでに推進剤の燃焼は終わる、と説明されているようです。遠距離でもなるべくタイミングが変わらないようにするには発射タイミングをずらす方が簡単ではないかと思うんですが。長時間燃焼させないのはたぶんばらつきを最小にするためでしょう。

 アイデアとして面白いものの、私はこのアイデアのままではダメではないかと思います。まず、発射時に抵抗を与えれば初速が低下するというのは自明のことではありません。実銃の弾薬のいわゆるクリンプは初速を向上させますし、エアソフトガンでもチャンバーパッキンがきつい方が初速が上がることは普通にあります。またゴムの抵抗を使うとすると、一般にゴムは気温が低いと硬くなり、高いと柔らかくなりますから抵抗が変わってしまいます。おそらく湿度等他の条件でも摩擦の強さは変わってくるでしょう。製造のばらつきを抑えるのも難しいのではないでしょうか。






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