クロアチア製RT-20アンチマテリアルライフル

 非常に変わった特徴を持つクロアチア製の大口径アンチマテリアルライフルに関するページの内容の紹介です。

http://www.gun-world.net/croatia/rt20/rt20.htm


クロアチア製RT-20アンチマテリアルライフル

口径20mmx110ヒスパノ

RT-20はクロアチアのRH-Alan社によって1990年代中期に研究開発されたもので、一種の純粋なアンチマテリアルおよびアンチアーマーライフルである。RT-20という名前の意味は「ハンドキャノン20mm」(Rucni Top, 20mm)であり、RT-20はクロアチア軍に制式採用され、かつて1990年代後期の旧ユーゴスラビア紛争で使用されたことがある。

RT-20は威力が強大な20mmx110高射機関砲弾を発射する。この弾薬は最初、第二次大戦期のヒスパノ スイザHS404高射機関砲に使われ、第二次大戦後は広く採用され、例えば旧ユーゴスラビアのM55高射機関砲はまさにこの弾薬仕様だった。RT-20に使用される弾薬には高性能炸裂弾と徹甲弾の2種類があり、高性能炸裂弾は人員の殺傷、あるいはアンチマテリアル用に使用できる。徹甲弾は歩兵戦闘車両や装甲輸送車に対して使える。

20mmx110機関砲弾は重量130g、銃口初速度毎秒約850m/sであり、終点効果がきわめて高い。ただし欠点は後座力も非常に大きいことである。20mmヒスパノ機関砲弾が発生させる後座力は.50BMGの約4倍である。後座を射手が受け入れ可能な程度まで低下させるため、クロアチアは一種の非常に興味ある反後座系統を設計し、反作用原理を採用した。バレル上方に1本の長い反作用管があり、前端はバレル中部と連結されている。後端は噴射ノズルになっていて、この銃を射撃した時、火薬ガスの一部がバレル中部の排気口から反作用管に進入し、その後反作用管の尾端にある噴射ノズルから高速で噴射される。これにより後座力の一部が打ち消される。この原理は実際上無反動砲のデービス原理と似ている。ただRT-20が発射する高射機関砲弾は直接後方に火薬ガスを噴射することができないため、バレル中部から後方に向けて後座力を打ち消す火薬ガスを引きだす必要があっただけである。

この種の系統により20mm高射機関砲弾の後座力を人体が受け入れられる程度まで低下させることができたが、欠点は無反動砲と同じで、高速で後方に噴射される高温の火薬ガスが自分を傷つけることを避けるため、射手は必ず適した射撃姿勢で発射しなければならない。しかも射撃時、後方の一定距離内に味方の兵がいてはならないし、狭い空間内での使用にも適さない。さもないと火薬ガスは壁によって反射し、自分を傷つけることになる。

この他の系統は比較的シンプルである。ボルトアクションシステムが採用され、ボルトヘッドには3つの大きな閉鎖用突起がある。射手の操作に便利なように、コッキングハンドルは左面にある。マガジンはないのでRT-20は単発射撃しかできない。トリガー、グリップ、バットプレートが全てバレル下方にあるため、ブルパップ構造に相当する。このためバレルは非常に長いが重心は前過ぎになっていない。バイポッドは着脱可能で、脚部は215mmから295mmまで長さが調節できる。RT-20には機械式サイトはなく、6x42スコープがあるだけである。スコープはバレル上方で左にオフセットされているので、右肩を当てた射撃でしか使用できない。

20mm高射機関砲弾の射程は非常に長いが、12.7mmスナイパーライフルにあるような比較的高い精度を持つ狙撃用弾薬とは異なるので、RT-20の距離1000m以内における散布面は、その他の12.7mm口径アンチマテリアルライフルよりずっと大きい。中、遠距離にある個人兵士目標に正確に命中させるのは運任せと考えなければならない。当然もし高性能炸裂弾を発射すれば、殺傷半径内の人員にはやはり一定の傷害作用を持つ。ただし20mm砲弾の効果は40mm榴弾とは比較にならない。このため一部の資料はRT-20を大口径スナイパーライフルと呼んでいるが、この銃の主要な任務はアンチマテリアルライフルである。人員の殺傷が主要な用途ではなく、1〜2kmの距離にある軽防御目標あるいはその他の高い価値のある軍事目標、例えば飛行場に駐機している飛行機、低空を旋回するヘリコプター、軽装甲車両、バンカー、通信車、ドラム缶、レーダー、空港施設等を破壊するのである。

全長 1330mm
銃身長 920mm
未装填重量 付属品なし 15.1kg
バイポッド、スコープあり 17kg
銃口初速度 850m/s
有効射程 1800m

(頑住吉注:最後の画像のキャプション)かつてこの画像は初期、国内のフォーラムで中国のものと誤解された。実はAPS95(頑住吉注: http://www.gun-world.net/croatia/aps95/croatia.htm )の画像も同様の誤解を受けたことがある。これはおそらくクロアチアの迷彩パターンのせいだろう(頑住吉注:中国とクロアチアの迷彩パターンが似ているということのようです)。


 この銃は20mm機関砲弾という.50BMGよりランク上の弾薬を使用するのにもかかわらず、.50BMG仕様のアンチマテリアルライフルと同程度の全長と重量に抑えられており、きわめて興味深い機種です。20mm弾を使用するアンチマテリアルライフルとしては、例えば

http://www.gun-world.net/safrica/ntw20/ntw20.htm

http://www.gun-world.net/safrica/truvelo/sr/sr.htm

 こんなのもありますが、全長、重量ともRT-20よりはるかに大きくなっています。無反動砲の原理を導入しているものの、マズルブレーキも併用され、「受け入れ可能な程度」の反動があるわけですから後方に噴射されるガスは無反動砲よりずっと少ないと考えられます。このためか初速も.50BMGに遜色ありません。

 コッキングハンドルの左右位置が通常と逆ですが、射撃姿勢をとる兵の画像を見ると、確かにこの方がましのように見えます。ただしいずれにせよ通常のボルトアクションよりはるかに操作しにくいのは確かでしょう。また気をつけないとリュックがガスで破損しそうな感じに見えます。

 命中精度が低いので個人の狙撃には使いにくく、 榴弾の破壊力は40mmグレネードランチャー等に遠く及ばない、また装甲貫徹力は当然RPGのような成形炸薬弾に遠く及ばない、ということで、アイデアは非常に面白いんですが普及しそうにはないですね。














戻るボタン