空母をいかに使用するか

 中国の専門家が語る一般論です。

http://www.hinews.cn/news/system/2015/07/17/017694532.shtml


専門家:空母を用いての防御は止むを得ざるもの 空母を用いて核保有国に対抗すべきではない

将来海軍はいかにして空母を使用するのだろうか

空母使用の状況は、「平和な時期」と「危機の時期」そして「戦争の時期」に分けることができる。異なる時期において空母打撃群は編成形式、配備区域、空母艦載機連隊の配置、使用、作戦様式などの方面において、いずれも比較的大きな差異が存在する。このことは「航空母艦」というこの艦種の多用途性と使用の柔軟性を充分に体現してもいる。

平和な時期の空母の使用は、主に常態化された配備、作戦当番とパトロール、人道主義救援、威嚇や抑止などに用いられる。空母およびその艦載機群は非常に高い保有および使用の費用を必要とすることを考慮すべきであり、このため平和な年代では非常に多くの国は中、小型戦闘水上艦艇を使用して常態化された配備と作戦パトロール任務を執行する傾向がより強くなり、このようにすればよりコストパフォーマンスが高くなる。

だがミサイル駆逐艦、軽護衛艦など中、小型戦闘水上艦艇は、比較的短時間内に投入できる決定的な力量たりえない。このため、段階的配置の採用が可であり、こうした艦艇を危機が勃発する可能性のある地域に接近させ、前線配備を実施し、初期の快速危機反応兵力とするのである。その後、危機の規模と深刻さの程度を根拠に、後ろ寄りに配備していた水陸両用突撃群あるいは空母打撃群を決定的作戦力量として状況を見て投入する。

このため、大国の海軍は終始使用可能な空母打撃群を有する必要があり、かつ空母打撃群に比較的高い技術戦術レベルと戦備状態を持たせるべきであり、またこのことは空母の数に対しても要求を提出し、すなわち最低で2隻より少なくないべきである。

いわゆる「危機の時期」とは対抗する双方に深刻な対峙が発生し、双方いずれも戦争あるいは武装衝突勃発の準備を行いつつあることを指す。危機の発展変化は、双方あるいは多方の政治、外交、軍事などの領域におけるゲームの結果によって決まる。危機が戦争あるいは武装衝突に発展する可能性もあるし、有効に解決される可能性もある。

危機の時期、武力による威嚇を実施し、政治解決のために条件を創造する、およびもし戦争が勃発したら遅れず反応し、戦場の主導権を掌握し得るため、危機の中で対峙する一方あるいは多方は、空母打撃群を相手方の防衛区域前線に配備することになる可能性がある。この時、空母の配備海域は打撃を待つ目標の距離によって決まり、目標が空母艦載機の作戦範囲内にあり、かつできるだけ接近して配備し、もって威嚇効果を高め、打撃時間を短縮するべきである。

空母の威嚇作用はその他の兵力では代替できないものである。米軍のニミッツ級空母は80機の飛行機を搭載し、1日にのべ120機出動させることができる。フォード級はのべ160機に達し得る。もし高強度の作業を実施したら、昼夜絶え間なくのべ270機出動させることができる。この種の空中打撃能力は、大多数のアメリカの潜在的および現実の相手が手向かえないものである。

提示しておくに値するのは、空母開発と建造の出発点は制海権と制空権の争奪であり、これは高強度海上戦争に対応するためだということである。この点は空母発展の最初から最後までついて回る。将来、空母の戦争での使用は依然主にその艦載航空隊に頼り、戦闘区域の制海権と制空権を争奪および維持し、これは第二次世界大戦中の太平洋戦争と根本的な差異はない。戦争の環境、作戦条件と相手などに変化が発生するだけである。

戦争の時期、空母が対抗する必要があるのは依然主に国家という性質の主体である。テロリズムや極端主義組織、麻薬販売集団など非国家の性質の主体には、制空権や制海権を争奪する軍事的実力はなく、空母とこの種の敵との作戦では、制空権や制海権は争奪する必要なくもう自然に持っているのである。

戦時の空母の使用では、主にその進攻性の用途を考慮すべきである。結局のところ、空母は遠洋進攻性武器であって、攻勢作戦がその作戦機能の発揮により有利である。

制空権、制海権争奪でも、陸上目標の打撃でも、空母の作戦使用時は必ず能動および積極的態度を堅持し、かつ体系作戦能力の支持の下に、攻勢作戦行動を採るべきである。このようにしてこそ、味方サイドのためにより大きな軍事行動の自由と能動性を勝ち取り、同時に最大の程度で相手方の軍事行動の自由との能動性を制限することができるのである。

防御性作戦の中での空母使用は、空母の作戦能力の発揮を制限するだろう。これは止むを得ざる状況下での選択であるべきである。防御作戦を実施する一方の空母兵力は、通常いつも進攻する側よりも弱い。

注意に値するのは、空母を核保有国との対抗に使用すべきでないということである。固定発射サイロ内の大陸間弾道ミサイルや陸上基地機動性弾道ミサイルは、あるいは空母に搭載する有人操縦機、無人機で殲滅される、あるいはその発射するミサイルが空母打撃群航路護衛艦艇の防空対ミサイルシステムによって迎撃されるかもしれないが、弾道ミサイル原潜の隠蔽性は良く、生存能力は強く、探知および殲滅され難い。

このため、もしこうした国家が空母艦載機の致命的打撃を受けたら、その核戦力がすでに戦争勃発初期にもう殲滅されていない限り、核兵器を使用して報復を実施する可能性がある。実際上、これはその反撃および報復を実施する唯一の有効な手段でもある。

(作者は李大鵬 機関:海軍工程大学)


 核保有国との対抗に使用すべきでない兵器として空母を特に挙げる意味が不明で、また核保有国でありながら戦略ミサイル原潜を持たない国は多いので議論としても成り立っていない気がするんですが、これはアメリカが大規模に空母を使用して中国を壊滅状態に追い込むことができても、中国には致命的反撃を加える手段があるということを言いたいんですかね。


















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