中国の専門家、レールガンを語る

 中国が電磁カタパルトの研究を進めていることはまず間違いなく、おそらくレールガンもでしょう。

http://www.hinews.cn/news/system/2015/03/20/017414801.shtml


艦載レールガンに若干の欠陥あり 中国は特色ある切り札を開発すべし

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「2010年12月10日、アメリカのバージニア州ダールグレン海軍水上戦センターでレールガンの射撃試験が行われた。画像はハイスピードカメラが撮影したレールガン発射時の様子」)

最近アメリカのChinaTopixウェブサイトが発表した文章は、アメリカ海軍は2016年にある艦船の上でレールガンの艦上試験を展開する計画であることをすでに事実確認しており、もしレールガンが今後10年以内に大規模配備されたら、未来の海軍の作戦形式を改変する可能性がある、とした。

レールガンは電磁力(ローレンツ力)を利用して弾丸を加速し、それを超高速をもって発射する新概念武器で、それは伝統的な艦砲の多くの限界を克服しており、射程が長く、速度が高く、目標に対する破壊性がより強く、ひとたび艦に配備されれば、レールガンは海軍の打撃作戦の新たな変革を引き起こすことになる。

アメリカ海軍、レールガンの戦場投入を推進

人々のレールガンに対する研究の歩み始めは非常に早かったが、最初の研究は原理デモンストレーション段階に留まっていた。資料は、1918年、フランスの発明家(頑住吉注:カタカナに直しても全然人名のようでなく、検索してもヒットしません)が最も早くレールガンを研究開発し、1944年になってドイツの(頑住吉注:これも同じです)博士が全長2m、口径20mmのレールガンを研究開発し、成功裏に重量10gの円柱体を毎秒1.08kmにまで加速し、その後また2門のレールガンを縦に連結し、弾丸の速度を毎秒1.21kmに到達させたことをはっきり示している。だが材料や電力などのカギとなる重要技術が解決できなかったため、レールガンの研究開発は一度は停滞して進まなかった(頑住吉注:ちなみにこの程度の初速なら28mmを20mmに絞って発射するナチ・ドイツの重対戦車銃や、巨大な薬莢を使って7.92mmクラスの弾丸を発射するタイプの一部の対戦車銃でも達成可能な範囲ですね)。

1978年になって、関連の技術はついに突破性の進展を取得した。オーストラリアの物理学者が成功裏にレールガンの発射速度を毎秒5.9kmにまで向上させた。その後、アメリカ国防省は「レールガン連合委員会」を成立させ、米軍、エネルギー省、国防原子エネルギー局など本来分散してレールガンの研究を行っていた部門と協調し、全体的にレールガンの発射技術の発展を推進した。

2003年、当時の連合安全保障業務社(現BAEシステムズ社武器システム部)はDD(X)(すなわち現在のズムウォルト級駆逐艦)にレールガンを装備することの実行可能性に対し研究を行い、新世代艦艇の発電能力はレールガンの電力に対する需要を満足させることができ、かつシステムの体積、技術の難度などの問題は全て解決できると考えた。

2年後、アメリカ海軍研究局は海軍水上戦センターのダールグレン支部で正式に、「創新性海軍原型」(INP)計画を始動させ、アメリカ海軍がレールガンを実験室から実戦への応用に向かわせることを推進し始めたと象徴的に示した。

この計画は海軍研究局によって責任が担われ、管理された。このうち、海軍水上戦センターのダールグレン支部は試験、検証を担当し、BAEシステムズ社とゼネラルエレクトリック社によって32兆ジュールのレールガン技術開発および初期設計作業が担当された。

プロジェクトは2005年8月から開始され、4〜8年の時間を利用してレールガンに必要とされる技術に対し全面的な研究を行う計画だった。これは主にカギとなる4大重要技術問題の解決で、すなわち発射装置、弾丸、パルス電力供給ネットワーク、艦艇への集成で、2020年〜2025年の間に艦載武器化が実現すると見られる。

レールガンの工程サンプル機はすでに研究開発に成功

レールガンは普通の火砲とは異なり、レール、発射ユニット、電力供給システム、コントロールシステムからなる。(頑住吉注:以後この段落ではレールガンの構造等が説明されていますが不明の専門用語が多くうまく訳せないので飛ばします。)

レールガンは極めて高い電流を利用して強大なローレンツ力を生じさせ、弾丸の初速をマッハ7以上にまで高めることができ、射程は300海里を超える。発射後、弾丸はまず素早く大気圏外に突入し、その後大気圏に再突入し、かつマッハ5以上の速度をもって目標に衝突する。伝統的な火砲に比べ、レールガンの弾丸の爆破強度は決して大きくないが、極めて高い飛行速度に頼ってもたらされる超越的に強い衝撃力は、同様に目標に対し強大な殺傷力をもたらす。また、レールガンが伝統的な高エネルギー材料を放棄していることは、それを生産、輸送、運搬、保管の過程でもはや爆発物安全基準の制限を受けなくさせる。

伝統的火砲と比べ、レールガンの発展を制約する重要なカギとなる技術は主に電力供給、火砲の砲身の寿命、弾薬技術という3つの方面である。

電力供給はレールガン開発の基礎である。アメリカが最初にレールガンの装備を計画したズムウォルト級駆逐艦を例にすると、この艦は総合電力システムを採用し、発電出力は81兆ワットで、元々の計画では2基の発射エネルギー63兆ジュールのレールガンを装備することになっていた。毎分6〜12発の持続射撃発射速度に到達するには、艦船はこれのために15兆ジュール〜30兆ジュールの持続的電力供給の提供を必要とする。

火砲の砲身の寿命はレールガンの発展を制約する技術的障害で、それは主にレールの削れと電枢捩転(頑住吉注:意味不明)という2種の磨耗による損傷現象に体現されるが、この2つの問題はすでに有効に解決されている。

弾薬技術が取得した進展はレールガンの発展のために条件を提供した。レールガン発射の過程で、弾丸は50,000Gを超える加速度を受け入れる必要があり、このことは弾薬内部のコントロールおよび制御誘導部品に対する要求が極めて高い。現在弾薬の研究に参加する機関にはBAEシステムズ社、ボーイング社、ドレイパー実験室などの機関がある。

「創新性海軍原型」(INP)計画実施開始後の進展は非常にスムーズで、2013年にアメリカ海軍水上作戦センターは、BAEシステムズ社およびゼネラルアトミック社が引き渡したレールガン工程サンプル機に対しそれぞれ試験と評価を行った。比較を経て、海軍研究局はBAEシステムズ社を選択してレールガンプロジェクトに対しさらに一歩の開発を行い、重点的に発射システムが反復発射できる技術を研究した。

2014年7月、アメリカ海軍研究局は2セットのレールガンの原型機を「ミリノケット」号連合高速船上に装備し、2016年に海上デモンストレーション試験を行う見込みである。

レールガンは未来の海軍の作戦方式の改変を引き起こす

レールガンは速度が高い、射程が長い、コストが低いという優勢に頼り、対地ミサイル、戦術空中支援、大口径遠距離艦砲の海上火力支援の中の一部の使命に取って代わり、さらには海上作戦模式、戦術応用方式、海上プラットフォーム設計およびその装備発展に対し革命的に重要な影響を生じさせることになる可能性がある。

具体的に言うと、主に以下のいくつかの方面に体現される。1つは未来の大口径火砲の目標に対する殺傷メカニズムを改変し、非常に大きく艦艇の作戦能力を向上させる。伝統的大口径火砲に比べ、レールガンは殺傷力、速度、弾薬貯蔵量、費用などの方面でいずれにも顕著な優勢があり、かつ未来の大口径火砲の目標に対する殺傷メカニズムを改変することになる。レールガンは砲弾の超高速で衝突する運動エネルギーに頼って破壊の目的を達成し、炸薬や推進剤をなくし、非常に大きく後方勤務保障の費用を減少させ、炸薬や推進剤がもたらす環境および安全の問題はいずれもすぱっと解決される。また、レールガンを艦に搭載すると、その弾薬庫はよりコンパクトに、より安全にでき、同じ弾薬庫の中により多くの弾薬が搭載でき、したがって非常に大きく艦艇の作戦能力が向上する。

2つ目として沿海500kmの範囲内の対地正確打撃の主要な方式になる可能性がある。アメリカ海軍の対地火力支援には3種の形式があり、それぞれ艦砲、遠距離ミサイル、艦載機である。通常の火砲はその伝統的発射方式の制約を受けて、砲弾の初速はすでに基本的に極限に到達している。アメリカ海軍の127mm艦砲を例にすると、試験はERGM弾を発射する初速が1,000m/sに達せず、この砲弾はロケットブースト装置に頼って射程延長の目的を達成する必要があり、かつ制御誘導装置で命中精度を向上させる必要があり、したがって砲弾の総コストを大幅に高め、すでに基本的に普通のミサイルに相当する、ということを証明している。レールガンは打撃速度とコストパフォーマンス方面で顕著な優勢を持つ。また、巡航ミサイルや艦載機に比べ、レールガンは6分以内に500km離れた陸上目標の打撃任務を完成することができ、打撃速度がより速い。

3つ目として攻防という両端から海の戦場の力量対抗バランスを改変する可能性がある。攻撃に用いる時、レールガンは速度が速いため、防御サイドの反応時間を有効に圧縮することができ、その頭上からの攻撃方式はさらに一歩迎撃の難度を増加させる。また、レールガンの頭上からの攻撃方式と運動エネルギー戦闘部が相互に結合した模式は、特に掩体、構築物、地下目標の攻撃に適し、相手方の戦略施設の打撃に用いることができる。防御に用いる時、特に海上防空対ミサイル方面では、艦砲は主に近距離防御任務を担うが、レールガンは超越的に高い初速のため、砲弾が非常に短い時間内により遠い距離まで飛べ、防御システムの反応時間を短縮し、海上防空対ミサイルの作戦範囲を拡大する。もし制御誘導技術の使用とコンビネーションすれば、その単発の迎撃確率は艦対空ミサイルに相当するが、その発射弾数は艦対空ミサイルに比べずっと多く、防御システムの総合的な迎撃効果を顕著に増強できる。

提示しておくに値するのは、レールガンは末恐ろしい存在だが、我々は一方においてレールガンを開発する材料、エネルギー源、制御誘導技術のボトルネックがまだ決して完全には解決されておらず、真に実戦に参加し、かつ戦場の形式を改変するまでにはまだ非常に長い一定の時間を必要とするのだ、ということを見ておくことが必須だということである。他方においては、レールガンの発射後、弾丸は動力を失い、かつ飛行速度が早く、機動能力が限られ、弾道の軌跡が容易に予測でき、ステルス能力が劣り、さらに母艦の位置を暴露する危険をもたらすだろう。

アメリカのレールガン発展の過程からは、合理的な技術発展路線、科学的で統一的な計画配案、多くの機関の協調・協力および大規模な資源投入が、研究開発が重大な進展を取得する重要なカギである、ということを見いだすことができる。我が国も新概念武器装備の研究開発を高度に重視し、努力してアメリカとの間の武器のギャップを減少させ、あるいは避け、密接に国外の関連の新概念技術発展の動向に関心を注ぎ、充分に後発の優勢を発揮し、新たなルートを切り開き、我が国の特色ある切り札装備を鍛えて作るべきである。

(作者は劉奎 楊文韜 機関:海軍装備研究院)


 中国は世界初のリニアモーターカーを商業運用するなど関連分野を得意とし、どこまで本当か分かりませんが電磁カタパルト技術ではアメリカにも負けないなどと言う人もいて、レールガンがどこまで進展しているのか非常に気になるところです。










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