S-400対空ミサイルシステムの導入は中国軍にどういう影響を与えるか

 スホーイ-35、「アムール」潜水艦とならんで中国への輸入が噂されるS-400対空ミサイルシステムに関する記事です。

http://military.china.com/jqsj/031/index.html


S-400は中国領空の安全を保てるか?

中国がロシアから導入する可能性がある新型ミサイル防空システムを語る

イントロダクション:最近の一定の時間、外国メディアは頻繁に中国がロシアからS-400ミサイル防空システムを輸入するかもしれないことに関するニュースを報道している。ロシアメディアは、ロシア政府がすでに中国向けにS-400ミサイル防空システムを輸出する決定をしたとさえ言明している。ではS-400ミサイル防空システムには一体どんな特徴があるのか? またS-400ミサイル防空システムの輸入には中国に対しどんなメリットがあるのか?

中国がS-400ミサイル防空システムを輸入する意義は重大

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「外国メディアはロシアが中国に対するS-400の販売を決定したとしている」)

S-400ミサイル防空システムの作戦能力は極めて強い

まず「世界最長」の射程。S-400システムは新型の40N6遠距離ミサイルを採用した時、その射程は400kmに達し得、現在地対空ミサイルの射程の極みである。S-400システムが弾道ミサイルを迎撃する最大距離は50〜60kmであり、しかも迎撃率が高く、250km離れた、飛行高度が数十mから成層圏までの目標を撃墜可能で、「スカッド」のたぐいの戦術弾道ミサイルの迎撃は余裕綽々である。次に設計が独特で抗妨害能力が強い。S-400システムの設計は独特で、その火力ユニット(最小作戦範囲)には1両のフェイズドアレイ制御誘導レーダー車と、数両のミサイル発射車が含まれる。それぞれの発射車上には異なる類型、異なる数のミサイルが搭載でき、ミサイル発射車の外形はS-300MPU系列と似ており、配置は極めて柔軟である。同時に目標の捜索と追跡、ミサイルの制御誘導、対電子妨害などの任務が完成できる。S-400システムは同時に多数のミサイルを制御誘導し、多数の目標が攻撃できる。特に強烈な電子妨害環境下での作戦に適する。S-400システム最大の特徴の1つは、低高度、中高度、高高度、近距離、中距離、遠距離の各種ミサイルが発射できることで、これら性能が全く異なるミサイルが相互補完し、多層の防空スクリーンを構成する。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシアのS-400『凱旋』新型ミサイル防空システム」)

S-400ミサイル防空システムの中国軍に対する作用

外国メディアの報道によれば、現在中国大陸の陸上基地移動式ミサイル防空システムである「紅旗-9」とS-300防空システムは、台湾地域の北西部の小さな区域にしかタッチできない。大陸の空中の優勢も決して全面的に台湾空軍を圧倒しているわけではない。報道は、中国大陸が射程400kmに達するロシア製S-400地対空ミサイルシステムの購入を計画していることにかんがみれば、大陸ミサイル防御戦力が初めて台湾を全面的にカバーすることになる、とする。かつてある軍事専門家は、もし解放軍がS-400ミサイル防空システムを装備したら、台湾当局は巡航ミサイルの生産量および弾道ミサイルの配備を大幅に増加する、あるいは電子戦能力を向上させることによって対応するしかない、と指摘した。だが客観的に言えば、S-400ミサイル防空システムの主要な優勢はやはり遠距離および高空の目標の打撃方面にあり、これにより敵サイドの早期警戒機システムに対し非常に大きな脅威を構成することにある。敵サイドの早期警戒機が我が方の防衛区域から遠く離れるよう強制し、したがって非常に大きく敵サイドの作戦機の作戦上の実力を弱めるのである。これこそがS-400ミサイル防空システムの最大の価値の在処である。さらにある点も過小評価できない。それはもし中国がS-400を導入したら中国軍事工業科研人員がS-400の先進技術を学習、吸収し、甚だしきに至っては改良S-400コピー製造の機会を獲得する、ということである。これは中国が将来より先進的なミサイル防空システムを開発することに対し、非常に大きな助けになる。

S-400ミサイル防空システムを客観的に取り扱うべし

S-400ミサイル防空システムは決して完全無欠ではない

S-400ミサイル防空システムは全空域作戦を実現できるが、異なる空域での作戦という要求を合わせ配慮するのと同時に、必然的にいくつかの性能において妥協がなされ、したがっていくつかの性能の取捨選択と制限がもたらされている。S-400ミサイル防空システムに用いられるミサイルの体積と重量が減少している主要な原因は、使用されている側面ブーストロケット技術であり、これがミサイルのコントロール精度を向上させ、相応に戦闘部の重量も軽減し、このことがミサイルの実際の破壊性能をある程度下降させている。

また、もしS-400ミサイル防空システムが非常に強い作戦能力を持っていても、いかにしてこれを中国軍の現在のデータリンクと完璧にドッキングさせるかもやはり小さからぬ難題である。さらに現在S-400ミサイル防空システムが発射するミサイルは基本的にまだミサイル防空システム自身のレーダーに頼ってナビゲーションを行うしかなく、その他のシステムや早期警戒機を有効に利用してナビゲーションを行うことはできない。このことはこのシステムに、遠距離で低空の目標を攻撃する時に効果を完全に発揮できなくさせる(頑住吉注:地球の丸みの関係で、遠距離で低空の目標は地上のレーダーではキャチしにくく、早期警戒機で補う必要があるという記述は以前にも出てきました。)。

S-400から見るミサイル防空体系の未来の発展の趨勢

世界のミサイル防空システムの発展の歴史を縦覧すると、機動性が高く、射程が長く、精度が高いことがミサイル防空システムの未来の発展の趨勢であると見て取るのは難しくない。この他互換性も非常に重要である。Sー400システムの最大の特徴の1つは互換性が高いことであり、低高度、中高度、高高度、近距離、中距離、遠距離の各種ミサイルが発射できる。こうした性能が全く異なるミサイルは相互補完し、多層の防空スクリーンを構成する。S-400が採用できるミサイルは8種にも達する。互換性が高いことは多種の任務が執行できることを意味し、これは未来のミサイル防空システムの1つの発展の趨勢である。当然ミサイル防空システムと別のシステム、例えば早期警戒機システムに遅れずデータの交換を行わせ、ミサイル防空システムに中、低高度防御および高空打撃方面の能力を最大に発揮させることも、未来のミサイル防空システムの1つの重要な発展の趨勢である。

専門家の評論

アメリカの中国問題専門家イーストン:S-400はアメリカに無人機研究開発の加速を迫る

S-400システムのさらなる一歩の改良と新型防空システムの出現と共に、アメリカは止むを得ずX-47Bなど新型無人攻撃機の研究開発と配備を加速することになる。彼は、S-400など先進防空システムが配備された地域に有人操縦実戦機を派遣するのは非常に危険であり、このため半自主模式下で運行できる無人操縦実戦機を選択し派遣すべきである、と考える。S-400防空ミサイルシステムはロシアの「ダイヤモンド・安泰」防空グループ社によって研究開発、生産され、主に高い効果の保護が最も重要な政治、行政、経済、軍事目標に用いられ、火力および無線電子対抗の条件下で、敵サイドの航空隊、戦略、戦術弾道ミサイルおよび中距離弾道ミサイルの攻撃を防御する。このシステムは400km以内の最大飛行速度毎秒4.8m(頑住吉注:原文ママ)の空中目標および60km以内の非戦略弾道ミサイルの破壊が確保でき、機動目標に対する最大殺傷高度は27km、最小高度は10mである。同時に72の目標の照準、かつそのうち36の目標の攻撃が誘導できる。

台湾の元安全部門メンバー陳文政:S-400は台湾空軍の反抗能力を喪失させることができる

台湾の元安全部門メンバー陳文政は次のように語る。「軍事的に言えば台湾海峡の向こう側にS-300PMU2システムが配備されていることはすでに台湾戦闘機飛行員に非常に大きな圧力を感じさせている。しかも今またより先進的なS-400地対空ミサイルシステムが導入されようとしており、このシステムは遅かれ早かれS-300PMU2の模式で福建省への配備が実施されることになる。これは台湾戦闘機飛行員にとって状況が間もなくさらにまずいものになると言える。」 陳文政は指摘する。「ひとたびS-400システムと、陸上基地、艦上戦闘機が組み合わせられたら、大陸は台湾の『戦闘区域の制空権』の維持保護上、より自信を持ち、このことは台湾空軍のいかなる組織的抵抗も喪失させ、しかもアメリカの介入実施に対する威嚇を実施する。」 彼はさらに、アメリカは今真剣な態度で、台湾が提出するAGM-88高速対輻射ミサイル輸出の要求を改めて評価すべきである、とする。何故なら、F-16戦闘機はこのミサイルを搭載できるからである。

ネット仲間の調査

あなたはS-400ミサイル防空システム導入の、中国に対する最大のメリットは何だと思いますか?

敵サイドの遠距離早期警戒機を攻撃する能力の向上 13.91% 502票

S-400の先進技術を学習する機会の獲得 60.02% 2,167票

S-400をコピー生産する機会の獲得 9.7% 350票

対ミサイル能力の向上 7.95% 287票

ステルス機攻撃能力の向上 5.27% 190票

その他 3.19% 115票

総票数 3,611票

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国軍が装備する紅旗-9ミサイル防空システム」)

結び

S-400ミサイル防空システムの性能は間違いなく非常に優秀である。もしS-400が導入できたら非常に大きく中国軍の防空の実力とミサイル防空システム研究開発の技術が高められることになる。だが我々にとってS-400ミサイル防空システムを客観的に取り扱うことも必須である。結局のところ1つの武器を持つことと、その武器に作戦機能を完全に発揮させる能力を持つことは別のことなのである。


 強い電子妨害下の使用に適し、早期警戒機を破壊する能力が高いミサイルの配備は、アメリカのバックアップ下で中国と衝突した場合の日本にも非常に強く影響するはずです。


















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