トルコの紅旗ー9購入問題その後

 これまで紹介した記事との重複部分が少なく、意外な内容を含む記事があったので2つまとめて紹介します。

http://military.china.com/important/11132797/20131007/18076254.html


トルコの専門家、西側の疑問に反駁 中国の紅旗-9購入の原因を明らかに

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国の紅旗-9はトルコの兵器購入の伝統を打破した」)

【グローバルネット総合報道】 ロシアの「職業人報」10月5日の報道による。原題「ひとたびトルコ・イスラエルが開戦すれば、NATOはトルコの防空システムを遮断する可能性がある」 トルコのビルガイ戦略研究センター主任アッチラ サンダーケラーはインタビューに応じた。

文章は次のように書いている。「トルコは何故、ロシアのS-300あるいはアメリカのパトリオットではなく中国の対空ミサイルシステムを歓迎するのか」の問題につきサンダーケラーは、トルコは中国と協力して「紅旗」-9(輸出型はFD-2000と称する)対空ミサイルシステムを生産する計画であり、このシステムはアメリカの「パトリオット」やロシアのS-300と異なり、一般のレーダーでは識別できないミサイルが発見、破壊できる、とした。

報道は、いくつかの原因がアンカラによる中国の商品供給者選択を促したのだ、とする。サンダーケラーは、非常に大きな程度上これは政治的決定だ、と指摘する。以前トルコがアメリカの類似のシステムを購入しようと企図したこともあるが、この試みは成功しなかった。アメリカ議会が販売に反対したのである。また、トルコはかつてアメリカの「プレデター」無人偵察機の購入を望んだが、同様にアメリカ議会の批准は得られなかった。こうなれば、トルコが今回その他の国の輸出商を選択したのもまさに理の当然という事情である。今はアメリカ(議会)の批准を待たなくてよくなっているのである。

サンダーケラーはさらに、経済方面の原因には2つがある、とする。第1に、「紅旗」-9は競争入札に参加したその他の防空システムに比べずっと安い。第2に、中国が提出する生産方式はトルコにとって有利である。40%の製品がトルコ国内で生産され、トルコの会社がこれに参与することになる。中国人は技術移転に同意しているため、トルコの会社は衛星発射システム領域で経験を積み、したがってトルコの他国に対する依存の程度を下げることができる(頑住吉注:なぜ突然衛星発射なんていうフレーズが出てくるのか分かりませんが、北斗システムによる誘導の技術移転もするということですかね)。

記者が中国の対空ミサイルシステムはトルコの国家の安全の必要性を完全に満足させ得るのか否かと質問した時、サンダーケラーは反駁し、中国のシステムの選択はまさにこの方面の需要を満足させられるのだ、と語った。もしNATOのシステムを選択したら、トルコは何らかの制限を受ける可能性があり、特にトルコとイスラエルの関係が悪化した状況下ではそうである。ひとたびトルコとイスラエルに衝突が発生したら、NATOは遠隔操作という手段でトルコが自らの対空ミサイルシステムを始動するのを阻止することができる。このため、アンカラは自らの安全に関する考慮に基づいて使用でき、いかなる他者にも制約を受けることのない防空システムを持つことを希望しているのである。

報道は、西側はアンカラの決定に対し非常に不満であるとする。このことはトルコに面倒事をもたらすことになる。サンダーケラーは、面倒事はすぐに出現するかもしれない、と語る。アメリカとNATOは、「紅旗」-9とNATOの集団防御システムには互換性がないという考えを堅持している。だが問題の解決は難しくなく、必要なソフトウェア、プログラムを開発することはできるのである。もう1つの問題は、中国の輸出商がイランと北朝鮮との協力ゆえにアメリカの制裁を受けていることだ。だがこの制裁は一方的な性質を持ち、国際法の中にはトルコがこの中国の会社が生産する防空システムの購入を禁止するいかなる条項もない。サンダーケラーはさらに、双方は具体的交易を達成する前であり、これはまだ最終決定ではない、と語る。トルコ当局には中国サイドの提案を考え直す可能性がある。

(頑住吉注:以下のページのキャプションは重要性が薄いので省略します。)


 紅旗ー9が「アメリカの『パトリオット』やロシアのS-300と異なり、一般のレーダーでは識別できないミサイルが発見、破壊できる」という記述も気になりますが、根拠その他それ以上詳しい記述が全くないので何とも判断できません。それよりトルコとイスラエルが戦争になった時、アメリカやNATOがNATO加盟国であるトルコの防空システムを止める可能性がある、との指摘が衝撃的です。本当にそんなことをしたら軍事同盟を結んでも信用できない相手とみなされ、例えば日本、韓国、フィリピンなどの国内の世論にもアメリカにとって不都合な影響を与えるはずですが、もしトルコに過去最新兵器を売りたがらなかった理由がイスラエルに対する配慮だったとしたら、トルコが不安を感じるのも当然でしょう。また過去には売りたがらなかったのに自分と対立する相手から類似製品を買おうとすると恫喝してくるアメリカに対し反発するのも無理からぬところでしょう。

http://military.china.com/important/11132797/20131006/18076011.html


ロシアメディア:もしトルコの紅旗-9の購入が成立しなかったらアスター30を優先的に考慮することになる

【グローバルネット総合報道】 ロシアの「リンク」ネット10月4日の報道によれば、トルコ国防工業局の局長ムーラド バヤルは最近メディアのインタビューを受けた時、トルコが遠距離防空および対ミサイル防御システムに関する入札募集の中で中国の生産するHQ-9システムを選択したのは、多方面の原因に基づいてのことだ、とした。彼は説明し、そのうち最も重要な要素は中国精密機械輸出入総会社のつけた値が最低で、12個対空ミサイル大隊への装備に用いるHQ-9システムの合計の価格はたった34.4億アメリカドルだったのだ、と語った。

またムーラド バヤルはさらに、中国サイドの提案によれば、HQ-9システムが今後トルコ国内で生産される時の国産化率は50%を超えることになる、と明らかにする。中国サイドは同時に、最短時間内に生産を開始し、トルコにHQ-9システムを引き渡すことを承諾している。ムーラド バヤルは、HQ-9システムをトルコの防空体系と整合する、およびNATOの防空システムと組み合わせての使用を行う過程で、いかなる難題も出現することはない、と考えている。

ムーラド バヤルは次のように指摘する。トルコの防空体系は完全にNATO基準に照らして建立され、かつNATO防空システムと緊密に一体化されている。中国の防空システムは今後トルコの防空体系にドッキングされ、かつトルコの防空システムを通じてNATOの防空システムと相互に組み合わされ、あらゆる必要とされる要求を満足させることができる。この過程でアメリカやNATOサイドが心配する機密情報の漏洩という状況が出現することはない。

トルコ国防工業局の局長は同時に説明し、ロシア国防製品輸出社のS-300システムも今回の遠距離防空システムの入札募集活動に参加したが、これに関してはトルコサイドが今年9月26日に最終的な入札の勝利者を宣言する前にすでにアウトになっていた、と語る。だが、バヤルはS-300システムが敗北した具体的原因については決して説明しなかった。あるトルコ国防工業体系の消息筋の人物は、ロシア国防製品輸出社が負けた原因は主に2点ある、と明らかにした。1つはロシアサイドのつけた値が高すぎた(45億アメリカドル)こと、2つ目はロシアサイドが実質的な投資と補償性の提案(例えば生産サイドと合同で研究開発を行うとの提案、およびトルコ経済に対する投資を行うなど)を提出していないことことである。

中国、ロシア企業の他に、アメリカのRaytheon社とロッキード・マーティン社からなる連合財団およびヨーロッパのEurosam社もトルコの入札募集に参加した。彼らがトルコサイドにセールスした製品はそれぞれ「パトリオット」PAC-3システムと「アスター-30」システムである。バヤルは、もし今後中国精密機械輸出入総会社と最終的な契約の協議が達成できなかったら、トルコ政府はまず「アスターー30」の購入を考慮し、その次がやっとアメリカの「パトリオット」システムだ、とした。

この前、アメリカとNATOの指導者はいずれもトルコが中国の生産する防空システムを選択したことに対し不満を表明した。彼らは、中国のHQ-9システムはNATO基準の防空体系および統一的なNATO空中監視コントロールシステムとドッキングできないだけでなく、その生産商はさらにイラン、シリア、北朝鮮向けに武器を提供したためにアメリカサイドの制裁に遭っている、と考えている。(北斗)


 ロシアが最終段階の前に失格し、紅旗ー9がダメになった場合も考慮されないのは経済的な問題だけなのか、シリア問題をめぐるロシアとの関係悪化と関係があるのかは分かりませんし、パトリオットよりアスターを優先するのが性能や経済面の理由からだけなのか、アメリカに対する反発が影響しているのかも分かりません。「機密情報の漏洩という状況が出現することはない」にはやはり根拠が全くなく、これでは不安はなくなりません。
















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