ワリヤーグがアメリカ空母に勝つためには‥‥

 中国は空母に関し経験不足であり全くアメリカの脅威ではない、と主張するページがあり、またワリヤーグには無人機とヘリコプターをメインに搭載しろ、と主張するページもありましたが、オーソドックスな装備のワリヤーグでアメリカ空母に勝つにはこうするべきだ、と主張するこんなページもありました。

http://military.china.com/critical3/27/20120621/17274199.html


ワリヤーグ号空母がアメリカ空母に対応するための三原則

ワリヤーグ号空母は旧ソ連解体時にまだ未完成だった半完成品の艦である。1998年にマカオの某会社によってオークションで獲得され、転売を経て中国国防部門のために獲得され、大連船舶工場で大規模な修復と改造を経た。最近面目を一新し、何度もの海洋試験を経て、近い時期に中国海軍艦船の序列に正式に加えられることが有望である。

ワリヤーグ号空母自体は1980年代に建造されたもので、多くの性能はアメリカ空母との隔たりが非常に大きい。例えば動力装置、航行継続自給能力、搭載機の数量や種類、飛行機の発艦方式等々の方面で、ワリヤーグ号空母とアメリカスーパー空母との距離は甚だ遠く、両者は同じレベルになく、直接的に対立する構図を形成することは難しい。

通常の認識に従えば、ワリヤーグ号空母はアメリカ空母を制約するには不足で、ワリヤーグ号は完全にアメリカ空母の後塵を拝し、アメリカ空母との対戦で勝算は皆無で、やられ役でしかない。このような認識に道理がないわけではないが、全てではない。もしワリヤーグ号空母とアメリカ空母が一騎打ちすれば、ワリヤーグ号空母の艦載機がまだ相手を攻撃する距離に入らないうちに、ワリヤーグ号空母は先に相手型空母の艦載機によってやられてしまう。だが軍事的対抗は往々にして1対1ではない。硬をもって硬に抗する、鋼をもって鋼に抗する一騎打ちではない。軍事闘争は戦術が問題であり、戦略が問題なのである。ワリヤーグ号空母がもし戦術上適切で、戦略上も適切なら、アメリカ空母に直面しても必ずしも勝算皆無ではない。ワリヤーグ号空母が2つの戦術的原則、1つの戦略的原則を堅持しさえすれば、ワリヤーグ号がアメリカ空母にやすやすと敗れることはないし、アメリカ空母を撃沈することも可能である。

1つ目の戦術的原則は本土作戦の原則である。

ワリヤーグ号空母の艦載機の発艦方式は滑走式発艦であるが、空母の発艦用甲板の長さが非常に短いため、作戦機の理論上の全滑走による加速を満足させられない。このため飛行機の発艦重量をあまり大きくはできないという要求があり、飛行機は理論上の全重量積載で発艦することはできない。これはワリヤーグ上で発艦する作戦機の弾薬搭載量減少を意味する。燃料搭載量も制限を受け、戦闘機は全性能を発揮して全半径作戦を行うことはできない。大型機、例えば早期警戒機や給油機は搭載できない。

ワリヤーグ号空母の搭載する機材の欠陥および艦載機の性能上の欠陥がもし埋め合わせられなければ、アメリカ空母との対戦時、必ず完全な劣勢に立ち、必ず敗れるのは疑いない。解決方法は本土に頼るしかない。本土に近い海域で作戦すれば、ワリヤーグのアメリカ空母に対する作戦範囲は我が本土1,000kmの距離内にコントロールされるはずである。これは沿岸基地航空兵のコントロール能力の範囲である。1,000km以内では、本土から発進する早期警戒機や空中給油機が支援を行い、ワリヤーグ号艦隊や艦載機のために空中早期警戒や指揮を提供する。ワリヤーグ艦載機のために空中給油し、作戦機の攻撃距離を延長する。本土から発進した戦闘機が空母の両翼および後方の安全を保障し、かつ随時空母艦載機の損失を補充する。

本土の支えがあれば、最大限にワリヤーグの作戦能力を高めることができ、最大限にワリヤーグが相手方に破壊されないことを保証する。

2つ目の戦術原則は潜水艦との組み合わせの原則である。

ワリヤーグ艦上の艦載機の性能は制限を受けるため、ワリヤーグ艦上の作戦機は重い対艦ミサイルを搭載してアメリカサイドの艦船へ長距離攻撃に行きにくい。このためワリヤーグ艦上の艦載機は対艦攻撃をメインにするべきではなく、防御作戦をメインにし、戦域の味方作戦集団のために防空、対潜の保障を提供すべきである。ワリヤーグ上の艦載機の主要な作用は3つある。第1に、相手方の対潜機や対潜ヘリを撃墜し、味方の攻撃型原子力潜水艦に空中の脅威からの安全を保障する。第2に、敵サイドの攻撃機の迎撃、撃墜である。敵サイドの攻撃機を迎撃して空母の攻撃距離以遠に追い出す。第3に相手方の戦闘機と決闘し、味方の対潜機の敵潜水艦制圧を援護する。

ワリヤーグ号空母とアメリカ空母が対戦するのと同時に、強大な、味方空母艦隊から独立した味方攻撃型原子力潜水艦隊の存在が必須である。味方空母艦隊と潜水艦隊は大範囲で協力し、潜水艦が敵艦隊殲滅の主要手段となり、空母艦載機は潜水艦作戦の補助とする。アメリカ空母艦隊との決戦は、潜水艦戦闘群が始めるべきである。原子力潜水艦隊は待ち伏せ作戦をメインに、あらかじめ選定した待ち伏せ陣地に入り、もって以逸待労(敵の勢いが盛んな時はあえて攻めずに陣地を堅守し、敵を消耗、疲労させ、最も有利な機に一挙に敵を破る、という意味だそうです)、守株待兎(頑住吉注:棚から牡丹餅を期待する、といった意味だそうです)とし、海底の地形と水流の条件を利用して一切のソナー特性および物理特性を消し、アメリカ空母が自ら罠にかかるのを待つのである。

ワリヤーグ号空母艦隊は敵を誘い出す餌に充当することができる。敵の対潜機が味方潜水艦を妨害するのを防止するのと同時に、徐々にアメリカ空母を潜水艦の待ち伏せ場所に誘い入れ、潜水艦が攻撃開始するための有利な戦機を作り出すのである。

本土に近い海域で潜水艦と組み合わせてアメリカ空母に対応すれば、アメリカ空母の勝算はさほど大きくない。本土近くではワリヤーグ空母は本土の航空兵の支援が受けられ、欠陥が最大限に打ち消され、同時にいくつかの方面ではアメリカ空母に対する優勢も生み出される。もしアメリカが標準的な艦載機の組み合わせで戦うなら、その艦載制空戦闘機は20機だけである。戦闘攻撃機を加算しても40機しか空戦に用いる飛行機はなく、このうち艦載戦闘攻撃機の空戦性能は優越したものではない。ワリヤーグ号の艦載機は戦闘機がメインであり、搭載可能なのは60機にも達し、かつ全てが制空戦闘機である。アメリカ空母機群とのその場の制空権争奪でしてやられることはない。しかも本土の戦闘機の補充と支援を受けることもできるのである。60機という陣容の制空戦闘機群をもって、同時に味方潜水艦隊の空中の脅威からの安全と、味方の対潜作戦の空中の脅威からの安全を保障する。艦隊の空中の脅威からの安全には充分な条件がある。相手方が味方潜水艦を制圧する条件を失ってしまいさえすれば、味方の潜水艦隊は海中で相手方空母戦闘群に対し致命的打撃を与えることができるのである。

2つの戦術的原則以外にワリヤーグ空母艦隊はさらにある戦略的原則に従うべきである。それは複数のアメリカ空母と対戦しないことだ。ワリヤーグ号空母は2隻およびそれ以上のアメリカ空母との対戦は避けるべきである。万止むを得ずでなければアメリカの複数の空母と四つに組まないことである。海戦時、もし敵の複数の空母が相手だったらワリヤーグはできる限り早く本土に近づき、原子力潜水艦で後方を断つことによって相手型空母戦闘群の素早い追尾を阻止し、空母戦闘機が潜水艦の順次の撤退を保障し、本土の戦闘機、攻撃機、爆撃機が敵艦隊を迎撃するのである。


 ここまで来るとワリヤーグで勝ったことにはならんだろうと思うんですが、もちろん「ワリヤーグで勝つ」必然性はないわけで、どんな手段でも勝てばよく、その中でワリヤーグが役に立てばそれでいいわけです。

 この人は戦いの場所を自由に選べる、または選ぶ必要があるように論じていますが、近い将来アメリカと中国が軍事的に衝突するとしたら、アメリカの同盟国と中国が同時に領有権を主張している島を中国が占領しようとするケースしか考えにくく、当然その近辺で戦いが起こることになるはずです。そして最初から戦いの想定される場所は本土から1,000kmは離れておらず、意識して「本土から1,000km以内で戦う」必要は最初からないのではないでしょうか。

 この論は、こうすれば勝てないとも限らない、といったもので、しかも戦闘機や潜水艦の性能が対等であることを前提にしているかのようです。しかし少なくとも現時点でそれらや周辺システムが対等であるとは私には思えません。

http://tuku.military.china.com/military/html/2012-06-23/202295_2165246.htm

 これも画像の右でクリックすると次の画像が見られ、左でクリックすると戻るものです。5枚目の画像で、艦載機のエンジン後方の噴流を遮断する甲板の板が立っているのが確認できます。









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