ザウエル&ゾーン M1913

 「Waffen Revue」4号に、「比較的有名な割に詳しい情報が少ない銃」の一つであるザウエル&ゾーンM1913に関する記事が掲載されていました。


セルフローディングピストル 
ザウエル&ゾーン モデル1913

全般

 第一次大戦の直前、Suhl所在のJ.P.ザウエル&ゾーン社はあるセルフローディングピストルをモデル1913としてマーケットに持ち込んだ。この銃は急速に大きな人気を博した。この銃は例えば特にドイツ税関や警察部隊において公用銃として採用され、改良モデル1930の出現後もなお何年もの間販売されていた。

 このピストルは非常に好ましいフォームを持ち、エッジやシャープな角はなく、非常にハンディであり、作りがきれいで、射撃が比較的正確だった。良好に維持された銃は今日でもなお、多くのモダンなピストルと命中正確性に関し遠慮なく比較して見ることができる。

 だがトリガー構造の独自性のため、最初からいくらか高いトリガー抵抗が多くの銃で磨滅によってひどく高まっている可能性がある。しかしこれはいくらかの熟練によるファイアリングピンの事後加工を通じて簡単に改善できる。

 この銃は主に口径7.65mmで供給され、また1920年代の初め頃には少数が口径6.35mmでもつくられた。これは完全に等しい構造だったがいくらか寸法が小さかった。

 1930年代の終わり頃、7.65mmピストルの価格は35ライヒスマルクで、一方より小さい6.35mmは22.50ライヒスマルクだった。約30%という価格差は驚くほどだ。小型モデルの加工コストは実際上ほとんど同じだったに違いないからである。ダブルアクショントリガーを持つザウエル&ゾーン モデル38ピストルは同時期に40ライヒスマルクだった。これも驚きの価格だ!

機能の解説

 このモデル1913ピストルはロック機構のないシリンダー閉鎖機構(頑住吉注:おおよそ円筒形をした閉鎖機構のことで、ボルトアクションライフルの閉鎖機構が代表的です)を持つ。このシリンダー閉鎖機構は同時にコッキングノブとしても役立つ閉鎖機構ナットによって閉鎖機構ケース(スライド)と結合されている。滑り止めが彫られた閉鎖機構ナットは両方のフラットにされたサイドにフライス加工された垂直のグリップミゾを持ち、これは口径6.35mm型では閉鎖機構ケースの後部にも続いている。

 ファイアリングピンは閉鎖機構部品内を滑り(ハンマーは持たないので)、約19mmとかなり大きなストローク後退する。

 セーフティとしては左手の親指で操作するレバーが役立つ(頑住吉注:こう書いてあるんですが右手の親指でも充分操作できるはずです)。この銃はコックされた状態でのみセーフティがかけられる。セーフティレバーは軸の突起部でトリガーをブロックする。供給された銃の一部ではさらにスプリングのテンションがかけられた節という形でのいわゆる追加セーフティが組み込まれていた。これはセーフティレバーが下に動かされている際トリガーバーの下に位置し、これによりトリガーバーが衝突や落下によってトリガーから滑って逸れ、発射が起こるという可能性はなかった(図4を見よ)。

 さらに最初に製造されたピストルはセミオートマチックのマガジンセーフティを持つ。これはコックした銃からマガジンを引き抜いた際に作動するが、マガジン挿入によって自動的に解除されるのではなく、手で解除しなくてはならない。この目的でマガジンセーフティがかかった際セーフティレバー左下に押しボタンが突き出る。使用者は銃がマガジン交換の後まだセーフティ状態であることに注意深くすべきである(断面図である図5と、1912年7月4日におけるパテントナンバー259618のための図も参照せよ)。このボタンの押し込みの後になって初めて銃は再び発射準備状態となる。しかしこのセーフティはその後、その面倒さと誤操作傾向によって放棄されたらしい。

 ここではこのパテント書類の文面からパテント請求(要約)のみ引用しよう。

自動火器のためのマガジンに影響されるセーフティであって、マガジンとトリガーの間に、1本のスプリング(5)がはさまり両方を押しているレバー(3、4)が配置され、これがマガジンを引き抜いた際に第2のスプリング(6)の圧力下で同じ方向に動き、この際レバー(4)によってトリガー(1)がロックされ、一方同時にレバー(4)から解放された遮断具(7)がこのレバーを支え、この結果レバー(3、4)がマガジンの挿入によってもセーフティが維持された状態でトリガーを遮断し、遮断具(7)排除の後になって初めて、トリガーを放した状態においてその最初の位置に復帰する、ことによって特徴付けられる。



(頑住吉注:分かりにくいので補足します。



レバー4の赤部分がトリガーの青部分の段差に「つっかえ棒」をしてトリガーを引けなくするわけです。図が小さくて分かりにくいですが、図1、図2は「つっかえ棒」された状態で、図3はレバー4の先端が下降して解除された状態です。説明がありませんが7の遮断具(クロスボルト)にはスプリングによって奥方向に動こうとするテンションがかけられているはずです。図3の状態からマガジンを抜くとレバー3、4が反時計方向に回転して図1のようにトリガーに「つっかえ棒」をすると同時にクロスボルトが奥方向にスライドしてレバー4の下降を妨げます。もしレバー3、4が一体ならばマガジンが入れられなくなってしまいますが、両者は別パーツでスプリングのテンションがかけられているので、マガジンを入れると圧縮されて図2のようになります。ここで手動によってクロスボルトを手前に押してやると図3の状態に戻るというわけです。突然生命の危機にさらされた高度のストレス下ではマガジン交換後に発射できず、パニックになる人が出るのは容易に想像できます。もしレバー3、4が一体でクロスボルトがなければ九四式のマガジンセーフティに近いものとなりますが、何故わざわざこんな面倒な構造にしたのか首を傾げます。マガジン交換直後に誤ってトリガーを引き、暴発させるおそれがない、ということでしょうか)

 銃のコックされた状態はトリガーで分かる。トリガーは装填されておらずまたコックされていない銃ではグリップフレーム内にほとんど消え、動かせない。これに対しコックされた銃ではトリガーは約5mmトリガーガード内スペースに出てくる。だがコックされた銃が装填もされているかどうかは外部から確認できない。このトリガー構造は1910年1月23日におけるドイツパテント、ナンバー229594の対象であり、このパテント請求の文面もここで同様に引用する。

手で持って撃つ自動火器のためのトリガー設備であり、この場合トリガーと打撃部品の間の唯一の結合節としてトリガーバーだけが役立ち、このトリガーバー(a)が発火機構のコックされた状態でトリガーがトリガーガード内に出てきて、そしてこれにより銃がコックされていると認識させるような方法でトリガーにあてがわれることによって特徴付けられる。



 つまりトリガー設備はトリガーとトリガーバーのみからなっており、この両部品が同時にディスコネクトの機能も引き受けるよう作られている。

 スライドは滑り止めの彫られた閉鎖機構ナットを持って後方に引かれる。するとファイアリングピンのノーズはトリガーバーの後ろに直接あてがわれる。スライドの前進時ファイアリングピンスプリングは圧縮され、そしてこの際トリガーはトリガーバーによって前の位置に押される。つまりファイアリングピンスプリングは銃がコックされている際には同時にトリガースプリングとしても作用する。この状態でトリガーが引かれると、ファイアリングピンは約1.5mmさらにコックされ(これがいくらか高いトリガー抵抗の理由である)、トリガーバーはトリガーバーの斜めに配置された縦方向の穴内の小さなピンによって誘導されながら後方、そして下方に動き、ファイアリングピンを解放する。同時にトリガーバーの前端はトリガーの段差部から滑って逸れ、望まれないフルオート射撃を妨げるためのディスコネクトが保証される(図4を見よ)。

(頑住吉注:これも分かりにくいので補足します。図2はコックされた状態で、トリガーバーの後端はファイアリングピンを後方で支え、前端は図で分かりにくいですがトリガー後方の削り加工部内のちょっとした段差にひっかかっています。ここからトリガーを引くとトリガーバーは後退するとともにピンのはまった斜めのスリットによって後端が下降させられ、ファイアリングピンをレットオフするわけです。この瞬間の図もあると分かりやすかったんですが、図1では大きな負荷がなくなったトリガーバーがdの板バネの力で時計方向に回転させられ、前端が段差から外れて、結果トリガーバーはすでに復帰してしまっています。図2の状態ではトリガーバー前端はちょっとした段差にひっかかっているだけなので強い衝撃によって外れ、ファイアリングピンが前進、暴発する恐れがあるので図4の21、追加セーフティが備えられたというわけです。しかし「一部の銃」とされているので実際上問題なかったのかも知れません)



図4 トリガーバー固定用の追加セーフティを持つ、装填されコックされたピストル。1=本体ケース、3=閉鎖機構部品、4=閉鎖機構ケース、5=閉鎖機構ナット、6=トリガーバー、7=トリガー、8=回転セーフティ、9=阻止レバー、10=マガジン、11=弾薬、12=ファイアリングピン、13=マガジンキャッチ、16=閉鎖機構スプリング、17=ファイアリングピンスプリング、18=マガジンスプリング、19=トリガーバーおよびマガジンキャッチスプリング、20=リアサイトレバー、21=追加セーフティ、27=マガジンフォーロワ

 トリガーの段差部からトリガーバーが滑って逸れるのは、グリップ後部に内蔵された板バネの作用による。この板バネは下端でマガジンキャッチを動かす。一方上部はトリガーバーの突出部を圧し、トリガーバーの前部が上昇するように傾斜させる。この構造により銃がコックされていない場合トリガーは後方に留まる。

 ほぼ全てのセルフローディングピストルに課される、銃が完全に閉鎖された状態でのみトリガーが引けるという課題は次のように達成される。閉鎖機構シリンダー下部にフライス削り加工部があり、ここにトリガーバーのくちばし状部分(頑住吉注:後上部のファイアリングピンを保持する部分)がファイアリングピンスプリングの圧力によって入り込み、その前端でトリガーの段差部を支える(写真12を見よ)。



図12 ファイアリングピンを伴う閉鎖機構シリンダー。上は口径7.65mm、下は6.35mm。Bがトリガーバー用の削り加工部(頑住吉注:ほとんど形は同じなので6.35mmは省略します)。

 閉鎖機構の切り欠きがトリガーバーの上に来ない限りトリガーバーはいくらか下に押され、そしてこれによりトリガーとかみ合わない。ただしトリガーバーがファイアリングピンを放すことはない。

 最終の発射後閉鎖機構はオープンのまま留まらず、再び閉鎖する。これは例えば優れたモーゼルピストルモデル1910のようなわずかな例外はあれ、当時のほとんど全てのポケットピストルにおいて同様だった。

 完璧な弾薬供給を保証し、また弾薬がチャンバー後方で上昇し過ぎるのを確実性を持って妨げるため、いわゆる誘導小棒の左ににレールが、そしてバレル上部に誘導フォークがフライス加工され、これにより弾薬は完璧に供給される(図6、8を見よ)。



図6 7.65mm弾薬の誘導(頑住吉注:エジェクターが削られて弾薬が誘導される形になっていること、チャンバー後方に弾薬の過度の上昇を防ぐ延長部があることが分かります。ちなみにエジェクターの後方にあるのはファイアリングピンを保持するトリガーバーの後端で、かなり幅広く、図12において削り加工部が真上に来ないと上昇できないようになっているのが分かります)

 ピストルのクリーニングのため、あるいはシングルローダーとしての使用の際も、スライドは後部位置で阻止レバーによって固定できる。この阻止レバーはトリガーガード内上部に位置し、指で持ち上げる必要がある(図4を見よ)。

 トリガーを引いた際このレバーは再び外れ、スライドは急速に前進する(ただしスライドに手でブレーキをかけた方が良い)。このレバーのトリガーとの関係により、スライドが射撃時に意図せず後部位置で阻止レバーによって引っ掛けられるということは起こらない。

このピストルの分解


 マガジンを取り除いた後、スライド(閉鎖機構ケース)を引き、阻止レバーの助けによって後部位置に固定する。マガジンはただ安全上の理由によって取り出すべきなのであって分解自体には影響を持たない。全く同様にピストルがあらかじめコックされているか否かもどうでも良い。分解のためコックしなければならないセルフローディングピストルの場合チャンバー内に忘れられた弾薬は自動的に投げ出される。だが分解の、全てのピストルを入念にアンロードすることが常に推奨される。

 ここで親指を使って弾性を持つサイト(サイトレバー)を押し、閉鎖機構ナットを回して抜く。ファイアリングピンスプリングはカップ状の閉鎖機構ナット内にリベット止めされた誘導ピンにひっかかっている。閉鎖機構シリンダーとファイアリングピンは簡単に後方に取り出せる。

 旧型では閉鎖機構ナットはサイトレバーによって緩み止めされているのではなく、閉鎖機構シリンダー内に収納され、軸線方向にスプリングのテンションがかかった別パーツのピンによって緩み止めされている。このピンは閉鎖機構ナットを貫通して突き出、細い物体(クリーニングロッド)によって押し込む必要がある。この場合リアサイトも閉鎖機構ナットにフライス加工されている。ここで閉鎖機構ケースを保持し、トリガーを引き(頑住吉注:阻止レバーを解除するため)、閉鎖機構ケースをゆっくりと前方に滑らせ、最終的に前方に外す。閉鎖機構スプリングを外すが、これはスプリングをその巻き方向と逆方向にいくらかひねると最も簡単にできる。

 これでピストルはその主要部分に分解される。さらなる分解は非常にひどい汚れの際、例えばコレクション品の入手直後(!)にのみ行うべきである。

 グリップパネルの取り外しは保持板がまだリベット止めされている時はたいていの場合固定ネジを約90度ひねることで充分である(頑住吉注:いまいち意味不明ですが、後の型では普通のネジ止めになっているということではないでしょうか。少なくとも改良型のM1930ではそうなっています)。



図11 その主要部分に分解されたピストル

 セーフティレバーを取り外せるようにするためには、セーフティレバーを完全に下に回す必要がある。ただしセーフティは発火機構がコックされている場合のみ動かすことができるので、突き出ているトリガーバーの後部を上に押さなければならない。これによりトリガーは前方に動く。これでセーフティレバーを左に引き抜くことができる。

 他の全ての部品は圧入された円筒形のピンによって保持されている。このピンは必要な場合叩き出さねばならない。組み立て時にこれらのピンを取り違えないため(取り違えは完璧なフィットを損なう可能性がある)、それぞれの正確な長さあるいは特別な目印を記録しておくのが目的にかなっている。こうすればピンを事後に再び叩き出す必要がない。ちなみにこれは小さな押しバネの場合も基本的に同じことがあてはまる。小さな押しバネは多くのピストルモデルにおいて互いに些細な違いしかないものである。

このピストルの組み立て

 必要な場合ピンによって保持される部品群を分解の逆の順番で再び組み込んだ後、まず閉鎖機構スプリングをバレルにかぶせ、閉鎖機構ケースをそのレール上にスライドさせてかぶせる。その際スプリングは圧縮される。閉鎖機構ケースを阻止レバーによって後部位置で固定する。次にファイアリングピンが入った閉鎖機構シリンダーをリング状隆起部(頑住吉注:図12左端部のこと)が接するまで閉鎖機構ケースに挿入する。

 次にファイアリングピンスプリングが付属する閉鎖機構ナットを閉鎖機構ケースにサイトレバー直前までねじ込む。ねじ込みの最後にサイトレバーを内側に押しこみ、サイトレバーが聞こえるほどの音を立ててカップ状の閉鎖機構ナット内にロックされるまで閉鎖機構ナットを完全にねじ込む。閉鎖機構ナットをまず完全にねじ込み、その後半回転戻し、その後になって初めてサイトレバーがそのために加工されている閉鎖機構ナット内のノッチに入り、閉鎖機構ナットがロックされるようにしても良い。閉鎖機構ナットの最終位置は可能な最大のねじ込みのぎりぎり手前であり、つまり固くねじ込まれるわけではない。

 セーフティレバーを外した場合、セーフティは左のグリップパネルセット前に、下に回したポジションで挿入する。セーフティレバーはレストスプリングを持たず、それ自体にいくらか弾性を持つので、回転を可能にするには軸の端部を押し、端部上で軸を位置させ、そしてその後そのノーマル位置にもたらすことができる(頑住吉注:意味不明です)。

 つまり組み立て全体は非常に簡単であり、問題はない。

仕上げ、刻印、そして主なデータ

 このザウエル&ゾーンピストルは例外なくきれいな作りで、個々の部品は次のような表面処理になっている。

 ねじ込みのバレル、トリガーバー、ファイアリングピン、誘導小棒、マガジンフォーロワは磨き仕上げ。

 閉鎖機構シリンダーはグレー(硬化処理)で滑り面は磨き仕上げ。

 閉鎖機構スプリング、ファイアリングピンスプリング、マガジンスプリング、グリップパネル固定ネジは黄色に焼き戻されている。

 サイトレバー、セーフティレバー、閉鎖機構ケースの阻止レバー、円筒形のピン群は青色に焼き戻されている。

 残り全てはブルーイングされている。グリップパネルは通常黒色のハードラバーまたはプラスチック製である。

 閉鎖機構ケースレール上の刻印は次の通りである。

「J.P.SAUER & SOHN. SUHL.」これに会社のマーク(楕円形の中にライフルを持ったハンターが立っている)が付属している。閉鎖機構ケース左サイドには「PATENT」、右には口径の表示刻印がある。

 製造ナンバーはフレーム上部右面または左面に刻印されている。試射マークは閉鎖機構ナット後面およびフレーム右面上部トリガー後方に刻印されている。

モデル1913ピストルの主要な寸法

口径 7.65mm 6.35mm
銃身長 78mm 65mm
ライフリングの数
ライフリングのピッチ(右回り) 360mmで一回転 *1、2 220mmで一回転 *2
全長 144mm 125mm
全高 98mm 90mm
全幅 28mm 24mm
マガジンキャパシティ 7発 7発
空マガジンの重量 約530g 約400g
フル装填したマガジンの重量 約585g 約440g
弾丸の速度 約270m/s *2 約200m/s
上下方向の散布界:20m 95mm *2
同30m 135mm *2
同40m 180mm *2
左右方向の散布界:20m 80mm *2
同30m 125mm *2
同40m 170mm *2

*1:この銃に関するある古い記述(1913年のもの)ではライフリングピッチが420mmとされている。
*2:取扱説明書による


 7.65mm弾薬仕様のピストルは前述のように非常に人気があった。姉妹モデルである6.35mm弾薬仕様は本来この弾薬用にはいくらか大きすぎ、このためより少なくしか引き合いがなかった。しかし1920年代の半ばに多数の6.35mm口径の銃が小さな寸法で(いわゆるベストポケットモデル)マーケットに登場した。このため6.35mm弾薬仕様のモデル1913は、ザウエル&ゾーン「小型モデル」WTM(頑住吉注:ドイツ語のベストポケットピストルの略)に取って代わられた。


 この銃および改良型のM1930に関してはこんなページがありました。

http://www.technika.nu/modules/tinycontent0/index.php?id=116

http://gunsite.narod.ru/sauer_1913.htm

http://www.littlegun.be/arme%20allemande/a%20sauer%20and%20sohn%20gb.htm

http://www.mek-schuetzen.de/Blueprints/Sauer_1930_Pistol.gif

http://www.mek-schuetzen.de/Blueprints/sauer_sohn_30.gif

 私はこの記事を読むまでこの銃のトリガーメカを理解していませんでした。以前モデル化を検討したとき、パーツ展開図等を見て一体どのようにディスコネクトが行われるのか分からず首をかしげたのを思い出します。今回この説明でなるほどと思うと同時に、たぶん多くの方が同じことを思ったでしょうがこのメカがグロックのそれと類似していることに驚きました。

 よくグロックは他分野の専門家であって銃にはあまり詳しくない人が設計したために大胆な発想を取り入れた新しいシステムになったと言われますし、私もそう思っていました。しかしトリガーバーがシアを兼ねている点、セミダブルアクションになっている点、コックしない限りトリガーが引っ込んだままになる点など、偶然にしてはあまりに似すぎている気がします。またこの記事で触れられていないのが(当然とは言え)残念ですが、改良型のM1930にはトリガーに付属したセーフティを持つタイプもあったはずです。

 これに比べれば同じオーストリアのセミダブルアクションピストルということで影響が指摘されることがあるロス ステアーの類似性など全く取るに足りないものに過ぎません。果たしてこのザウエル&ゾーンピストルはグロックの設計スタッフに影響を与えたんでしょうか。






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