シュワルツローゼピストル その8

 そして1907年という年がやってきた。この年はシュワルツローゼが特別に精力的になり、セルフローディングピストルのためのニューコンセプトを研究し、そして同じ年内に4つのパテント申請を行った年だった。

 シュワルツローゼは(今回の住所はベルリン)最初のものとして1907年3月24日に彼の「前方にスライドする、固定した包底面にあてがわれたバレルを持つ自動火器」をパテント申請した。これは1908年2月4日にナンバー194921の下に与えられ、次のような内容だった。

「提出された発明はセルフローディング銃器の特別な型に関係している。この場合バレルが銃床体の固定された包底面にあてがわれ、そして発射時にロード運動実行のため前方に急速に動かされる。この銃はこうした方式の既知の銃(頑住吉注:マンリッヒャーなどによるそれまでのブローフォワード銃)と、バレル用閉鎖スプリングの受け入れのためにあるケースがバレルと一体で作られていることによって異なる。これによりまず発射時に前方に動くバレル体の重量がかなり大きくなり、そしてこれによりバレルが前方に急速に飛び出しすぎることに対するより高い安全が図られる。さらにバレルとスプリングケースの統合により1つのマテリアルによる1つだけの加工品で済み、1つの工程が決定的に省かれもする。

 図ではこの銃が表現されている。図1はこの銃の閉鎖状態(バレルが後部位置にある)の側面であり一部断面図となっている。図2はバレルが最前部位置にある同じ図。図3は銃を前から見たところ。図4はバレル・スプリングホルダーを2つの方向から見た図である。

 このピストルの銃床体kは既知の方法で弾薬マガジンとトリガー設備を受け入れ、そして前部にスライドレールを持っている。この内部には2本の誘導ノッチがバレルのこれに合う突起cのためにフライス加工されている。この突起を用いてバレルlは銃床体k上で軸線方向には前後動できるが回転はできないように銃床体と結合されている。バレル壁内には穴ぐり機によってリング状空間rが回転削り加工されており、この空間はバレル軸線に対し同心円状にも別の軸を持っても位置でき、閉鎖スプリングfの受け入れに役立つ。この閉鎖スプリングfは後ろがリング状空間rの終わりの面にあてがわれ、バレルを常に固定された包底面sに向け後方に圧している。前部が銃床体と結合されたバレルホルダーhのリングにあてがわれることによってである。このバレルホルダーは銃の組み立ての際、閉鎖スプリングがリング状空間r内に押し込まれた後にバレルにかぶせられるため、バレルホルダーの下部はバレルのノッチl1内に位置する。バレルホルダーは図1において矢印で示した位置から点線で示した位置まで内側に押し込まれ、スプリングの反対圧力がバレルホルダー下部の後端を内側にティルトさせる。この結果脚部h1はこの位置にある銃床体の上部が開いた収納部k1内に入る。操作者が続いてバレルホルダーhを放すと、スプリングがバレルホルダーをフライス加工された収納部k1内で前方に押し、この結果バレルホルダーは図1および2で描かれた位置に定着する。こうしてバレルホルダーは同時に、バレルのオープン時にノッチl1の後面が脚部h1に当ることによってバレルの前進ストロークを制限もする。

パテント請求
1.固定された包底面にあてがわれ、前方にスライドするバレルを持つ自動火器であり、閉鎖スプリングのの受け入れのために役立つケースがバレルと一体で作られ、あるいはこれと固定して結合されていることによって特徴付けられる。
2.請求1のような自動火器であり、閉鎖スプリング(f)がバレルをジャケット状にとりまいているリング状の空間(バレル体の前部の空洞穴ぐりによって生み出される)内に組み込まれていることによって特徴付けられる。
3.請求1のような自動火器であり、閉鎖スプリング前部が下部の延長部と保持突起を備えたリング(r)にあてがわれていることによって特徴付けられる。このリングは突起h1の銃床体(k)のフライス削り加工位置内へのスプリングの反対圧力によるはめこみの後は固定され、その際同時に下部の延長部の後面がバレルの前進ストロークを制限する。」 以下次号

































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