スイス軍用リボルバー

http://www.ordonnanzrevolver.de/schweiz.shtml


Schweizerischer Revolver M/1878

勤務時期 1878〜1910年頃
口径 10.4mm
発火機構種類および構造 DA/SA Warnant方式
銃身長 150.0mm
メーカー刻印 フレーム左サイドに「Waffenfabrik, Bern」
メーカー スイス連邦の銃器工場ベルン
注釈 約4,600挺のリボルバーが生産された


Revolver M/1872-78

勤務時期 1878〜1910年頃
口径 10.4mm
発火機構種類および構造 DA/SA Lefaucheux-Chaineux方式
銃身長 150.0mm
メーカー刻印 フレーム左サイドに「Pirlot freres A Liege」
メーカー リエージュのPirlot Freres
注釈 1878年、モデル1872はリムファイアからセンターファイアへの改造が命じられた


Revolver M/1882

勤務時期 1882〜1950年頃
口径 7.5mm
発火機構種類および構造 DA/SA Warnant方式のモデファイ
銃身長 115.0mm
メーカー刻印 フレーム左サイドに「WF Bern」
メーカー スイス連邦の銃器工場ベルン
注釈 モデル1878の小型軽量化型。同時に口径縮小トレンドを追ったスイス初のリボルバー。1886年以後、王冠型隆起によってバレル根元が強化された。1887年以後、Abadieシステムのハンマースイッチオフに変更。これによりハンマーはそのポジションに固定される。さらに1887年、フレームのシリンダー上を通るブリッジ部が3mmから4mmに、そして最終的には4.5mmに厚くされた。1893年、このリボルバーはさらに改良され、小さなスチール板が包底面としてインサートされた。
このモデルは合計約37,200挺作られた。


Revolver M/1882 (87) 自転車部隊用
勤務時期 1892〜1950年頃
口径 7.5mm
発火機構種類および構造 DA/SA Warnant方式のモデファイ
銃身長 115.0mm
メーカー刻印 フレーム左サイドに「WF Bern」
メーカー スイス連邦の銃器工場ベルン
注釈 モデル1882と等しいが、グリップ下側に大きな固定されたキャリングリングがある。この極度にレアなリボルバーは337挺のみスイス自転車部隊で使われたのが確認されており、しばしば偽造された。

 スイスのリボルバーにも馴染みがないですね。

 モデル1878に関してはこんなページがあります。

http://www.littlegun.be/arme%20suisse/a%20revolver%201878%20gb.htm

 全体的スタイルからスイスらしさはあまり感じられませんが、グリップの十字マークだけでスイスっぽい雰囲気に感じられるから不思議なもんです。シリンダーストップ用ノッチ内に段差がないことから、分解状態の画像を見るまでもなく二十六年式同様独立したシリンダーストップを持たず、トリガーを引ききった時にトリガーと一体のシリンダーストップがノッチに入ってシリンダーを止める方式であるのが分かります。ただし、このノッチの前方にも小さなノッチがあり、トリガーを引いていない状態ではトリガー上面前方の突起がここに入ってシリンダーが勝手に回転しないように工夫されている点は二十六年式と異なります。シリンダーのさらに前方にはチェッカリングが刻まれていますが、たぶんこれは再装填の際にシリンダーを手で回す時の滑り止めでしょう。前述のようにハンマーダウン時、トリガーの突起がノッチに入ってシリンダーを止めていますが、これは軽いクリックに過ぎず、再装填の際はこれに逆らってシリンダーを回す必要があり、その際通常のリボルバーより力が要るので滑り止めがある、ということだと思われます。前方に垂直の軸があり、フレームが観音開きになる特徴は珍しいと言えば珍しいですが、結構例があります。その中の可動パーツは見たところトリガー、ハンマー、シリンダーハンド、多目的レバー、板バネ(多目的スプリング)の5点だけのようで、極限に近いシンプルさです。二十六年式といくつかの共通点を持つこの銃ですが、ブレイクオープンはせず、SAAのようなソリッドフレームで同じような位置にエジェクターを持っています。ただ、開閉するローディングゲートがないのが気になります。これでは上を向けてゆっくりトリガーを引くと弾薬が脱落する可能性があるはずです。

 モデル1882に関してはこんなページがあります。

http://www.littlegun.be/arme%20suisse/a%20revolver%201882%20gb.htm

 大筋モデル1878と類似した構造のようですが、後方に回転して開くローディングゲートが設けられています。トリガーを引いていない状態ではトリガー前上面の突起がシリンダーのノッチに入って回転を止めるシステムは同じですが、シリンダー前部の滑り止めはフルートで充分だったようで廃止されています。このノッチ部分のシリンダー周囲のブルーイングがはげているのは再装填時に突起にこすられるからでしょう。見たところこの銃は普通のサイドプレート式のようです。ゴツゴツと大きなネジが多数露出し、あまり洗練されたデザインではない感じです。この銃の非常に大きな特徴の1つは7.5mmという小口径であることです。スイス軍は1947年にP210の供給が始まるまで、口径7.5mmのリボルバーおよび口径7.65mmのルガーを使い続けることになります。ドイツが7.65mm仕様のルガーをストッピングパワー不足として却下し、アメリカに至っては9mmすら却下したにもかかわらずです。これはたぶんスイスが1848年に連邦国家として出発して以後戦争らしい戦争を経験していないことによるのではないでしょうか。

 モデル1882の後に、詳しい説明がないものの1882/29というタイプがあり、画像のみ紹介されています。この銃に関してはこんなページがありました。

http://www.littlegun.be/arme%20suisse/a%20revolver%201929%20gb.htm

 ファイアリングピンが別部品になっている、フロントサイトがアリミゾ結合の別部品になっている、グリップ角度が大きく変わっているなどの違いがありますが、大筋はモデル1882に近いようです。アップの画像を見ると、グリップは茶色ながらプラスチック製であるのが分かります。ルガー採用時にはこうしたリボルバー全てと交代する予定でしたが、実際には第二次大戦後まで広く使われました。

 最後にデータのみ出てくる自転車部隊用というのは、レアなバリエーションでありながら差異がわずかであるという理由でフェイクが作られ、珍品としてコレクターに高く売りつけられるというケースが多かったというものらしいです。

http://www.swissrifles.com/pistols/index.html

 このページの上から4番目の銃がそうだと思われます。

 ちなみに「軍事的重要性」のページには、スイス陸軍がリボルバーを採用したのは1872年であるとされており、このページにはモデル1872リボルバーの画像もあります。これを見ると開閉式のローディングゲートがあり、モデル1878でいったん廃止されたものがモデル1882で復活したのだと分かります。またこの銃は二十六年式同様トリガーを引いていない時シリンダーが勝手に回る形式だったようです。当初リムファイアだったこの銃がセンターファイアに改造されたのがモデル1872-78と呼ばれるものであるようです。



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