1.13 セルフローディングピストル発展の環境

 セルフローディングピストルの発展は、リボルバーの発展とは多くの観点において異なっていた。それはリボルバーの場合、本質的には19世紀において機械製造技術、冶金工学、爆発物に関する化学の発達と平行して推移した。回転式銃器の起源は前装銃の時代にある。そのマガジンであるシリンダーは、それぞれの射撃のために強い壁を伴う完全なチャンバーを持っている。当然、堅固でセルフパッキング機能を持つ薬莢を伴うカートリッジ弾薬もリボルバー製造と使用に長所を提供する。唯一、シリンダーマガジンの使用は、使用者が再装填なしで自由に使用できる発射数を制限する。金属弾薬を装填を容易にすることだけに使うのではなく、リボルバーを金属弾薬の性質にできるだけ広く適合させるという一連の試みは、結局失敗した。例えばスペイン人Orbeaはすでに1863年にあるリボルバーを作っていた。この銃の場合ガス圧が撃ち殻の薬莢を投げ出し、そしてシリンダーを回転させた(後者は当然前装リボルバーの場合にも可能だったはずである)。

 後にスイス人Steiger(1875)とKrausser(1878)は、ハンマーの打撃をレバーを通じてすでに撃ち殻となった薬莢をシリンダーから投げ出すために使用した。多くの構造がこの方式を後追いした。しかし挙げるに値する数で作られたものはない。こうしたオートマチックな薬莢投げ出しはリボルバーの再装填を簡単にしたかもしれないが、我々は傾斜バレルおよび方向転換(頑住吉注:ブレイクオープンおよびスイングアウト)リボルバーによってこの問題がすでに良好に解決されていることを見た。

 空薬莢が投げ出されるだけでなく、新しい弾薬がサイドに取り付けたマガジンから再装填もされるというリボルバーすら作られた。このアルゼンチン人の技師、A.Garcia Reynosoに起源を持つ構造は理解できるように普及できなかった。だが、ここで弾薬の1つの長所、つまりマガジンによる装填がしやすいという長所を使うことが試みられたのである。だが、リボルバー(そう、すでに1つのマガジンを持っている)にマガジンを装着することは、適切さを欠く解決法だった。

 それに対してセルフローディングピストルは始めから大きなマガジンキャパシティと決定的によりコンパクトな構造を提供することができた。しかしそのスタートは簡単ではなかった。というのは、この場合必ずしも正しく理解されていたとは決して言えない新しい機能原理を、一目瞭然の、そしてプルーフされたノーマルなリボルバーに対抗して普及させなければならなかったからである。その上、射手が急速に連射できる発射数上の長所は、せいぜいダブルバレルのピストルと競合する必要があっただけのリボルバー導入時のようにははっきりと現われるものではなかった。だが、リボルバーと比べての高い堅牢さ、マガジンキャパシティ、できる限り速い連射は、セルフローディングピストルをすぐに軍人のお気に入りとした。これによりその開発は経済的な興味も引き起こし、その結果決定的に短時間(約10年)で(頑住吉注:基本的な構造が固まるまでの開発を?)終わることができた。この時代、セルフローディングピストルは実験的銃器から完成の域に達した、信頼性の高いセルフディフェンス銃へと変わった。以下、この急激な発達のいくつかの段階を記述したい。


 さて、いよいよオートマチックピストルの発達史に話が移りました。

 床井雅美氏はオートマチックピストルのベースになったものとして手動連発ピストルを重視されていますが、この筆者はそれには触れず、リボルバーの自動化をルーツに挙げています。コルトSAAの10年も前にオートマチックリボルバーが出現していたというのは驚きですが、それだけではなくこの銃は排莢するというウェブリー フォスベリー以上とも言っていい機能を持っていたということです。ただし当然ブラックパウダーの時代ですし、技術水準がついていかず、検索で行きついたページでも「あまりにも早すぎた発明」と評されていました(残念ですが画像は見つかりませんでした)。ハンマーの力を使って排莢するリボルバーはここで言う意味でのオートマチックとは言い難く(詳しい説明がないので具体的なシステムは不明ですが、たぶんハンマーの前進をレバーを使って後退運動に変換し、1つ前の発射で殻になった薬莢を後方に突き出すものだったのではないでしょうか)、明記されていませんがDAならトリガープルを重くする、薬莢の張り付きなどで突き出しに失敗した場合不発や作動不良につながるなどのデメリットもあった可能性があります。しかし銃から薬莢を自動的に排出する、そしてさらにマガジンから給弾するというアイデアがリボルバーから(少なくとも「も」)生じたのも事実で、これが本格的なオートピストルのアイデアの元になったというわけです。ただ、全体的な構造上、こうした変形リボルバーより手動連発ピストルの方が後のオートピストルに近いのも間違いない事実であり、オートピストルの誕生を考える上では手動連発ピストルの存在も忘れるべきでないと思います。

 オートピストルには大きなメリットがありますが、リボルバーに対する信頼はなかなか揺るがず(例えばアメリカの警察において)、オートへの転換にはかなりの時間がかかりました。この理由のひとつとして、装弾数上の優位がリボルバーの5〜6発に対して7〜9発程度と、さほど開きがなかったことが挙げられています。この本が書かれたのは1982年頃であり、ダブルカアラムのオートはまだ主流になっていませんでしたが、その後公用ピストルではダブルカアラムが主流になり、リボルバーに対する優位は決定的になりました。また、使用を重ねる上で、不安がられた作動不良は(銃や弾薬の品質に問題がなければ)問題になるほど多く発生せず、メリットの方が大きいことが認識されていったわけです。















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