093A新型原潜

 2月17日のコラムでも簡単に触れた記事を紹介しましたが。

http://military.china.com/important/11132797/20150215/19311487.html


093A原潜、新たな反応炉を配備 あるいは24発の垂直発射ミサイルを搭載か

(頑住吉注:原ページのここにある動画のキャプションです。「当局メディア、中国の093G原潜を事実確認 24発の垂直発射ミサイルを搭載へ」)

今日、台湾「国防省」ウェブサイトは「共産軍の改良型潜水艦093G2が明るみに」との文章を発表し、「グローバルディフェンスマガジン」の報道を確認し、解放軍はすでに3隻の巡航ミサイル発射装置と新世代核反応炉を装備した新型原潜を配備している、とした。この文章は、この潜水艦の反応炉は「現在まだアメリカの核反応炉にわずかに立ち後れている」とわざわざ言及している。だがこの潜水艦の機種の問題で、台湾サイドはこの3隻が「093G2型原潜」であるとしているが、外国メディアの報道や解放軍の原潜の機種の命名習慣を根拠にすると、この3隻の2013年以来着工された改良型093型潜水艦は「093A」型に当たる。

外電は、中国は2002年から2003年までの間に2隻の093型潜水艦を進水させ、第3隻目は2012年に進水した、とする。現在建造中の3隻の完成後、中国は6隻の093型潜水艦を有することになるが、後に続いてより多くの093型潜水艦は建造されないかもしれず、何故なら世代を更新した095型潜水艦にすでに着工されているかもしれないからである。

台湾「国防省」ウェブサイトは、「グローバルディフェンスマガジン」は最近大陸の新型潜水艦の画像を掲載し、軍事専門家はこの潜水艦は093「漢級」潜水艦(視察者ネット注:原文はこうなっているが、093のNATOのコードネームは「商」級のはず)の第2世代改良版に違いなく、093G2と呼ぶことができ、何故なら新世代の核反応炉を使用しているからで、これは第1世代改良型に比べより静かで、しかも追跡し難いと指摘している、とする。

「グローバルディフェンスマガジン」最新号はグーグルアースの最新の衛星写真を掲載し、図説は去年12月に大陸の葫芦島造船工場でもうすでに2隻の093G(Gは改良の意)原子力エネルギー動力攻撃潜水艦が完成し、もう1隻はまさにドライドック内にあり、いわゆる093Gの伝統的な093との最大の差異は垂直発射器が増加していることにあり、巡航ミサイルあるいは鷹撃-18対艦ミサイルの発射に用いるのかもしれない、と指摘している。

軍事分析家梁国梁は、これは093Gの初めての画像のはずで、もし画像が事実で、かつ最新の画像ならば、これは093G潜水艦であると肯定できる、とする。彼は、093にはかつて改良型があって093G1と言ったと指摘し、このため同誌はG2のはずだと掲載したのである。G2の垂直発射器を用いる他のもう1つの重要な差異はそれが新世代の核反応炉を使用して騒音を低下させたことで、アメリカにさらに追跡し難くさせる。もし西側の標準的な計算をもってするならば、093G2は第3世代半潜水艦に属し、現在まだより先進的なアメリカの核反応炉にわずかに立ち後れている。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「『グーグルアース』の画像上にはっきり示された093A型潜水艦」です。)

視察者ネットの軍事分析員は、アメリカの現在最も先進的な「シーウルフ」級原潜はウェスティングハウス社のS6W型反応炉を採用しており、この反応炉は現在世界で最も先進的な反応炉で、メインポンプを始動しない状況下での自然循環の能力を持ち、騒音レベルは前世代の製品よりはるかに低く、この反応炉を装備した「シーウルフ」級は18ノットの航行速度の時に依然安静を保持できる、と指摘する。もし中国の核反応炉がこの型の反応炉に比べ「わずかに立ち後れる」というレベルを達成し得ていたら、歴史的な突破ということになる。

中国海軍艦艇の機種は一般に動力システムを根拠に命名され、例えば051型駆逐艦と051B、051C型艦はトン数、性能、作戦能力には天地の差があると言えるが、いずれも国産蒸気動力システムを採用しているため、全て051型と称するのである。一方「G」(「改」、すなわち改良を意味する)は、1990年代以前に海軍が常用していた機種命名方式で(例えば051G、053H2G)、一般に小規模改良を示すのに用い、現在すでに基本的に使用は見られなくなっている。このため093型第3バージョンのコードネームは093A型かもしれない。当然、現在軍の公式な資料による事実確認はないので、この潜水艦のコードネームに関しても推測でしかあり得ない。

新たに出現した3隻の原潜の画像は比較的模糊としており、このうち船台に停泊し艤装を行っている2隻は艦橋の後方に突起物があるようだが、その性質は完全には決して確認できない。類似の画像は以前その他の衛星画像にもまた出現したことがある。今回出現した画像の中で、ドライドック内で建造される1隻の潜水艦は、この突起物の位置が3つの「大穴」であるのが見え、そのうち2つにはすでに白色の装置が入れられ、この装置の寸法から推測して、巡航ミサイル垂直発射装置かもしれない。確かな証拠があって中国の新世代原潜がこの装置を持つことが示されるのは初めてのことである。

だが、台湾方面が言う、この装置の作用は「鷹撃-18」ミサイルを発射してアメリカ空母を打撃するのだとの説は明らかに決して合理的ではない。鷹撃-18対艦ミサイルの射程は180kmに達し得、しかも空母に対し飽和攻撃を実施するのにも確かに垂直発射装置を必要とするが、このような射程は空母艦隊の対潜防御ラインの外で攻撃を発起するには明らかに不足である。事実、解放軍の現役の「長剣-10」巡航ミサイルのように「鷹撃-18」ミサイルも垂直発射装置によって発射できる。「長剣-10」は核・通常兼備の対地攻撃ミサイルで、明らかにむしろ戦略的価値を持つ。アメリカ海軍の「ロサンゼルス」級改良型と「バージニア」級攻撃型原潜はいずれも12発の「トマホーク」巡航ミサイル垂直発射装置を装備している。中国の原潜のミサイル発射装置の作用はこれと似ているかもしれない。これはロシア海軍が冷戦の期間にアメリカ空母艦隊打撃に用いた大型潜水艦発射超音速対艦ミサイルとでは顕著な差異がある。

葫芦島造船工場のドライドックではかつて092型と091型潜水艦が同時に建造され、つまり少なくとも同時に3隻の原潜着工の需要に提供できる。だが現在しばらくのところはまだこの中に新たな潜水艦着工の兆しは見られない。ある噂は、この中ではすでに更新型の095型原潜の建造が開始されているとするが、潜水艦の機種名から093型とは差異が非常に大きい新世代核反応炉を採用していると判断されることを除き、しばらくはその詳細な状況は推測できない。以前、遼寧省の当局者が、現在すでに第4世代原潜の研究開発が開始されていることに言及したが、これが指すのこそ095型である。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「まだ未完成の093A型原潜。この艦の艦橋の後方に艦体のまだ封鎖されていない部分が見え、内部には3ユニットの垂直発射装置が見えるが、ミサイル発射装置の具体的な数はまだはっきり見えず、12〜24発のミサイルかもしれない。」です。)

現在、米ロなどの国の新型攻撃潜水艦はいずれも巡航ミサイル垂直発射装置を装備済みで、ロシアももはや専用の巡航ミサイル原潜を継続して研究開発していない。中国の093型潜水艦も魚雷発射管によってミサイルが発射できるが、魚雷発射管内への装填速度が非常に遅いので、この種の発射方式の効率は非常に低く、垂直発射装置と同列には論じられない。

093A型原潜のミサイル搭載量は「ロサンゼルス」級潜水艦を超えるかもしれず、12〜24発に達し得る(現在の画像はこの艦の垂直発射装置が3ユニットあることしか見えず、それぞれのユニットで4発のミサイルなのか、6発か、それとも8発かは不確定である)。もしこの艦が搭載するミサイルの数が本当に24発なら、そのあり得る用途は巡航ミサイルを使用して島嶼の飛行場を持続的に制圧する(例えば沖縄、グアム島や台湾東海岸の飛行場)こと、陸上の重要な戦略目標の打撃を含む。当然、この艦は水上艦艇目標も打撃できる。もし新型反応炉を装備していたら、093A潜水艦の戦術柔軟性は非常に高く、全西太平洋上の陸上固定目標および水上、水中目標に対し脅威を構成することができ、かつ非常に発見および殲滅され難い。

だがこのことは093Aが敵サイドの潜水艦に対する作戦専用に用いられる「冷戦概念」の攻撃潜水艦ではないかもしれないことをも説明する。すなわち、敵サイドの戦略潜水艦の追跡と殲滅に用いる潜水艦、例えばアメリカの「シーウルフ」級のように、である。「シーウルフ」級は騒音が低く、動力が強いだけでなく、しかもトン数が非常に大きく、満載排水量は12,000トンに達し、8門の660mm自航発射式魚雷発射管を持ち(静音を保持した状況下で魚雷が発射できる)、最多で50発の魚雷とミサイルあるいは100発の機雷が搭載でき、弾薬搭載量は非常に大きい。この潜水艦の設計目標は、ソ連の厳密な防御が設けられた「要塞海域」を突破して戦略原潜を狩り殺すことで、冷戦の核バランスを打破する武器だった。冷戦終結後、アメリカの新型「バージニア」級潜水艦の建造価格は「シーウルフ」級に比べ10%低いだけで、静音性能、水中航行速度などの方面の性能は「シーウルフ」に及ばず、トン数も6,000トン余りに低下し、武器搭載量は大幅に減少したが、12のミサイル発射装置が増加した。

現在世界には093A型の他に、アメリカの「オハイオ」級潜水艦を用いて改装した巡航ミサイル原潜だけが専用に研究開発された対地攻撃に重点を置く巡航ミサイル原潜に属し、この艦は最多で154発の「トマホーク」ミサイルを搭載できる。

もしこの潜水艦が搭載するのが12発のミサイルだったら、この艦は多用途能力を持った原潜で、アメリカの「バージニア」級に似て対潜、対艦、対地攻撃ないし特殊部隊投入など多種の任務が執行できる可能性がある。現在の中国海軍が直面する作戦環境から言っても、これは一種あり得ることである。ロシアの「ヤーセン」級原潜もミサイル垂直発射装置を艦橋後方に装備するレイアウトを採用しており、このようにすれば比較的大きなミサイルが収容できる。

(頑住吉注:4ページ目)グーグルマップにはっきり示される3隻の潜水艦

(頑住吉注:5ページ目は本文の一部を切り取ったものなので省略します。6ページ目)ロシアの「ヤーセン」級原潜の全体レイアウトのいくつかの種類の推測図。この艦の垂直発射装置は大型超音速対艦ミサイルの発射に用いられ、このためこの位置に装備され、かつミサイルの実際の搭載量は比較的少ない

(頑住吉注:7ページ目)アメリカの「シーウルフ級」原潜

(頑住吉注:8ページ目は本文の一部を切り取ったものなので省略します。9ページ目)アメリカの「ロサンゼルス」級原潜


 何だか「アメリカの核反応炉にわずかに立ち後れている」というフレーズに有頂天になっていろいろ想像をたくましくしているような印象を受けますが、そもそも台湾軍当局にも正確な情報を得るルートはないでしょうし、それが正しい評価なのか自体怪しいですわな。




















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