「スマート兵器」の未来は

 「人工知能の人類に対する造反」なんていう「ターミネーター」の世界観っぽい話も出てきます。

http://military.china.com/news2/569/20150507/19647585.html


専門家:スマート武器は将来あるいは作戦の主力となるか 中米の隔たりは顕著

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカのX-47B無人機のスマート度は非常に高く、空母上で自主発着できる」)

最近アメリカのホワイトハウスは、年初のある無人機攻撃行動がアメリカ人を含む2名の人質の誤殺という結果をもたらしたことを認め、このことは再度外界の、生かすか殺すかという大きな権限を無人機に代表される「殺人機械」にゆだねることへの心配を引き起こしている。人工知能は殺人機械を掌握管理し始めるだけでなく、しかもどんどん深く戦争の指揮および決策過程の中にも介入している。スマート戦争時代の現実との隔たりはどのくらい遠いのだろうか? その時戦争はどのように変わるのだろうか? 中国指揮・制御学会が先日行った「スマート指揮・制御」フォーラムで、多くの中国の専門家が未来の戦争の異なる側面を描き出した。

「殺人機械」が戦術の先鋒に充当される

指揮・制御学会理事長で中国工程院院士の戴浩は次のように説明する。人工知能の未来の戦争への介入は2種類に分かれる。1つは戦術レベルで、すなわち本来生命のない武器に知能を生じさせ、つまり我々がSF映画で熟知する「殺人機械」である。事実、現在の霊巧炸弾、智能炸弾(頑住吉注:いずれもスマート爆弾のことのようですが、別名なのか中国語では何らかの区別があるのか不明です)ははめ込み式手段を使用して、コンピュータの人工知能を武器の中にはめ込んだものである。現在最もよく見られるスマートロボットには無人機が属し、それは実際上スマート爆弾の強化版であり、自主性がより強い。

無人作戦機の研究に専心する空軍工程大学教授の黄長強は、近年来頻繁に誤殺事件を起こすアメリカの「プレデター」無人機は戦果が非常に多いが、それは人の楽屋裏での操縦に頼ることが必須で、テロ分子などの相手にしか対応できず、自主性は非常に劣る、と明らかにした。西側諸国はよりスマートな無人機を研究開発しつつあり、それは自主的に対地正確打撃ができるものである。彼は、この種の突破は5年以内に実現することが有望であると見積もる。一方より高級な、スマートロボットの「王冠上の宝石」と呼ばれるのは、有人戦闘機に対抗できる無人機空戦技術である。この種の人工知能を実現しようとする各国の努力の方向は、有人機飛行員の空戦の考え方、決策過程や行為を無人機上に移植することの研究である。未来のスマート無人戦闘機は人体の生理の制限から脱し、より敏捷な空中動作ができるだけでなく、しかも複製可能性を持ち、もはや人類の飛行員のように長時間の養成訓練を必要としないのである(頑住吉注:時間だけでなく現代の戦闘機のパイロット養成には膨大な費用もかかりますが、それも省けるわけですね)。

指揮官の戦略的決策を補助

戴浩は、スマート化戦争時代、コンピュータは人に対する補充であるべきで、人工知能のより大きな作用は戦略レベルで戦争に介入し、指揮や連絡を助けることだ、と考える。これまで科学者は人の脳の思考過程をシミュレーションして人工知能を作り出すことを企図してきたが、進展は緩慢だった。近年来、人工知能の発展方向に重大な改変が出現し、すなわちデータ駆動と大強度計算を採用して知能を発展させるのである。戴浩は、もしコンピュータシステムがビッグデータに基づき、自動的に匯総を提取し(頑住吉注:「匯総」「提取」ともいろいろな意味があって不明。「概要を取り出す」?)、自動的に深く学習したら、人類に対する助けは非常に大きくなる、とする。

人工知能の戦争指揮介入方面では、アメリカ国防高級研究計画局(DARPA)が研究開発する「ダークグリーン」システムが最も有名である。国防大学コンピュータ軍事シミュレーションシステム総設計師である胡暁峰教授は説明し、ペンタゴンのこの挙はかつて人類の棋士に勝ったスーパーコンピュータ「ダークブルー」をコピー生産し、コンピュータを利用してスマート化補助システムを作り出し、指揮員の決策を助け、かつ作戦過程と共に不断に調整および改良し、作戦機能を大幅に高めることを企図している、と語る。この考え方は非常によいが、長年の研究開発を経て、このプロジェクトの主体は現在すでに暫時停止されている。「ダークグリーン」システムが停止された重要な原因の1つは、アメリカにコンピュータスマート化補助を「一体どんなところに用いるべきなのか」に対する論争が存在することだとされる。作戦時これを用いて中隊長、大隊長を助けるのか、それとも戦区司令、連合作戦センターないしより高いクラスの指揮決策を助けるのだろうか? 胡暁峰は次のように考える。最も作戦指揮コントロールを必要とするのはやはり上層指揮機構で、何故なら未来の戦争は体系の対抗であり非常に複雑な戦争であって、人によって全部の戦場の要素をコントロールする伝統的なやり方はすでに達成が非常に難しい、甚だしきに至ってはできなくなっているからである。だが現在この種のスマート補助システムはまずい局面に直面しており、最も必要な戦略クラスの補助システムができず、何故ならそれは複雑すぎるからである。一方戦術クラスの補助指揮システムの需要はといえば今度は相対的に限られている。

(頑住吉注:これより2ページ目)

軍事シミュレーションシステムもコンピュータが戦略決策に参加する重要な応用で、それはできる限りリアルに複雑な戦場をシミュレーションできる。胡暁峰は、戦争はただ1回で、戦時の決定はあなたに試験し直すチャンスはくれないのだ、とする。このため我々のスローガンは「あらゆる負け戦は実験室の中でやれ、最後の勝ち戦は現実の中に留めろ」である。

アメリカ、スマート戦争の準備を加速

曙光社副総裁の邵宗有は説明し、アメリカのスマート戦争時代に対する準備は他国に比べより充分である、と語る。DARPAはIBM、グーグルなどITの巨頭によって人工知能合同研究開発を展開しつつある。例えばIBMはその他の業務を縮小しており、全部の精力を人工知能チップの開発に集中し、かつ同時進行でこのチップを基にしたアーキテクチャ、機器、セットとなるサービスを研究開発することになる。これに比べ、中国のこの方面の隔たりは比較的大きい。

邵宗有は、巨大型コンピュータの発展の趨勢から見ても、未来のスマート戦争を支えるに足りる、と考える。過去の巨大型コンピュータの研究開発は「大規模」を重んじ、このようにしてこそ充分な計算能力を持つことができた。だが巨大型コンピュータ資源の仮想化と共に、クラウド計算などの手段を利用して未来の戦争の中の計算能力の問題を解決できるようになる。また、現在軍事指揮には膨大な情報の処理の問題も存在し、ビッグデータ時代においてはスマート化されたシステムがより必要とされ、これはまさに巨大型コンピュータの発展方向の1つである。

中国指揮・制御学会事務局長の秦継栄は、スマート戦争時代には、軍隊をもって主要な戦争の表れとする形式はすでに時代遅れとなっているかもしれない、と強調する。スマート化設備の発展につれ、1人が1つの部屋の中でもう無人システムを利用して1回の攻撃を発動でき、甚だしきに至っては1つの戦争を発動するかもしれない。例えばネットワークを利用して千や万ものスマート無人機をコントロールし、突然某目標に向けて奇襲を発動するわけで、伝統的手段で対応するのは非常に難しい。

人工知能の造反を心配する必要があるか?

ある人が「人工知能の造反」を心配することに対し秦継栄は、現在の人工知能の発展レベルについて言えば、それが人類に取って代わり得るというのはまだ時期尚早である、と考える。何故なら現在の無人システムは本質について言えば依然「前方には人なし、楽屋裏には人あり」で、行うことも人類の下す指令が根拠だからである。技術の発展につれ、作戦距離がどんどん遠く、自動化の程度がどんどん高くなるだけのことに過ぎない。黄長強も、もし未来の無人作戦機が非常に強い自主性を持っても、それに何ができるのかは獲得する権限の制限を受け、人類が命令を下した後、依然楽屋裏から間接的に制御できる、とする。

中国自動化学会事務局長の王飛躍は「グローバル時報」記者に、この問題の上での自分の視点は「人類だけが人類を滅亡させられる」で、もしより遠大な未来から見ても、人工知能が人類を統治することはあり得ないし必要もないというものだ、と教えた。人工知能の発展と共に、その権限はどんどん大きくなり、某操作のミスがある都市、甚だしきに至ってはある国家の破滅をもたらす可能性は確かに存在する。だがこれは突き詰めれば事故に属するのであって、人工知能の「造反」ではない。


 現状では従来型兵器技術で中国にどんどん差を詰められているように見えるアメリカですが、再び決定的優位を構築できるとしたら宇宙を舞台にした戦争技術やこの方面かもしれないなと思います。日本は無人機やネットワーク戦での遅れぶりから見てこの方面の研究が進んでいるとは思えません。「人工知能の造反」に関しては近い将来問題になるとは思いませんが、心配する人は人工知能が独自に与えられた権限の制限を解除し、「楽屋裏」からの制御に従わなくなる可能性を考えているのであって、専門家がこんな論拠で大丈夫だと言っていると逆にちょっと不安になるんですが。















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