S-400は画期的な新世代対空ミサイルシステムではない?

 中国が輸入するらしい新兵器としてスホーイー35と並び称せられていますがよく考えりゃスホーイー35も「0.5世代」進んだとされる戦闘機なんですけどね。

http://military.china.com/news2/569/20141212/19097202.html


ロシア、S-400の性能を深刻に誇大化:射程400kmのミサイルはロシアもまだ装備していない

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「珠海航空展で展示されたロシアのS-400ミサイルシステム。レーダーは依然96L6E型、ミサイルは依然48N6系列で、その配置はS-300の改良型と評価できるに過ぎない(資料画像)」)

S-400ミサイルはメディアが最近熱烈に討論している話題で、多くの国内外メディアはこのミサイルの射程は400kmにも達すると考え、中国沿海に配備すれば釣魚島をすぐ支配できるなどの説が次々現れては尽きない。ロシアメディアも中国はS-400の初の(頑住吉注:国外)ユーザーであり、今後も継続して大量に購入することになる等々と称している。しかし中国で最近出版された「兵器知識」誌(中国兵器工業学会による)は「珠海航空展におけるロシア軍事工業代表団」という文章を掲載し、文章は今回の珠海航空展でロシアが展示した各種製品を紹介しており、「現役のS-400はS-300PMU2の大規模改良型としか評価できず」、「世間に言いはやされる『S-400の迷信』を打ち破る必要がある」と考えている。この雑誌は中国兵器工業集団傘下の公式雑誌であり、この評論を通じてあるいは中国のS-400に対する実際の視点を理解できるかもしれない。

以下は「珠海航空展におけるロシア軍事工業代表団」との一文の抜粋である。(筆者:田聿)

ダイヤモンド・安泰:「S-400の真相」を探し求める


「高度科学技術が平和な天空を防衛する」 これはロシアの国有持ち株会社ダイヤモンド・安泰社の象徴的な広告の言葉である。中ロのS-400地対空ミサイル談判が大詰めであることにかんがみ、今回の航空展の期間、ダイヤモンド・安泰社はわざわざ展示台に完備されたS-400防空体系(頑住吉注:のミニチュア模型)を置いた。人に噛みしめ味わわせるのは、現場で視察した一部の西側および香港・台湾の軍事専門家が理解を経て、S-400はロシアサイドがずっと宣伝しているように第4世代に属する防空対ミサイル武器では決してないかもしれないと気付いたことである。

ダイヤモンド・安泰社の発する宣伝資料から見て、S-400の最も人々の目を引きつける部分は3つある。1つ目は配備する射程が400km以上に達する40N6ミサイルであり、現在地対空ミサイル射程最長として知られる。2つ目は指向性爆破殺傷機能を持つ9M96E2中近距離ミサイルの配備で、目標に対する殺傷力は「パトリオット」PAC-3の運動エネルギー衝突殺傷効果と優劣がない。3つ目は抗妨害性能が強いことで、特に配備する抗ステルス能力が強いミリ波レーダーは世界で初めてステルス目標に抗するのに用いられるレーダーである。だが実際にはこれら3種のカギとなる重要部品はまだ決して現在ロシアで現役のS-400に装備されてはおらず、このためロシア軍で現役、ないし将来輸出されるS-400は決して真の第4世代防空対ミサイル武器とは評価できず、むしろ少し前にロシアが試験成功を言明したS-500システムこそが真の第4世代防空対ミサイル武器なのである。

多くの国の軍事界の認識に照らせば、ロシアのS-300およびその改良型S-300PMU1、S-300PMU2、アメリカの「パトリオット」PAC-1、「パトリオット」PAC-2などの地対空ミサイルおよび「スタンダード」SM-2艦対空ミサイルは、いずれも第3世代防空武器に属する。一方S-400,S-500および「パトリオット」PAC-3などは第4世代防空対ミサイル武器に帰せられる。この2つの世代の差異の主要な印は、前者は限られた対弾道ミサイル能力しか持たず、一方後者は対ミサイルを主要な特性とし、直接的に「対ミサイル武器システム」と称されることである。

(頑住吉注:これより2ページ目)

第4世代防空対ミサイルシステムのきわめて重要なカギとなるポイントは、来襲する高速、機動飛行する弾道ミサイルおよび巡航ミサイルを迎撃する能力を持つことである。この点の上で、アメリカは率先してKKV技術を使用した。この技術は迎撃ミサイルに直接衝突する方式をもって来襲するミサイルを撃破できるようにさせる。KKV技術の重要なカギはミサイル前端に一連のミニパルスエンジンがあり、それが燃焼ガス舵(視察者ネット注:原文はこうなっているが、「コンビネーション燃焼ガス舵」のはずでは)をコントロールでき、ミサイルに前向きに飛行するのと同時に、快速で機動する横向きの運動(技術専門用語では「ミサイル推力ベクトルコントロール」と呼ぶ)をさせるところにある。この技術は現在の地上防空領域の正確制御誘導技術応用の国際的な最高水準を代表している。さらにアクティブレーダー捜索の制御誘導体系を採用している(すなわち誘導弾頭が能動的に目標を捜索し、「ファイアアンドフォーゲット」を実現する)。KKVはまず「パトリオット」PAC-3システムに応用され、効果は顕著である。その後アメリカ海軍は「イージス」艦に配備する「スタンダード」2をKKV技術を持つ「スタンダード」3艦対空ミサイルに換え、一方フェイズドアレイレーダーSPY-1には実質的な改良をしていないが、全体システムは比較的強い対ミサイル能力を持ち、「イージス弾道ミサイル防御システム」と呼ばれている。

ロシアの本来の計画方案によれば、S-400は3種のミサイルを配備できる。その中の40N6ミサイルは飛行高度70kmに達し、二次点火技術を採用し、飛行距離は400kmに達し得、現在射程最長の地対空ミサイルである。同時に地上に作用距離600kmに達する超視距離レーダーを1台配備して目標指示を行う。だが注意するに値するのは、ロシア当局の態度表明が次のようなものだということである。「40N6ミサイルは主に視距離外の400kmまでの範囲内の敵サイドの早期警戒機や電子戦機など大、中型目標を迎撃する。敵サイドの『占去外攻撃戦術』(すなわち「レーダー視距離外攻撃戦術」)を瓦解させるのに用いる。」 だが国内外の一部のメディアはそれにもかかわらず、この範囲内でS-400は各種弾道ミサイルの迎撃能力を持つと誤読している。

S-400の中、近距離迎撃任務に関しては、機動性がより良い9M96系列のミサイルが用いられ、かつS-300が元々用いた48N6ミサイルが留保される。9M96系列ミサイルの本体はエンテ式レイアウトで、9M96E2ミサイルは中距離、120km内の迎撃に用いられる。40N6と9M96というこの2系列のミサイルの戦闘部はいずれも指向性破片爆発を採用し、もって殺傷力を増加している。両者はいずれもアクティブ誘導弾頭を採用している。このことから、もしS-400の配備が完備されたら、ロシアとアメリカという両者の第4世代防空対ミサイル武器は、それぞれに奥の手があり、力量は互角ということができる。

また、ロシアのS-400の計画方案によれば、S-400にまだある一大ハイライトは、ミリ波デジタル化フェイズドアレイレーダーの配備である。このレーダーは非常に大きな2D対数周期アンテナを採用し、信じられているところによれば600km離れたレーダー反射面積が0.0065平方m未満のステルス目標を探知計測でき、現在世界唯一の地対空ミサイルシステムに用いられるミリ波レーダーである。ロシアはさらに、ミリ波、マイクロ波レーダーをコンビネーションして使用するのが、ロシアの対ミサイルシステムの基本構造になる、と言明している。

ロシア当局メディアは再三次のように言明している。「1セットのS-400は3セットのS-300に取って代わり得る。目標への命中率と攻撃速度という方面はS-300に比べ倍に向上している。抗妨害能力は4倍に向上している。S-400は40N6遠距離ミサイルを装備し、作戦距離は400km以上であり、現在射程最長の地対空ミサイルである。さらに9M96E2および48N6E2、E3という2つの系列の中、近距離ミサイルを装備し、中、低層対ミサイルが実現できる。このためS-400は迎撃高度30km以下、速度毎秒4.8km以下の、飛行機、巡航ミサイル、弾道戦術ミサイルを含む各種の来襲する武器を迎撃する能力を持つと言える」、「アメリカの最も先進的な『パトリオット』PAC-3と同等に優れている」などである。最近、プーチンが中国向けS-400輸出を批准するのと共に、メディアはすぐさま「中国がS-400を配備すれば、海岸から300km離れた釣魚島をカバーできる」と宣伝している。

だが、ロシアが明らかにした資料と、今回珠海航空展で披露され展示されたS-400の模型から見て、S-400計画の中のいくつかのカギとなる重要設備(最も主要なのは例えば射程400kmの40M6ミサイルおよび9M96E2系列中、近距離対ミサイルミサイルなど)は、今に至るも現役の中にまだ決して装備されてはいない。これはこうしたカギとなる重要設備の技術がまだ難関を突破していないからなのだろうか? それとも試験中なのだろうか? あるいは秘密保持を必要とするのだろうか? 実際の状況をロシアはずっと黙して語らない。ロシア当局メディアもあっさりと、「現在S-400『凱旋』ミサイルシステムの40N6および9M96ミサイルはまだ装備に入っていない」とするだけである。だがこの「未装備」は、現役装備の性能指標を本来の計画構想に比べ大幅割引にさせる。一方かつて開始段階においてもう大きな力を入れて宣伝されたミリ波レーダー、および40N6とセットになる超視距離レーダーも、その後の話はない。このため、S-400が過渡的な防空武器に過ぎないという可能性が排除されない。少なくとも珠海航空展で発表された資料から見て、S-400の主要な装備は、S-300系列第2であり、輸出されること最多でもあるタイプのS-300PMU2と比べて決して重大な変化はない。例えば依然S-300PMU2の48N6E2、E3型ミサイルを採用している。このミサイルはセミアクティブ体制で、戦闘部は全方向破片爆発で、ベクトルコントロール能力はない。自主捜索は依然全て96L6Eレーダーを用いる等である。S-400用の96L6Eレーダーのアレイアンテナ上端にひとかたまりの小さなアンテナアレイが追加されているだけで、これは波束を低く押さえ、もってレーダーの低空探知計測性能を改善するためと見積もられる。また、S-400の指揮システムの情報化と自動化の程度はS-300PMU2に比べやや向上しているが、全体的に言って重大な改良はない。ロシアのいくつかの資料さえも、S-400とS-300は同じレーダー探知計測・制御誘導システムを共用すると認めている。このため、現役のS-400はS-300PMU2の大規模改良型としか評価できず、このため中国の軍事マニアは言いはやされる「S-400の迷信」を打ち破る必要がある。


 中国のミサイルメーカーはロシアの新製品の輸入を喜ばしくは感じないでしょうし、「あんなのたいしたことはない。我々の製品も優秀だ」と言いたいところでしょうから、この文章がどこまで客観的なものなのかは私には分かりません。また仮に正しくとも、将来的に新型装備が追加で供給されれば画期的なものになるのかもしれませんし。















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