グレードアップ版殲-10でF-22に対抗可能‥‥?

 殲-20登場後も殲-10は大きな役割を果たし続ける、という論です。

http://military.china.com/important/11052771/20120728/17343176.html


韓国メディア:グレードアップ版殲-10はF-22に対抗できる 殲-20との有効な組み合わせも可能

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「殲-10グレードアップ版は殲-20との有効な組み合わせが可能」)

韓国の軍事ウェブサイト「新羅空軍フォーラム」に2012年7月26日に発表された文章は、ドイツの「タイフーン」戦闘機が対抗中頻繁にアメリカ製の「ラプター」戦闘機を撃墜したことの、中国戦闘機発展に対する影響について分析を行っている。文章は、「タイフーン」戦闘機の成功経験は、ずば抜けた性能のレーダー、ミサイル、搭載能力を持つことに助けられ、第4世代機が未来の空戦の中で第5世代戦闘機を有効に制圧する能力を完全に具備していることをはっきり示した、と考えている。一方中国の殲-10戦闘機は「タイフーン」との多くの共通点が存在する高性能戦闘機として、システム技術グレードアップを行った後は、アメリカ製の「ラプター」戦闘機に対抗する、あるいは中国の殲-20戦闘機に対し戦力補充を行う能力を完全に具備する。

まず、「タイフーン」が「ラプター」を圧倒したことは、第4世代機になお巨大な発展ポテンシャルがあることを事前に示している

アメリカ製のEA-18G「Growler」電子戦機がアメリカ製の「ラプター」戦闘機の撃墜に成功した(頑住吉注:当たり前ですが演習における撃墜判定です)のに続き、今年6月に行われたアメリカの「レッドフラッグ」空中対抗演習の中で、またしても少なくとも2機のドイツから来た「タイフーン」戦闘機が「ラプター」撃墜の戦果を獲得した。しかも機体外部の戦績表示から見て、そのうち1機のナンバー30-30の「タイフーン」戦闘機の戦果は何と3機の「ラプター」戦闘機であり、別の1機であるナンバー30-29の「タイフーン」戦闘機の戦果は1機の「ラプター」戦闘機である。これは以前アメリカが発表した、「ラプター」とアメリカ軍現役のF-15、F-16戦闘機とが行った模擬対抗の中での140:0という伝説的戦果と、明らかに食い違いが極めて大きい。まさかこれまでずっと目立たず、半世紀近く冬眠してきたヨーロッパ戦闘機にはアメリカのトップクラス戦闘機と比べて、本当にこんなに大きな技術的優勢があるのか? 答えはノーである。何故なら「タイフーン」戦闘機は依然伝統的第4世代戦闘機であり、この機を「ラプター」に勝利させた根本条件は、第4世代戦闘機にはひとまず発掘されただけの巨大な発展ポテンシャルがあることだからである。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「殲-20戦闘機」です。)

イタリアの著名な記者、航空専門家、元イタリア軍飛行員のデビッド センスアディが先日そのブログ上で発表した文章を見ると、「タイフーン」が「レッドフラッグ」軍事演習の中で「ラプター」を圧倒したのは、「ラプター」に自身の技術的制限ゆえに、飛行動作および飛行員の全身をカバーする専用耐Gスーツなどの方面に制限が存在したことの他に、「タイフーン」戦闘機のずば抜けた枝葉的技術が、空戦の中で「ラプター」を有効に制圧することを保証したのである。例えば、「タイフーン」戦闘機は初期段階においてすでに機載アクティブフェイズドアレイレーダーを採用しており、これは「ラプター」のレーダーとは一定の基礎的隔たりがあるが、この機が装備する「シューティングスター」遠距離空対空ミサイルの150kmという最大射程内での有効な追跡と制御誘導を行うには充分である。これに比べ「ラプター」の機載レーダーの探知計測および追跡距離は200kmを超えるが、その装備するAIM-120空対空ミサイルが最新型であったとしても最大射程は依然120kmにしか達し得ない。このことは疑いなく「ラプター」を「タイフーン」との空中戦において極端な劣勢に直面させる。この他、大量のアルミ・リチウム合金、チタン合金、炭素繊維に代表される新型材料の応用は、「タイフーン」の機体構造方面における「ラプター」との隔たりを不明確にさせている。さらに重要なのは、全く新しい機体構造は中型戦闘機としての「ラプター」に大型戦闘機の武器搭載能力を持たせていることである。またこれは疑いなく、機内弾薬倉の採用ゆえに搭載能力に極めて大きな制限を受けている「ラプター」戦闘機には努力しても追いつけないことでもある。

戦闘機の全体的発展経歴から見て、「タイフーン」と「ラプター」が今年度の「レッドフラッグ」軍事演習において意外な結果を出したことには相当重要な意味がある。今回の「レッドフラッグ」軍事演習の中で、「タイフーン」戦闘機が取得した全ての「ラプター撃墜」の戦績は近距離空戦において獲得されている。一方「ラプター」戦闘機固有の設計理念の中で、近距離空戦模式は未来の空戦の中から徐々に消失することになっており、このため「ラプター」戦闘機はこの方面に過大な精力を注ぐ必要はない。だが今回の演習の経験は、戦闘機やミサイルの性能がどうであろうと、いずれも超視距離空戦の需要を満足させることは難しく、近距離空戦は依然未来の空戦の主要作戦形式の1つであることをはっきり示した。この種の環境下で、「ラプター」に代表される第5世代戦闘機は改めて任務および打撃模式のしっかりした位置付けを行う必要があり、一方巨大なグレードアップポテンシャルがひとまず発覚しただけの第4世代戦闘機は、予見可能な時期内においては依然世界の主要空軍国家の主力装備となる。中国という空軍が急速に発展する国家に関して言えば、その装備する殲-10戦闘機は「タイフーン」と同じく新時代の第4世代戦闘機の最高性能を代表するものであり、システム技術グレードアップ後において「ラプター」に代表される第5世代戦闘機に有効に対抗できるか否か? 答えはイエスである。

(頑住吉注:続いて3ページ目。画像のキャプションは「殲-20戦闘機」です。)

次に、殲-10戦闘機はシステムグレードアップを経た後、アメリカ製「ラプター」に有効に対抗できる。

現在までに、殲-10の最初の実用型、すなわち殲-10Aを除き、中国が研究開発したのは1機種のグレードアップ型だけで、すなわちなお当局によって事実確認されていない殲-10B戦闘機である。殲-10Aに比べ、殲-10Bの主要なグレードアップ内容は、機載アクティブフェイズドアレイレーダー、DSI空気取り入れルートの追加装備、国産「太行」エンジンへの換装に集中している(頑住吉注:国産エンジンに換えるのはグレードダウンでは)。だがその他の方面の技術的グレードアップは不明確である。だが、「タイフーン」が「ラプター」を圧倒した経過から見て、「タイフーン」は主にレーダー、ミサイル、搭載という3方面の技術進歩に頼った。殲-10系列戦闘機が空戦において「ラプター」に代表される第5世代戦闘機に対抗したいと思うなら、この3方面の技術グレードアップを行うことが同様に必要である。だが中国とヨーロッパの戦闘機技術には多くの隔たりや差異が存在する。このため、中国はヨーロッパとは異なる方式で殲-10に対しこれら3方面の性能に対しグレードアップを行う必要がある。

レーダー方面では、中国は殲-20戦闘機計画の技術のおかげで、すでに多種の第4世代戦闘機に装備可能な機載アクティブフェイズドアレイレーダーを成功裏に研究開発済みである。だが「タイフーン」と異なるのは、殲-10はこの種のレーダーを元々の装備とするのではないことだ。このためレーダー換装時には戦闘機全体の航空電子および火力コントロールに対しより広範な調整とグレードアップを行う必要がある。武器方面では、中国が現在装備するSD-10系列のアクティブレーダー中距離空対空ミサイルの射程は80kmで、アメリカ製AIM-120ミサイルの初期型のレベルにしか達しておらず、ヨーロッパの「シューティングスター」ミサイルのはるか150kmに達する射程と比べれば隔たりはさらにはっきりする。このため、中国は「シューティングスター」の経験を参考にし、ミサイルにラムジェットエンジンを追加装備することによって射程の延長を実現してもよい。だが、「シューティングスター」ミサイルは設計の初期には早くも、「タイフーン」戦闘機をその主要な搭載プラットフォームとしていた。このため、ミサイルの全体設計方面に大きなこの機への志向性があった。一方中国がもし空対空ミサイルに対しグレードアップを行うなら、大量装備および各種の異なる戦闘機プラットフォームに適応する必要をより多く考慮しなければならない。搭載能力に関して言えば、「タイフーン」の優勢はずば抜けた機体材料と複合吊り下げ架の成功裏の採用に基づいている。これに比べ殲-10戦闘機の機体材料は依然伝統的なアルミ合金材料がメインで、このため搭載能力を向上させたければ、一方において複合吊り下げ架(中国はすでにこの方面で努力を開始している)の大量採用が必要であり、他方では戦闘機の搭載に用いることができるスペースに対し有効な最適化を行い(例えば殲-10は機体下方に、大きく貴重な搭載スペースを占拠するダブルバレル23mm航空機関砲を装備している)、戦闘機の搭載能力に本質的向上を獲得する必要がある。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは前ページと同じです。)

周知のように、中国の全体的戦闘機研究開発レベルはヨーロッパとではなお明確な隔たりがある。殲-10は単発戦闘機であり、その技術的グレードアップポテンシャルも双発の「タイフーン」戦闘機に及ばない。このため、もし中国が殲-10のレーダー、ミサイル、搭載能力に対する全面的グレードアップを完成させても、その全体性能を「タイフーン」の程度に到達させたいと思うのはやはり難しい。だが以上のグレードアップを経れば、殲-10は少なくともすでに近距離空戦において「ラプター」戦闘機に有効に対抗する能力を具備することになり、中国がまだ第5世代戦闘機を大量装備していない状況下では、アメリカの第5世代戦闘機による中国に対する「技術圧迫」を有効に抑制することができる。したがって殲-10戦闘機は、中国空軍が装備する初の、地域空中戦力対抗において決定的作用を引き起こし得る装備となることになる。しかも、もし殲-20に代表される中国国産第5世代戦闘機が多数就役した後、技術的グレードアップを経た殲-10戦闘機は依然長期にわたり高い価値を持つ装備として中国空軍に就役することになる。

第3、グレードアップ版殲-10戦闘機は有効に殲-20戦闘機に対し戦力の補充ができる。

「ラプター」が「レッドフラッグ」軍事演習の中で「タイフーン」によって打ち負かされた過程を客観的に分析すれば、「タイフーン」戦闘機のずば抜けた性能は確かに大きな作用を果たすが、「ラプター」自身が技術的制限ゆえに受けるに至った多くの制限もその最終的な敗北の重要な原因となったことに容易に気付く。だが、周知のように第5世代戦闘機には現段階において比較的多くの技術的制限があるが、その世界の空軍の未来の装備としての趨勢が変わることはない。このため、第5世代戦闘機は完全に成熟した後、必然的に世界で極めて広範に世界の主要空軍国家の主力装備に充当される。中国では、その第5世代戦闘機、すなわち殲-20戦闘機は現在世界に3種ある大型第5世代戦闘機(この他の2種はアメリカの「ラプター」とロシアのT-50)の中で発展時期が最も遅いものであるが、その発展の前途は最も明るい。このため、もし殲-20の実際の就役時期がアメリカやロシアより早くできなくても、それが将来中国空軍の絶対の主力となることは争いのない事実である。こうした環境の中で、もし全体性能上すでにやや遅れていることが明らかであっても、グレードアップ版殲-10は依然殲-20戦闘機の重要な戦力の補充として、中国空軍に大量に就役する。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションはやはり前と同じです。)

従来の第4世代戦闘機とは異なり、第5世代戦闘機は唯一の非冷戦時期に大量装備される戦闘機となる。このため、第5世代戦闘機の装備時には相当程度直面する需要は弱まることになり、コストの高騰、技術的グレードアップ能力不足などは重要な制約要素である。これにかんがみれば、第5世代戦闘機は前世代戦闘機に徹底して取って代わることはない装備ともなる。このため、現在世界の主要空軍国は各自の第5世代戦闘機の具体的技術発展時に道が分かれるが、第5世代戦闘機の後日の装備模式には空前の統一が達成されている。つまり第5世代戦闘機を空軍体系の中の技術と戦力の頂点とし、その技術と戦力の優勢をもって、第4世代戦闘機をメインとする空軍全体戦力を高めるのである。航空研究開発と装備レベルがアメリカ、ロシアに比べなお明確な隔たりがある中国に関して言えばなおさらそうである。もし殲-20が部隊に大量装備されても、その数量はアメリカの「ラプター」の現段階の198機という装備数ほど多くなることはない。こうした状況下で、殲-20がちょうど中国の唐刀(頑住吉注:日本刀に似た、ただし反りのない細身の直刀)の鋭利な刃のようにその能力の発揮を保証して敵の鎧を切り裂きたいと思うなら、重厚な峰を支持として必要とする。そしてこれがまさに大量の殲-10戦闘機の装備が果たす重要な補助的作用なのである。

周知のように予見可能な時期内では、殲-20に代表される中国第5世代戦闘機はなお部隊への大量装備は難しい。しかも中国の「梟竜」、「飛豹」、殲-10戦闘機に頼って構築した空軍国産装備体系は、ロシア製技術にルーツを持つ殲-11戦闘機が中国空軍の主力の地位を長期にわたり占めることを許すはずはない。このため、システム技術グレードアップを経て全体的技術レベルが4+あるいは4++に達した国産第4世代戦闘機はその後比較的長い一定期間内において中国空軍の主力装備となることになる。この過程で、システム技術グレードアップを経た殲-10戦闘機はこれまでのものを引き継いで未来につなぐ重要な作用を果たすだけでなく、いつでも核心的装備の役割を果たすことになる。

(頑住吉注:後のページは画像とキャプションだけです。6ページ目は「厳密に言えば殲-10は第3世代あるいは第3世代半戦闘機であり、F-22との差は明らかで、これをグレードアップしてF-22に対抗するのは適切ではない。」、7ページ目は「今回F-22は対抗中多くの制限を受け、戦績は真実の作戦レベルを反映できなかった。このため第3世代戦闘機がF-22に有効にに対抗できるか否か、意味のある結論は出せない。」)


 こうしたページでは参考画像をどこからか持ってきて、キャプションも流用するため本文の論旨と食い違うことがよくあり、ここでも最後の2ページのキャプションはまるで本文に対する反論になってしまっています。

 この筆者は(例によって韓国のサイトが言ったというのはたぶん嘘です)、ユーロタイフーンがラプターに勝ったのだからグレードアップすれば殲-10もラプターに勝てると主張していますが、いろいろ疑問があります。まずユーロタイフーンがラプターを圧倒したというのは事実なんでしょうか。1機のユーロタイフーンが3機、もう1機のユーロタイフーンが1機のラプターの撃墜判定を受けたというのが事実でも、その間にずっと多くの被撃墜判定を受けているのかもしれません。また、まともに勝負したらラプターが勝つに決まっているということで、近距離空戦に限るなど条件の調整が行われたのかもしれません(実際どうだったかについて強い興味のある人はより専門的なページで確認してみてください)。また、ユーロタイフーンがF-22に勝ったとしても、殲-10もまた勝てるということにはならないのも言うまでもないことです。













戻るボタン