中国の専門家、空母の制動ケーブルを語る

 技術的に意外に難しいものらしいですね。

http://military.china.com/important/11132797/20161217/30087560_all.html#page_2


専門家、制動ケーブルを語る:空母艦載機着艦の「命綱」

最近、地中海で任務を執行するロシアの「クズネツォフ」号空母に再度事故が発生し、1機のスホーイー33艦載機が空母制動システムの故障が原因で、着艦に失敗し不幸にも海に落ちた。このため、一部の艦載機は止むを得ず陸上の飛行場に場所を転じ、空母もシリアの港に停泊した。

空母のそれぞれの大きな組成部分の中で、制動ケーブルは目立たないが、それにもかかわらず艦載機が成功裏に着艦するカギとなる重要装備で、艦載機が安全に「帰宅」できるか否かを決定する。初期の制動ケーブルは空母上でどのように作動したのか? また後期にはどういった改良措置がなされたのか? アメリカ最新の「フォード」号空母はどんな種類の先進的な制動ケーブルを配備することになるのか? 本文は1つ1つ解答する。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシアの『クズネツォフ』号空母および艦載機の資料画像」)

ケーブル・ネット結合

艦載機着艦の「ダブルの保険」

空母は人類の海戦兵器の中の最も偉大な発明の1つで、空母の主力「射手」である艦載機が空母上で安全に発着できるか否かは空母技術の重要なカギである。発進に比べ、高速で飛行する艦載機を動揺して定まらない空母上に降着させる難度はより高く、飛行員に超越的に高い技術と安定した心理的素養があることを要求するだけでなく、さらに信頼できる飛行機制動装置をもって艦載機が100mあまりの甲板上で迅速に速度をゼロにまで低下させるのを助ける必要がある。1911年には早くも、「ペンシルベニア」号装甲巡洋艦がもう制動ケーブルを利用して、初めて飛行機の制動降着を実現させた。現在まで、人類はすでに相次いで重力式、制動式、液圧式、液圧緩衝式、ターボ電力式など多種の類型の制動装置を研究開発している。

空母が最も早く使用したのは重力式制動装置だったが、その構造は非常に簡単で、実際には両端に重い砂袋を結んだ太い麻縄だった。使用時は縄を横向きに配置して艦載機の降着が予定される甲板上にしっかりと張った。艦載機の降着時、機体下面の尾部フックが制動ケーブルを引っ掛け、重い砂袋と甲板が生じさせる摩擦力が飛行機を減速させた。制動効果と成功率を向上させるため、初期の空母は通常十何本、甚だしきに至っては二十本あまりの制動ケーブルを配置した。重力式制動装置は便利だったが、制動エネルギーは比較的低く、プロペラ艦載機時代はまだ作用を発揮できたが、ジェット式実戦機時代に入った後はすぐに使用価値を失った。だが、この種の甲板を横にまたいで制動ケーブルを配置する方式と制動原理は今に至るまでずっとそのまま用いられ、各国の空母制動装置の標準配置方式となっている。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカ海軍空母甲板作業人員が制動ケーブルを整理しているところ」)

制動ケーブルと共に生まれたものにはさらに制動ネットがある。1926年、アメリカ海軍のガリー大尉が操縦する飛行機が「ラングレー」号空母に降着する時、尾部フックが制動ケーブルに引っかからず、飛行機は甲板に駐機する機群に突っ込み、12機の飛行機が損傷を受けた。事故発生後、艦長は木枠とロープを用いて飛行甲板上にネットを立て、制動降着に失敗した飛行機の制動用とすることを決定した。これこそ制動ネットの由来である。この後、制動ケーブルと制動ネットから組成される二重の制動システムが徐々に形をなした。現代空母が配備する制動ネットは一般に高強度のナイロン材料からなり、艦載機の尾部フック、脚に故障が出現、飛行員が負傷、燃料を消耗し尽くしたなどの状況下で応急的に艦載機を回収するのに用いられる。反復使用できる制動ケーブルとは異なり、制動ネットは1回使用した後交換が必須である。

柔軟性と靱性が良い

85万ニュートンの引く力を受け入れることができる


艦載機の重量と飛行速度の不断の増加と共に、空母の制動ケーブルシステムはさらに一歩改良されまたグレードアップされた。現在液圧緩衝式制動装置が現役空母の主力で、その中で最も代表性を持つのはアメリカ海軍のMk7型制動システムである。これは主に制動装置、制動装置駆動システム、制動ケーブル支持システムおよび鋼索固定緩衝システムなどから組成される。最新型のMk7-3型は時速130km、重量約23トンの艦載機が回収でき、制動距離は約100m、西側諸国の現役艦載機の着艦の需要を満足させることができる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカ海軍空母が使用する制動システム」)

制動システムの中で、艦載機と直接接触するのは制動ケーブルである。アメリカ海軍空母は一般に4本の制動ケーブルを設けてあり、第1本目は傾斜した甲板後端からの距離55mのところに設けられ、しかる後14mを隔てるごとに1本が設けられ、弓形スプリングによって立てられ、飛行甲板より30〜50cm高くなっている。艦載機の着艦時、飛行機の尾部フックは甲板上に間隔を置いて配置される制動ケーブル1本を引っ掛け、その後慣性の作用の下制動ケーブルを引っ張って前進する。この時甲板下の滑車と液圧緩衝器の緩衝、エネルギー吸収が艦載機を2〜3秒以内にゼロまで減速する。飛行機の停止後、制動ケーブルはリリースされて下に落ち、自動的に元の位置に戻り、次の1機の着艦の到来に準備する。

艦載機の巨大な衝撃力、甲板の摩擦力、および各種化学物質や海水の腐蝕を受け入れる必要があるため、制動ケーブルには非常に高い強度がある必要があるだけでなく、さらに非常に良い柔軟性と靱性および耐腐食性の保持が必要とされ、索体の材料やこれを編む技術に対する要求は極めて高い。米軍空母の制動ケーブルは直径35mmで、6本のスチール線を編んだ縄からなり、それぞれは12本のメインスチール線と12本の補助スチール線を緊密に編み上げ、最大で85万ニュートンの引く力を受け入れることができる。このため、制動ケーブルは正真正銘の高度科学技術製品で、現在世界で製造できるのはアメリカ、ロシアなど少数の国しかない。今回ロシア空母の制動ケーブルに故障が発生したのは、それ自体の質に問題が存在した可能性がある他、維持保護が一定の状態に達していなかったという原因も排除できず、このことはソ連解体後のロシア造船業の技術後退の現実をも屈折して映し出している。

スマートで効果が高い

ターボ電力制動が出現


数十年の発展と改良を経て、現在アメリカ海軍のMk7系列制動システムはすでに非常に成熟している。だが、このシステムには依然非常に多くの弱点が存在し、米軍次世代空母やF-35艦載機の需要を満足させ難い。まず、このシステムは構造が複雑で体積が比較的大きく、日常の維持保護メンテナンスが困難で、大量のマンパワー、マテリアルパワー、ファイナンシャルパワーを費やす必要がある。これはアメリカの新型空母の人員編成削減、自動化水準、コストパフォーマンス向上の要求とは逆行する。次に、このシステムの制動力量は比較的洗練されておらず、正確にコントロールできず、巨大な引く力は艦載機の尾部フックおよび尾部フックがつながる機体の部品に容易に疲労、老化をもたらし、艦載機の就役寿命を短縮する。最も重要なカギは、このシステムの着艦する実戦機の重量や速度に対する制限範囲は比較的狭く、艦載機が余分の燃料を放棄し、弾薬を捨てて「ダイエット」した後にやっと安全に降着できることで、これは明らかに非常に大きな浪費をもたらす。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカの新たなフォード級空母は電子制動システムを使用」)

このため、2003年にアメリカ海軍はノースロップ・グラマン社とゼネラルアトミック社にそれぞれ先進的な着艦制動システムの研究開発を委託した。競争と評価を経て、ゼネラルアトミック社のターボ電力制動方案が勝利した。

Mk7型制動装置に比べ、ターボ電力制動の体積はよりコンパクトで、スマート化され、自動化水準がより高く、顕著な優勢を持つ。一方において、それはより軽い合成電気ケーブルシステムとモーターの採用により、艦載機の着艦重量と着艦速度の範囲を拡張し、質量のより大きい、速度がより速い新世代艦載機の着艦の需要を満足させることができる。他方では、このシステムは艦載機の差異を根拠に、自動的に制動ケーブルの張力のピーク値を設定し、艦載機の尾部フックの負荷および艦載機の甲板上での停止位置を正確にコントロールし、正確コントロールを実現し、艦載機の使用寿命延長の助けになり、かつ無人機が回収できる。この他、ターボ電力制動システムはさらに自己診断および維持保護を促す機能を持ち、内蔵されたプログラムが制動ケーブルの磨耗による損傷状況を自動的に追跡でき、艦員がシステムの故障を遅れず発見し修復する助けになり、制動装置の信頼性を顕著に向上させる。しかも4名の操作コントロール員しか必要とせず即回収作業が完成でき、40名あまりの操作および維持保護人員を減らし、システムの全寿命の費用を有効に低下させている。

現在この先進的な制動システムはすでに「フォード」号空母上で使用され、アメリカ海軍は将来さらに現役のニミッツ級空母も換装すると見られる。


 あるいはむしろ電磁カタパルトより難度が高いかもしれませんが、中国での研究開発状況はどうなっているんですかね、電磁カタパルトと違って話題になることが少ないようですが。




















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