中国の対衛星兵器

 いろいろ噂になっている中国の対衛星兵器に関する記事を紹介します。なお、「1月11日」がキーワードになっているのでその意味ではやや情報として古くなっています。

http://military.china.com/news/568/20130110/17625360.html


メディア、中国の多種の対衛星兵器を明らかに アメリカ衛星かつて神秘の失明

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「原文に添えられた画像:対衛星兵器の説明図」 って原文が何なのかの説明がないんですが)

アメリカにとって毎年1月11日はいつも彼らの神経を緊張させるようだ。彼らの目の中ではこの日はすでに中国の「衛星を打撃する日」になっているようである。2007年1月11日に中国が第1回目の対衛星試験を行ってから、中国はまた何回か1月11日を選択して重大な武器の試験活動を行っている。2013年1月11日の何日か前、少なからぬアメリカ人がもうすでに神経を緊張させた。今回中国は世界に向けどんな種類の最新軍事技術をデモンストレーションするのか?

1月4日から、アメリカの全国放送会社、アメリカ科学者連盟、SPACE.comやWashington Free Beaconウェブサイトなど多くのメディアがもう推測を開始した。「中国軍が戦略対衛星試験を行う可能性が高く、時期は1月11日である可能性が高い。」アメリカの軍事専門家は警告し、5年前の対衛星試験に比べ、今回中国がデモンストレーションする対衛星能力はさらに人を驚かせるものだ、とする。何故なら2007年当時の対衛星試験の対象は低地球軌道で運用される衛星だったが、今回中国軍は高地球軌道で運用される衛星を目標として照準し、ここにはアメリカの最も重要な宇宙資産があり、真っ先に攻撃を受けるのはアメリカのGPSナビゲーション衛星だからである。ひとたびGPS全地球位置決定ナビゲーションシステムが攻撃に遭えば、アメリカ軍の正確制御誘導爆弾、ミサイルの大部分は「盲人」に変じ、このことの衛星と情報ネットワークに高度に依存するアメリカ軍に対する打撃は壊滅的なものになる。


中国は運動エネルギー対衛星技術の研究以外に、さらにレーザー技術を利用して相手の宇宙施設を打撃あるいは制約する研究も行っている。アメリカの「空軍」誌は2013年最新出版の1月号で文章を書き、中国軍はすでに「宇宙地雷」と呼ばれるミニ衛星を研究開発しており、この衛星は宇宙を飛び、搭載するレーザー兵器を利用し、随時相手方の衛星を打撃して盲目化し、あるいはその機能に対し制限を行い、これを一定時間正常に作動できなくさせることができる、とする。

(頑住吉注:これより2ページ目)

まさにこうした戦略的意義を備えた新軍事技術の出現は、アメリカに不安と危惧を感じさせるに至っている。少し前、あるアメリカ国防省の高級官僚はアメリカメディアに向け、「オバマ政権は中国が間もなく行う対衛星兵器試験に非常に関心を持っている」、と漏らした。

1月11日は中国の「衛星を打撃する日」か?

実は、アメリカの安全保障業務界や情報界では、「中国が間もなく対衛星試験を行う」との噂が去年10月中旬からもう流れ伝わり初めていた(頑住吉注:コラムでも10月23日に「台湾メディア:中国の新型対衛星ミサイルはアメリカにアジアからの退出を迫ることになる」という記事を紹介しました。あの記事では中国が対米強硬路線の共和党政権に変わることを嫌い、実験を延期してオバマ当選を「助ける」のでは、とされていました。)。当時アメリカのWashington Free Beaconウェブサイトの有名な記者ビル ゲイツは、あるアメリカの情報界の権威ある情報ソースが彼に向け、「中国が間もなく対衛星試験を行う」と漏らしたと早くも言明していた。

中国は2012年内には対衛星試験を行わなかったが、アメリカ人のこの種の不安は決して消え失せず、2013年1月11日が近づくにつれかえってさら激しくなってきた。1月4日、アメリカのSPACE.comが発した文章は、「中国はすでに準備を整え、近い時期内に2007年以後第2回目の対衛星試験を行う。今回は高地球軌道にあるアメリカのGPS全地球衛星位置決定システムと軍事偵察衛星が共に中国軍の仮想目標となる。」とした。

何故1月11日が選択されるのか? 「世界報」特約軍事評論員の郭宣は、西側の人は数字に普遍的に一種特殊な「感覚」があり、ある数字が特殊な意味を含んでいる可能性が高いと考えているのだ、と考える。中国が2007年と2010年、それぞれこの日にこの種の試験を行ったので、「1月11日」は一部の西側ウォッチャーによって特殊な意味が賦与されている。あるいは彼らは、1月11日は中国軍にとって非常に縁起の良い日であり、中国軍の「対衛星の日」かもしれないと考えているのか。

(頑住吉注:これより3ページ目)

アメリカ情報機関の最新の情報による、「中国がより戦略性を備えた対衛星兵器能力試験を行う」という、この「戦略性」はどんな部分に表れるのか? アメリカの軍事専門家リチャード フィッシャーは、今回の試射はGPSナビゲーション衛星、スパイ衛星などの高軌道衛星を照準することになると考えている。ずっと以前から高軌道宇宙はアメリカによって最後の「戦略的高地」と見なされ、この高地をしっかりと支配してこそ最も重要な情報の要を掌握でき、したがって軍事的優勢を占められる、と考えられてきた。だが中国の対衛星兵器のさらなる一歩の発展、特に高地球軌道衛星を打撃する能力を持った後、高地球軌道はもはやアメリカ軍だけが独占するものではなくなる。

アメリカ科学者連盟の学者ジョージ クラクチは言う。ここ何年かに取得した技術的進歩と共に、中国の今回の対衛星試験の中ではこれまでとは異なる技術が採用される可能性があり、具体的に言えば「某衛星の破壊を目標としない」ことである。2007年1月11日に行われた対衛星試験中、中国は850kmの高空で本国の廃棄された気象衛星を破壊した。だがこの種の直接上昇式対衛星手段を採ることは、およそ3,000個のスペースデブリを生み、これらのスペースデブリは宇宙を運行する他の正常な衛星に脅威を与えるに至る可能性があり、「このことも一度中国に国際世論の圧力を受けさせた。」 2010年1月11日、中国は陸上基地中段対ミサイル試験を行ったが、本質的にはこれも対衛星試験と見なすことができる。このため、2013年に中国がもし対衛星試験を行うなら、いくつかの異なる類型の技術を対衛星武器の探索の中で用いる可能性が高く、あるいは直接某衛星を破壊するのではなく、その部分的機能を喪失させるかもしれない。

だが、Washington Free Beaconウェブサイトが得た情報は、今回中国はやはり「動能」-2(DN-2)型直接上昇式対衛星武器を採用する可能性がある、としている(頑住吉注:「動能」は運動エネルギーの意)。このウェブサイトはあるアメリカの情報人員の話を引用し、2013年1月の某日、中国はある陸上ミサイル基地から最新のDN-2型ミサイル1発をを発射することになる、とする。アメリカの情報部門は、このミサイルは高地球軌道迎撃ミサイルで、軌道上を運行する衛星を高い速度をもって破壊するのに用いるよう設計されている、とする。アメリカ軍の兵器専門家は評価し、この新型ミサイルは戦略的意義を持つ重要な対宇宙兵器だ、と考える。

(頑住吉注:これより4ページ目)

中国のレーザー兵器はすでに実戦化に入っている

中国の対衛星兵器に関し、最も早くアメリカの不安を引き起こしたのは、決して2007年1月のあの対衛星試験ではない。2006年9月には早くも、アメリカ人はある「神秘の事件」によって震撼させられていた。当時アメリカの「安全保障業務ニュース」の報道は、アメリカのあるスパイ衛星が中国の「頭上」を通過する時、突然短時間「失明」した、とした。その後、中国の宇宙兵器の発展に関する噂が同年9月、急速に伝播していった。

後にアメリカの官僚は事実確認し、中国がレーザーを利用してこのアメリカの衛星を掃射し、このスパイ衛星を短時間「盲目に至らしめる」ことに成功した、とした。ある報道は、中国はここ何年かの時間内ですでに陸上基地レーザー発射器をテストし、これはアメリカの偵察、スパイ衛星専門に対処するものだ、とした。報道はさらに中国のこの挙の目的は、アメリカの軍事スパイ衛星をしばらく、あるいは永久的に「失明」させることに他ならない、と推測した。

アメリカの「The Huffington Post」も報道し、「中国はいくつかの対衛星兵器を開発中で、これには衛星を盲目に至らしめることができる光学装置である陸上基地レーザー装置が含まれる。これらの兵器は外国軍の打撃に遭わない中国の内地に配備され、敵国の宇宙軍事システムに対し威嚇を実施できる可能性がある。」、とした。

(頑住吉注:これより5ページ目)

だがアメリカの一部の専門家は、陸上基地のレーザー装置に頼って宇宙にある衛星を損傷させるという技術の難度は非常に高いと考えている。アメリカ国防情報センターのゼルイサ ヒギンスは次のように強調する。レーザー照射によって軍事衛星の機能を失わせるのは極端に困難なことで、アメリカの科学者すらまだこのように強大な機能を持つシステムを開発していない。しかもレーザーを使って衛星を攻撃するのは投資の大きな、高い技術のプロジェクトである。このため大多数の、中国の「レーザー兵器の脅威」を騒ぎ立てる人は針小棒大に言っているのだと考える。

「世界報」特約軍事評論員の陳光文は指摘する。衛星に対し攻撃を発動するには主に2つの方式がある。すなわちハード破壊とソフト殺傷である。以前中国が行った対衛星試験は前者に属し、衛星の物理的存在を消し去り、永久的に衛星の使用を終わらせる。いわゆるソフト殺傷は衛星システムを完全に破壊しないという前提の下に、衛星システムの機能を低下させ、あるべき作用を発揮できなくすることを指す。レーザー技術を利用して衛星に脅威を与えるのはソフト殺傷に属し、目的は一時的に敵サイドの衛星の実際の効果を奪うことである。

中国がレーザー兵器を利用して衛星に脅威を与える能力を持つか否かに関してはなお定まった論がないが、中国のレーザー技術が非常に大きな進歩を獲得していることは争いのない事実である。香港の「大公報」の報道によれば量子ドットレーザー装置の理論研究方面で中国は世界で最も先んじた地位にあり、超強出力固体レーザー装置もまた世界一流である。レーザー束は3千kmの距離で1平方cmあたり35Kジュールのエネルギー密度を獲得可能である。これは攻撃ミサイルの破壊力に比べ1桁近く高く、有効殺傷半径は3万kmを超える。

高宇宙軌道は地球表面から実際のところ2万km〜3.6万kmの距離があるため、未来の中国のレーザー技術がもしより成熟し、目標照準能力がさらに一歩向上しても、陸上基地から発射されたレーザーが相手の高地球軌道衛星に脅威を与えるというのはあり得ることではない。

(頑住吉注:これより6ページ目)

実は、実践の中で最も容易に実現される新概念兵器はまさにレーザー兵器であり、しかも各国の軍隊はとっくにレーザーを使用中で、距離測定装置、レーザー目標指示、誘導設備に用いている。最も現実的なのは対空および対ミサイル防御用途のレーザー装置の製造で、何故ならレーザーを使用して空中目標を破壊するのは、地上の装甲目標を破壊するのに比べずっと容易だと思われるからである。また、対空レーザー兵器に関して言えば、エネルギー発生装置の寸法の制限もずっと小さい。あるロシアの専門家は指摘する。現在まで世界で唯一の現実的なレーザー兵器の作戦サンプル品は中国によって製造されたもので、主に国産の99式戦車に装備し、瞬間的に敵サイドの戦車の照準手を失明させることができる。

アメリカはすでに中国の「対衛星試験」がアメリカの宇宙にある衛星に「傷害」をもたらす可能性が高いこと、しかも中国が陸上基地高エネルギーレーザー「衛星機能妨害装置」、すなわちアメリカの言うところの「レーザー対衛星兵器」を研究開発中だということを意識するに至っている。このためアメリカの軍事専門家は警告し、ワシントンにとって「宇宙監視網」を建立し、かつ中国の宇宙活動に対する監視を強化することは当務の急であるとしている。

アメリカメディア、中国の「宇宙地雷」の威力は巨大であると推測

「中国はいくつかの対衛星兵器を開発中で、これには衛星を盲目に至らしめることができる光学装置である陸上基地レーザー装置が含まれる。これらの兵器は外国軍の打撃に遭わない中国の内地に配備され、敵国の宇宙軍事システムに対し威嚇を実施できる可能性がある。」 (頑住吉注:前に出てきた内容の繰り返しで、文章の流れにも合っておらず、元々の記事ではキャプションだったのではないかと思います。)

(頑住吉注:これより7ページ目)

高地球軌道対衛星兵器の試射は、中国が対衛星能力上重大な進歩を獲得していることを示しており、中国はこの方面においてすでに十年余りの時間探求を行っている。高地球軌道は、地球との相対的位置が不変の軌道とも呼ばれ、この軌道には通常重要な通信衛星やナビゲーション衛星が運行されている。高地球軌道の地球表面からの実際の距離はおよそ12,000〜22,236マイルである。

アメリカの「空軍」誌は出版されたばかりの2013年1月号の中で、「宇宙の現状を打破する」との文章を掲載した。この文章は次のように指摘している。中国が対衛星兵器の研究を強化するのと同時に、アメリカは大きな力を入れて自らの宇宙における能力を発展させ、自らの宇宙資産を拡大し、そしてしっかりと宇宙における優勢を掌握するべきである。中国の対衛星兵器を強調する時文章は、すでに世界に向けデモンストレーションされている運動エネルギー対衛星兵器以外に、さらに中国が開発する一種の「宇宙地雷」への警戒が必要だとする。このミニ衛星は搭載するレーザー兵器を利用して相手方の衛星を破壊あるいは盲目に至らしめることができる。運動エネルギー対衛星兵器に比べ、この種の「宇宙地雷」の隠蔽性はより強く、より殺傷力を備えている。

アメリカの「空軍時報」のこの前の報道によれば、中国は一種の、「宇宙地雷」として使用できる新型ミニ衛星を開発中であり、この衛星は宇宙を飛行し、随時命令を待ち、必要時は他の衛星や宇宙船を待ち伏せ攻撃できる。アメリカと日本がアジア太平洋地域の監視コントロールに用いる衛星は「明らかに中国のミニ衛星の攻撃範囲内にある」。アメリカはこの衛星に対し非常に憂慮しているが、まだこれがすでに発射され宇宙に向かったのか否か、まだ確定していない。

(頑住吉注:これより8ページ目)

アメリカの軍事専門家リチャード フィッシャーは指摘する。何年も前から人々はずっとアメリカの宇宙における優勢がすでに危険にさらされていることを警告している。今人々は確信を持って、未来の戦争においてアメリカ軍は、アメリカ軍の作戦のために無数の優勢を提供する宇宙能力をもはや自由に使用できない、と言える。「潜在的敵対者はアメリカの宇宙に対する依存度をはっきり分かっているだけでなく、アメリカとの競争を起こし、その宇宙の優勢に挑戦しようともしている。」

アメリカの一部の軍事専門家は評価し、中国は通常の衛星の発射方式をもっていくつかの攻撃性能と自爆性能を持つ小型衛星(つまり「宇宙地雷」)を予定された高度の宇宙軌道まで発射し、その後敵国の衛星が一定のペースを保持して飛行する軌道に多くのこの種の小型衛星を敷設することになる、とする。一般的な状況下では、この「攻撃能力を持つ宇宙地雷」は全て非戦闘常態にあり、単に飛行という方式をもって敵国の衛星の飛行軌道宇上に「埋められ」ているだけで、普通の衛星と何の差異もない。だが、ひとたび戦争状態に入れば、地上の指揮センターは直ちにこれらの「宇宙地雷」に対し「戦闘模式開始の信号」を発することができ、「宇宙地雷」はすぐさま作戦常態に入る。

以前は技術的制限のため、アメリカ軍は中国の「宇宙地雷」は「自爆」方式を採って、爆発力と破片に頼って敵サイドの、同一の軌道にいる衛星を攻撃する、と考えていた。だがこの種の方式は必然的にスペースデブリを生み、本国やその他の国の衛星に対し後続の影響をもたらし、このためマイナス面の効果が比較的大きい。中国のレーザー技術の成熟につれ、アメリカの研究人員は、新世代の「宇宙地雷」は先進的レーザー技術を採用する可能性が高いと考えている。「宇宙地雷」が戦闘模式に入った後、レーザー触発装置が自動的にオンになり、「宇宙地雷」はすぐ相手方の衛星に向けレーザー攻撃を発動する。目的は敵の衛星を麻痺させ、あるいは打撃により盲目にすることである。

(頑住吉注:これより9ページ目)

中国国防部は去年11月に「中国が間もなく対衛星試験を行う」との情報の真実性を否認したが、遠からぬ前あるアメリカ国防省の高級官僚は密かに、オバマ政権は中国が間もなく行う対衛星兵器試験に非常に関心を持っている、とした。オバマは何故このように心配するのか? 新アメリカ安全センターが出したあるレポートは、「宇宙を有効に利用できる軍隊が、全地球にあまねく分布する通信、監視、情報収集能力、正確な部隊配備能力、正確な位置決定能力を利用することによって、無数の優勢を獲得できることは明らかに分かることである。」とした。これに関し、アメリカは切実に体得している。

「このため、もしある戦争の危機において、解放軍が小規模な対衛星打撃を展開し、アメリカの50個の衛星を破壊し、もしこれにロックオンされた軍事偵察衛星、ナビゲーション衛星、通信衛星が含まれたら、アメリカに壊滅的影響を生むことになる。」とかつてハドソン研究所に勤めていたマイケル ピアスブルは言う。


 虚虚実実と言いますか、中国には実際よりも能力を高く見せかけてアメリカが口出し、手出しするのを躊躇するよう牽制する意図があるでしょうし、アメリカの軍需産業にも財政難の中で中国の脅威を実際以上に強調して予算の削減を抑えたいという意図があるでしょうし、結果的に話がオーバーになってしまっている疑いが濃いように感じられます。もちろん警戒はすべきでしょうが。

 レーザーによる衛星攻撃が非常に困難のような記述がありますが、素人考えではレーザーの場合、命中までの時間における目標の移動距離、風による偏差などを一切考慮する必要がなく、また命中しなかった場合も狙点を微調整することができ、高出力のレーザーを一定時間照射する技術さえあれば逆に技術的には単純なのでは、という気もするんですが。










戻るボタン