銃の弾丸も制御誘導される時代が来る?

 中国での研究の現状に関する記述がないのが残念ですが興味深かったです。

http://military.china.com/important/11132797/20170526/30578244_all.html#page_2


米軍、「制御誘導弾丸」を研究開発中 百発百中が可能 内蔵チップが飛行をコントロール

「百歩離れて柳の葉を撃ち抜く」神射手になる。これは何百年来兵士たちの究極の夢だが、この夢は遠からぬ将来現実に変わることが有望である。

アメリカメディアの報道によれば、最近アメリカ国防省高級研究計画局(DARPA)が展開する正確制御誘導弾丸プロジェクトは、ミサイル同様空中で方向転換でき、照準しなくても目標に命中し得る武器を研究開発中である。ならば、このカーブする弾丸とは何のことなのだろうか? またそれはいかにして正確制御誘導を実現するのだろうか?

目が備わっていて曲がる

伝統的な弾丸は発射後機動能力を持たず、ひとたび発射されれば、それは直線あるいは放物線の弾道に沿って飛行するしかない、ということを我々は皆知っている。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「正確制御誘導弾丸」)

弾丸の正確な目標への命中を保証するため、射手は射撃前に重力、風速の大小、目標の移動速度など一連の要素を充分に考慮し、銃身の頂点、仰角、偏角などのパラメータを合理的に調整することが必須だが、このことは疑いなく射撃する人員の質に対し非常に高い要求を提出している。

もし制御誘導システムと飛行コントロールユニットを弾丸に組み込めば、制御誘導技術によって弾丸に目標識別および機動追跡能力を具備させることができる。例えるならば、もし伝統的な弾丸が盲目で、目標に命中できるか否かは純粋に射手の目と頭の力に頼って実現されるとすれば、正確制御誘導弾丸は目が備わり、羽を装備し、思考し、目標を追跡できるスマートなグレードアップ版である。

伝統的な銃器と比較して言うと、正確制御誘導弾丸は非常に大きな優勢を持つ。まずそれは重力、強風、目標移動などの不利な要素を克服し、命中精度を大幅に向上させることができる。次にスナイパーライフルの有効射程を現在の1〜2kmから3〜5kmにまで延長させることが有望で、照準時間はノーマルなスナイパーライフルの1/5でしかない。

また、目標識別および追跡技術のおかげで、制御誘導弾丸は静止および低速目標を打撃する他、さらに高速移動目標が打撃できる。最後に弾丸のスマート化は射撃する人員の質に対する要求を非常に大きく低下させ、もし新兵でも簡単な養成訓練を経た後は百発百中の神射手となれる。

このため、正確制御誘導弾丸の遠距離、高精度、操作が簡単など一連の優勢は、それが必然的に未来の戦争の形態を改変する革命的性質の兵個人武器となるだろうことを決定している。

小さな体に大きな内容

雀は小さいが五臓全て備わっている。正確制御誘導弾丸を銃器によって発射したければ、早急に解決しなければならないのは小型化の問題に外ならない。長さ1/2m、直径10pのポケットミサイルに比べ、指サイズの弾丸の中にチップ、処理機、制御誘導、飛行コントロールユニットを組み込み、それにミニサイズの「大脳」、「目」、「羽」を持たせるのは、疑いなく「微彫」(頑住吉注:米粒に経文を書き込んだりするあれの中国版と考えればいいでしょう)に相当する。

ここ十何年来のマイクロエレクトロニクスシステム技術の急速な進展と共に、光電子ユニット、半導体ユニット、集積回路や情報処理機の小型化技術はすでに少しずつ成熟してきており、将来ひとたび小型化され、高精度の制御誘導システムを持てば、弾丸はすぐに変身し、自由自在のところを打撃できる正確制御誘導弾薬となれる。

その作動原理は簡単に次のように描写できる。弾丸本体の前端の光学センサーが射撃する目標を捜索、追跡するレーザー制御誘導ポイントで、かつ不断に変化する目標の位置情報をリアルタイムに制御誘導システムと指揮ユニットに伝達し、後者は処理機によって必要な飛行経路を計算し、かつ小型駆動モーターを指揮して伝動システムとして動力を提供させ、ミニサイズの尾翼を回転させて方向を調整し、弾丸が目標を追跡しかつ命中するのをコントロールする。

また、弾丸の発射時軸向きに受ける衝撃の過負荷は非常に大きく、バレル内の高速の燃焼ガスも微小な可動尾翼に障害を与える可能性がある。このため弾丸内の電子ユニットに対し抗衝撃設計を行う必要があるだけでなく、燃焼ガスの微小な可動部品に対する破壊も防止する必要がある。

優勢は非常に大きく大国は勝負する

正確制御誘導弾丸はすでに現在それぞれの軍事大国が研究するホットなポイントの1つとなっている。

アメリカは正確制御誘導弾丸概念の提出者で、研究開発の中でも先んじた地位にある。DARPAは「極度正確弾薬」(EXACTO)の基礎研究プロジェクトに資金援助しつつある。このプロジェクトはアメリカの兵器商ロッキード・マーティン社とサンディア国営実験室が共同で責任を負っている。

EXACTOプロジェクトの弾丸は長さ約10cmで、12.7mm口径銃器に適用され、この弾丸はレーザー制御誘導を採用し、狙撃手は発砲後継続してレーザーをもって目標を照射する必要がある。この弾丸は0.8kmの目標に対する打撃精度20.3cm以内を達成し、一方普通の弾丸はおよそ9.1m逸れる可能性がある(頑住吉注:そりゃよっぽどひどい銃か射手でしょう)。

2014年以来、EXACTOプロジェクトは何度もの実弾試験を展開しており、公開の試験ビデオによれば、もし当初わざと照準を誤った状況下でも、弾丸はミサイルのように空中で方向転換しかつ1.6km以遠の目標に命中できている。

2013年、フランスの銃器メーカーTrakingPoint社も正確制御誘導弾丸を使用するPGF制御誘導ライフルを発表している(頑住吉注:やっぱ昔モデル化したことのあるF1の面影があるなと感じました)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「PGF制御誘導ライフル」)

このライフルは光学照準具と火力コントロールシステムを配備し、7.62mmと8.58mm(頑住吉注:.338ラプアマグナムですな)という2種の口径があり、最大射程は1.1km、それぞれの銃にはいずれもiPadタブレットパソコンが配備され、無線LANによって友軍と連絡が行える。同社の言によれば、PGFライフルはいかなる兵士にも正確射撃能力を具備させることができる(頑住吉注:これは今回テーマになっているものとは別なのでは)。

欠点は長所を上回り大いになすべきことがある

いかなる武器も完全無欠を達成することはできず、正確制御誘導弾丸にも顕著な弱点がある。

現在、いくつかの国が研究開発する正確制御誘導弾丸の多くはレーザー制御誘導を採用し、弾丸発射後、さらにレーザーを用いて持続的に照射し、目標をマーキングする必要があり、レーザーは妨害されやすいだけでなく、射手も目標として暴露し致命的な災いを引き起こしやすい。

また、弾丸自身には持続的な動力がなく、湾曲機動は一部の運動エネルギーを消耗し、目標に対する殺傷力は伝統的な弾丸より小さいだろう。このことは科研人員が火薬を改善して初速を向上させ、弾丸の殺傷力を増大させることを必要とする。

また、正確制御誘導弾丸は一般の弾丸に比べはるかに複雑で、製造コストがより高く、伝統的弾丸のように大量購入することは不可能であり、特殊作戦任務を執行する部隊にしか装備できない。

要するに、正確制御誘導弾丸には現在まだ種々の不足があるが、伝統的な弾丸に比べての非常に大きな優勢は覆い隠すことができない。予見できるのは、各国が正確制御誘導弾丸の研究開発の上に持続的に投資するのと共に、このカーブする武器は日増しに完備され、かつ遠くない将来戦場に登場し、戦争に対し革命的性質の変化をもたらすことが有望だ、ということである。


 当然ノーマルな弾丸に代わって主流になることはできず、ならば無理に従来型の銃や弾薬と共通性を持たせず、直径30mm、長さ30cmくらいの超小型ミサイルを発射する特殊ランチャーをスナイパーライフルの代替品に使う方が簡単で合理的なような気もするんですが。















戻るボタン