中国はX-37Bをどう見ているか

 対衛星兵器などにも力を入れる中国に大きな差をつけ、優位に立つことができるんでしょうか。

http://military.china.com/news2/569/20141031/18915578.html


神秘の宇宙無人機X-37B:腕前は非凡 影響は軽視できず

今年10月17日、地球をめぐる軌道上を22ヶ月の長きにわたって飛行した後、アメリカのフロリダ州ケープカナベラル空軍基地から飛び立った後軌道に進入していたX-37Bがスムーズに帰投し、かつカリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地に成功裏に着陸した。これはこれまでX-37Bが執行した宇宙機密任務のうち時間最長の1回である。アメリカ軍は終始今回の行動に関するいかなる情報も明らかにしておらず、X-37Bというこの秘密の「宇宙の殺し屋」の計り知れぬ神秘ををいよいよ目立たせている。

名目がすこぶる多い「肩書き」

X-37Bの当初における位置付けは無人宇宙機である。外観から見て、そのサイズはおよそスペースシャトルの1/4で、重量は約5トンであり、典型的なミニ版スペースシャトルである。だが人々はそれにもかかわらずこの新型宇宙機材に多くの肩書きを与えている。

1つは無人宇宙戦闘機である。現在各国の軍事専門家は普遍的に、X-37Bは将来各種の宇宙作戦任務を執行でき、これには宇宙偵察、敵国の衛星の攻撃あるいは捕獲、対衛星武器の軌道変更および回避などの作戦行動が含まれる、と考えている。まさにこうした重要な軍事応用価値のため、人々はそれを無人宇宙戦闘機と位置付けるのである。

X-37B宇宙飛行機が無人化設計を採用したのには、およそ3つの方面の要素がある。まず未来の作戦の無人化で、これは米軍が大きな力を入れて作戦能力を増強する重要な任務である。今世紀から、米軍は続々と無人戦場装備を登場させており、例えば最も早かった無人操縦車両で、後になって各種の小型偵察輸送戦闘車両、さらに現在急速に発展している無人機が登場した。無人化作戦により、大量のマンパワー、マテリアルパワーが節約できるだけでなく、さらに重要なのは人体の極限を突破し、各種の人類が受け入れ難い作戦環境および状態に進入し、したがって伝統的な人工模式では達成し難い作戦効果が発揮できることである。

次に有人のスペースシャトルは製造コストが高く、リスクが大で、期間が長いことである。1機のX-37Bの製造コストはスペースシャトルの1/4に満たず、また相対的に成熟したロケット運搬発射技術の支持の下に、その成功率は比較的高い。最も重要な点は、X-37Bは反復使用できることで、このことはスペースシャトルの毎回少なくとも5億アメリカドルの発射コストに対して言えば、このより廉価な飛行搭載機を研究開発、運用することは明らかに必然の趨勢である。

最後に、無人機の優勢という角度から見ると、X-37Bは伝統的なスペースシャトルに比べより大きな作用を発揮することになる。この無人機には超ステルス、長航続時間、超高速などいくつかの現代戦闘機が対抗できないメリットがあり、X-37Bは現在すでにこうしたメリットを基本的に具備している。今回の2年近い巡航時間は、X-37Bの超越的に長い「待機」能力を示すに足り、さらに加えて最高マッハ25の速度があり、さらに伝統的なレーダーを「明きめくら」にさせることができる(頑住吉注:直訳なんでよろしく)。

2つ目は先進技術検証機である(頑住吉注:ちょっと混乱しましたが肩書きその1の中で無人にした理由を3つ挙げ、それが終わって今度は肩書きその2、というわけです)。技術検証の名目をもって人に言えない軍事用途を覆い隠す目的を達成するため、ボーイング社はX-37Bに人類の航空宇宙および製造業の最も先進的な技術を集成し、それを人類の宇宙技術の集大成たる者とさせた。最も典型的なのはスクラムジェットエンジンの運用に他ならず、このエンジンは簡単に言えばエンジン内に吸気を行い、超音速の気流を使用して極めて短時間内に圧縮、燃焼、吸排気の任務を完成させ、したがって反復使用可を実現するものである。この技術は現在の4サイクルエンジンの最高レベルを代表している、また、X-37Bはさらに耐高温複合材料技術、超音速燃焼技術、マイクロ秒級噴油点火技術などの多くの高度先端技術を総合的に運用している。

3つ目は軌道飛行テスト機である。X-37BはX-37系列の中の成熟したタイプである。X-37はアメリカ航空宇宙局(NASA)が1999年からボーイング社と手を携えて研究開発を開始したもので、主要な目的はスペースシャトルに取って代わることだった。2004年、NASAはこのプロジェクトから抜け、これを軍に譲った。X-37プロジェクトは全部で3タイプの試験飛行機を研究開発した。このうちX-37Aは主に試験型で、X-37Cは将来人員の搭載に用いるタイプで、X-37Bはアメリカ空軍の要求に専門に応じて開発されたタイプである。空軍はX-37Bプロジェクトを担当した後、当たり障りなくそれを「反復使用できる無人宇宙試験飛行プラットフォーム」と描写し、すなわち軌道飛行試験機で、本当に科学試験を行い、もって反復使用する宇宙飛行機技術をテストしているかのようである。

今までに、X-37Bは全部で3回成功裏に試験飛行を行ったことがある。2010年4月から12月、第1機目のX-37Bが成功裏に期間24日の軌道での飛行試験を完成させた。2011年3月から2012年6月、第2機目のX-37Bが期間469日の軌道での飛行試験を完成させた。第3回目の試験は2012年12月11日から2014年10月17日まで、全部で674日で、第3回目に試験飛行したX-37Bは第1回目に試験飛行したX-37Bと同一の飛行機である。

(頑住吉注:これより2ページ目)

腕前非凡な「武芸」

多種の作戦能力を派生させることができる汎用武器プラットフォームとして、X-37Bの設計機能と戦術技術性能は評判に違わないと言うことができ、それは米軍が将来宇宙の支配権を争奪する主戦装備となる可能性が高い。

1つ目として宇宙偵察、監視コントロールが実施できる。X-37Bの飛行軌道は成像偵察搭載荷の特性に符合し、運行の規則性は成像偵察衛星のそれと極めて近い。伝統的な偵察衛星と比べ、X-37Bの機動偵察性能はより高い。既定の設定通り関連の区域を偵察できるだけでなく、必要に応じて飛行軌跡を改変し、敏捷に伝統的な偵察衛星のカバーの死角となる区域まで機動し、したがって偵察と監視の面積を増大させることができる。さらに目的性を持って目標上空に飛び、デリケートな地域に対し遅れず重点的な偵察と監視が実現できる。この種の敏捷な軌道変更機動能力は、敵サイドにその軌跡の行方を発見させ難くさせ、したがって隠蔽、生存の目的が達成される。またさらに有効に各種対衛星ミサイルあるいは武器の攻撃をかわすことができ、したがって自己防衛能力が顕著に増大し、自身の安全性が向上する。

2つ目として戦場総合情報の節目となるポイントとしての機能を持つ。X-37Bは軌道変更型偵察衛星の役割に充当できるだけでなく、その自ら持つ各種電子設備はさらに大量の情報処理機能を完成させることができ、例えば飛行ナビゲーション、通信指令伝達、宇宙衛星監視、ネットワーク連結などである。このため、X-37Bは単なる宇宙偵察の「目」であるだけでなく、宇宙情報の中枢であり、「宇宙早期警戒機」の指揮の役割に充当できる。この機能を利用し、X-37Bは地上や空中のその他の装備と相互に連絡でき、未来の作戦体系の中の極めて重要な「神経中枢」となる。

3つ目として宇宙の客、貨物輸送能力を持つ。今年前半のあるボーイング社のX-37Bに関する提案レポートは、任務の開拓展開により、これに低軌道貨物運輸と乗員運輸を執行する能力を具備させることを詳細に説明している。ひとたびX-37Bの客・貨物輸送能力が完備されれば、有効に宇宙バスに充当でき、宇宙飛行士を遅れず宇宙ステーションあるいはその他の軌道における飛行機に送り、各種コントロール、維持修繕、甚だしきに至っては敵サイドの航空機破壊の任務が執行できる。

4つ目として各種衛星を素早く配備することができる。X-37Bは柔軟な搭載荷構造を持ち、各種小型衛星を搭載する能力を持つ。戦時の緊急状況下で、X-37Bは短時間内に何度も宇宙と地上の間を往復し、したがって素早く衛星を作戦軌道上に配備することができる。このことは非常に大きく衛星発射と配備の時間を節約し、米軍が現在直面する衛星資源不足の問題を有効に解決することができる。

5つ目として各種宇宙対抗行動が執行できる。「偵察・打撃一体」無人機に比べ、X-37Bはその宇宙機動能力の助けを借りて、宇宙での対衛星、対ミサイル任務を執行することができる。X-37Bは敵国の衛星に接近し、ソフト・ハードの攻撃行動を実施することができる。ハード打撃方面では、機械アームあるいは迎撃ネットを伸ばす方式により、衛星を捕獲できる。ソフト打撃方面では、レーザー、運動エネルギー武器を使用し、衛星の電子部品を焼いて破壊し、それを完全に廃棄処分とさせることができる。さらに電子妨害あるいは無線アクセスなどの方式により敵サイドの衛星のプログラムを攪乱、改竄し、敵衛星のコントロールおよび利用の目的を達成し、「お前の衛星を私のために用いる」の攻撃効果を実現することができる。X-37Bはさらにレーザー武器の配備によって宇宙の対ミサイル任務を執行し、遠距離弾道ミサイル損傷あるいは破壊の目的が達成できる。正確な偵察・位置決定と軌道計算により、X-37Bは最良の迎撃ポイント位置を素早く計算し、レーザー発射の方式を利用してミサイルを直接破壊、あるいはミサイルの飛行の軌跡を改変することができる。

6つ目はグローバル快速宇宙対地打撃が実現できる。2003年、米軍は正式に新たな作戦能力の計画を提出しかつ宣言した。グローバル快速打撃計画で、X-37Bはまさにその宇宙基地打撃プラットフォームの選択方案の1つである。専門家たちは、米軍は遠からぬ将来、宇宙基地投射ミサイルを研究開発し、高価値戦略目標に対する快速打撃能力を形成できると予測する。この宇宙基地ミサイルは飛行過程でパラメータをインプットし、事前に目標位置決定パラメータのインプットを行う必要がない。ミサイルは飛行過程で、その他の目標指示単位によってミサイルの飛行をコントロールされ、ミサイルに柔軟により有用な目標を選択して打撃が行えるようにさせる。この構想に照らせば、作戦時X-37Bは機先を制して配備され、ひとたび危機が発生したら、素早く発射軌道まで機動し、かつ宇宙基地投射ミサイルを発射し、全地球の任意の重要目標に対し打撃が実施できる。この種のミサイルの飛行速度は極めて速いため、1時間未満で予定の目標を攻撃でき、このようにして核兵器を使用しない状況下で、X-37Bは核の威嚇に取って代わるまた1つの新型戦略威嚇手段となるのである。

軽視できない影響

X-37Bが使用するのは現在の航空宇宙領域の最先端技術であり、その試験飛行成功は、アメリカの第3の宇宙高度技術探索がすでに幕を開けていることを象徴的に示している。第1の宇宙技術発展は1950〜60年代で、主な印はロケットが飛び衛星が宇宙に上がったことである。第2は1960年代〜90年代で、主な印は宇宙船、スペースシャトルおよび宇宙ステーションの使用への投入である。第3のそれの主な印は現在米軍が初めて研究開発している宇宙飛行機、宇宙戦闘機である。

現在、こうした装備と技術はまだ不断の量的変化の過程の中にあり、世界の宇宙大国はまさに暗中で腕比べする時期にある。ひとたびこうした宇宙機材が使用に投入されれば、米軍はより経済的、より素早く宇宙とそれに近い空間に進入することになるだろう。このことはさらに一歩アメリカとその相手の宇宙技術の差を開き、アメリカの宇宙における優勢な地位を強化し、かつ徐々に「私はお前が見えるが、お前は私が見えない、私はお前を打撃できるが、お前は私を打撃できない」という宇宙作戦の新たな危険な状況を形成し、人類の宇宙大戦の序幕はここで開かれるのかもしれない。

X-37Bの登場は、さらに一歩アメリカの軍事的優勢を拡大する。宇宙はすでに未来の戦争の戦略的に有利な高みとなっており、宇宙作戦能力の強化はすでに世界各国が自身の安全を維持保護し、戦略的主導権を争奪し、非対称の軍事的優勢を図る重要な手段となっている。ここ何年か、どんどん多くの国が「宇宙クラブ」に加入し、宇宙の軍事化プロセスが不断に加速している。X-37Bの試験飛行成功は、本来すでにきな臭さ充分の宇宙軍備競争に火に油を注ぐものに他ならず、宇宙技術探索の宇宙軍事化に向けての発展プロセスを強力に推進し、アメリカが全世界を威嚇する宇宙の絶対の覇権を強化し、さらには全世界の戦略構造がバランスを失う結果をもたらす可能性がある。

X-37Bに代表される「即時グローバル打撃システム」の研究開発と配備は、アメリカに全く新しい戦略的威嚇および戦略的打撃能力を具備させる。この種の戦略的威嚇と打撃能力の支えの下に、アメリカは軍事的手段で地域の事柄に介入する力の度合いを強化する可能性が高く、このことは地域の安全、ないし世界の平和と安定に対しより大きなネガティブな影響をもたらすことになる可能性が高い。

X-37Bは現在進攻型武器装備の中で飛行速度が最も速い搭載プラットフォームであり、人類初の宇宙戦闘機となる可能性が高く、伝統的防空武器に根底からひっくり返す性質の厳しい挑戦を与えることになる。X-37Bの飛行速度はマッハ25に到達可能で、世界のいかなるレーダーを飛行して通過する時も、弾丸が人の目の前を飛んで過ぎるように、まだまばたきも間に合わないうちにもう影も形も消失してしまう。現在の単一基地レーダーにもし充分な出力があっても、地球の局面率の制限を受けるため、600km以遠の目標は発見し難い。しかし、理論から言えば、X-37Bを迎撃したければ、少なくとも1,000kmの早期警戒距離を必要とする。このことは、現代の早期警戒レーダーはX-37Bに対し早期警戒を行い難い、ということを説明している。また、ロシアのC-300、C-400であろうがアメリカの「パトリオット」、「地上基地中段防御システム」であろうと、いずれも飛行軌跡に基づいて予測可能な目標を迎撃するのであって、その迎撃対象は主に飛行機と弾道ミサイルであって、こんなにも速く、こんなにも高く飛び、軌跡の変化がこのように大きいX-37Bを決して考慮してはいない。このことは、X-37Bを迎撃しようとする現代の防空システムは、早期警戒探知計測、追跡ロックオンでも、迎撃ミサイルの最大高度、最大速度、末端制御誘導探知計測コントロールなどでも、いずれもすでに意気込みに力が追いつかない、ということを意味している。(執筆者の機関:国防大学 智韜 李偉)


 本当にこの通りアメリカが圧倒的な優位に立てば、対中国で日本にも有利な状況になると思われますが、果たして実際にそうなるんでしょうか。少なくともアメリカは今後中国と量で勝負するのは不利になり、こうした中国にない高度な技術による兵器、つまり質で勝負せざるを得なくなるのは確かでしょう。













戻るボタン