殲ー20、演習であらゆる第3世代機に完勝?

 よくある冷静な判断を呼びかける内容です。

http://military.china.com/important/11132797/20170509/30503370_all.html#page_2


殲ー20が軍事演習でスホーイー35に大勝した真相を冷静に見る:現在実際の可能性は決してない

殲ー20が演習で現役のあらゆる戦闘機に完勝? 自らの理知をデマによって奪わせるな

最近、「殲ー20戦闘機が演習中空軍の現役のあらゆる第3世代機に大差で完勝」に関する「ニュース」がまたネット上で流れ伝わり始めた。軍事愛好者たる筆者は、本来一緒にひとしきり誇るべきである。しかし、まさに軍事愛好者であるがゆえに、筆者は冷静になってちょっと考え、問いたい思いを禁じ得ない。「現段階の殲ー20に本当にこのような『神通力』があるのか? このいわゆる『ニュース』は、本当にニュースなのか?」と。

台湾メディアのニュースの中では、殲ー20戦闘機は中国空軍の「紅剣-2016」合同演習中、国内の現役のあらゆる第3世代戦闘機と模擬対抗し、その中には我々が熟知する殲ー10、殲ー11、スホーイー30などが少なくなかった、とされる。某いくつかの国内メディアはさらに、この演習の中で殲ー20は完勝し、10:0の絶対的によい成績を取得し、甚だしきに至ってはさらに空軍に引き渡されたばかりのスホーイー35戦闘機を大差で打ち破った、とする。

いわゆる「殲ー20戦闘機が演習中大差で空軍現役のあらゆる第3世代機に大差で完勝」の「ニュース」は、去年12月には早くももう国内のいくつかの軍事フォーラム上で流れ伝わっていた。半年近い発酵と「誤りが誤りをもって伝わる」を経て、今日に至りついに「レベルアップ」し、堂々と正規の刊行物やニュースサイトに載っている。某いくつかの普通のニュース類メディアが次々に「騙されている」だけでなく、個別の厳粛な軍事雑誌上でさえも、この「ニュース」が掲載され、全く筆者を泣き笑いさせずにはおかない。

確かに、初の検証機が生産ラインを降りてから空軍に就役するまで、殲ー20は6年の時間を費やしただけで、同様に第4世代(米ロの基準では第5世代機)大型戦闘機であるF-22戦闘機は1992年に初飛行し(YF-22A)、2003年になってやっと空軍に引き渡され、費やした時間は11年にも達する。一方殲ー20に比べ1年早く初飛行したT-50検証機は、今に至るもロシア航空宇宙軍に就役していない。比較すると、現在の殲ー20はまだいわゆる「基本ライン版」だが、そのプロジェクトの進度はやはり非常に早い。

だがもしそうでも、空軍に就役したばかりの殲ー20が直接「紅剣」といったような高強度総合対抗演習に参加し、かつ兄弟部隊の「ゴールドヘルメット」飛行員上「剃光頭」(頑住吉注:意味不明ですが文脈からして勝ったということでしょう)と直ちに考えるなら、疑いなく無責任なでたらめである。我々はF-22の進度を参考にしよう。この機は2003年1月17日にアメリカ空軍第53連隊の第442試験・評価中隊に引き渡され、各種の飛行試験を展開し、訓練ハンドブックを執筆編集し、かつ実弾発射実験を行った。3年近い飛行と試験作業を経て、2005年12月、アメリカ空軍第1戦術戦闘機連隊の第27中隊がやっと正式に初のIOC(初歩作戦能力)を持つF-22中隊となったのである。

もし経験豊富なアメリカ空軍でも、長年の事前研究と準備作業を経て、3年近くを費やしてやっと第4世代大型戦闘機のIOCの道を行き終えたのである。もし殲ー20が早くも去年11月に珠海航空展に行ってデモンストレーションした時、もうすでに空軍に就役していたと仮定しても、ごく短い1ヶ月の時間では、殲ー20はたとえ最も基本的な作戦能力でも具備することはあり得ず、増してや高強度、大規模な総合対抗演習(すなわち「紅剣-2016」)に参加するだの何だの言うのは論外である。

事実、「紅剣-2016」総合対抗演習のあった時間的段階は、まさに殲ー20就役の時間的ポイントと基本的に同時で、少なからぬ軍事マニアがF-22のアメリカの「レッドフラッグ」軍事演習の中での事跡を根拠に、殲ー20の「紅剣-2016」軍事演習の中での「輝かしい戦績」を「脳内補完」したことは、人を絶望的にさせる。

ならば、アメリカのF-22戦闘機はいつ「第3世代機に完勝」といったような戦績を出したのか? アメリカ国内での長年の訓練と配備を経た後(例えば2005年10月ユタ州シール空軍基地の「バトルハンマー」プロジェクトの中で、F-22は初の超音速JDAM実弾投擲を行った)、F-22は2006年6月に行われたアメリカとカナダのアラスカ州付近における「北方境界」合同軍事演習で初めてお目見えし、模擬空戦の中で144:0の驚異的成績を獲得し、この時は初のF-22中隊の戦力化から、すでに3年半過ぎ去っていた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「紅箭軍事演習で発進する殲ー10戦闘機」)

2007年2月、第27中隊のF-22は初めてネバダ州ネリス空軍基地の「レッドフラッグ」軍事演習に参加し、この部隊の換装時間からは4年の距離があった。2012年6月、第525中隊のF-22は初めてアラスカ州の「レッドフラッグ」軍事演習に参加し、この部隊の換装時間からは約5年の距離があった。年若い殲ー20に関して言えば、「紅剣」といったような高強度の大規模総合演習に完全な形で参加するには、最も早くても2018年以後になることを要する。

これに対し、ある軍事マニアは不服を感じるかもしれない。彼らは1枚の衛星写真を持ちだし、これには殲ー20がすでに去年の12月、もう「紅剣」軍事演習の所在地である空軍鼎新合同戦術訓練基地の駐機場上に出現しているのが示され、かつこれをもって殲ー20が「紅剣-2016」軍事演習に参加した証拠とする。だが筆者は、彼らは全く殲ー20就役の喜びでのぼせて正常な判断を失っているとしか言えない。確かに、殲ー20は確実に鼎新合同戦術訓練基地に出現している。だが殲ー20の現在の状態をもってすれば、「紅剣-2016」演習に参加する可能性は全く持っていない。事実、我が軍初のステルス戦闘機として、殲ー20は確かに我が軍の現役第3世代戦闘機と「対面」したことがある。だがこれは殲ー20が現有の機載レーダーに直面した時の自身のステルス性能のデータを試験しただけである。

しかも、時代を転換する戦闘機として、殲ー20は試験、訓練大綱を改めて執筆編集し、もって受領し装備するする兄弟部隊ができる限り早く殲ー20戦闘機の特徴に適応し、第3世代戦闘機の経験をそのまま写すのではなく、できる限り完全に第4世代戦闘機のポテンシャルを掘り起こすのに便とする必要もある。鼎新合同戦術訓練基地は単に「青軍」(頑住吉注:仮想敵)旅団しかおらず、この基地はさらに長期にわたり新装備の試験訓練作業を担っていることを知る必要がある。

設備が最も完備した老舗試験基地として、また空軍合同戦術訓練任務を担っており、鼎新合同戦術訓練基地は疑いなく殲ー20の試験の最も良い選択である。

中国空軍スポークスマンの申進科も去年11月、殲ー20戦闘機の研究開発は計画通り推進されている、と明確に指摘した。中国空軍の指導層が殲ー20の戦闘力形成周期と徐々に完備されるタイムスケジュールに対しはっきりした認識があることが見て取れる。中国空軍未来の「国の重器」として、殲ー20戦闘機は第13次五カ年計画の期間(頑住吉注:2016〜2020年)に規模をなして戦闘力を形成し、もって未来のあり得る高強度軍事闘争の需要に対応することが必須である。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国空軍スポークスマンの申進科上佐」)

殲ー20がスホーイー35に「完勝」だの何だのと言うことに関しては、増してや信用できない。殲ー20の戦闘力形成周期と研究開発タイムスケジュールに関しては、これまでの文ですでに詳細に説明した。スホーイー35SKといえば、この戦闘機は去年年末にやっと我が軍に引き渡されたのである。たった3ヶ月あまりの時間は、飛行員と関連の機関の休暇期間を差し引けば、3ヶ月にも満たない。もし南部戦区某戦闘機連隊が20年あまりのスホーイー27SK/殲ー11A型戦闘機の使用経験を持っていても、3ヶ月に満たない時間でもうICCを形成するということはなく、増してや「紅剣」演習といったような総合対抗演習に参加するの何のと言うのは論外である。国産戦闘機を支持するのは良いことだが、客観的規律を語らないのもいけない。

殲ー10戦闘機は2003年に続々と空軍部隊への引き渡しが開始され、我が国の軍用機の、設計定型前に少量生産を行って部隊に引き渡し先んじて試用する先例を作った。殲ー20は同様にこの種の先進的な引き渡し訓練体制を採用するが、これは決して我々が物事を一足飛びに達成できることを意味しない。

6年あまりの発展と完備を経た後、発展させながら定型させながら就役させるという方式をもって、先行して空軍試験訓練部隊に進入し、教学大綱の執筆編集など関連の作業を展開し、後続の作戦部隊が殲ー20を装備するために前期準備作業をうまく行う、これこそ大国の空軍の堅実な王道である。

殲ー20は遠距離エンテ翼カップリングストレーキコンビネーションという先進的な空力レイアウトを採用しており、後発で人を制する優勢を占める。また、殲ー20の航空電子設備とレーダーシステムも相当に複雑で、機首に装備するデジタル化アクティブフェイズドアレイレーダーの他、さらに側面を見るレーダーと各種光学センサーがあり、各種電子アンテナが機体の各所に集成され、例えばエンテ翼と主翼の間の電子戦アンテナ、主翼前縁のCNIアンテナアレイ、空気取り入れルート外側の電子妨害アンテナなどである。このようなエポックメイキングな先進戦闘機に直面して、試験訓練の正常な規律を考慮せず、逆に殲ー20がいかに「大いに神威を発する」かの「脳内補完」を誤りをもって誤りを伝える、これはやはり無責任な公的発言である。それは人民空軍に対する無知でもあり、さらには殲ー20研究開発チームの背後の心血に対する侮辱である。


 まあ殲ー20と第3世代戦闘機が遭遇する状況をシミュレーションしてみたら第3世代戦闘機が全く殲ー20を発見できないまま殲ー20が第3世代戦闘機をロックオンして撃墜判定が下された、くらいのことは試用の始めでもあり得そうな気もしますが。

















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