中国の新たな軍事戦略を解読

 まあ内容的にはこれまで実際にやってきたことをまとめた感じのようですが。

http://military.china.com/news/568/20150526/19745758.html


軍事専門家が「中国の軍事戦略」の十大ハイライトを解読

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。)

新華社北京5月26日電 題:軍事専門家が「中国の軍事戦略」の十大ハイライトを解読

新華社記者 白瑞雪、熊争艶、李志暉

中国最新の軍事戦略は何か? 制定の根拠はどこにあるのか? それはどのように中国軍の未来の発展に影響することになるのか? 国務院ニュース事務室は26日「中国の軍事戦略」を発表した。軍事科学院の軍事専門家たちはこの白書の中の十大ハイライトに対し解読を行った。

ハイライトその一:「4つの維持保護」が中国軍の新たな使命となる

白書は次のように言う

「中国軍は新たな歴史的時期の軍隊の使命を有効に履行し、中国共産党の指導と中国の特色ある社会主義制度を断固として維持保護し、国家の主権、安全、発展の利益を断固として維持保護し、国家発展の重要な戦略的チャンスの時期を断固として維持保護し、地域と世界の平和を断固として維持保護し、ゆとりある社会の全面的な完成、中華民族の偉大な復興の実現のために堅固な保障を提供する。」

専門家の解読

軍事戦略部研究員 趙徳喜:軍隊の使命とは、軍隊が比較的長い歴史的時期内で担う重大な職責と基本的任務を指す。時代の発展と国家の安全環境の変化と共に、我が軍の職能、使命は不断に開拓展開されており、「4つの維持保護」は軍隊建設推進と軍事闘争準備のために基本的依拠を提供している。これは我々の党の、我が軍の歴史的使命に対する認識の新たな境界、新たな高度であり、全軍の思想統一、共通認識の凝集、この使命の有効な履行を緊密にめぐって全ての業務を展開することをも要求している。

ハイライトその二:中国軍の8項目の戦略任務

白書は次のように言っている

「中国軍は主に以下の戦略任務を担う。各種突発事件と軍事的脅威に対応し、国家の領土、領空、領海の主権と安全を有効に維持保護する。祖国の統一を断固として防衛する。新型領域の安全と利益を維持保護する。海外の利益の安全を維持保護する。戦略的威嚇を保持し、核反撃行動を組織する。地域および国際的な安全協力に参加し、地域と世界の平和を維持保護する。反浸透、反分裂、対テロ闘争を強化し、国家政治の安全と社会の安定を維持保護する。緊急対応、災害救援、権益の維持保護、安全保障警戒および国家経済社会建設の支援などの任務を担う。」

専門家の解読

国防政策研究センターの研究員 温氷:軍隊の任務に関し、過去我々は一般に「総任務」、「総目標」などの表現方式を用いて要求をした。この白書は初めて軍隊の8項目の戦略任務を明確にし、伝統的安全および非伝統的安全領域を包括し、さらに宇宙、ネットワークなど新型安全領域に関わる。こうした任務は新たな歴史的時期における軍隊の使命の具体的な体現であり、全軍の建設、発展に対し具体的導きの作用を果たすことになる。

ハイライトその三:「全く動揺することなく積極防御戦略思想を堅持する」

白書は次のように言う

「積極防御戦略思想は中国共産党の軍事戦略思想の基本たるポイントである。長期にわたる革命戦争の実践の中で、人民の軍隊はワンセットの積極防御戦略思想を形成しており、戦略上の防御と戦役戦闘上の進攻との統一を堅持し、防御、自衛、後発で人を制すの原則を堅持し、「人が我を犯さざれば、我人を犯さず。人がもし我を犯さば、我も必ず人を犯す」を堅持する。」

「中国は全く動揺することなく積極防御思想を堅持し、同時にこの思想の内容を不断に豊富にし発展させることが必須である。」

(頑住吉注:これより2ページ目)

専門家の解読

国防政策研究センター主任 陳舟:「積極防御」の本質は「防御」であり、重要な意義は「積極」にある。長期にわたりまさにこの戦略思想の堅固さ、安定性、持続性を堅持することに基づき、断固として侵略、拡張せず、覇を唱えず、覇を争わず、だからこそ我が国は相対的に平和で安定した国際環境を勝ち取り、国家発展の重要な戦略的チャンスの時期を勝ち取ったのである。中国はさらに強大になるが、それでも平和的発展の国家戦略を放棄することをせず、積極防御戦略思想の本質に背を向けることはなく、時代の潮流に背いて武力拡張の道を行くことはない。

ハイライトその四:「軍事闘争の準備の基点を情報化局地戦争を行い勝利することに置く」

白書は次のように言う

「新たな形勢の下で積極防御軍事戦略方針を実行し、軍事闘争準備の基点を調整する。戦争形態の発展変化と国家の安全形勢を根拠に、軍事闘争準備の基点を情報化局地戦争を行い勝利することに置き、海上軍事闘争と軍事闘争準備を突出させ、有効に重大な危機をコントロールし、妥当に連鎖反応に対応し、断固として国家の領土の主権、統一と安全を防衛する。」

専門家の解読

国防政策研究センターの研究員 ヤンウェンフー:軍事闘争準備の基点をこれまでの「情報化条件下での局地戦争を行い勝利する」から「情報化局地戦争を行い勝利する」に調整している。4文字少なくなっているだけだが、内容にはそれにも関わらず質的飛躍がある。現在世界の新たな軍事革命は深入りして発展し、武器装備の遠距離正確化、スマート化、ステルス化、無人化の趨勢は顕著で、宇宙とネットワーク空間が各方の戦略競争が占めようとする新たな有利な高みとなり、戦争の形態は加速して情報化戦争に向け発展変化している。戦争で勝利を制するメカニズムはすでに変わり、我々の軍事闘争準備の立脚点も当然それにつれ調整する必要がある。

ハイライトその五:「海上方向の権利維持闘争は長期的に存在することに」

白書は次のように言う

「予見できる未来、世界大戦が起こることはない。」

「発展中の大国として、中国は依然多元的で複雑な安全の脅威に直面している。」

「個別の海上の隣国は中国の領土主権と海上権益に関わる問題の上で挑発性の挙動を採り、不法に『占拠』する中国の島礁の上で軍事的プレゼンスを強化している。いくつかの域外の国家も積極的に南海の事柄に手を出し、個別の国は中国に対し高い頻度の海空の接近偵察を保持しており、海上方向の権利維持闘争は長期的に存在することになる。」

専門家の解読

国防政策研究センターの研究員 于E;国際戦略の形勢と国家の安全環境を正確に判断することは、軍事戦略を計画制定する主要な前提である。中国が直面する内外のリスク、挑戦は、大国の要素、領土主権、海洋権益の争いなどの各方面に関わる。相互の利益が高度に依存する今日、地域のいかなる場所での混乱の発生、甚だしきに至っては戦争の発生も、全て各方の遠大な利益に対し損害をもたらすだろう。このため、地域の安全、安定の維持保護および促進に対する中国の希望は強烈なもので、あり得る深刻な衝突の我が国の発展の重要なチャンスの時期へのリスクに対しては高度に警戒するのである。

ハイライトその六:「海外利益関係区」を初めて提示

白書は次のように言う

「海外利益関係区の国際的安全協力を強化し、海外利益の安全を維持保護する。」

専門家の解読

国防政策研究センターの研究員 李U:我が国は初めて国防白書の中で「海外利益関係区」概念を明確に提示した。このことは、中国の国家利益の開拓展開と共に、海外利益の安全の維持保護がすでに軍事戦略が高度に関心を注ぐ重要問題となっていることを示している。これはグローバル化時代の国家の持続可能な発展を保障する需要であり、世界と地域の安全と安定の維持保護にも有利である。

ハイライトその七:初めて海軍戦略のモデルチェンジを発表

白書は次のように言う

「海軍は近海防御、遠海航路護衛の戦略的要求に照らし、徐々に近海防御型から近海防御と遠海航路護衛型の結合に向けた発展変化を実現し、合成、多機能、高い効果の海上作戦力量体系を構築し、戦略的威嚇と反撃、海上機動作戦、海上連合作戦、総合防御作戦と総合保障能力を向上させる。」

(頑住吉注:これより3ページ目)

専門家の解読

軍事戦略部研究員 趙徳喜:成立して60年余り以来、沿岸防衛、近岸防御から近海防御まで、人民海軍は異なる発展段階を経てきた。今日、新たな戦略的要求は中国の海上利益の発展変化と相互に適応することで、中国の海上の安全が直面する多くの挑戦に適応することでもある。指摘が必要なのは、「近海防御と遠海航路護衛の結合」の戦略モデルチェンジは中国海軍の防御的性質と世界平和を維持保護する決意を決して変えないということである。海軍が航行の軌跡を延伸することは、国際的に通用する慣例と関連の法律文書を根拠に履行される正当な権利および義務であって、「遠海航路護衛」の本質は、遠海において協力という方式により海上の安全を維持保護し、したがって国際社会の共同の安全を実現することである。中国海軍が参加する航路護衛、捜索救援行動は、全て非常に良い証明である。

ハイライトその八:「重大な安全領域の力量の発展」を始めて明らかに

白書は次のように言う

「海洋関係国の長期にわたる太平と安定および持続可能な発展〜建設と国家の安全および発展の利益と相互に適応する現代海上軍事力体系」

「宇宙は国際戦略競争が占めようとする有利な高みである〜宇宙の態勢を密接に掌握追跡し、宇宙の安全に対する脅威、挑戦に対応し、宇宙資産の安全を防衛する」

「ネットワーク空間は経済社会発展の新たな支柱でありまた国家の安全の新たな領域であって〜ネットワーク空間の態勢関知、ネットワーク防御、国家ネットワーク空間闘争支援、国際協力への参加能力を高め、 ネットワーク空間重大危機を抑止する。」

「核戦力は国家の主権と安全を維持保護する戦略的礎である〜中国は終始核兵器先制不使用の政策を実行し、自衛防御の核戦略を堅持し、核力量体系を建設し完備させる。」

専門家の解読

国防政策研究センターの研究員 李U:新たな形勢の下、各主要大国の海洋、宇宙、ネットワークおよび核の領域における戦略競争はどんどん激烈になり、全世界の重要な安全に関する関心となっている。戦略的視野を広げ、未来思考を樹立し、積極的に関心を注ぎまたこうした重大安全領域の脅威に有効に対応してのみ、やっと国家の安全と発展の利益が有効に維持保護できるのである。

ハイライトその九:たゆまぬ戦備状態を保持し常備する

白書は次のように言う

「情報システムに基づく体系作戦能力を増強する」

「各方向各領域の軍事闘争準備を統一的に計画配案し推進する」

「たゆまぬ戦備状態を保持し常備する」

「軍事訓練の実戦化レベルを高める」

「非戦争軍事行動の準備を組織する」

専門家の解読

国防政策研究センターの研究員 于E:各項目の軍事闘争準備を堅実に整えることは、新たな形勢の下での積極防御軍事戦略方針を貫徹する基本的な道筋である。戦いに備える、戦える、あえて戦うことこそ、戦わないこと、戦いを終わらせること、戦いに勝つ目的を実現でき、それでこそ軍事闘争の主導権を掌握できるのである。この中で、情報システム体系に基づく体系作戦能力は情報化戦争の中の戦闘力の基本形態であり、軍事闘争準備の根本的な力を入れるポイントでもある。

ハイライトその十:中国軍は「より多くの公共安全製品を提供する」

白書は次のように言う

「中国軍は国際平和維持、国際人道主義救援などの行動に入れる力の度合いを拡大する。力の及ぶ範囲内でより多くの国際的責任と義務を担い、より多くの公共安全製品を提供し、世界平和の維持保護、共同の発展促進のためより大きな貢献をなす。」

専門家の解読

軍事戦略部の研究員 釈清仁:国際安全協力の強化、軍事協力空間の開拓展開は、すでに中国軍事戦略の重要な組成部分となっている。現在我が軍の対外軍事交流は全方位の軍事関係発展、実務的軍事協力の推進に向けモデルチェンジしつつある。国家の総合国力の不断の増強につれ、中国軍が国際社会に向けより多くの公共安全製品を提供するのは必然の歴史的プロセスであり、責任ある大国の重要な体現でもある。


 日本でも国家戦略という言葉が多用されるようにはなっており、相応の戦略を政治家や官僚が練っているはずですが、確かなのは総体として中国のそれは能動的な性質が強く、日本のそれは受動的な性質が強いということでしょうね。



















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