ウクライナ政府軍の新兵器?

 まだ完全に停戦合意が実行に移されておらず予断を許さないとされていますが。

http://www.hinews.cn/news/system/2015/03/05/017374752.shtml


ウクライナ政府軍戦車、加速して砲から発射するミサイルを導入しロシア戦車を防備

ロシアとEUの斡旋の下での新たな停戦協議がすでに効力を発生させているが、ウクライナ内戦は双方が依然あらゆる手を尽くして戦力を充実させ、相手の不意打ち攻撃を警戒している。ロシアの「軍事工業総合体」の報道によれば、ウクライナ国防省はすでにキエフに位置する光線設計局に向け「戦闘」という名の砲から発射する新式ミサイルを発注しており、それはウクライナ軍のT-64、T-72戦車の主砲を用いて発射することができ、かつ射程は普通の砲弾をはるかに超え、堅固な防御を攻略する作戦の「切り札」と称するに堪える。

「老法師」、新たなミサイルを研究開発

砲弾に比べ、ミサイルは射程が長い、命中精度が高い、殺傷威力が大きいなどのメリットを持つ(頑住吉注:その他の条件が同じの場合、砲弾より威力が大きいということはないのでは)。砲から発射するミサイルは戦車砲を使用して発射するミサイルで、正確制御誘導技術と通常の戦車砲の有機的結合である。ウクライナの光線設計局は砲から発射するミサイルの先んじた技術を持つとされる。

光線設計局は正式名称を「光線国家持ち株設計局」と言い、1965年に成立し、旧ソ連の専門に特殊航空武器と対戦車武器の生産を担当した機構である。初期、光線設計局は主に移動式飛行軌跡探測機を研究開発し、このシステムを利用するとミサイルの飛行や打撃の過程に対し検査測定分析を行うことができた。1979年から、光線設計局は砲から発射するミサイル関連の制御誘導コントロールシステムの研究開発に転じ、ロシア軍戦車が使用する9M119ミサイルは光線設計局が製造した電子ジャイロ安定器を配備しており、その作用はミサイルの飛行姿勢の安定を保持することである。

提示しておくに値するのは、光線設計局が開発した安定器具が比較的強い抗妨害能力および抗過負荷能力を持つことで、砲から発射されるミサイルが高圧の火砲によって高速で撃ち出されても、依然正常に機能できる。

実は、光線設計局は2008年にもう対外的に砲から発射される「戦闘」ミサイルを発表していた。だが惜しいことに「戦闘」ミサイルはウクライナ国産の「堡塁-M」戦車に集成することが必須であり、それでこそ威力が発揮できる、ということだった。このことはウクライナ戦車の販売業績が間接的に「戦闘」ミサイルの販売量に影響することを意味している。結果的に「堡塁-M」戦車の販売が順調でないことの影響を受け、「戦闘」ミサイルは長期にわたり「売れ残り」だった。去年ウクライナ東部の武装衝突がエスカレートし、ウクライナ政府軍が連戦連敗した時になって、ウクライナ大統領ポロシェンコは止むを得ず軍事工業を再整備し、かつ兵器工場に「戦時の速度」をもって部隊が失った装備を補充するよう要求した。ひとしきりの「自らの武装は自らによって」のアピールの中、光線設計局の「戦闘」ミサイルもウクライナ国防省によって想起され、リニューアルされたT-64BMメインバトルタンクに装備し、もって東部の民兵に対し某種の「威嚇」を形成するのに便とすることが確定した。

真の「戦闘」は非常に複雑

ウクライナ軍の標準化された命名に照らせば、ワンセットの完備された「戦闘」ミサイルシステムは「総合戦車砲射制御誘導武器」と呼ばれるべきで、それは砲手用半自動テレビ位置決定レーザー火力コントロールシステム、レーザーコントロールルート、自動化ユニット、変圧器、G-621-1UTミサイル本体およびSO1MO2検査測定器など多くの部分を含む。

指摘しておくことが必要なのは、多くのメディアが言うところの「戦闘」ミサイルは、実際にはもっぱらG-621-1UTミサイル本体を指しているが、もしその他のセットされる設備がなかったら、「戦闘」ミサイルは単なる廃物で、全く威力を発揮することはできない、ということである。まさにこうだから、兵器工場はT-62BM戦車改装の初期にもう光線設計局の技術者を招いて参加させ、できる限り砲から発射されるミサイルと戦車の火力コントロールシステムとの高度な集成を実現したのである。

具体的にG-621-1UTミサイルに触れると、それは2つの部分を含み、それぞれミサイル本体と投射器である。後者はミサイルを砲身内から推し出し、ミサイルの閉鎖セーフティ解除を助け、かつ目標に向けレーザービームを発し、ミサイルを誘導して目標に飛行して向かわせることができる。説明によれば、戦車が時速30kmをもって行進している時、この砲から発射されるミサイルは依然時速70km未満の移動目標が打撃でき、静止目標の打撃はなおさら問題にならない。また、このシステムが行軍状態から戦闘状態に転じるのに必要な時間は3分間を超えず、逆もまた然りである。

「戦闘」ミサイル本体に関しては、全長1,083mm(弾頭675mm、弾尾408mm)、直径125mm、重量は約30.45kgで、セミアクティブレーザー制御誘導方式を採用している。その中はまたコントロール室、ロケットエンジン、タンデム式成形炸薬戦闘部、尾部スペース、弾託(頑住吉注:ショットシェルのワッズや徹甲弾のサボなどもこう呼ぶようです)といった5つの部品に分かれる。コントロール室は尾部スペースから伝達される制御誘導信号を受信、処理し、かつそれらをコントロール方向舵が必要とするコントロール信号に転換する。ロケットエンジンは固体燃料を使用し、ミサイルが砲身を離れた後、エンジンに自動点火し、燃料が燃焼して生じる大量の気体が噴射ノズルから噴出し、ミサイルのために飛行の動力を提供する。タンデム式成形炸薬戦闘部はガイド装薬と基本装薬によって組成され、ガイド装薬は爆発反応式装甲ブロックを打ち抜くのに用い、基本装甲は目標の基礎装甲を破壊し、かつ爆発を生じさせるのに用いる。尾部スペース内にはレーザー受信機が装備され、戦車とつながる投射器が発射するレーザーの受信に用い、かつ受信した信号(戦車から来る制御誘導信号)を電気信号に変え、しかる後にコントロール室に伝達する。

新設計、新技術を採用しているため、「戦闘」ミサイルのタンデム式戦闘部は爆発式反応装甲およびスペースドアーマーを装備した目標が有効に攻撃でき、最大装甲貫徹厚は800mmの均質鋼板にまで高められている、とされる。

砲から発射される「戦闘」ミサイルの有効射程は5kmを超えるため、この射程は甚だしきに至っては超低空飛行する武装ヘリをその有効射程から追い出し、したがって非常に大きく戦車が武装ヘリの狩り殺しに遭うリスクを低下させることができる。まさに砲から発射される「戦闘」ミサイルシステムに対する信頼に基づき、ウクライナ陸軍はリニューアルされたT-64BMおよび新しく製造されるT-84メインバトルタンクにこの「切り札」を普及させることを希望しているのである。

あるいはロシア戦車の国境越えを防ぐか

軍事専門家は、新たに署名されたウクライナ国内停戦協定は決して安定しておらず、衝突は随時勃発し得る、と分析する。さらに重要なのは、以前発生した衝突は決して単純な「対テロ行動」ではなく、多種の作戦の特徴が混合した「特殊戦争」だったということである。ウクライナ軍が直面する東部民兵も絶対に烏合の衆ではなく、彼らは各種の先進武器を持ち、甚だしきに至ってはこうした武器を操作する大量の「志願兵」がいる。キエフ方面は何度もロシアが大量の正規軍と技術装備をウクライナ東部に輸送して参戦させていることを非難しているが、ロシア政府はこれに対し断固否定している。

ウクライナメディアは、ロシアから来た「志願軍」と大型武器はウクライナ東部民兵を「準正規軍」に変え、同時に政府軍に武備をグレードアップせざるを得なくなるよう迫っている、する。東部の戦場に民兵が操縦するT-72B/BM戦車が出現したことを考慮すると、ウクライナ軍現役のT-64、T-62戦車は技術グレードアップを行うことが必須で、さもないと対抗できない。

軍事専門家の見方によれば、ウクライナには決して伝統的武器プラットフォームは欠けていないが、それらはいずれも改造グレードアップを必要とし、ウクライナ軍が現在最も早急に必要とする装備は他ならぬ2種である。1つ目は偵察設備で、敵の捜索、目標ロックオンに用いる。2つ目は大威力の正確打撃弾薬で、できる限り1回の攻撃でもう目標を撃破できるものである。この意味から見て、砲から発射する「戦闘」ミサイルシステムを装備したT-64BM戦車はウクライナ軍人に一定の自信を回復させることが有望である。(田剣威)


 西側ではあまり重視されていない兵器のようですし、中国にもその意義に否定的な専門家もいますが、戦車砲から発射するミサイルは実戦において本当にウクライナ軍の切り札的存在になり得るんですかね。

















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