「テラヘルツレーダー」の弱点とは

 画期的なものという記事を紹介しましたが。

http://military.china.com/important/11132797/20171010/31555118_all.html#page_2


中国のテラヘルツレーダーはF-22戦闘機に対抗できるか? 専門家はあいにくこのように語る

【グローバルネット軍事10月10日の報道 グローバル時報 特約記者 張亦馳 グローバル時報記者 李暁驍】 最近多くのメディアが「中国が成功裏に超高周波のテラヘルツレーダーのサンプル機を試験」の情報を密集して報道し、かつこの新概念レーダーの機能は強大で、アメリカのF-22「ラプター」などのステルス実戦機への対抗に用いることができ、将来は中国の第6世代機あるいはグレードアップ型の第5世代戦闘機上に装備可能である等々と言明した。テラヘルツレーダーは本当にこのように強大なのか? それは実用化までの距離がどのくらい遠くあるのだろうか?

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカのF-22『ラプター』(資料画像)」)

外国メディア、中国のスーパーレーダーに関心を注ぐ

台湾の「中時電子報」は8日、大陸が試験中の新型テラヘルツレーダーはすでに初歩的成功を取得した、とした。この前のある報道は、中国兵器工業集団は成都における軍事研究施設内である装置に対し試験を行い、この装置はいまだかつてなかった強度でテラヘルツの輻射を生じさせることができる、と言及した。テラヘルツ波の輻射は複合材料を透過し、内部の金属層に到達でき、この技術は工業領域において製品の欠陥の検査に広範に用いられている。文章は、「テラヘルツレーダーは数百m離れた人の群の中に隠された武器を発見でき、研究開発人員はその性能を力を尽くして増強中で、それを早期警戒機あるいは衛星上に装備し、もってアメリカのF-22およびF-35ステルス戦闘機を含む軍用機を偵察しかつ追跡しようとしている」、とする。

ロシア衛星ニュースネットはロシアの軍事専門家であるコーシンの話を引用し、中国はテラヘルツレーダー領域における研究開発作業の進展が迅速である、とした。「中国のこの種のレーダーを研究開発する作業がもしロシアと同じ歩調でなくとも、いくらも立ち後れていないだろう。」 彼は、この超高周波レーダーは障害物を通り越して物体の画像、および敵サイドの飛行機の反射信号を獲得でき、もしこの飛行機がレーダー波を吸収できる塗料を使用していてもである、とする。衛星や偵察機上にこのレーダーを装備すれば、空中のステルス目標が発見できるだけでなく、さらにごく容易に水中の潜水艦および偽装された目標が発見できる。コーシンは、現在実戦機のレーダーステルス効果は非常に大きな程度上レーダー波を吸収しまた反射率を下げる塗装層に依存しているが、テラヘルツレーダーは塗装層を全く無視し、塗装層の下のアルミ合金、チタン合金に対し反応を生じ、つまりステルス能力を破る、とする。

「中時電子報」は、伝統的な長波レーダーは体積が巨大で、飛行機のノーズ位置に装備することが難しいが、最新技術は一連のテラヘルツセンサーを飛行機の全体構造上に装備させることができ、レーダーはノーズ部分に必ずしも集中せず、したがってこの問題は解決される、とする。ロシアのテラヘルツレーダーは第6世代機上に装備されることになり、それらがスホーイー57といったような第5世代グレードアップ版戦闘機上に出現する可能性も排除されない、とされる。「中国のテラヘルツレーダープロジェクトは中国の現有の第6世代戦闘機製造計画の枠組みの下で実施されるかもしれず、殲ー20といったような第5世代機上に装備できるか否かに関しては、このレーダーがこうした種類の戦闘機の構造と共用性があり得るか否かによって決まることになる。」

テラヘルツレーダーのメリットデメリット

説明によれば、太赫茲(頑住吉注:テラヘルツの音訳)とはTHz(その中のTは数量単位で、Hzは周波数の単位)の中国語名称である。テラヘルツ波は周波数が0.1THzから10THzまでの範囲の電磁波で、光スペクトル上の位置はマイクロ波と赤外線波の間である。

テラヘルツレーダーは理論上比較的強い対ステルス能力を持つ。何故ならテラヘルツ周波数帯はステルス機が常用する電波吸収材料に対し良好な透過率を持つからで、間違いなく外国の専門家が言うように電波吸収塗装層を無視できる。しかもテラヘルツ波はさらにプラズマの中で伝播でき、プラズマステルスに有効に対抗できる。このため、外形ステルス技術に基づこうとステルス塗装層だろうと、甚だしきに至っては伝説の中のプラズマステルスだろうと、テラヘルツ波はいずれも有効に対抗できる。また、現役のメートル波対ステルスレーダーは体積が過大だが、テラヘルツレーダーの体積と重量はいずれも比較的小さい範囲内にコントロールできる。

だがテラヘルツレーダーには克服が非常に難しい欠点があり、極めて大きくそれが対空探知計測任務を担う実用価値を制限している。電子科学技術大学国家クラス科学技術重点実験室主任の李少謙教授は9日「グローバル時報」記者に次のように教えた。テラヘルツは長波であり、大気環境の中で減衰が非常にひどく、有効探知計測距離が短く、長距離観測には決して適用されない。だが対空探知計測は往々にして何百km離れた目標を監視する必要があり、テラヘルツレーダーに頼って遠距離の空中ステルス目標を発見するのは、現在まだあまり現実的ではない。

応用の前途の見通しを過小評価してはならない

テラヘルツ技術は現在まだ大気圏内で対ステルス探知計測を行うのに用いることができないが、その独特の優勢は依然非常に広い前途の見通しを示している。例えばテラヘルツレーダーは探知計測距離は長くないが、重量と体積の方面で優勢を持ち、ミサイルの末端誘導弾頭に適用するのに非常によい。またテラヘルツレーダーはさらに戦場監視レーダーとするのに適する。赤外線感知器やレーザーレーダーに比べ、テラヘルツレーダーは煙霧、砂塵の良好な透過能力を持ち、全天候で作動する。

李少謙は、宇宙には大気の干渉がなく、このため衛星探知計測、衛星間の伝達などの方面で、テラヘルツ技術は非常に大きな作用を発揮できる、とする。非常に多くの科学者がテラヘルツ通信技術の軍用方面における価値を重視し、つまりは宇宙の衛星間通信である。

また安全保障領域でも、テラヘルツ技術には腕の振るい場所がある。テラヘルツ波は非金属物を探知計測でき、例えばプラスチック製のナイフである。この特性は安全検査、対テロなどの方面に広範に応用できる。常用されるX線とは異なり、X線とテラヘルツ波はいずれも安全保障検査に用いることができるが、X線は人体に対し影響を生じさせ、一方テラヘルツ波は人体に対し危害がない。


 あるいは単純に出力を上げれば遠距離でも使えるのかもしれませんが、少なくとも機載レーダーでは難しいでしょうね。















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