歯科用レジン

歯科用レジン「ジーシーユニファスト　トラッド」という製品です。性質的にはプラリペアとほぼ同じです。「トラッド」がついていない製品もありますが、そちらは反応速度が遅く、「タフロンリベース」とほぼ同じもののようです。
　非常に高い強度があり、こわれにくく、すりへりにも強いのでハンマーなど強度が要求されるパーツに使用しています。ただ、流動体を型に流し込むという形ではないのでどんな形状のパーツでも作れるわけではありません。

　こんな風に凹状の型に、液と粉を交互に入れていって固めるので、当然上面は成形できないことになります。そこで上面は机に敷いた耐水ペーパーなどにこすりつけ、平面になるまで削ります。私の場合頻繁にこの作業をするので鉄板にタングステンカーバイト粉をつけたイギリス製のハンドサンダーの替え刃（替え板？）をアルミ板に接着したものを使っています。
　このような製法のため複雑な立体は成形できません。ハンマーやトリガーでも両側面が平面のタイプは成形できますが、ワイドタイプは作れないわけです。また、原型がツルツルでもこの素材で成形するとどうしてもザラザラになります。そして型を傷めるのが早く、１つの型で６〜10個しかできません。また、この範囲でも型が熱によってゆがみやすいです。素材と接して熱せられる上の部分は膨張し、下はそのままですから、この場合アーチ状にそってしまうわけです。ただ、プラキャストほど簡単ではないものの、一応成形物を熱湯などで加熱してゆがみを修正することができます。

　型がすぐだめになるので型がたくさん必要になります。そこで写真のように原型をスチレンボードに両面テープで貼り、周囲もスチレンボードでおおって輪ゴムで止め、ここにシリコンゴムを流し込み、固まったらはがしてすぐまた流し込めるように工夫しています。

　ちなみに歯科用レジンは一般の店では売っていません。みなさんの大部分はプラリペアやタフロンリベースで充分だと思いますが、もし大量に必要で歯科用レジンが欲しい場合はタウンページの「歯科材料」の項目を調べてみてください。ただ、そうした業者は一般には販売したがらないところが多いです。業者によってはバイクの修理などに使う人もいるし問題ないといってくれる場合もあるんですが。歯科用レジン自体が他の有機溶剤類より特別に危険であったり違法であったりするわけではありませんが、向こうにしてみれば無資格医療などに使われるのが心配なわけです。ですから自分は一般人で工作に使うなどということは下手に説明せず、在庫を確認しておたくとの取引は初めてだが現金で購入しにいっていいか聞くだけの方がいいと思います。