戦前、戦後のステアーサブマシンガン

 今回は単一の機種ではなく、「ステアーサブマシンガン」というくくりのページの内容の紹介です。

斯太爾沖鋒槍繽紛看台


ステアーサブマシンガンいろいろ

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ステアーMP34サブマシンガンはクリーニングの時分解が簡単である」)

サブマシンガンの誕生

第一次大戦期、ドイツ人はP08式拳銃に数回のテストを行った後、すぐに真正なサブマシンガンの研究開発に転じた。第一次大戦末期、真正なサブマシンガンが部隊に装備された。これこそが著名なP18サブマシンガンである。このサブマシンガンの造形と構造は、戦後のあらゆるサブマシンガンの手本となった。この銃の唯一の欠点はP08式マシンピストルのドラムマガジンを給弾具として借用していることだった。

第一次大戦が終結し、ドイツのサブマシンガンの研究開発作業も一時停止した。だがメーカーや設計師は秘密のうちに開発を継続していた。協商国の武器コントロール委員会の厳格な規定を迂回するため、ラインメタル社はスイスのソロサーンの小さな会社を買収し、ここで各種の機関銃の研究開発作業を継続した。1931年、ステアー社は最終的にラインメタル社からソロサーン社を買い取った。

このため、ステアー社もソロサーン社がちょうど進めていたいくつかの新プロジェクトを受け入れ、その中にはサブマシンガンと軽機関銃も含まれていた。この2種の武器はLouis Stangeおよびセオドール ラクラ(頑住吉注:この人については詳細不明です)が研究開発したもので、一部の構造部品、例えばフライス加工で作られたレシーバー部品は明らかにステアー社の影響を受けていた。この後MP30サブマシンガンが誕生した。

維持修繕を少なくするため、MP30サブマシンガンはシュワルツローゼ機関銃のように、フライス加工で作られた回転可能なレシーバーカバーを採用していた(頑住吉注:クリンコフみたいな奴です)。これだけではなく、MP30のあらゆる部品は全てフライス加工で作られ、表面処理は精緻な猟銃のようであり、軍用銃の標準を超えていた。このサブマシンガンはかつて大量に輸出された。フランスの資料によれば、この銃を輸入した国はボリビア、チリ、ポルトガル、ウルグアイ、日本だった。その口径には7.63mm(モーゼル)、7.65mm(パラべラム)、9mm(パラべラム、ステアー、モーゼル)があり、この中で威力が最大なのは9mm(モーゼル)の輸出型だった。

オーストリアでは国家の法執行機関が9mm(ステアー)口径のMP30サブマシンガンを採用していた。オーストリアとハンガリーの陸軍が採用したのは9mm(モーゼル)輸出型のMP30だった。これらのサブマシンガンは頻繁にマシンカービンと公式に称され、この種のサブマシンガンを採用したユーザーが、これをもって標準的なカービン銃に代えることを希望したことは明らかである。9mmモーゼル弾薬は当時威力が最大の拳銃弾薬で、MP30 9mm(モーゼル)輸出型の拳銃弾の運動エネルギーは708ジュールだった。

モーゼル大威力拳銃弾薬を採用したステアー・ソロサーンサブマシンガンの軍用変形銃は、ほぼ真っ先に拳銃弾薬と軍用小銃弾薬の中間的威力の弾薬を採用したものと言える。その後、MP34サブマシンガンが出現したが、この銃の欠点は、1つ目は銃の全体重量が比較的大きく4.35kgに達することであり、2つ目は価格が非常に高いことだった。

MP30/MP34の技術と使用性

MP30とMP34サブマシンガンはオープンボルトファイアを採用し、ストレートのボックスマガジンは銃の側面に挿入された。マガジン本体にはストリップクリップによる装填を可能にする機構がある。この装置はオーストリアのステアー12型拳銃と共用のストリップクリップ用であり、9mmモーゼル拳銃弾薬もこのクリップに装着できた。マガジンを32発フル装填にするには、4つのストリップクリップが必要だった。ただし、あらゆるMP34サブマシンガンに全てこの種の装填装置があるわけではない。オーストリアでは、郷土自衛隊が装備していたのがストリップクリップを使用しないMP34サブマシンガンであるとされる。セレクターレバーはハンドガードの左側に位置している。セレクターレバーを最前部の「D」の文字の位置まで押した時、トリガーを引けばフルオートで発射される。

MP34サブマシンガンには設計が豪華なアジャスタブルサイトが装備され、照準距離は50〜500mである。銃を分解、クリーニングする時は、レシーバー上のプッシュボタンを押し、同時にレシーバーカバー後面の遮蔽板を前に押す必要がある。レシーバーカバーを上に持ち上げ、ボルトをわずかに後方に引くと、ボルトが取り出せる。この他には何の分解も必要としない。射手はすでに主要部品であるバレルとボルトをクリーニングできるからである。ステアー/ソロサーンサブマシンガンのリコイルスプリングはストック内のスチール製ジャケットの中にあり、このためリコイルスプリングが汚れることはない。

MP34サブマシンガンは通常と異なる9mmモーゼル大威力拳銃弾薬を採用したため、第二次大戦前のサブマシンガンの中で特殊な地位を占める。この銃はサブマシンカービン銃と呼ぶ方がより適切である。

生産コストが高いため、MP34は1940年に生産停止された。

(頑住吉注:原ページのここにある画像ですが、どうもストリップクリップを挿入する部分がはっきり見える、ということらしいですが画像が不鮮明で実際にはほとんど分かりません。 http://en.wikipedia.org/wiki/File:Mp34_mag_housing.JPG この画像が分かりやすいと思います。前後にスライドするセレクターレバーもよく分かります。なお原ページでは断面図イラストがもう少し後に出てきますが、ここに入るべきなので示します。部分名称のうち重複しているものは省きました)



第二次大戦以後 MPi69からMPi81まで

戦後の軍事事件に対する評価が行われた後、オーストリア連邦軍には従来の武器装備を更新、世代交代する必要があるとの思想が生まれた。歩兵武器方面では、彼らの関心のポイントは伝統的アサルトライフルにだけ向けられたわけでは決してなかった。実際上、近代化、機械化された部隊では、アサルトライフルは全てに使えるわけではなかった。装甲車両の乗員あるいは航空機搭乗員は寸法がもう少し小さい小火器を使用することを希望した。系統的な簡略化につれ、陸軍はサブマシンガンと機関銃を装備すべきこととなった。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「上はMPi81サブマシンガン、中央は大量生産されなかったテスト型、下はMPi69サブマシンガン」)

(頑住吉注:これより2ページ目、なお何故か画像は表示されません)

このような計画に基づき、ステアー社はMPi69サブマシンガンを研究開発した。この銃は人々が熟知した古い伝統を継承し、マガジンをグリップ内に装備した。マガジン容量は25発あるいは30発で、ダブルフィード、あらゆる金属部品は燐化処理を経ていた。この銃はオープンボルトファイアを採用し、9mmパラべラム拳銃弾薬を発射した。構造は相当に頑丈だった。銃全体の構造は簡単で、生産製が良かった。レシーバーは箱型で軽量鋼板プレス、溶接で作られていた。コッキングハンドルもプレス部品で、レシーバー左前方に位置した。グリップフレームはプラスチック製部品だった。レシーバー後下方にはストック支持架が溶接され、伸縮式ストックの結合に使われた。バレル系統はコールドハンマー製法で作られ、内部ボアの精度が高いだけでなく、バレル内、外壁の強度も上がった。ボルトは機械加工部品で、その断面はほとんど正方形であり、その構造は比較的特殊だった。固定撃針を持つ包底面はボルトの中部に設置され、ボルト右側にはエジェクションポートがあった。ボルトがチャンバーを閉じている時、その前半部はバレル後部を包んでいた。このようにすればボルトの重量を増大でき、自由式ボルトの撃発後の機械的セーフティが実現されるし(頑住吉注:チャンバーの破裂を抑えることができる、ということでしょうか)、レシーバーの長さを増やす必要もなく、かつ適度にバレルを延長して初速を増大させ、射撃精度を高めることもできる。トリガー後方には「セミオート」、「フルオート」、「セーフティ」の3ポジションのセレクターがある。

スリングベルトは前部はスリングリングにつながれ、スリングリングはコッキングハンドルにつながっていた。まずスリングベルトを銃と垂直にし、その後で後方に引けば、コッキングハンドルはレシーバー左上方のガイドスリット内を後方にスライドし、銃を発射準備状態にできた。

だが、あらゆる顧客が全てスリングリングを使って発射準備を行うシステムを喜んで利用したわけではなく、このため後継型のMPi81が生まれた。この銃では特に作られたコッキングハンドルを使って発射準備を行うよう設計されていた。この他、2種の発射準備方式を持つ変形銃も設計された。

MPi81は今に至るもなおオーストリア部隊で現役である。特に特殊部隊ではこの種の堅固で頑丈なサブマシンガンが特に歓迎されている。ある秘密裏に行われた武装して川を泳いで渡るテストでは、この銃は良好な検証結果を得た。ステアーサブマシンガンの突出した特徴は水面から出した後、もしマガジンとグリップがまだ水中にあるままでも、ただちに発砲できることである。MPi69/MPi81は相当に高い汚れや泥砂に対する耐性も備えている。これはボルト開鎖後常にボルト本体によって側壁がカバーされているからである(頑住吉注:コッキングしてもエジェクションポートが開かず、発射時にさらに後退した時のみ開くことを指しているようです)。MPi69/MPi81サブマシンガンは装甲車内での使用にも適している。

MPi69/MPi81はコッキングシステムが異なる他、構造上何の差もない。このため分解の手順も同じである。すなわちマガジンを外し、レシーバー後端のボタンを押し、固定栓を取り外し、リコイルスプリングガイドロッド後端のナイロン製遮蔽板を後方に引き、ボルトとリコイルスプリングを取り外す。フロントサイトガードウィング右側のバレルロックを後方に引き、バレル固定ナットを回して外せば、バレルとレシーバーベースおよびプラスチック製グリップフレーム部分が離脱する。これらの手順終了以後、さらなる分解は必要なく、その他のあらゆる重要部品にクリーニング、油の塗布ができる。

オープンボルトのサブマシンガンの中にあり、ストレートブローバック式自動方式を採用しているものは、一般に全て安全上の潜在的問題がある(頑住吉注:ボルトを閉じた状態で後方から落とすと慣性でボルトが後退し、マガジン一番上の弾薬を拾い、しかしコッキング位置までは後退せずに前進して撃発してしまう、という問題です)。このためMPi69/MPi81サブマシンガンには第2のコッキング用突起が設けられており、ボルトを閉鎖解除状態(頑住吉注:つまり完全閉鎖よりちょっと手前、ということですね)で止める。この銃が広範に使用できなかったのは、オーストリア連邦軍が考え方を変え、AUGの銃器ファミリー化に一心に努力し、操作の統一と部品供給の共通化という目的実現に便としたためである。

どうであろうとMPi69/MPi81サブマシンガンは非常に頑丈な武器であり、すでに部隊において30年現役である。表面的に見れば何の特色もないようだが、いくつかの内在する品質上のメリットがあるのである。

(頑住吉注:「続く」となってますが少なくともネット上にはないようです。まあ後はTMPだけでしょうしどうでもいいですが)


 MP34は画像から見てもいかにも芸術的な精密加工品という感じで、大量生産、消費のための第2世代とは全く異なるものであるのが分かります。ディレードシステムなどのないこの銃で強力な9mmモーゼル弾薬をフルオート射撃した際にリコイルが過大な体感になったかどうか知りたいところですが言及はありませんでした。ただ、オープンボルトのため命中精度が低いはずなので、アサルトライフル的な使用は難しかったでしょう。

 MPi69/MPi81は中途半端にメジャーな銃という感じで、明らかにUZI亜流ですしあまり詳しい資料も見つからないです。グリップパネルやハンドガードのみではなくグリップフレーム全体をプラスチック化したものとしてはかなり早い時期のもので、後にAUGやグロックを生むオーストリアが早くからプラスチックの大幅な導入に取り組んでいたことが分かります。













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