東風21D対艦ミサイルの現実性は?

 アメリカ空母に対抗する中国の「切り札」に関するちょっと醒めた見方です。

http://mil.news.sina.com.cn/2013-02-12/1048715455.html


アメリカメディア、中国の24発の東風-21Dが2個空母戦闘群を殲滅すると仮想

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「対艦ミサイルが空母を打撃する模擬図」)

対空母ミサイルは空母を破壊する必要があるか、それとも単にその戦闘力を失わせるだけで即可か?

対空母弾道ミサイルは最近の西側メディアの中国遠距離打撃武器に関する重点的な宣伝の対象である。建国60周年閲兵式で中国人民解放軍第2砲兵隊が何種かの異なる類型、異なる射程の通常および戦略弾道ミサイルをデモンストレーションすると、さらに西側メディアの普遍的な関心を引き起こした。彼らの見たところでは、中国の空母を打撃できる伝説の弾道ミサイルがついに姿を現した、となる。しかし西側メディアの世論爆撃の中で、我々は一定の醒めた頭脳を保持する必要がある。

想像派

(頑住吉注:ここのサブタイトル、中国の昔の武将にひっかけてあるようですが意味不明です。調べりゃ分かるでしょうが本筋と関係ないので飛ばします)

弾道ミサイルの飛行速度は速く、1万km余りの射程を20分余りでもう到達する。さらに搭載する核弾頭があり、瞬間的に小規模国家を壊滅させることができ、完璧な「大殺器」と言うべきである。空母は排水量が大きく、海上の航行は威風堂々で、何十機かの先進的実戦機および大量の武器を搭載でき、強大な海軍のシンボルとして公認されている。この2種の武器はいかに戦うのか、まさか(頑住吉注:中国の武将)のようではあるまい?

事実、弾道ミサイルと空母の勝負は1950〜60年代にはもうすでに開始されていた。当時のソ連海軍は、核ミサイル出現以後アメリカの空母は海上を漂う鉄の棺桶に過ぎないと信じていた。だが核兵器の巨大な破壊威力と重大な政治的結果は、通常戦争の中で空母艦隊に用いることを全くできなくした。しかも通常弾頭を使用すれば、当時の弾道ミサイルの精度では空母サイズの目標に命中させるには全く不足で、さらに空母が移動物体でもあれば問題外だった。旧ソ連のこの方面における間違った見方は、かえって旧ソ連海軍が空母建設上巨大な回り道を行く結果をもたらした(頑住吉注:インドの改装中の空母の原型のようにミサイルを多数積んだことなどを指しているんでしょうか)。

実は中国建国60周年大閲兵の前、アメリカ人はもうすでに中国の対空母弾道ミサイルを討論中だった。2009年3月、アメリカ海軍学院は中国が対空母弾道ミサイルを開発していることに関するレポートを発表した。対空母弾道ミサイルの重要なカギは、遠距離探知計測、正確な位置決定、正確な制御誘導などの情報技術の発展と共に、弾道ミサイルの打撃精度が倍加したことにある。だが弾道ミサイルが空母に命中できるか否か、別の言い方をすれば空母艦隊を制圧できるかは、非常に奥深い問題になる。

具体的技術の細目の討論は普通の読者にとって非常に難解になる。我々は問題をやや簡略化してみよう。アメリカは中国が対空母弾道ミサイルを開発中であると考えている。ならば我々はこの結論が真実であると仮定する。論理に照らして分析すると、もしアメリカがこの種の武器はすでに空母に脅威を与えるに至っていると考えていたら、アメリカは対抗措置を採るか、もし対抗できなければアメリカ空母の中国沿海における軍事行動を制限することになる。もしアメリカが対抗もできず、西太平洋からすごすごと出て行くこともできなければ、まずこの種の武器の存在を隠蔽し、もって自身の「強大」なイメージを保証するはずである。だが現実から見て、アメリカ軍の上下のクラスの当局者は皆おおっぴらに「中国対空母ミサイルの脅威」、「太平洋のアメリカ海軍力に対する挑戦」を語っている。このため1つの結論が出せる。すなわちアメリカは決してこの種の武器の、その海上戦力に対する影響を余り意に介してはいない。

アメリカの「安全保障業務ニュース」はアメリカ海軍空母が撃沈される場面すら想像している。20XX年X月、台湾海の情勢が再度緊張し、アメリカ海軍は慣例に照らし2隻の空母を派遣して台湾海に進出させて威嚇性の巡航を行い、最終的に緊張した情勢は武装衝突に発展変化する。開戦後ほどなく、中国が発射した24発の対艦弾道ミサイルはアメリカが派遣した2隻の空母、数隻の「イージス」駆逐艦および上陸作戦艦艇を撃沈し、アメリカ海軍と海兵隊を含む1.8万人の死亡がもたらされる。ご注意いただきたいが、この想像で作り上げられた報道は対艦弾道ミサイルの巨大な威力を見せるだけで、技術的にこれがどのくらい現実的かを説明してはいない。

技術控

「死の接吻」の実現には全部でどんな条件が必要か

弾道ミサイルを空母艦隊に命中、あるいは制圧したければ、どんな技術的条件が必要なのか、成り行き上ひとまずの分析を行う。以下数種が含まれるはずである。

第1に、遠距離探知計測システム。例えば遠距離探知計測レーダーと海洋偵察衛星である。海洋偵察衛星の作用は、電子偵察による空母艦隊の位置決定である。その作用はモニターにやや似ており、空母の電磁信号によって位置を決定し、精度は「超視距離レーダー」より高いと思われる。海洋偵察衛星が正確に空母の位置を決定できるか否かに関しては、ずっと論争が存在する。

第2に、空母に対し持続的に、高精度で位置決定を行い、ミサイルのために制御誘導情報を提供すること。もし我々が、偵察システムは遠距離(1,800km以遠、すなわちアメリカ空母の作戦半径)で正確に位置決定できると仮定すると、問題がまた生じる。すなわち何千kmの距離で、対空母ミサイル作戦体系全体のデータ高速通信の維持をいかに保証するか、である。これができなければミサイルは発射できなくなる。この種のデータ転送は作戦全体で絶え間なく行われることを保持する必要もあれば、さらに目標の位置、外形、電磁特性など多方面の情報を大量に転送する必要もある。通俗的に言うと、一般の対艦ミサイルの制御誘導が本来の2G通信技術でもうOKだとすれば、対艦弾道ミサイルの制御誘導には3G、甚だしきに至っては4Gの通信容量が必要になり、しかも距離は何千kmである。このためこの種の制御誘導はレーダーだけに頼ったのではダメで、高空無人機あるいは宇宙の中継衛星でデータの中継転送を行うことが必須である。

第3に弾頭が大気圏に再突入した後の多種の防御突破技術である。この角度から言うと、いかに対ミサイルシステムに対抗するか、である(アメリカ軍の空母艦隊の中の駆逐艦も戦区対ミサイル能力を持つ)。この方面から言うと、一般の弾道ミサイルの防御突破と多くの似た所がある。例えば弾頭の機動、偽目標の放出、弾頭のステルス設計等々である。核大国にとって、これらはほとんど成熟した技術と言える。

第4に弾頭の大気圏再突入の制御誘導技術である。神舟有人宇宙船の帰還をテレビ放送で見たことのある観衆は皆知っているが、帰還船が大気圏に戻る時、一定の「ブラックアウト」の時期がある。レーダーは帰還船を発見できないし、帰還船も外界の信号をキャッチできない。毎回この時になると、テレビの前の観衆は皆心配する。同様に、対空母弾道ミサイルの弾頭が大気圏に再突入する時、「ブラックアウト」は一定程度弾頭をステルス化させ、迎撃されなくするが、弾頭の制御誘導にも困難をもたらす。弾頭が音速の数倍という高速をもって大気圏に突入する時、弾頭は自分はどこにいて、敵空母艦隊はどこにいるかを知り得ることが必須である。両者の速度、位置が不断に変化する状況下で、弾頭が機動を行える時間は秒単位で計算する程度かもしれない。つまり弾頭の大気圏再突入後、最短時間内に空母艦隊を捕捉すべきである。もし弾頭がアクティブレーダー制御誘導装置を搭載していたら、自動で目標を捜索できる。これは普通の弾道ミサイルの弾頭とは大きく異なる。

対空母弾道ミサイルの弾頭が打撃するのは移動目標であり、レーダーなどより正確な制御誘導方式を必要とする。だが敵の妨害という問題にも直面する。歴史的に見て、アメリカ、ロシアはかつて普通の対艦ミサイルにレーダー誘導ヘッドを追加装備した。だがこれはまだ弾道ミサイルには応用されていない。何故なら過去弾道ミサイルにこのように高い精度を持たせる必要は全くなかったからである。ある視点は、現段階の対空母弾道ミサイルの弾頭が受けるのは第三者による受動制御誘導だと考える。だがこの形式にはまだ論争がある。何故なら時間に対する要求が過酷すぎるからである。この方面から言うと、ちょうど神舟宇宙船の帰還船のように、一般には予定の着陸地点から何kmか離れたところに降りられても高精度と評価される。現在あなたが大海上の直径300m余りの、さらには不断に移動する大きな船上に降りざるを得ないとすれば、間違いなく難度が高すぎる。


 まあこの対艦弾道ミサイルの実効性に関しては疑わしいという意見も多いですが、実態がはっきりしない以上有効なものである可能性を計算に入れざるを得ず、一定の牽制、威嚇効果を発揮することになります。アメリカの軍需産業が予算を獲得する口実にもなりますけど。












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