X-47Bの問題点とは

 まずX-47Bの現状を詳しく説明した上で問題点を指摘する文章です。

http://military.china.com/news2/569/20130529/17861397.html


X-47B、アメリカ軍を「高性能だが使えない」の死の循環に深く陥らせる可能性

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「移動する空母上で機を発着させるのは飛行員にとって難度が非常に高い操縦技術と言える。では無人機にはできるのか?」)

現在ではすでに明確な答えがある(頑住吉注:おや、いつもは本文とキャプションを別の人が書いてますが今回は同じ人のようですね)。5月14日、アメリカが研究開発するX-47Bステルス無人機が初めて成功裏に「ジョージ ブッシュ」号原子力空母上からカタパルト発進した。3日後、このステルス無人機は初めてタッチアンドゴーに成功した。イギリスBBCの論評は、これらのことは世界航空史上の新記録を作り出した、とした。艦載機の有人操縦の歴史を書き換えただけでなく、未来の海空の作戦に対し非常に大きな影響がある。

歴史を作った発進

アメリカで現役の「プレデター」や「リーパー」無人機が地上人員の遠隔操作を必要とするのとは異なり、外形がUFOに酷似したX-47B艦載無人機は高度にスマート化され、人類史上初の人間が関与する必要なく、完全にコンピュータによって操縦される艦載無人機である。


14日のテストでは、空母の誘導員は腕に取り付けたセンサーによってX-47Bに発進命令を伝達し、X-47Bのコンピュータシステムは指令を受信した後、あらかじめプログラムされた任務を自動的に執行した。これは機上の先進的なGPSシステム、自動巡航システム、防衝突センサーのおかげである。

通常の状況下では、普通の無人機は操作員が操縦桿を操作する必要があり、これでやっと無人機を空母上で発進、降着させることができる。空母自体が移動するプラットフォームであり、しかも海上の環境の影響を比較的大きく受け、ちょっとした不注意でもすぐ無人機が大海に葬られる結果をもたらす。だがX-47Bが正式に艦に搭載されれば、空母上の操作員はマウスをクリックするだけでもうエンジンの始動をコントロールでき、さらにクリックすれば機を甲板上で滑走させ、さらにマウスをクリックすれば機の発進と降着をコントロールできる。アメリカ海軍上佐エンゲダールは、「X-47Bは、操作コントロールが複雑で技術の爛熟した操作員を必要とする現役無人機とは違い、ずっと簡単だ。」と語る。

今回発進したX-47B原型機は武器を装備しておらず、アメリカ軍無人機プロジェクトのためにデータを蓄積するためだけだった。今年夏、この機はさらに航行する空母上で降着試験を行う。アメリカ海軍は2014年にX-47Bの空中給油をテストすることにしている。

X-47B艦載無人機は無尾翼機であり、外形から見てB-2爆撃機の縮小版に酷似しており、全幅は約19m、重量は約6,350kgである。この機の上昇限度は1.2万mを超え、航続距離は3,700kmである。一方「プレデター」はおよそ1,250kmである。

設計によれば、X-47Bは充足したスペースに爆弾や監視装置を搭載し、最多で900kgの爆弾が搭載できる。将来はさらに新機種のX-47Cが開発され、弾薬搭載量は4,500kgに達する可能性がある。

航続距離は3,700km

最初の無人機は第一次大戦の期間に登場し(頑住吉注:これはもう無人機の定義の問題になってきますね。「ドイツ語版『Wikipediaによる「風船爆弾」の説明」によれば1849年に初めて風船爆弾が使われたとあり、これが最初の無人機だということもできなくはないのでは)、比較的粗末なものだった。第二次大戦終結後、航空技術の急速な発展と共に無人機ファミリーも徐々に盛んな時期に入った。時今日に至り、世界で研究開発、生産される各種無人機はすでに数十種で、しかも実戦で応用されるに至っている。無人機の「死傷ゼロ」と「高い成功率」は歓迎され、アメリカはアフガニスタン、イラク、イエメン、パキスタンで頻繁に無人機を使用しているが、多くの不足も暴露している。こうした背景の下で、アメリカ軍は性能がより良い無人機の探求、研究開発を早急に必要とし、こうしてX-47Bが時運に乗じて登場したのである。

X-47Bはアメリカ国防省国防高級研究計画局、アメリカ空軍、海軍が共同で研究開発に参与し、ノースロップ・グラマン社が製造する。その目的は敵軍の防空火力制圧に使え、、電子戦攻撃実施、偵察、捜索、救援任務執行を一体化した無人機の研究開発にある。2008年12月、X-47B艦載無人機サンプル機が正式にデビューした。2011年には初飛行が行われた。この機は自動化の程度が最高の航空製品であり、現代の有人操縦戦闘機の新技術と経験が採用されており、例えばステルス技術などで、さらにこの機は有人操縦発着技術をコピーし、事前にプログラムされた任務を自動的に執行できる。

X-47Bはコンピュータプログラムを利用して発進、降着、および空中給油などの指令を処理するため、この機は飛行員の身体的受入れ限度を考えなくてよく、アメリカ軍で現役の艦載機の滞空時間を10時間から30時間にまで延長させ、このことは極めて大きく艦載機の作戦半径と航続距離を増大させることになる。

各国の中距離対艦ミサイルの発展はアメリカ空母が海岸から充分遠い場所まで撤退することを迫っている。この種の状況下で、有人実戦機は任務執行時空中給油に頼ることが必須で、したがって打撃を受けるリスクが増加している。

X-47B無人機の航続距離は3,700kmで、海軍のために長距離打撃と偵察任務を完成させる能力を持つ。空母戦闘群をより安全なところに位置させることもできるし、内陸に深く入って打撃任務を執行することもでき、したがって非常に大きく空母の戦闘力を向上させる。

X-47Bの無尾翼の独特な設計はそのステルス性能を向上させ、戦闘中に敵の防衛ラインを突破し、後続の有人操縦作戦機のためにルートを開くことができる。

X-47Bの今回の試験飛行にはさらにより深遠な戦略的意義がある。軍用ロボット革命に関する本、「ネットワーク作戦」の著者シンは、海軍航空隊にとってX-47Bは未来の海空作戦の模式を完全に変える可能性があると言える、と語る。「アメリカ軍には将来無人機と有人操縦実戦機の連合編隊が出現し、空母艦載機編隊の作戦様式にコペルニクス的転換を促す。X-47Bの高度スマート化はさらにアメリカ海軍にマンパワーの節約を可能にする。アメリカ海軍は最終的に無人艦載戦闘機システムをアメリカ海軍の核心的作戦体系の中に溶け込ませることになる。」

(頑住吉注:これより2ページ目)

残るいくつかの大きな疑問

X-47Bの性能は出色ではあるが、決して完全無欠を意味しない。何故ならこの機には依然、無人機固有のいくつかの弱点が存在するからである。

まず自主作戦能力の制約である。X-47Bはプログラムによって自主作戦が実現できるが、どんなに聡明な機械も機械に過ぎず、戦場の欺瞞機器は明らかに人をだますより容易にこの機をだませる。例えばX-47Bは機動対地攻撃任務執行時、必然的に相手方の各種の偽装および隠蔽措置に遭遇し、単純にデータに頼って目標を確定する難度は非常に大きい。近年来の局地戦争の結果は、無人機は位置が固定された重点目標の攻撃には比較的適しているが、高強度対抗の戦場での機動目標打撃時には、無人機の捜索識別効果はまだ有人操縦機と比較できるには程遠い、ということを証明している。

次に空戦での対抗能力が劣る。これは無人機に付きまとう問題である。アメリカ軍がかつて行った何度もの無人機と戦闘機の格闘演習の中で、無人機は機動性能上は有人機を超えているが、目標を自主的に発見、識別できず、地上のコントロール人員もまた機載データを根拠に戦場の局面を掌握できないため、無人機が複雑な戦術動作に全く対応できない結果がもたらされている。アメリカ、ロシア空軍が何度かの実戦で有人操縦戦闘機を用いて何度も無人機を撃墜した状況から見て、無人機はレーダー、赤外線などの信号特性の低下だけに頼ったのではまだ生存を保証することはできない。未来の作戦の中で、主に攻撃任務を執行するX-47B無人機は、ひとたび有人操縦戦闘機に発見さされば、その生存できるかの結果はむしろ予測しがたい運によって決まる。

最後にコストの問題である。アメリカがX-47Bを開発する目的は、遠距離対地/対艦打撃を行うのに用いることができる低コストの航空装備を獲得したいというものである。だがX-47Bの低コストは有人機に対して言えるに過ぎず、巡航ミサイルに比べれば全くコストの優勢はない。何故なら現代の巡航ミサイルは普遍的に遠距離正確制御誘導技術を採用しているだけでなく、大量生産による規模の優勢と低コスト制御誘導システムの応用も巡航ミサイルをより安価にしている。もしただ単に遠距離正確打撃を実現するためならば、X-47Bの購入は明らかに「トマホーク」巡航ミサイルのリーズナブルさに及ばない。

無人機のコストの優勢は本来小型化から来る。だがX-47Bは搭載荷や航続距離の必要を満足させるためすでに寸法が拡大されており、しかも作戦に必要な記載設備やシステムが不断に増加し、その生産および維持メンテナンスコストはどんどん高くなり、最終的には高性能から「使えない」に至る死の循環に陥る可能性がある。

要するに、もしX-47Bが有人機や巡航ミサイルに比べての作戦機能上の優勢を探し出すことができず、同時にコスト上無人作戦機の特殊な優勢を体現することがなければ、その未来の発展と使用に影響することになる。


 とは言っても大きな軍用機の流れが無人機に向かっているのは間違いないと思われ、デメリットを打ち消すメリットがあり、またデメリットも徐々に解消され、そして無人機でないと実現が難しい任務も生じていくでしょう。だからこそ中国もアメリカ以上に無人機に力を入れているわけですし。










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