ドイツのエアソフトガン事情

 「Visier」2004年9月号に、ドイツでも人気が高まっているというエアソフトガンに関する記事が掲載されていました。ちなみに国際的には日本同様「Airsoft」という呼称が主流だそうですが、どういうわけかドイツではほとんど「Softair」という呼称だけが使用されているそうです。


技術移転

モダンな「ソフトエア-モデル」は、かつての「エンドウマメピストル」から非常にかけ離れている。それはあたかも「足踏みペダル式の子供用自動車」が純スポーツワゴンからかけ離れているようなものである。

でに最初のシリーズから、新しいTMには『ギアージャム』がある。これにはより強いバッテリーが必須だ。それにそもそも最新パッケージのBB弾はAEGにはあまりに軽すぎる。」…この人たちはそもそも何について話しているのだろうか?

 経験豊富な銃器専門家たちでさえ、今日「ソフトエア-モデル」に関するインターネットフォーラムをあえて行っており、そうした人達は同時に通常の銃の存在する世界でも見かけられる。優に1万の異なる機種が世界に存在すると、Arnsberg所在の「ジャーマンスポーツガンズ」(GSG)の輸入業者Manfred Nienhausは見積もっている。本物の弾薬を撃つ全ての銃は、プラスチック弾領域に双子を持つらしい(頑住吉注:いくら何でもそんなわけないでしょう。もしそうだとしたら頑住吉の出る幕はないです)。Western Arms、Tokyo Marui、Maruzen、Classic Army(頑住吉注:検索して初めて知りましたが香港のメーカーです。http://www.classicarmy.com/)製のモダンな機種は、もはや1990年代からの最初のちっちゃなスプリング圧式ピストルとの共通点を持たない(頑住吉注:日本には1980年代にすでに少なくとも外観上現在の機種に大きく劣らないガスガンが存在しましたがね)。トップのソフトエアガンは価格水準において高度に手をかけられた「本物の」カスタムガンにほとんど劣らない。最も熱心な購入者は、レアな機種、例えば作動能力のあるMG42の模造品のためなら3000ユーロまで、あるいはもっとカウンターに積む(頑住吉注:これはどう考えても松栄のでしょう。輸出もしてたんですね)。そしてアジアではかなりの数のインダストリーが必要な付属品やチューニングパーツ(交換バレルからギアまで)のために活動している。特に中国に存在する、しばしば無名のままでいるメーカーの数に関しては推測できるのみである。専門取引はドイツにおいてのみまだ長い眠りについているようだ。この理由にはこれまで支配してきた法律的シチュエーションがあるかもしれない(囲み記事参照)。ひょっとすると多くの経験豊富な銃器メーカーがこうした「プラスチック製のもの」に関わることが従来沽券にかかわると思ってきたということもあるかもしれないし、あるいは単にそれについての知識が乏しかったということもあるかもしれない。

 愛をこめた嘲笑とともに「ソフトエアガンの大御所」呼ばわりされているManfred Nienhausは、3年前まで(今同様Arnsbergにおいて)Umarexの販売リーダーだった。彼がドイツにおけるソフトエアガンマーケットを新たに組織するというチャンスを認識した時、Umarexではむしろ方向性が二酸化炭素アクションモデル、ガスおよび空包専用銃に向いていた。そこで彼はまず始めに2人の仲間と独立した。最初GSGにはトップにGamo、BSA、Daisyの伝統的な圧縮空気銃が存在した。そうこうするうちに、経験によってあまりにも少ない在庫が認識でき、優先順位が移行した。ソフトエアガンはブームになっている。リベラルな銃器法によって模造品のためのマーケットが存在しないことはすぐに分かるアメリカでも、熱心にアジアからの輸入が行われている。以前は1カ月に1,000挺だったのが、今では100,000挺のソフトエアガンが輸入されている。ただし今は1週間にである。

ランジスターラジオ同様、ソフトエアガンは2、30年前に、典型的な「困窮製品」として日本で生まれた。おそらく世界で最も制限的な銃器法は、実銃のプライベート所有を不可能にしている(頑住吉注:スイス銃器マガジンも「日本には私有財産としての銃はない」旨書いていましたが、言うまでもなくこの記述は不正確ですね)。模造品においてさえ金属製が許されるか否かという厳格なルールが存在する(頑住吉注:「困窮製品」とかいうので悪口を言われるのかと思ったらそうではなくて、エアソフトガンは厳しい法によって実銃が持てないという「困窮」が生んだ製品だ、というまったく妥当な分析でした。ちなみに他にどういうものが「困窮製品」と呼ばれるのかは不明ですが、戦時中の「代用コーヒー」などがそうではないかと想像します)。だが、もはや製造会社は「日本島」(頑住吉注:単数形です…)に限られていない。タイ、中国、フィリピンといった近隣諸国も加わっている(頑住吉注:ちょっと意外な気もしますが、この記事には韓国が全く登場しません)。そして多くのもの同様に、新製品が盗作品と同時に存在するまで長くかかることはまれである。しかしソフトエアマーケットは、サイバーガンやAction Sport Gunsのような堅い販売会社が少なくとも外観が同じ模造品のためにオリジナル提供者からのオフィシャルライセンスを得るよう大いに努力している。真のコレクター(彼が自分のモデルを撃つ場合でさえ)は実際すべてのディテールがオリジナルに忠実かどうか、そしてそれが正しい位置にあるか、刻印が正しいか、マテリアルの「フィーリング」がオリジナルと一致しているかに興味を引かれる。そういうわけで多くの亜鉛ダイキャストの、マグネシウムの、そしてプラスチックの外装でも、昨日初めて何年も使用されていた湿地帯や塹壕から引き揚げられてきたかのように真に迫って見える。他のものはリアリティがパッケージにまで及ぶ。あるH&K G3の「試験モデル」の模造品のカートンには、「1993年2月12日から」という試射記録と、まだ現職の(あるいはちょうど現職を退いた)射撃試験局のリーダーのサインが印刷されている(頑住吉注:ここまで凝ったパッケージは日本にもないですね。ちなみにG3としては末期にあたる1993年にどういう実験モデルが射撃試験局でテストされたのかにちょっと興味がありますが、これ以上の記述はありません)。
 ちょうどモデルの多様性のように、ソフトエアガンの価格の変動幅も多様である。口径6mmが支配的であるが、いわゆるMAXIモデルはより大口径の8mm弾も使う。例えば新しいMarushin製K98(398ユーロ)や、6月に「D-Day」記念日向けにスペシャルエディションとして発売された.30M1カービンのようにである(頑住吉注:日本ではあまり話題になりませんでしたが、欧米ではノルマンディー上陸作戦60周年は大きなことで、「Visier」も「DWJ」も特集を組んでいました。マルシンはこれに合わせてスペシャルエディションを作って輸出したようです。商売上手ですね。ちなみに写真には日本では販売されていないはずのパラトルーパーストックのモデルがあります。ちょっと欲しいです)。最も単純なブラックのスプリング圧型ワルサーP99(マズルエネルギーが0.08ジュール未満)はリスト上の価格が24.95ユーロである。これに対しワルサーP99系のガス動力で「ブローバックシステム」(スライドが後座する。0.8ジュール未満)を持つバージョンは255ユーロと10倍で、18歳にならないと購入できない。価格の差はオリジナリティ(製品に会社名を使用するためのライセンスには多額の金がかかる 頑住吉注:このオリジナリティは製品としての独自性ではなくオリジナルつまり原型の実銃への忠実さを指すようです)とならんで、使用するマテリアルも理由となっている。「AEG」機種の場合、射撃時に強い負荷を受けるギアがノーマルのように亜鉛ダイキャストで作られているか、最も高価な素材としてはステンレススチールさえあり、これで作られているかで当然差が生じる。シンプルなプラスチック外装はマグネシウムより製造しやすいし、個々のパーツの組み立ての正確さは、顧客が通常と異なるチューニングパーツを問題なく組み込むことができることを保証する(例えばClassic Army=略称CAまたはTokyo Marui=TMのモデルの場合のように)。同様に大きな提供者であるICSも独自のラインでそれらを追っている(頑住吉注:ICSは「スイス銃器マガジン」が製品をレポートした台湾のメーカーです)。そういうわけで、異なるメーカーの多くのパーツは共用や交換ができない。

形が機能を追う
 今日のモデルはその作動原理によって分類される。スプリング圧モデルでは、ピストンがシリンダー内でスプリングの張力に逆らって後方に引かれる。つまり、使用者はガス缶やバッテリー、充電器といった常に特別な費用がかかる追加コストなしですむ。一方ガスは最初、たいていプロパンガスをベースとしていくつかのガスを混合したものだったが、いろいろな強力な発射ガス(HFC134a、Green Gas、Red Gas、ASP3 頑住吉注:後の2つは日本では少なくとも公然とは使用されていないものですね)はリアルな作動を可能にした。というのは、こうしたガスは単に弾丸をバレルから発射するだけではなく、本物の火薬ガスによって連発しているようにスライドを後方に駆動もするからである(ただし追加のガスを使う)。その際メーカーが推奨するガスを絶対に守らなくてはならない。強すぎる種類はメカニズムを破壊する。第二の解決も存在する。それは例えばスプリング圧メカニズムをガス圧で支援するという効果である。例えばCAのスナイパーモデルM24SOCOMには、スプリング圧をスプリング/ガス圧発射に装備改編する新方式のセットがある(頑住吉注:これは驚きました。ざっと読んだ時は「ああ、いわゆるガスボルトか」と思いましたが、そうではなくスプリングをガス圧でバックアップする、つまり併用式があるというんです。これは日本にはないですよね。しかし冷静に考えてみるとどういうメリットがあるのか首を傾げてしまいます)。

 ブローバック機能のあるモデル(GBB)、ないモデル(NBB 頑住吉注:ノンブローバック)というガスで発射するモデルはハンドガン領域でもっともしばしば見かけられる。銃は1回のガス注入(ライターの場合のように缶から)ごとに40〜60発持続する。それ以後発射のためにはそのつどハンマーまたは内蔵された「打撃部品」が新たにコックされる。EBB(エレクトリックブローバック)バリエーションの場合、ミニモーターが発射ガスの任務を引き受けている。だが、ハンドガンの場合大きな駆動力が得られないため、EBBはむしろ日陰者となっている(頑住吉注:これは東京マルイの電動ブローバックのことでしょう)。不均一に縮小した機種である「Minis」はさらに奇抜であり、むしろ玩具領域に定住している(頑住吉注:これはミニ電動ガンのことですね。しかし全体の流れとしてここではガスガン、ブローバックの話から、ある意味脱線として変り種である電動ブローバックの話をしているわけですから、ここでミニ電動ガンが登場するのは変で、本来なら後の電動ガンの項目で登場させるべきであるはずです)。

 小型のモデルでは、しばしばマガジンに弾丸とガスを内蔵することで比較的コンパクトなガステクニックの組み込みが可能になる。そしてこの場合オリジナルのマガジン交換のように行うことができる。ひょっとすると、最新のトレンドは、周知の二酸化炭素モデルへの接近と考えられるかもしれない。ソフトエアモデルとして模造され、フランスのコンツェルンであるサイバーガンが販売しているS&Wシグマ40Fは、二酸化炭素の12gカプセルをエネルギー源として利用している。怪物じみたデザートイーグルの二酸化炭素バージョンの模造品も同様である。しかしこの両者では並外れた長さのマガジンが使用されている。それは8.0cmの長さを持つカプセルをバルブとともに完全に銃内に隠すことができないからである。この特別な形状のかわりに約1.5ジュールのエネルギー値を生んでいる。0.25gの弾丸なら110m/s、最も軽い0.12g弾なら約140m/sになる。

オール電動 
 技術的に最もコストがかかるのはAEGモデルである。AEGモデルでは筋力や発射ガスが電気モーターに置き換えられており、マズルエネルギー0.3〜0.7ジュールをもたらす。そしてまた弾丸の加速が機械的に行われるのではなく、よりソフトな「回り道」であるスプリングの付属したピストン内の圧縮空気によって引き起こされる(頑住吉注:この書き方だとまるで打撃によって弾丸を押し出すいわゆるストライカー式との比較のように読めますが、日本のエアソフトガンマニアなら熟知しているように最初から一定の圧力を持つガスで加速するより徐々に圧力が上がるエア式の方が命中精度上有利であり、文脈上そういうことを言っているのだと思われます)。ギア技術により、高い発射速度に達しうる。しかしこれに関し、ドイツ向けに供給されているモデルは世界的にユニークなものである。(頑住吉注:本来AEGは)セミオートとならんで、切り替えスイッチによってバーストや(トリガーが引かれている限り)フルオート射撃さえ可能なのである。しかしこの国ではフルオートマチック銃がこのような種類のものも等しく銃器法によって禁止されているため、特別な遮断装置が組み込まれなければならない。この遮断装置はエンドレスな射撃を阻む。Wiesbaden所在のBKAによるすべての構造方式のモデルがBraunschweig所在の「物理技術試験機関」に登録されねばならないように、違法なフルオート製品の輸入は警戒されている(頑住吉注:ドイツでは作動方式に関わらずフルオート銃は一律禁止になっている、つまりこの点では日本より厳しいということです。)。

 そうこうするうちに、アジア人は彼らのドイツにおける商売のパートナーと完全に提携するようになった。従来メーカーによるフルオートモードのブロッキングは信頼性が低すぎ、障害を誘発するものであったが、この仕事は今例えばGSGに引き継がれている。チーフ設計者Dietmar Emde(例えばエッケルンフォルデのザウエルによる小口径ピストル「モスキート」のような「真の」銃器でも責任者として名前が挙げられる)は、技術援助を行うとともに、その地の最新のヒントをそこからザウエルランドの家に持ち帰るために定期的に極東に旅している。

 「ホップアップ」効果は昨年のソフトエア領域内における最も重要な発明と言ってよい(頑住吉注:こらこら、日本では1980年代から商品化されてるっての)。物理学者Bernouilli(頑住吉注:日本ではベルヌーイと表記される人です)およびMagnusが同じように取り組んだ物理的特殊性の利用が、それだけで球状弾をソフトな雲のように帆走させる。良いソフトエアガンは25mでスポーツピストルターゲットのセンター内(25cm)に収めることができる(当然風が静かなことが前提である)。M24や歴史的モデルであるK98および.30M1のようにスナイパーライフルとして設計された銃の場合、適したターゲットを使用して10mで規則通りの精密射撃競技を行うことができる。

 実銃の欠如により、日本人はアンシュッツ1403のような比較的実直な外見の単発小口径ライフルを模造し、その銃から「プラスチック製のエンドウマメ」を発射することにさえ熱中している。エアソフトガンにはなんでもある。当然アジア人の狂信的なオリジナルへの忠実性は銃そのものをはるかに越えて装備にも及んでいる。「再演」のように正確なディテールを持つ軍や特殊部隊のユニフォームを身につけ、シナリオを真似て演じたり、文献を山のようにむさぼり読んでいる。そして銃と装備をとうとうパーフェクトにした人は、正しい弾薬に考えが向く可能性がある。というのは、ExcelやSuper Kingといった提供者によるトップの球状弾は、実際もはや未成熟の天然エンドウマメと比較すべきものではないからである。最も小さい重量の逸脱および球からの逸脱(水平にした鏡の上で転がすことでよく見つけ出すことができる)は球状弾を評価するものさしである。へこみ、パーティングライン、閉じ込められた気泡は腹立たしい障害、あるいはさらにひどい結果を招く。すなわち繊細なカスタムバレルが傷つけられることがありうる。重量バリエーションは0.12gに始まり、GBB用に適した0.20および0.25gと多くの段階を登り、重い0.45gまである。これらにはいくつかの色つきのもの、発光弾、アルミ製または圧縮したバイオトウモロコシ製も全て含まれる。変な比較だが、圧縮空気銃用の「Diabolos」(頑住吉注:金属製のツヅミ弾みたいな奴です)を持ち出す。すなわちソフトエアガンに取り組む人は、技術移転によって確実に発見をする。そして「真の」銃の場合同様多くの困難な問題にぶつかり、経験を積む。ソフトエアガンは今日もはや玩具ではない。そして今後実銃使用者のためのものになったときには(自動車モデルや機械時計のように)…(頑住吉注:この部分何が言いたいのかいまいち分かりませんが、おおよそ「実銃関係者がエアソフトガン領域に参入することで技術的に大きな進展がありうる」ということではあるまいかと思います)。

ソフトエアガンをめぐる法的状況(頑住吉注:囲み記事)
 マズルエネルギーが0.5ジュールを越えるソフトエアモデルは銃器法により圧縮空気銃とみなされ、「五角形の中にF」の識別目印をつけなければならず、18歳以後になって初めて購入してもよい。自分の家の中、庭の中(弾丸が出て行くことができない囲われた土地!)または所有者の同意を得た他所の建物以外では、これらのモデルはシューティングレンジのみにおいて使ってよい。こうした場所以外で公然と、アクセス準備状態で持つことは法律上の「携行」にあたり、銃器法に抵触する。マズルエネルギー0.08ジュール未満のモデルは銃器法ではなく、ただ玩具に関する行政上の通達およびDIN(頑住吉注:ドイツ工業規格)-EN 71-1規格の影響下にあり、「CE記号」をつけなければならないだけである。これらは法律上すでに3歳以後使用してもよいとみなされる。その間に存在するグループである0.08ジュール以上0.5ジュール未満のソフトエアガンは、2004年7月3日の「連邦刑事局」(Bundeskriminalamt)の「確定通達」(Feststellungsbescheid)により、器法から除外された。そうでないためにこれまでヨーロッパ中での貿易上の対立をもたらしてきたからである。外国の取引商は、0.5ジュール未満のソフトエアガンはヨーロッパの至るところで18歳未満であっても銃器法上の制限を受ける可能性がなく、競走上不利であるという理由で抗議してきた。


 この人の文章は少なくとも私には読みにくく、細部はかなり怪しいですが、ドイツの事情がおおよそお分かりかと思います。ここで書かれているようにエアソフトガンは実銃を持つことが極度に困難であるがゆえに日本で発達したものであり、これまで日本は文句なしにエアソフトガンの最先進国でした。しかし、台湾や香港製の電動ガンは少なくともネット上の情報を見る限り日本製のグレードに迫っているように見えます。少なくとも現時点ではオリジナリティには乏しいようですが、人件費の安い国が技術力をつけてくると日本メーカーの大きな脅威になってくるはずです。また、世界的にエアソフトガンの人気が高まり、「これは商売になる」という認識が生まれた結果実銃関係者が参入してきて、日本では困難な方向に発展するきざしもあり、日本メーカーも安心はしていられないという状況のようです。





戻るボタン