サブコンパクト.45ACPオートピストル その1
「Visier」2004年3月号の「スイス銃器マガジン」ページに、サブコンパクトサイズの.45ピストルの記事が掲載されていました。この記事は3回シリーズの第1回目です。
サブコンパクト.45
一般にいわゆる「サブコンパクトピストル」という呼称は、バレルが4インチ未満で、マガジンキャパシティが10発以上のハンドガンに適用される。この定義を教条主義的にとらえるならば、この寄稿に登場する多数のピストルはマガジンキャパシティが少なすぎるということになる。そこで、ここでは定義を、「大口径である.45ACPを使用する、できるだけ携帯しやすいことを意図した小型のピストル」と変更する。
最も大きい、大きい、小さい、なお小さい。これは携帯目的に向くハンドガンの順番である。さらに求められる属性は自明のことながらできる限り軽いこと、あらゆるシチュエーションにおける究極の信頼性、そしてとりわけ射手と銃にできるだけ小さな負担しか与えずに充分な「ターゲット内弾道学」的パワーを持たせることである。
そんなことが可能だろうか? おそらくほとんど不可能だろう。あるいはよくても妥協的な制限されたものになる。少なくともいくつかのハンドガンメーカーは年々そのベストをつくしている。紹介するサブコンパクト、あるいはややそれより大きいコンパクトモデルの提供品の中でどれがこの要求に適合しているか、あるいは同様にリボルバーとオートピストルのどちらがよいのかを見極めることは難しい。
だが、ここではオートピストルのみを扱う。当然のことながら、ハンドガン製造分野においてこれをリードし、モデルとなるのはほとんどいつもハンドガン、とりわけ公用ハンドガン、そして小型ディフェンスガンの世界最大の販路たるアメリカである。その上アメリカでは一部のメーカーはセルフディフェンスのための「工場渡しの状態ですでに手を加えられた」(頑住吉注:要するにカスタムですね)を提供しており、そしてこれはオールスチールだけではなく、重量を減らしたライトメタル(アルミニウム)およびプラスチック、あるいはこれら全てを使った複合材料も取り入れられている。このサイズのクラスでは一般的ではないが、スプリングフィールドがシリーズで提供しているように、バレルにコンペンセイターを組み込んだものも入手可能である。
口径の選択はほとんど信仰上の問題である。西ヨーロッパの人々は相変わらず9mmパラベラムを好み、アメリカ人は自分たちの.45ACPに信頼を置いている。USスペシャルフォースの一部メンバーは、アフガニスタン投入のはるか前からすでに、1980年代にUSアーミーに採用された9mmパラベラムを古いビッグボアキャリバーに装備変更するよう要求している。アフガニスタン以来、9mmパラベラム-フルメタルジャケット弾(ホローポイント弾はジュネーブ協定で禁止されている)のストップ効果は最もシャープな批判を受けている。そして無視し得ない重要な事実として、ドイツ警察が何十年も使用を続けたが、そのために多くの不必要な死者と重傷者を出した9mmパラベラムのフルメタルジャケット弾を、全国的に変形弾に交換せざるを得なくなったことが挙げられる。スイスでは、しばしばそうであるようにこの件でも何年か遅れてこの件が議論されている。
現在アメリカのピストルメーカーは小型モデル用として当然.45ACPに重点を置いているが、ヨーロッパの弾薬である9mmパラベラムも負けていないように見える。それに対して(アメリカに比べれば小数の)西ヨーロッパのピストルメーカーは、このカテゴリーにおいてほとんど9mmパラベラム専門となっている。例外はオーストリアのグロックだ。グロックはそのサブコンパクトモデルをさまざまな口径で提供しており、その中には9mmショート、40S&W、.357SIG、10mmAutoと並んで.45ACPが存在する(頑住吉注:ちなみに「グロックに10mmってあったっけ?」と思って調べたらちゃんとありました)。
.45ACPの一つの問題は確かにその寸法、すなわち直径である。ありうる多くの異なる手の大きさに対応することを考慮して、是認できるグリップ周囲サイズにするには、一列のマガジンはほとんど義務である。その上、実際のサブコンパクトモデルは減らされた寸法、特に大きく削減されたグリップ部の高さを要求され、そのマガジンキャパシティはリボルバーレベルかほんのちょっとだけ上ということになる。他方ダブルカアラムマガジンを使用したメーカーは売る相手を手の大きい人に限ることになり、しかも重量も増加してしまう。
銃の重量に関しては、プラスチックマガジンがすでに長年採用されており、実用でプルーフされた代替案となっている。例えばタウルスやグロックがその.45口径小型ピストルに使っているように。他の口径ではプラスチックフレームは珍しくないし、特にそれが主流である9mmパラベラムのサブコンパクトピストルとは全く反対に、.45口径クラスではプラスチックマガジンは依然として例外的存在である。すでに挙げたタウルス、グロックの他には、アメリカのメーカーではせいぜいリパブリックアームズくらいしか頭に浮かばない。この社はパトリオットと言う名前の.45口径のプラスチックフレームピストルを何年も前に提供していた。プラスチック、スチールとならんで当然アルミニウムも第3のフレーム素材として忘れてはいけない。この軽金属はピストルの重量を削減するためにプラスチックと同程度役に立つわけではないが、それでもこの点においてスチールとは大きな差がある。
特にいくつかの大口径カテゴリーに属する短銃身ピストルの場合、プラスチックとアルミニウムには欠点がある。一方ではただ軽いというだけで携帯が快適であるが、他方では重量不足によってリコイルのインパルスとマズルジャンプが高まる傾向がある。ありありと思い浮かべることができる。.45の弾丸は「軽量弾」ですら重量カテゴリーが200グレインであり、9mmパラベラムの弾丸は100グレインカテゴリーだから倍である。そして発射する銃はしばしば同じ銃身長、同じ空虚重量なのだ。
古さゆえに尊敬に値する1911系システムの評判が(頑住吉注:スイスやドイツにおいて)不足していることはたぶん否定できないだろう。そもそもそのような安全構造を持つコンシールドキャリー用セミオートピストルはまだ時代に合っているのだろうか? 現在、レバーセーフティとグリップセーフティという安全システムは、アメリカの公用、少なくとも特殊部隊全般では、.45ACPと結びついてルネッサンスを体験している。手を胸に当てて考えてみよう。スイスまたはドイツにおいて警察または軍用の1911系公用ピストルが紹介されることはありうるだろうか。たぶんそれはありえない! ハンター、習慣的銃器携帯者と比べて高度なトレーニングを受けたプロシューターならどうか? たぶんそれもありえない! こうしたことから私の考えではこうした人々にとってハンマーコックで携帯したり、発射前にハンマーをコックするピストルが相当に悪い選択であるのは間違いない。
提供品
セルフディフェンス、または「狩におけるとどめの1発」用のピストルは、設計上よく訓練されていない射手が手にすることを前提にすべきである。すなわち、装填状態で即射撃準備ができ、射手にとって安全なものであるべきだ。ピストルを装填状態とし、できるだけそれ以上の操作なしにホルスターに入れられるものがいい。危険なシチュエーションが生じた場合は銃を抜いてすぐ撃てる。よく考えている暇はない。「私はセーフティをオフにした。ハンマーはコックしてあったか?」などと考えた後ではもう遅いのである。「弾薬がチャンバー内にある」ことが見て、触って外から分かるインジケーター、そして自明のことながら射手に依存せずに働く落下安全装置は長所である。
サブコンパクトの基準を完全に満たす、あるいは少なくともそれに近い.45ACPピストルはすでにずっと前から存在している。そして、多くはアメリカの伝統的メーカー、コルトに敗れてきた。
だが、たいていの銃器愛好者はとっくに忘れており、そして比較的短時間しか生産されていなかったが、「ダブルイーグル オフィサーズモデル」というのがあった。この銃を簡単に描写するならば、「オールスチールのDAピストルで、外装セーフティはなく、デコッキングレバーがあり、銃身長は90mmであった」となる。ところが(ちなみにこれはいろいろなメーカーの、多くの異なるモデルにもあてはまることだが)コルトはこの銃のバレルは短くしたのに、フレームの寸法は変えなかった。これはM1911の子孫であるSAモデルのコルトディフェンダーとは全く違ったやり方だった。ディフェンダーは全長は174mmあったがイーグルのオフィサーズバリエーションよりはるかにハンディで、しかも装弾数は7発と1発少ないだけだった。
これに加え、コルトにはSAピストルにおいてオフィサーズとコンバットコマンダーがある。この2つはディフェンダー同様この銃器紹介記事シリーズの3回目で取り上げる。
そしてある意味ではサイズ上サブコンパクトとコンパクトの境界線上にある、いくらか異なる.45口径コンパクトピストルである「ピットブル」変換システムを短く紹介する。この変換システムは本来の使用弾薬が.45ウィンチェスターマグナムであるLARグリズリー用である。これを組み込むと、フレームはそのままだが、バレルは3.7インチになる。
この部門で大きな部分を占めるのは、全ての問題にもかかわらず相変わらずS&Wである。このスプリングフィールドのメーカーは少なくとも、前世紀の80年代、モデル4516によって(アメリカにおける)最初の.45ACPDAコンパクトピストルを紹介した、という名誉を与えられるにふさわしい。銃身長92mm、全長183mm、全高141mmというコンパクトさが当時のセールスポイントだった。数年前、この機種は「チーフスペシャル」シリーズと交代した。提供品には9mmパラベラム、.40S&W、.45ACPがあり、ビッグボアタイプは「CS45」というモデル名がついている。全長が165mmに縮小したことで、今やこのモデルもここで紹介すべきサブコンパクトに属する。S&Wは「チーフスペシャル」の銃身長を3インチと表示している。この他に「45タクティカル」の追加名称のついた「M4513TSW」もある。この銃に備えられている相応のアクセサリーのためのマウントレールは見逃せない。この銃もこの記事で取り上げる。
パラ・オーディナンスはカナダで生産を行っている。「小さいが大きな存在」としてのこのメーカーには「P10.45」と「パラ キャリー」がある。「P10.45」とならんで、補足的にカスタムされたリミテッドバージョンも実射において取り上げる。「パラ キャリー」とは異なり、この銃はスイスにしかない。これは、ハンドガンのこのような形式向けのドイツマーケットは単純に小さすぎるということを示している。いろいろなモデル、例えばスプリングフィールドの「マイクロ コンパクト」、ブル トランスマークの「M5-ウルトラX」、マグナムリサーチの「ベビーイーグル セミコンパクト」などは入手不可能か、あるいはせいぜい特別注文で供給できる程度である。これに加え、多くの業者(特にドイツでは)は短銃身ハンドガンの魅力に懸念を抱いている。そこで人々も購入を手控えている。
タウルスPT−145の入手には困難はない。一方スプリングフールドV10ウルトラコンパクトは入手困難で中古品を使うことになった。この銃は簡単にカスタマイズされている。
スペインのスターPDおよびアメリカのデトニクスはもはや生産されていない。AMTバックアップに関しては状況がいくらか混乱している。この銃がもはやAMTで生産されていないことは確かである。しばらくの間Galenaファイアアームズ社がメーカーとされた。そうこうするうちにこれも一時のみで消えている。だが個々の銃はまだ店にあるのが見かけられる。
AMTバックアップ
この銃は私の考えでは全体として最もコンパクトな、妥協せず一貫した設計がなされたディフェンスピストルである。その特徴は以下のようなものだ。常にダブルアクションであること(DAO)、平滑な表面、通常のサイトがない丸められたシルエット。唯一の見える操作エレメントはマガジンの入る穴の下部にあるマガジンキャッチである(頑住吉注:「操作エレメント」の定義がよく分かりません。これによればトリガーは入らないようです。それに操作するものである以上見えないということはありえない気がしますが)。全長は149mmしかなく、全高も103mmなのでほとんど全てのズボンやジャケットにぴったり収まる。
8000gを越える意図的に重くしたトリガープルは、アメリカ流の考え方に基いて必要な操作上の安全に配慮したものである。これに加えファイアリングピンセーフティおよびチャンバーに小さな「点検窓」がある。これは銃が装填してあり、光の状況がよければ薬莢の一部が見えるようにしたものである。残念なことに、バックアップは内部メカの一部が露出しており、チリの粒子や繊維の毛玉に直接さらされている(頑住吉注:トリガーバー先端部が露出しているのはあまり珍しくありませんが、この銃ではトリガーとのかみ合い部や、スライドとフレームを結合しているピンを押し出すためにトリガーバーに開けられた穴なども露出し、確かにここに異物が侵入して作動不良を起こす可能性は高そうに見えます)。
フロント、リアサイトは約2.15mm幅のサイトの役割をするミゾによって換えられている(頑住吉注:ブローニングM1910などのように溝の中にフロント、リアサイトがあるわけではなく、本当にミゾしかありません)。弾丸は77mmのバレルによって加速されるが、(頑住吉注:これはチャンバーを含んだ長さであり)真に弾丸を誘導する長さは56mmだけである。ステンレススチールだけで作られており、このモデルの重さは未装填状態では685g、5+1発を装填すると820gになる。スライドストップはない。したがって最終弾発射後スライドは前で停止する。このため残弾を数えておかなければならない
この銃の分解は比較的扱いにくい形式で、堅く打ち込まれたピンをポンチで叩き出すことで行う。ちょうど典型的な「4つの手ピストル」である(頑住吉注:2つの手で銃をしっかり押さえ、別の手でポンチを保持し、さらに別の手でハンマーを振り下ろさなくてはならない、それくらい分解しにくいタイプの銃だ、ということでしょう)。お手本のガバメントとは異なり、閉鎖のためスライド内に1本のロッキングラグがあり、バレル側の1本のリング状リセスとかみ合って持ちこたえている(頑住吉注:ガバメントのロッキングラグ、リセス2本に対し1本であるという違いだけでなく、スライド側が凸、バレル側が凹であるという珍しい特徴があるわけです)。
実射:バックアップは全ての弾薬において障害なく作動した。(頑住吉注:バレルが短いにもかかわらず)計測によれば弾丸の速度は他のモデルと大きな差はなかった。唯一他と異なる点があった。15mおよび25mにおける通常の命中精度比較は、サイトの差により不可能だった。しかし、忍耐と集中力をもってAMTをレストから10mの距離で撃つと、手のひら大のグルーピングまで小さくなった。堅くグリップすることを前提として、このちっぽけな銃の反動による打撃は感覚上例えばタウルスPT−145より小さい(ただし+P弾薬は例外)。この銃の場合特に、非常に大きく湾曲したトリガーが使用感を悪くしているのに気付く。どっちみちよくないテコの配置は別にしても、トリガーフィンガーがフレーム方向である上へ無意識に滑ってしまう。
(頑住吉注:つまり湾曲したトリガーでも左みたいなものならいいが、バックアップは右みたいな形で、しかもトリガープルが極端に重いので中間点あたりに指をかけて引こうとすると自然に指が上方向に滑ろうとする、ということのようです。)
AMTバックアップ
銃器タイプ:ロック機構のあるDAOオートピストル
メーカー:Arcadia Machine&Tool(USA)
口径:.45ACP
銃身長:77mm
サイト:ミゾ型
マガジン装弾数:5発
安全機構:ファイアリングピンセーフティ、チャンバーの弾薬が視認できる
トリガープル:8200g
全長:149mm
全高:103mm
全幅:26mm
重量:689g(未装填)
素材:ステンレススチール
価格:このピストルはもはや生産されていない。個々の銃はまだ店で約800スイスフラン、880ユーロで在庫されている。
弾薬 | 初速(m/s) | 初活力(ジュール) | 命中精度(10m・mm) |
PMC 230grs(14.90g) VM | 227.5 | 386 | 112 |
PMC 200grs(12.96g) VM | 231.0 | 346 | 86 |
SAMSON MATCH 185grs(11.99g)VMSWC | 196.2 | 231 | 72 |
CBC 230grs(14.90g) VM | 198.2 | 293 | 125 |
UMC 230grs(14.90g) VM | 217.6 | 353 | 94 |
VETTR+P 200grs(12.96g) TMJKS(ハンドロード) | 268.5 | 467 | 141 |
タウルスPT−145
タウルスPT−145は全長159mmなのでAMTのバックアップより1cm長い。このピストルもDAOだが、(頑住吉注:ハンマー式のバックアップと違って)ストライカー式であり、その結果不発によって、ひっくるめて9回トリガーを引き直すことになった。
このモデルでブラジル人はプラスチック、アルミニウム、スチールによるある種のマテリアルミックスを使用している。空虚重量は630g、11発の弾薬(10+1)を加えて、射手は装填した場合最大870gの銃を携帯することになる。突き出しが少ないように固定されたコンバットサイト、ポイントやエッジが丸められていること、寸法が小さいことは、これがまさにコンシールドキャリー目的の銃であることを物語っている。だが、レバータイプのセーフティには首を傾げる。このようなタイプ(頑住吉注:DAO)の銃の場合あまり使用価値はない。
実射:タウルスが一部証明したように、純粋な弾丸を誘導する長さ58mmの短銃身でも25mで非常によくあたる(少なくともレストからなら)。この銃は両手保持が必要な場合でも使いやすい。その理由はきっとトリガープルが良好であるせいでもあるだろう。目立ったのは9回の不発だ。1挺の銃を使ってこの全発射数の中で9回というのは私の過去の経験からして非常に多い数である。このうち7回はトリガーを何回か引いてもやはり発火しなかった。他の銃では2回目ですぐ発火したのだが。
+P弾薬ではかなりの問題を覚悟しなくてはならない。命中精度が非常に悪くなるだけではなく、命中点が左に250mmずれた。この銃のチャンバーには良好な見て、触って確認できるインジケーターがある。
タウルスPT−145ミレニアム
銃器タイプ:ロック機構のあるDAOオートピストル
メーカー:Forjas Taurus(ブラジル)
口径:.45ACP
銃身長:83mm
サイト:固定されたコンバットサイト。3ドット入り。
マガジン装弾数:10発
安全機構:レバー型マニュアルセーフティ、ファイアリングピンセーフティ、ローディングインジケーター
トリガープル:4060g
全長:159mm
全高:130mm
全幅:33mm
重量:640g(未装填)
素材:プラスチック、アルミニウム、スチール
価格:880スイスフラン、659ユーロ(ステンレススライドの場合) 865スイスフラン、649ユーロ(ブルーイングスライドの場合)
弾薬 | 初速(m/s) | 初活力(ジュール) | 命中精度(15m/25m・mm) |
PMC 230grs(14.90g) VM | 219.3 | 358 | 68/100 |
PMC 200grs(12.96g) VM | 241.3 | 377 | 52/81 |
SAMSON MATCH 185grs(11.99g)VMSWC | 185.9 | 207 | 70/107 |
CBC 230grs(14.90g) VM | 198.0 | 292 | 54/61 |
UMC 230grs(14.90g) VM | 216.0 | 348 | 46/67 |
VETTR+P 200grs(12.96g) TMJKS(ハンドロード) | 271.8 | 479 | 107/161 |
S&W CS45
同じメーカー製の1つのモデルの名称が「二重登録」されているのは異常なことであるが、深い意味はない。(頑住吉注:これまでの2機種よりは大きいが)全長169mmなので「チーフスペシャル」は依然として.45ACPの短いサブコンパクトに属する。アルミフレームによって重量は減らされており、ホーグ製ラバーグリップは射手の手への不動の安定を意図している。発射はDAで行われ、短くなったハンマー後面はスライド後面と同一平面上に揃う形になる。そのため、初弾は常にDAのみで発射される。ただ、これとは異なるよいアイデアもある。つまり、トリガーを引いてハンマーをレスト位置から起こし、そこを指でコックすることも出来るのだ。これは安全への配慮という見地からは望ましくないが、どんなときも絶対にそれを守らなければならないというものでもないのだ。
ピストルのグリップ形状は常に個人の好みの問題になる。ただし、オートの場合リボルバーより構造に制約されて形状上の自由度がより少なくしか残されていない。個人的には下方でやや広がったこの銃のグリップ形状には完全に満足していない。この突き出し部は手のひらに不快な圧迫感を与える。S&Wがマニュアルセーフティの機能を残したことは残念だ。だがこのセーフティはダブルの機能を持っている。セーフティをかけるとトリガーは空走し、ハンマーがコックされているときにかけると同時にデコッキングレバーとしても機能する。
実射:チーフスペシャルは箱出しの状態でグルーピングが1つの「ブチ」のように集まり、これはこの紹介記事の中で少数派に属する結果だ。同様に嬉しいのは、(頑住吉注:15m、25mの)両方の射距離で狙点と着弾が完全に一致したことだ。ただこれは適した弾薬が前提条件であり、+P弾薬は必ずしもこうはならない。実用的なサイト、トリガープルも確認された。トリガープルはスムーズでこすれやひっかかりが感じられず、DA時平均5320gの重さである。機能障害は起こらなかった。私が気がかりに思うのは組み込まれたマガジンセーフティだ。というのは、タクティカルな使用ではマガジン交換時にも万一に備えて発射できる状態であり続けることがぜひ必要だからである。
S&Wチーフスペシャル(CS45)
銃器タイプ:ロック機構のあるDA/SAオートピストル
メーカー:S&W(USA)
口径:.45ACP
銃身長:82mm
サイト:リアサイトは左右調節可能
マガジン装弾数:6発
安全機構:セーフティ、デコック機能がコンビネーションされたレバー、ファイアリングピンセーフティ、マガジンセーフティ
トリガープル:5320g(DA) 2160g(SA)
全長:169mm
全高:130mm
全幅:32mm
重量:748g(未装填)
素材:アルミニウム、スチール
グリップ:ホーグ製
価格:1232スイスフラン、1005ユーロ(ブルーイングモデルは760ユーロ)
弾薬 | 初速(m/s) | 初活力(ジュール) | 命中精度(15m/25m・mm) |
PMC 230grs(14.90g) VM | 214.0 | 341 | 89/131 |
PMC 200grs(12.96g) VM | 258.5 | 433 | 49/79 |
SAMSON MATCH 185grs(11.99g)VMSWC | 200.6 | 241 | 64/103 |
CBC 230grs(14.90g) VM | 209.0 | 325 | 72/95 |
UMC 230grs(14.90g) VM | 221.0 | 364 | 96/152 |
VETTR+P 200grs(12.96g) TMJKS(ハンドロード) | 227.3 | 498 | 99/158 |
S&W 4513TSW
追加名称「.45タクティカル」のついたモデル4513TSWは銃身長が95mmあり、いわばCS45より1ランク大きいモデルである。これに対応して全長は181mmに、全高は139mmに拡大している。さらに念頭に置くべきなのは、マガジンキャパシティがチーフスペシャルの6発に対し7発になっている点だ。
タクティカルにはランプやレーザーサイトのための後付けのマウントレールが追加されている。安全システムに関してはチーフスペシャルと重要な違いはない。単にセーフティがアンビになっているのと、チャンバーに弾薬があるか見て確認できる切り欠きが加わっているだけだ。チーフスペシャルにはあるホーグ製ラバーグリップがないのは残念だ。シリーズもののプラスチックグリップは確実なグリップフィーリングを生じさせない。
実射:命中精度結果に関してはTSWはチーフスペシャルよりよかった。そのかわりサムソンの185グレインマッチ弾において3回の送弾不良および1回の閉鎖不良があった。この銃ではマガジンが完全にロックされないことが何回もあった。おそらく、発射時の衝撃でマガジンがわずかに下方に動き、マガジンセーフティを作動させてしまうらしい。これは2発目、遅くとも3発目には起こった。
S&Wチーフスペシャル(CS45)
銃器タイプ:ロック機構のあるDA/SAオートピストル
メーカー:S&W(USA)
口径:.45ACP
銃身長:95mm
サイト:リアサイトは左右調節可能
マガジン装弾数:7発
安全機構:セーフティ、デコック機能がコンビネーションされたレバー、ファイアリングピンセーフティ、マガジンセーフティ、チャンバーの弾薬が視認できる
トリガープル:6030g(DA) 2950g(SA)
全長:181mm
全高:139mm
全幅:36mm
重量:836g(未装填)
素材:アルミニウム、スチール
グリップ:ホーグ製
価格:1589スイスフラン、1295ユーロ
弾薬 | 初速(m/s) | 初活力(ジュール) | 命中精度(15m/25m・mm) |
PMC 230grs(14.90g) VM | 223.0 | 371 | 51/55 |
PMC 200grs(12.96g) VM | 251.3 | 409 | 54/66 |
SAMSON MATCH 185grs(11.99g)VMSWC | 199.5 | 239 | 48/61 |
CBC 230grs(14.90g) VM | 207.3 | 320 | 64/83 |
UMC 230grs(14.90g) VM | 231.0 | 398 | 72/105 |
VETTR+P 200grs(12.96g) TMJKS(ハンドロード) | 278.1 | 501 | 81/112 |
AMTバックアップに関してはどうも会社自体すでにないらしく公式サイトはありませんが、こんなのがありました。
http://www.securityarms.com/20010315/galleryfiles/2300/2328.htm
ちなみにこの銃はアームズマガジン1995年3月号でレポートされてます。これは発売直後のものでオートマチックファイアリングピンブロックがなく、今回の記事によればあるということなのでその後追加されたようです。世界最小の.45オートピストルということで大人気であり、「製品の販売は1994年の7月から行われているが、同年12月現在までに11,000挺が売られたとのことだ。そして、その中の40%ぐらいが、ローエンフォースメントのバックアップ用とのこと。」と書いてありますが、事実として生産終了している以上その人気はあまり長くは続かなかったんでしょう。会社がつぶれたのがこの製品のせいではないにしても、本当に求められているものなら引き継いだ他の社が短時間で生産を終えることもなかったでしょうし、コンセプトをパクッた製品が他社から出るはずです。作りとしてもあまり上等ではなかったようですが、人気が続かなかった最大の理由はグロックの.45コンパクトモデルに押されたことではないでしょうか。グロック36はこのシリーズの3回目に登場しますが、簡単なデータだけ示すと全長177mm、全高120mm、全幅29mm、重量635mm、銃身長95mm、トリガープル3.8kg、マガジン装弾数6発となっています。寸法はバックアップの方が小さいですがオールステンレスのため重量は逆に重くなっています。トリガープルが重すぎるとかサイトが狙いにくいとかはセルフディフェンス用として実際上さほど大きな問題ではないと思いますけどグロックとどちらを選ぶかといえばたいていの人はグロックを選びそうですね。
タウルスPT−145の公式紹介ページはここです。
http://www.swfirearms.vista.com/store/index.php3?cat=293609&sw_activeTab=1
これなんかはグロックと同じくらい軽くて、装弾数は倍近くあって、けっこうよくあたって、不発さえなければ非常にいい線を行っていたはずなんですがねー。
S&W2機種の公式紹介ページはここです。しかしS&Wは似たような機種をたくさん作っててモデル名が分かりにくいですね。
http://www.taurususa.com/products/product-details.cfm?model=145SSP&category=Pistol
用途からしてちょっと重い気はしますがさすがS&W、作りは非常に上等で命中精度も高いようです。4513TSWのマガジンの不具合はたぶんごく珍しいケースでしょう。
この筆者は安全に持ち運ぶことができ、余計な操作をせずにすぐ撃てる銃を理想としているようです。ガバメント系は時代遅れとし、DAOであるタウルスPT−145にはマニュアルセーフティは不要、S&Wもデコッキングレバーだけでよかったのにマニュアルセーフティの機能を持たせたのは「残念」と言っています。いやなら使わなきゃいいだけのような気もしますが、あると緊急時にセーフティをかけていたかいなかったか思い出せなくて一瞬躊躇したり、携帯時の外力でセーフティオンになったりすることがないとは言えませんから、ない方がいいのだという考えもわからんではありません。