建造監督が語る056軽護衛艦

 先日「056軽護衛艦批判」を紹介しましたが、今回紹介するのは本来なら先に紹介したかった、「主催者側発表」です。

http://military.china.com/important/11132797/20130320/17736188.html


海軍某軍代表室総代表孫明、新世代の「海上の軽騎兵」を解読

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「某造船工場軍事代表室総代表の孫明」。実名も顔写真も役職も出して所属工場だけ秘密というのもよく分かりませんが。)

3月12日、我が国の新型護衛艦の第1号艦蚌埠艦が舟山軍港で正式に海軍の戦闘序列に加入し、中国海軍基地防御戦力のグレードアップ、世代交代が正式に幕を開けたことを示した。新世代の「海上の軽騎兵」と讃えられるこの護衛艦にはどんな特徴があるのか? どんな先進技術が採用されているのか? 国際的にどんなレベルにあるのか? 本報記者はわざわざこの艦の主要な建造監督者で、海軍装備某軍事代表室総代表の孫明にインタビューし、我々のために新型護衛艦の素晴らしい注目ポイントを解読してもらった。

配置が完備し、総合管理システムの性能は先進的

孫明は、この国産新型護衛艦は全体として3つの顕著な特徴を示している、と考える。

1つ目はトン数が小さく、設備が密集していること。この艦は護衛艦「ファミリー」の中で体重が軽めのものに属する。比較的軽いが、駆逐・護衛艦の「5大通常システム」は1つも欠けていない。特に作戦システム上配置が比較的完備され、ある設備には基本的機能を満足させることを基礎に適当な簡略化が行われている。例えば、作戦指揮室の表示・コントロール台には標準キャビネットが採用され、スペースが減少している。多種の機能を持つソフトウェアの研究開発により、ハードウェア上で異なる機能の切り替えを実現し、船室内をより整然と見せ、国産護衛艦の中で先進的地位に置いている。「また、皆さんがテレビや画像でもこの艦の外形を見ているように、艦上の飛行甲板はヘリ発着の機能を持っていますが、ヘリ格納庫は設けられておらず、省かれたスペースには主にミサイル武器システムが置かれ、ひとたびヘリが必要になれば、陸上基地から召喚できるのです。」と孫明は語る。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「海軍の蚌埠艦」です。)

2つ目は艦員が少なく、自動化の程度が比較的高いこと。建国初期に我が国が旧ソ連の技術、設計図を導入して生産した火砲魚雷搭載護衛艦に比べると、両者のトン数、全長には大差がないが、艦員配置上はかつての1/3しかない。多くの設備、例えば衛星無線電信ナビゲーション設備は、最適化設計によって総合的集成を実現している。「機関室は過去何人かで当番する必要がありましたが、現在では無人監視が実現されています。」と孫明は記者に教えた。

また、この艦は海軍水上艦艇の中にあって、「総合管理システム」を装備し、電力、ダメージコントロール、保障などのプラットフォーム情報をパッケージ化し、ネットワークによる集中コントロールを実現し、このシステムは技術的に比較的先進的で、さらに一歩人員を減少させ、効率を向上させている。

3つ目は生産数が比較的多く、多くの工場で建造されること。「計画によれば、この型の艦は将来我が国の戦闘艦艇の中で建造数が比較的多い軍艦の1つになる可能性があり、国内の多くの専門性が比較的強い造船工場で同時に建造が引き受けられ、これは国産護衛艦史上初のことです。」と孫明は語った。

「深V」船型、電磁両立性とステルス性能が突出 (頑住吉注:「電磁両立性とは電子機器が他の機器を電磁的に妨害したり妨害を受けたりしないことだそうです。)

全体的に言って、この艦は前の世代の駆逐・護衛艦のいくつかの成熟した設備と技術を参考にし、「ただしこの艦独特の新しいものを作り出す道も見られます。」と孫明は記者に教えた。

例えばこの艦の船型設計が採用したのは深い「V」字型船型である。この種の船型は通常1,000トン以下の艦船に採用されるもので、国内の戦闘艦艇では初の採用である。メリットは比較的良好な快速性と航行適性を持つことで、8級の海の状況下でも安全に航行できる。

この他この艦は艦砲、艦対空ミサイルなどの武器発射装置を持ち、各種レーダー、電子対抗、通信、ナビゲーションアンテナ全部で数十を配置し、電磁環境は複雑で劣悪である(頑住吉注:本来なら互いに電磁的に妨害しやすく、そこで「電磁両立性」が求められる、ということです)。研究開発を引き受けた機関は合同で電磁両立の数学モデルシミュレーション計算と縮小された船の模型での試験、研究を展開し、多種の技術的措置を採用することによって全艦のレーダー、ナビゲーションなどの装備のアンテナおよび設備のレイアウトを最適化し、第1号艦の停泊、航行試験は全艦の電子武器設備の両立性の有効性を検証した。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「056新型護衛艦は排水量は小さいが、火力は決して弱くない」)

中国海軍のその他の新型駆逐・護衛艦と比べると、この艦はステルス方面では決してあまり多くの新技術は採用しておらず、主に考慮されるこの艦の使用範囲は近海における任務執行である。だがステルス方面でもいくつかの措置は取られている。例えば、駆逐・護衛艦の成熟したレーダー波ステルスの成果を参考に、また運用し、主船体と上層建築の外形に傾斜外板のステルス設計が採用されている。機械的騒音源に焦点を合わせ、ディーゼル発電ユニットにフロート式振動遮断装置を採用する、振動遮断タイルを敷設するなどの音ステルス振動遮断技術が採用され、比較的大幅に本艦の機械騒音を低下させ、有効に水中に発せられる騒音の強度を有効に抑制し、また対潜任務執行能力を向上させた。

「巻き貝の殻」内に作られた「見本艦、模範艦」

この艦が装備する電子武器および電気機械設備には大部分駆逐・護衛艦の定型設備が採用され、寸法が比較的大きく、重量が比較的重く、必要とする船室の容積が比較的大きく、ステルス性の要求と深V字型船型という特徴も全体レイアウトに困難をもたらした。「不適当な比喩を使うなら、この艦の建造は巻き貝の殻の中に法事の場を作るようなもので、間違いなく非常に大きな難度がありました。」と孫明は明るく笑いながら説明した。

説明によれば、造船工場はアルミ合金材料の加工製造技術を掌握するため、自己資金で専用の作業場を建造し、設備を置き、かつ同等の模擬の艦の一部を建造し、作業員を養成し、関連の工程技術を検証し、アルミ合金の部分ごとに分けての製造のスムーズな推進を確保した。

第1号艦を「見本艦、模範艦」として作る目標をめぐって、軍事代表室は作業を引き受けた機関を連合させて7つの大きな種類、23項目のカギとなる重要技術に取り組んだ。これには全段階での吊り下げた状態での部品組み込み、精度統制など製造技術の研究、区域造船の実施、船体、配管系、電気装備、塗装など各専門分野の3Dモデル作りと最適化の大きな力を入れての推進が含まれた。全面的に「精度造船」が押し進められ、先進的な測量手段とコンピュータシミュレーション搭載技術の運用、ユニットモジュールの押し進め、艤装技術の応用により、新型戦闘艦の期日通りの高品質での引き渡しを確保した(頑住吉注:この部分は専門用語が難解すぎてよく分かりません)。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「056軽護衛艦の対艦ミサイル」です。)

この艦の数が多いため、軍は多数の工場の同時着工という方法を採用し、もって建造の速度を確保した。同じ設計図だが、各工場の設計図に対する深化した理解が異なり、採用する技術も異なるため、多種多様という局面がごく容易にもたらされる。大きな食い違いがあるはずはないが、やはり部隊の使用にいくつかの小さからぬ影響をもたらす。では、各工場が「1つの型」の製品を作り出せることをいかにして保障するのか?

孫明は次のように説明した。この艦の建造過程では海軍装備機関がリードして「建造の一致性」をめぐり課題研究を行い、軍代表室は第1号艦建造を結合させて「建造一致性」工程研究を展開し、もってこの型の第1号艦の技術状態を「見本版」とし、技術状態を施工設計図と技術ファイルの中にある状態に統制、実行し、かつ第1号艦を「見本版の艦」として各工場にサンプルとして提供し、「このようにして各工場の製品の基本的一致を保証させ得たのです。」

目標、位置付けは中国海軍基地防御の主戦兵力

では、この艦は中国海軍装備の中でどんな地位にあるのか?

孫明は次のように考えている。我が国には18,000kmの海岸線があって防衛を必要とし、大量の現役基地防御水上艦艇の退役につれ、中国海軍は新型基地防御戦力の補充を行い、秩序立てて更新し、間もなく退役する護衛艦、駆潜艇、護衛誘導艇などの現役基地防御作戦力量を換装することを切迫して必要としている。

第1号艦の試験、試航海から見て、その先進的設計理念、優良な戦術技術性能は充分な検証を得ており、将兵の認可を獲得している。「過去の古い艦艇と比べて、作戦指数と情報化レベルには大幅な向上があり、時代を越えた艦艇と言えます。」と孫明は説明する。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは「艦内の生活施設は完備している(画像は浴室)」です。)

新型護衛艦の大量建造後は、生産サイクルは短縮され、艦の引き渡し、就役の速度は向上した。「過去10年かけて1つの艦を磨く、と言いましたが、現在では多くの工場が同時に着工しており、1年で10の艦を作る、ということになる可能性が高いのです。」

新型護衛艦は低強度の衝突に適応でき、重点海域の巡航、航路護衛、漁業保護の任務も執行でき、兵力構造をより合理化し、作戦任務執行をより柔軟にし、迅速に基地防御戦力の主戦装備になる。

高いレベルから言えば、今回新型護衛艦が正式に就役したことは、海軍の新装備の比率の向上、海軍装備構造の最適化、海軍装備情報化レベルの向上、海軍による国家の安全と領土の完備の維持保護、、海洋の主権と権益を防衛する能力、そして多様化された軍事任務執行などの増強に対し、いずれにも非常に重要な意義がある。

また、新護衛艦の大量就役は、海軍の作戦思想、海軍の戦法、訓練方法、管理方法、用法、および人材養成や戦場建設に非常に大きな影響をもたらすと見られる。

単一の項目は突出していないが、総合性能は周辺国の同類艦艇の中で最も先進的

非常に多くの読者は、国外の同類型の護衛艦と比較して、中国のこの護衛艦はどんなレベルにあるか? ということに関心を注いでいる。

「単純にその機能、性能から国外の艦艇と比較することには決して実際の意味はありません。」 孫明は次のように考える。武器装備は戦争するのに用いるもので、戦争の勝負は人と武器の最良の結合にかかっている。装備が良くても、良い戦術がなければやはり勝つことはできない。逆に、装備が立ち後れていても、各種の戦術運用が当を得ていれば、同様に装備の問題を補うことができる。このことは中国海軍にとって経験があると言える。

(頑住吉注:これより6ページ目。画像のキャプションは「将兵の食堂」です。)

「もし単に技術的な分析としてなら、この艦が行くのは総合バランス路線であり、周辺国の同類艦と比較して、単一の項目の作戦性能はあるいは指標上いずれも非常に突出しては見えないかもしれませんが、その技術水準は非常に先進的に違いなく、少なくとも既知の周辺国の同類艦の中では最も先進的です。」と孫明は考える。

「私は、もし建造数を用いていくつかの艦艇の地位を評価する基準とするならば、この艦は我が国の護衛艦の重要な組成部分になり、一定の期間内において国際造船界の注目する重要な対象になると思います。」

孫明は、ある戦闘艦が重要であるか否かを判断するには、さらに以下のいくつかの要素を考慮すべきだと考える。

1つ目は基地防御戦力の世代交代、グレードアップの必要性で、これはすでに語った。2つ目は我が国独特の海上周辺環境である。非常に長い海岸線はパトロールを必要とし、多くの島嶼をめぐる争いの問題は解決を必要とし、海上資源の輸送ルートは保護を必要とする。もし武力を用いてこうした海上の争いを解決するなら、護衛艦の選択が最も経済的に実用的である。3つ目は兵力構造から見て大きなトン数の艦艇の開発は一種の必然の趨勢だということ。中国海軍もスタートし、大型艦艇を建造することはなくてはならないことである。だがもし「留守の守り」に過ぎないなら、大型艦艇を使うのは明らかにもったいない。中国海軍は同様に「家の門前」で漁業保護、、パトロール警戒などの任務を執行するのに適した艦艇を必要としている。大型主戦艦船をこまごまと煩わしい日常の海上勤務から解き放ち、遠洋主力艦隊の戦闘力を保証するのである。4つ目は経済的受け入れ能力から見て、この艦は機能が完備し、防空もできれば対潜もでき、突撃もできれば駐留して守ることもでき、対費用効果が非常に高い。さらに海軍の現在の猛烈な勢いで発展する装備建設ラッシュを満足させることもできる。

(頑住吉注:以後のページは画像とキャプションだけです。7ページ目は「船室内に置かれた高速艇」、8ページ目は「将兵の学習室」です。)


 だいぶオブラートに包んだ表現ですが、この艦が性能上たいしたことはないということは明らかに認めています。「もし武力を用いてこうした海上の争いを解決するなら、護衛艦の選択が最も経済的に実用的である。」って言いますが、それはこういう安い艦を使っても勝てるなら、の話で、言うまでもなく負けてしまったのでは対費用効果も何もないわけです。電子設備でアメリカの艦に匹敵するとはとても思えず、「056軽護衛艦批判」の記述通り沿海域戦闘艦に比べ速度が半分ちょっとしか出ないならばとても相手にはならないでしょう。















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