台湾、太平島の基地機能強化へ

 台湾とフィリピンの対立が話題になっていますが、台湾は実効支配する大平島の基地機能強化を計画しており、主権を主張するベトナムとの対立も激しくなる可能性があります。

http://military.china.com/news/568/20130517/17839324.html


台湾、太平島における埠頭建設と飛行場の滑走路延長を評価 ベトナムの抗議に遭う

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「大平島上の海巡署人員が迫撃砲を使用して実弾射撃演習を行う。」)

4月8日、台湾メディアは台湾「海巡署」が資金を投入し太平島に2,000トン級巡視艦が停泊できる離岸式埠頭を建設することの実行可能性を評価し、かつ大平島の飛行場の滑走路を延長することを計画している、と報道した。4月13日、台湾「外務省」はベトナムサイドによる台湾のこの挙に対する抗議に答え、台湾が太平島に対して行ういかなる活動も合法的行為に属す、とした。

太平島は南沙諸島で最も大きい島で、総面積は0.43平方km、南海の心臓部に位置する、まさに中国の「南の果てのカギとなる場所」である。近代以来、太平島は何度も日本、フランスの侵略占領に遭った。1946年12月12日、国民政府は「太平」号、「中業」号を派遣して南沙に赴かせてこの島を接収し、軍艦の名前をもって命名した。1949年、中国国内の政権交代後、太平島はずっと台湾当局の実効支配下にある。

南海地域の環境や太平島に駐留し守備する条件などの要素の影響を受けたため、台湾当局は太平島に対する実効支配を行う過程で1950〜1956年に6年の長きにわたる守備を放棄した時期があっただけでなく、軍の駐留を回復した後も「撤退」か「守備」か、「軍が守る」か「民間が守る」かの論争もずっと絶えなかった。最終的に今日の台湾「海巡署」海警中隊と少数の海兵隊兵士が共同で駐留し守る構造が形成された。

実際に、周辺海域に対する実効支配強化から出た軍事目的でも、漁業保護航路護衛を主要な形式とする主権を示す政治目的でも、台湾当局の太平島上に基礎施設を建設することに関する討論はすでに初めてのことではない。

その中で最大の成果としては2005年から2008年の間に建設された1,150kmもの長さの簡易戦備滑走路以上のものはない。これはその南海地域における戦略的主動体制強化に対し相当に重要な作用と意義がある。そして最近再度この古い話題が提出されたのは、主に2点の考慮から来ている。

1つは太平島の補給条件の向上である。50年来、距離が遠すぎるため台湾当局の太平島に駐留し守備する部隊に対する補給はずっと頭の痛い問題だった。過去、軍用補給船舶は高雄港から出航し、もし全速航行しても5〜7日かかった。太平島飛行場は名目上C-130輸送機の発着に使用できることになっているが、実際にはやはり滑走路が短すぎ、しかも燃料補給と機の検査、修理、維持メンテナンス能力を持たないため、日常の補給の重任を担うことはできない。

現在、島上の後方勤務補給は主に地方の遠洋輸送会社が定期的に工夫し集めた物資に頼り、派遣された商船によって実施され、一方武器弾薬など重要な軍用物資の補給は軍の上陸船舶によって組織され特別項目として輸送、補給が行われているだけである。補給の困難は駐留し守る将兵の生活に直接影響する。2014年の募集兵制度への変更後になったら、このために島を守る兵士を募集できなくなる可能性が高い、と台湾当局は心配している。

このため、島に駐留し守る条件を根本から改善することは当務の急である。太平島の海上補給に単純に依存する現状を変えるため、台湾当局は今回、埋め立てて陸地を作る方式によって太平島の飛行場の滑走路を1,500mにまで延長し、輸送機発着能力を持たせることを考慮しているのである。

2つ目は台湾「海巡署」未来の拡大の必要性に適応することである。2000年1月28日、台湾は「行政院海岸巡防署」、略称「海巡署」を正式に成立させ、海岸と海洋の安全業務を専門に行わせた。同年3月にはもう「海巡署」の海警部隊は台湾海兵隊の手から太平島の防衛任務を引き継いだ。

「海巡署」部隊は警察という非軍事的身分を持つが、準軍事化の素養を持つため、疑いなく海洋業務に関する争いを処理する敏捷かつ有力なツールである。このため、台湾当局が「海巡署」の建設に入れる力の度合いも不断に強化され、特に装備する巡防艦艇のトン数は不断に大きくなり、性能も不断に向上している。

だが太平島とその周辺海域に対する掌握の程度はそれよりさらに「海巡署」の巡防能力の集中的体現である。しかし太平島の現有の埠頭は快速艇と多機能巡視密輸取り締まり艇など平底式小型艇しか停泊させることができない。「海巡署」は不断にトン数の大きな巡防艦を装備しており、太平島の現有の埠頭はすでに必要性を満足させることができない。

現在「海巡署」の中で遠洋巡防を実施できるものには、3,000トン級の「高雄艦」、2,000トン級の「台南艦」、「新北艦」「和星艦」などがある。「海巡署」の10年造艦計画方案によれば、その艦艇の総数は173隻にまで増加し、総トン数は3.6万トンに達することになる。このため、太平島は「海巡署」が作用を発揮する力を入れるポイントでもあるし、最前線の保障ポイントでもあり、現在の大型艦船を停泊させられないまずい状況を速やかに変えることが必須である。

台湾当局の現在の太平島拡張建設計画は島への補給の完備と周辺海域に対する平和利用を強調しているが、この動議が提出された背後にはさらに深層の原因があり、南海の日増しに複雑化する情勢と密接な関係がある。

2010年にアメリカが南海問題に介入した後、ベトナム、フィリピンなどの国の南沙諸島における小さな動きが頻繁になり、しかも不断に南海地域に照準を合わせた潜在的空中および海上軍事配備を強化している。これらは全て太平島に実効支配権を持つ台湾に対し極めて大きな圧力を構成している。

(頑住吉注:これより2ページ目)

南海の争いが日増しにヒートアップするにつれ、台湾島内には再度太平島を「要塞化」すべきとの声が出てきており、駐留し守る兵力の増加、陸軍大型兵器をもって「海巡署」部隊を強化する他に、甚だしきに至ってはさらに以前撤収した対空ミサイルの復帰も含まれている。南海の島々に関して言えば、島嶼の支配が頼るのは制海権であって、そして制海権は制空権を掌握してこそ維持できるのである。このため、機能が完備した島の上の飛行場と埠頭は密接にして不可分の2つのカギとなる重要要素なのである。

ひとたび台湾当局が太平島における飛行場と埠頭の拡張建設計画をスムーズに完成させれば、太平島自身の補給問題の根本的な解決が得られることが有望であるだけでなく、さらに南海水道支配の重要なよりどころにもなり得、したがって極めて大きく台湾の南海地域における戦略的態勢を改善し、実効支配区域に対する掌握、コントロールの力の度合いを強固なものにする。太平島はもはや「食べても味がなく、捨てても惜しくない」という「鶏肋」とは見なされず、南海の「中心」から真の「重心」に発展変化し、かつ南海の争いの情勢に対し重大な影響を生むことになる。(執筆グループ:空軍工程大学)


 日本には直接関係しない話ではありますが、海巡署の戦力の大幅強化は当然尖閣問題にも影響しますし、また日本も、そしてアメリカも、台湾とベトナムの対立が今後エスカレートした場合にどういう立場を取るのか考えておく必要があるでしょう。もう1つ関連記事です。

http://military.china.com/news/568/20130521/17844865.html


台湾による南沙太平島の埠頭拡張建設、武力強化、アメリカの関心を引く

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「太平島 資料画像」)

中新ネット5月21日電 台湾の「中国時報」の報道によれば、台湾地区とフィリピンによる、台湾の「広大興28号」漁船がフィリピンの射撃に遭った事件に関する争いが止まない時、台湾の第一線武力配備を強化するため、台湾「海巡署」の太平島埠頭拡張建設案が先週正式にメーカーに請負に出されて事前評価が行われ、将来もし埠頭が完成すれば1,000トン以上の艦艇が停泊できる。

埠頭の拡張建設の、評価から実際の着工までの時間が2年にも達することに対し、事情を知る人物は、環境的要素の他、最大のカギは南海情勢の複雑さにあり、去年台湾が太平島に8門の火砲を配備したことがアメリカサイドの高度の関心を引きつけ、今回の埠頭拡張建設も同様だ、と明らかにする。

現在太平島には古い桟橋埠頭しかなく、快速艇、多機能巡視密輸取り締まり艇など平底式小型艇しか停泊できない。「海巡署」の計画によれば、現在太平島は軍を派遣、駐留して守ることの他、防備の強化も行われ、これには40mm砲、120mm砲陣地の建設が含まれる。埠頭の拡張建設が完成すれば、500〜1,000トンの大型艦船が停泊でき、ミサイル快速艇も含めて停泊できる。

「海巡署」は今年度1.4億新台湾ドルの、東、南沙地区の防衛用構築物新造、施設改善および関連の計画を編成し、先週さらに太平島埠頭拡張建設工程案が1,680万新台湾ドルで世曦社の工程顧問に評価が請負に出され、主体となる工程は2015年に競争入札で建設が行われる見込みである。

台湾の「立法委員」の、太平島、東沙、西沙全体航路をつなげて漁業保護海域を拡大するという提案に対し、「海巡署副署長」鄭樟雄も「各種の状況は全て評価に含められる」と語っている。

だが、「海巡署」所属艦艇には台南艦という2,000トン級の巡防艦が含まれ、将来はこの種の大型艦船も含めて太平島に停泊できるのか否か? 鄭樟雄は、「その部分も評価の経費を必要とする」とした。

また、台湾安全保障業務部門副責任者楊念祖も先日台湾「立法院」で、空軍は太平島の滑走路を現在の1,150mから1,500mに延長し、もって機の発着の安全を向上させることを希望している、というのが事実だと確認した。安全保障業務部門は南海問題に焦点を合わせ、「西太平洋グループ」も成立させる。

「立法委員」林郁方が掌握した情報によれば、フィリピン、ベトナムを含む船舶が過去しばしば「国境を越え」太平島6,000m海域内に侵入して作業を行い(頑住吉注:この作業はたぶん漁業のことだと思います)、公然たる挑発なのは明らかである。「将来は我が方の火力を充分強大にするだけでもう(頑住吉注:意味不明な言い回し)になり、談判の手段となる。」

台湾当局は強力な漁業保護の決心を見せており、台湾「農業委員会委員長」陳保基は昨日「立法院」で質問に答え、北緯20度の「暫定法執行線」を廃止し、かつ「慎重に考慮し」、「重複経済水域」を高リスク海域に含めることに賛成する、とした。


 アメリカは太平島の基地機能拡充、武装強化を好ましく見ていないようです。まあ直接的にそれを嫌うというよりは、台湾とベトナムなどとの争いの激化を嫌っているんでしょうが。













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