中国から見た台湾軍
各種兵器の発展が著しい中国は、台湾軍の現状をどう見ているんでしょうか。こんなページの内容を紹介します。
台湾陸軍現状及軽武器装備趨勢分析
台湾陸軍の現状および小火器装備の趨勢を分析
台湾軍の当面の軍事戦略は、「空、海戦力優先の三軍連合作戦」であり、すなわち陸軍は過去の主戦軍種たる「主導的役割」から、協力作戦のために調整を行う「支援的役割」となり、その具体的任務もまた「深遠作戦、基地の安全維持、地上防空、島内治安安全確保作戦」等に変わってきている。(頑住吉注:「深遠作戦」とは、まだ後方にいる敵や重要目標をまだ脆弱な時期をとらえて攻撃し、攻撃してくる敵を減らすなどして三軍協力による防衛作戦を有利に導くものだということです)
台湾陸軍の概況
台湾軍はずっと「精兵簡政」(頑住吉注:兵員を精選して減らし、機構を縮減する、という意味のようです)の道を行っている。数十年来、その兵力はずっと下降の趨勢にあり、1950年代には66万人余、1990年代初めには50万人余、2006年末になると台湾軍の総兵力は約34万人になった。その中の陸軍は約20万人で、海軍と空軍はそれぞれ5万人余、その他憲兵部隊、後方勤務支援部隊等を含む第二線部隊3〜4万人である。台湾軍の計画によれば、2013年までに30万人前後に削減するという。軍隊の総人数は減少中であるが、削減されたうち多くは非戦闘人員であり、また台湾軍は不断に先進武器装備を購入している。このためその戦闘力は増えたということはあっても減ったということはないと言ってよい。
過去、台湾の軍事体制は基本的に国民等が台湾に退去する前、大陸にいた時期の軍事体制を踏襲しており、かつアメリカのパターンを参考にしている。すなわち「総統」は台湾軍の最高司令官であり、軍政と軍令の両体系を通じて全軍を統率する。2002年3月、台湾の「国防法」、「国防部組織法」が正式に実施されてから、軍政と軍令の一元化が実行された。すなわち、「国防部長」は文民が担当し、「総統」のための軍事幕僚長である。「総統」が軍隊に対し統帥権を行使する時、直接「国防部長」に命令を下し、「国防部長」が責任を負って「参謀総長」に軍隊の指揮を命じる。
陳水扁(頑住吉注:台湾の前総統)が「国境外決戦」の構想を提出した後、台湾軍は直ちに「空、海戦力優先の三軍連合作戦」軍事戦略を確立した。陸軍は過去の主戦軍種の「主導的役割」から、協力作戦を調整する「支援的役割」となり、その具体的任務もまた「深遠作戦、基地の安全維持、地上防空、島内治安安全確保作戦」等に変わってきている。目下台湾軍の陸軍総司令部は竜潭に設置され、その下に3つの軍団司令部(陸軍第六、第八、第十軍団司令部を含む)、および金門、馬祖、澎湖、花東の4つの防衛司令部、後方勤務司令部と防空誘導弾指揮部等が設置されている。この他、陸軍航空降下特殊作戦司令部は航空特殊作戦司令部に改編され、陸軍作戦発展委員会は監督査察長室と陸軍教育訓練および準則発展委員会に改編された。1998年以後、台湾軍は師団を徐々に「装甲歩兵旅団」、「航空騎兵旅団」、「車載歩兵旅団」、「装甲旅団」および「特殊戦旅団」の5つの「連合兵種旅団」に改編した。目下全部で39個「連合兵種旅団」がある。しかも現在の戦争の要求に適応するため、さらに電子戦本部も設立された。目下台湾軍の兵力の80%の部署は台湾島内にあり、その中の第六軍団部署は台湾北部地区にあり、第十軍団部署は台湾中部地区にあり、第八軍団部署は台湾南部地区にある。金門、馬祖、澎湖部署の兵力は約5万人である。澎湖地区の防衛能力強化のため、澎湖にある部署は装甲歩兵旅団と砲兵旅団を持ち、かつ澎湖陸軍装甲旅団を装甲503旅団および守備168旅団に改編した。
この他、台湾はさらに比較的システマチックな、正規の院校教育体系を確立し、その士官の養成基本教育の制度化を実現した。台湾軍は現在、31カ所の各種軍事院校を持ち、毎年8000〜10000人の士官を養成している。このうち三軍総合院校は7カ所、陸軍院校は11カ所である。台湾軍院校の教育は予備教育、基礎教育、進修教育、深造教育および士官教育の5種類に分かれており(頑住吉注:「進修教育」とか「深造教育」とか日本ではあまり使いませんが意味は分かりますから漢字は都合がいいですな)、大多数の院校は2種類以上の教育機能を併せ持っている。予備教育院校は1カ所で、主に三軍の士官学校と政治作戦学校のために予備学員を養成する。学制は3年で、新入生募集の対象は初等中学および高校卒業生である。基礎教育院校は12カ所で、主に下級士官を養成し、正期班(学制4年)、専科班(学制2〜3年)、専修班(学制1年)に分かれる(頑住吉注:中国語の班にはクラスという意味があり、ここではその意味ですね)。進修教育学院校は23カ所で、主に在職中の士官の進修と中級士官の養成を担当し、学制は半年である。深造教育院校は7カ所で、主に部隊のために高級指揮官、参謀人員を訓練養成する。指揮参謀教育、戦略教育、兵学研究の3つの段階に分かれている。その中の指揮参謀教育は主に大佐(旅団級)士官(学制1年)を訓練養成する。戦略教育は少将(師団級)士官(学制1年2カ月)を訓練養成する。兵学研究は高級軍事要員を訓練養成する(学制半年〜1年)。士官院校は16カ所、学制は2年半で、主に国民中学校卒業生を募集する。この他、台湾軍には各クラス士官の昇進前の養成に全て具体的規定が存在する。
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「台湾海軍陸戦隊狙撃手の隊列が閲兵を受けている」)
軍事費支出を明らかにする
台湾の「国防予算」(頑住吉注:国じゃない建前なんでいちいちカッコ付けなきゃいけなくて大変ですね)は一般にその用途によって公開、秘密の両部分に分かれている。正常な軍事費予算の他に、さらに往々にして特別予算という方式で何らかの領域の戦力が強化される。台湾軍のここ数十年の発展を縦覧すると、軍事費支出はずっと比較的高い水準に保持されている。ここ数年来台湾の「国防予算」の「総予算」のうち占める割合はやや下降している(一般に16.5%前後。例えば2003年には16.63%、約2615.6億新台湾ドル。そのうち公開部分は2196.9億、機密部分は418.7億新台湾ドルである。それぞれ「国防予算」の83.9%および16.1%を占める)ものの、もし台湾地区の軍人総数あたりで計算すれば、1人あたりの軍事費は約2.2万アメリカドルとなり、世界平均よりずっと高い。これと比較して祖国大陸の国防費用は絶対数でも国民総生産のうち占める割合でも、あるいは財政支出のうち占める割合でも、世界中どこでも比較的低い水準になる(頑住吉注:いや総額なら中国は世界トップクラスでしょう)。
湾岸およびイラク戦争の経験、教訓は台湾の軍事戦略の調整に対して深刻な影響を与えた。台湾軍部は制空、制海、対上陸の優先順序に関し、より制空、制海兵器の購入、研究開発、そして電子戦技術の研究開発を重視するようになった。例えば2003年度の「国防予算」中、軍事的投資部分の編成は約570億新台湾ドルで、項目によって区分すると次のようになる。情報電子戦137億、防御性反制圧兵器研究開発44億、装備の欠けている部分の補充51億、制空67億、制海81億、地上防衛32億、戦備技術48億、教育訓練施設設備32億、戦略支援76億、基本生活設備2億新台湾ドル。
台湾陸軍の装備は長年来ずっとアメリカ製兵器システムの延長である。特に小火器装備の発展過程では、主に輸入とコピー生産がメインである。独自研究開発の実力は比較的弱いが、製品のコピー生産や技術導入等の近道により、台湾軍小火器装備の全体性能は不断に向上する趨勢にあり、基本的に「近距離自衛、中距離突撃、遠距離制圧」の、比較的完成された小火器火力体系を形成している。
(頑住吉注:これより2ページ目)
台湾軍小火器発展の現状
台湾軍の現用小火器装備は主にアメリカ製小火器のコピー生産品がメインである。技術および生産工程等の方面の問題が存在するため、台湾軍がコピー生産した小火器の性能は大部分が原型の兵器に及ばず、威力、精度、信頼性等の方面でいずれも隔たりがある。だが全体性能上の差は大きくない。この他、台湾軍は特殊需要あるいは緊急需要に基づき、いくつかの性能が比較的先進的な小火器装備を適量輸入し、主に特殊作戦単位に装備している。ただし数量は比較的少ない。全体的に見ると、台湾軍の現用小火器装備はアメリカの1980、90年代の水準に相当し、小火器発展の状況から見ると、世界の先進レベルとの距離は大きくない。小火器装備には世代交代の周期が長いという特徴があるので、相当に長い一定の期間、台湾軍の現用小火器は現役に留まり続けると見られ、その性能が短時間内で大幅に向上するはずはない。
具体的に見ると、台湾軍小火器装備は拳銃、小銃から機関銃、グレネードランチャー、ロケットランチャー等まで、基本的に「近距離自衛、中距離突撃、遠距離制圧」の比較的完成された火力体系を形成しており、点、面殺傷の結合、直射、曲射の結合、殺傷、堅固な陣地攻撃、対装甲の結合がなされている。その中で分隊用銃器ファミリーは小口径化を実現しており、システム重量が軽減され、弾薬携行量が増加している。分隊用銃器ファミリーの汎用化レベルはさらに一歩向上し、例えばT65K2小銃、T86小銃、T91小銃等の武器は約60%の部品が共用でき、後方勤務保障の負担が大いに軽減されている。
台湾軍はすでに、比較的完成された小火器装備体系を基本的に形成しているので、「国境外決戦」、「先んずれば人を制す」の新軍事戦略の指導下で、台湾軍は実際の戦備需要に合わせて「何か欠けたらそれを補う」の思想に照らし、不断に国外から小火器装備を輸入している。例えば、歩兵分隊の対装甲能力増強のため、台湾軍はアメリカから改良型肩撃ち多用途突撃武器(SMAW)の輸入を計画している(頑住吉注: http://www.scribd.com/doc/36175656/TM-08673A-10-1B-83mm-SMAW-Mk )。この武器は口径83mmのロケットランチャーであり、改良を経た爆発力の高いダブル用途ロケット弾(HEDP)と、爆発力の高い対装甲ロケット弾(HEAA)等の弾種を使用する。前者はトーチカ、防御用構築物、軽装甲車両に対応でき、後者は多種の現役の付加装甲を持たないメインバトルタンクと装甲車両に対応できる。この他、スウェーデンの新型AT-4CS対装甲ロケットランチャー(頑住吉注: http://en.wikipedia.org/wiki/AT4 )も台湾軍の考慮する一連の品の中にあり、このロケットランチャーは限られた空間内で発射でき(頑住吉注:後方に塩水を噴射して発射反動を軽減するため危険範囲が狭いそうです)、異なる弾頭部が使え、装甲破壊、殺傷、堅固な陣地攻撃等多種の任務が遂行できる。歩兵分隊の支援火力増強のため、台湾軍はコピー生産されたT85吊り下げ型グレネードランチャーの大量装備の他に、南アフリカ共和国から輸入したMK-1セミオートグレネードランチャーも輸入している。台湾軍の中、遠距離狙撃作戦能力増強のため、台湾軍はすでにアメリカからM24
7.62mm スナイパーライフルとM107 12.7mmスナイパーライフルを輸入している。全天候作戦能力増強のため、台湾軍はさらに国外から各種の赤外線、スターライト小火器スコープおよび兵個人の使用に供する夜視眼鏡等の輸入を計画している。
台湾の現在の小火器装備はいくつかの問題も暴露している。例えば長期間コピー生産と輸入をメインにした「持ち込み主義」は多くの使用上の問題をもたらしている。例えばT75式拳銃、T74式機関銃、T83式オートマチックグレネードランチャーなど、その原型は全て欧米人の使用に適合した武器であり、体積と重量が大きく、後座力が大きく、体格が比較的小さいアジア人にとってはそのままコピー生産すると作戦機能が直ちにいくらか割引されてしまう。台湾軍は新型小火器装備の研究開発過程ですでにこの問題を認識するに至っており、コピー生産の過程で人間工学的改良に力を入れ始めている。
この他、台湾軍がコピー生産および輸入した多くの国の小火器装備は種類が雑多で、しかもそれぞれの国の小火器装備にはいずれも差異があり、共用化の程度が比較的低く、平時の訓練、戦時の維持補修保証等多くの方面で障害を発生させている。台湾軍はすでにこの問題を認識するに至っており、徐々に関係する措置を取って解決を図り始めている。例えば新世代武器の設計上、共用化、モジュール化に重点が置かれ、台湾軍の新型T91小銃(T65、T86の改良型)と早い時期のT65、T86小銃の主要部品は共用でき、かつ新型小銃には汎用レールが追加装備され、多種の照準具が装備でき、総合作戦性能が向上している。この他、同時に台湾軍は実際の需要に基づき、財力が許す範囲で長期間現役にあった異なる類型の無名ブランドの武器を淘汰し、新型武器に換装している。個人兵器方面では、台湾陸軍はすでに2004年から2008年度の予算編成で18億新台湾ドルの予算を計画し、これはT91小銃によって現役のT65系列小銃とその他の小銃を換えるものである。台湾の憲兵、機械化歩兵旅団と首都警備旅団等第一線部隊はすでに新型のT91小銃への換装を開始している。支援火器方面では、台湾軍のT75分隊用機関銃およびT90重機関銃は依然改良が続けられ、作戦機能が高められ、もし軍事的需要があれば直ちに大量生産し部隊装備できる。
台湾は長期間国外の比較的先進的な小火器装備をコピー生産してきた。コピー生産の過程でいくつかの先進技術を吸収し、一定の生産経験を積んできた。しかも性能が先進的な小火器装備を輸入すると同時に、八方手を尽くし、外交手段や大金を費やしていくつかの生産ラインを導入し、このため台湾小火器の科学研究、生産能力はいずれも一定程度の増強が達成された。だが全体的に見ると、台湾小火器装備の科学研究および生産方面の実力はまだ強くはない。
指摘に値するのは、世界の小火器装備発展の潮流に合わせるため、台湾の後方勤務司令部は2002年11月に「未来単兵戦闘系統」(頑住吉注:「フューチャーインディビジュアルコンバットシステム」でしょう)概念の原型を公表した。このシステムは4つの子系統(頑住吉注:サブシステムでしょう)から構成される。すなわち武器サブシステム(T91小銃とT85吊り下げ型グレネードランチャーを採用)、ヘルメットサブシステム(単眼ディスプレイ、夜視システム、小型CCD昼間用カラービデオカメラ、グローバルナビゲーションシステム等)、任務コンピューターサブシステム(グローバルナビゲーションと通信システムが統合されたPDAを含む)、個人装備サブシステム(個人化学剤防御装備、新型防弾ベストと作戦靴、リチウム電池および防御グラス等を含む)である。台湾軍は、「フューチャーインディビジュアルコンバットシステム」は10〜20年先の未来の作戦需要に着眼したもので、台湾軍兵士に未来の戦場における全方位、全天候作戦能力を具備させるものであると称している。だが台湾軍の「フューチャーインディビジュアルコンバットシステム」は、概念の研究と公表のみに限られており、台湾の技術水準や国防の実力に照らせば、自力で台湾軍の想定した目標に到達するには、まだ相当長い道のりを要すると考えなければならない。
(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「台湾のT74汎用機関銃」 続いて2枚目「台湾のT86小銃」 続いて3枚目「台湾のT85式グレネードランチャー」 続いて4枚目「台湾のT75分隊用機関銃」 続いて5枚目「台湾兵士による寒冷地区浸透戦術訓練」)
技術水準や生産能力の制限を受けて、未来の台湾軍の新世代小火器装備は依然コピー生産と輸入がメインとなる。現在の台湾軍の現役小火器装備が種々雑多な現状にかんがみれば、台湾軍はさらにモジュール化、汎用化の問題解決に重点を置くことになる。
(頑住吉注:これより3ページ目)
台湾の「狙撃」計画 M107/T93スナイパーライフルが視野に飛び込む
台湾軍が最近発表した計画は、4年以内に4.86億新台湾ドルを拠出し、アジアの先頭を切って先進的全天候狙撃部隊を作るというものである。この計画は106セットのアメリカ製バレットM107大口径スナイパーライフル(専用狙撃スコープ、M33標準狙撃弾薬およびM8徹甲弾薬を含む)の購入を含んでいる。その中のそれぞれのスナイパーライフル(スコープ含む)の価格は320余新台湾ドルで、80万人民元に相当する。弾薬1発あたりの価格は800新台湾ドルで200人民元に相当する。台湾軍部の示す「財大気粗」(頑住吉注:「金持ちになるほど鼻息が荒くなる」という慣用句だそうです。お前が言うなと言われそうですが)は人を驚きあきれさせる。このニュースの余波がまだ静まらないうちに、台湾軍はまたしてもさらに人の目を引く挙動を行った。それは独自開発による新型T93スナイパーライフルの研究開発成功の発表に他ならない。
台湾の東森ニュース(頑住吉注: http://news.ebc.net.tw/apps/index.htm )の報道によれば、台湾の国家安全保証部門の最新の研究開発による7.62mm口径のT93スナイパーライフルは、2008年に量産開始の見込みである(頑住吉注:このページはごく最近アップされたものですが、オリジナルの記事は何年か前のものなんでしょう)。台湾軍部は、T93スナイパーライフルは世界一流水準を備えた新世代スナイパーライフルであるという。台湾の「国防部」は2007年10月27日、台湾軍のトップ女性スナイパー郭素伶曹長を派手に登場させた(頑住吉注: http://www.newcenturynews.com/Article/junshi/200710/20071026214840.html 美人じゃないけどカッコいい女性じゃないですか。「スナイパーライフルを撃つ時は息を止めてはいけない。息を止めれば脳が一時的酸素欠乏を起こして目標がはっきり見えなくなる。私たちはいわゆる人・銃・弾・照準鏡、完全一体化の後に目標を撃つのです。」と、あんまり面白味のない当たり前のことを言ってます)。郭素伶は1991年7月入隊、台湾女性専業士官班第1期を卒業、現在すでに勤務16年を超えている。射撃場において、女性スナイパー郭素伶はT93スナイパーライフルを使って「超高的射技」をデモンストレーションした。台湾のメディアは、郭素伶曹長が「無駄弾ゼロ、全てターゲットの中心」という結果を出したと称した。台湾軍備局205工場の工場長鄭「少将」(頑住吉注:何故カッコつきなのか分かりません。あだ名であって実際の階級ではないんでしょうか)は、郭素伶はT93スナイパーライフルの最も良い広告であるとし、T93スナイパーライフルに対して「国防部」が将来より多い注文書を持ってくることに自信があると表明した。
台湾軍のT93スナイパーライフルは、原型がアメリカ軍のM24
7.62mmスナイパーライフルで、台湾軍が2003年からコピー生産作業を開始した。T93は距離100mにおける射撃精度が2.91cm以内とされ、かつて距離800mで射撃精度0.3MOA(すなわち6.67cm)の最高成績を出し(頑住吉注:確かにすごいですけどまぐれでは。重要なのは平均と、大きく外れる着弾が出る確率の低さでしょう)、さらに射撃6000発の耐久テストで故障ゼロの記録を持つ。T93スナイパーライフルはバレル等個別部品を自島外から購入する必要があるが、独自生産率90%にも達している。T93が見せた射撃水準に対し、その資格ある古参の専門家は、台湾軍がT93を射撃した時に用いたのは輸入された専用の狙撃弾薬に違いなく、台湾に現在専用狙撃弾薬の研究開発、生産能力が有るか否かは、まだ疑わしいと見ている。だがこの種の推測が事実であるか否かにかかわらず、基本的にT93は比較的成功裏にコピー生産されていると考えてよく、その射撃精度はすでに世界クラスの水準に到達あるいは接近しているかもしれない。種々の兆しは、台湾軍部がすでに狙撃作戦に対し未来作戦モデルの中での重要性を高度に重視していることを示している。台湾陸軍はすでに各旅団の下に約30人の狙撃隊を編成している。台湾軍の狙撃手の陸軍歩兵の中での割合は、すでにアメリカ陸軍と基本的に同等である。
T93スナイパーライフル研究開発を担当した台湾軍備局所属第205工場は、台湾最大の小型武器生産センターである。その研究開発、生産した小火器にはT75分隊用機関銃、T86小銃、T75k1拳銃およびT90機関銃等がある。台湾軍がちょうど全面的に換装中の5.56mm口径T91小銃も205工場出身である。
(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「M2HB
12.7mm重機関銃」 続いて2枚目。「アメリカのMK19
MOD3オートマチックグレネードランチャー」 続いて3枚目「台湾の後方勤務205工場が2007年に自主研究開発に成功したT93型スナイパーライフル」)
台湾の現役小火器装備(頑住吉注:明らかにマス目の埋め方がおかしいので修正してあります)
種類 | 銃器タイプ | 研究開発の状況 | 装備の状況 |
拳銃 | T75式9mm拳銃 | イタリアのM92FS拳銃のコピー生産 | 主要装備 |
T51およびT51K1式0.45インチ拳銃 | アメリカのM1911A1拳銃のコピー生産 | 少量装備、間もなく退役 | |
グロック17式9mm拳銃 | オーストリアから輸入 | 少量を特殊部隊に装備 | |
USP 9mm拳銃 | ドイツから輸入 | 少量を特殊部隊に装備 | |
サブマシンガン | T77式9mmサブマシンガン | コピー生産(頑住吉注:欄外参照) | 主要装備 |
UZI 9mmサブマシンガン | イスラエルから輸入 | 少量装備 | |
MP5系列9mmサブマシンガン | ドイツから輸入 | 少量装備 | |
小銃 | 57式7.62mm小銃 | アメリカから導入したM14小銃 | 少量装備、間もなく退役 |
T65系列5.56mm小銃 | アメリカのM16系列小銃のコピー生産 | 主要装備 | |
T86式5.56mm小銃 | T65小銃に改良を加えたもの | 少量装備 | |
T91式5.56mm小銃 | T86小銃にさらに一歩改良を加えたもの | T65小銃に代えるため間もなく大量装備 | |
M24式7.62mmスナイパーライフル | アメリカから輸入 | 少量装備 | |
PSG-1式7.62mmスナイパーライフル | ドイツから輸入 | 少量装備 | |
SSG2000式7.62mmスナイパーライフル | スイスから輸入 | 少量装備 | |
M107式12.7mm大口径スナイパーライフル | アメリカから輸入 | 少量装備 | |
機関銃 | T74式7.62mm汎用機関銃 | ベルギーのMAG機関銃のコピー生産 | 主要装備 |
T75式5.56mm軽機関銃 | ベルギーのミニミ軽機関銃のコピー生産 | 少量装備 | |
ミニミ軽機関銃 | ベルギーから輸入 | 主要装備 | |
M2HB式12.7mm重機関銃 | アメリカから輸入 | 主要装備 | |
T90式12.7mm重機関銃 | アメリカのM2HB重機関銃のコピー生産 | 未装備 | |
グレネードランチャー | T85式40mm吊り下げグレネードランチャー | アメリカのM203グレネードランチャーのコピー生産 | 主要装備 |
T83式40mmオートマチックグレネードランチャー | アメリカのMk19オートマチックグレネードランチャーのコピー生産 | 未装備 | |
Mk19 MOD3 40mmオートマチックグレネードランチャー | アメリカから輸入 | 主要装備 | |
T91式40mmオートマチックグレネードランチャー | アメリカのMk19 MOD3 オートマチックグレネードランチャーのコピー生産 | 未装備 | |
ロケットランチャー | 66式66mm対戦車ロケットランチャー | アメリカのM72ロケットランチャーのコピー生産 | 主要装備 |
AT-4 84mm対戦車ランチャー | スウェーデンから輸入 | 少量装備 | |
APILAS 112mm対戦車ロケットランチャー | フランスから輸入 | 少量装備 | |
SMAWロケットランチャー | アメリカから輸入 | 少量装備 | |
手榴弾 | T67式手榴弾 | アメリカのM67手榴弾のコピー生産 | 主要装備 |
TC81式手榴弾 | アメリカのMk2式手榴弾のコピー生産 | T67式手榴弾に代えるためのもの |
※「T77式9mmサブマシンガン」はコピーとされてますが、 http://www.reocities.com/Pentagon/Camp/3592/CSF_T77.htm ここを見るとベースはMAC10のようですがマイクロUZIの特徴も盛り込まれており、単なるコピーとは言い難い感じです。
中国が旧東側の盟主だった旧ソ連系の小火器をコピーしていたように、台湾も西側のリーダーであるアメリカの小火器をコピーしてきました。中国が比較的早くから単なるコピーだけでなく独自の特色を盛り込んだ小火器を開発したり、成功作ばかりではないものの完全オリジナルの小火器を開発したりしてきたのに対し、台湾は現在までほとんどコピーで、せいぜい軽いアレンジを加えただけのものしか作ってきませんでした。MAC10とマイクロUZIをごっちゃにしたようなT77サブマシンガンが最もオリジナリティある小火器として目を引くほどです。中国からも「相当に長い一定の期間、台湾軍の現用小火器は現役に留まり続けると見られ、その性能が短時間内で大幅に向上するはずはない。」なんて言われてしまっています。「フューチャーインディビジュアルコンバットシステム」や、中国がいまだ実現できていない世界最先端レベルに迫るスナイパーライフルの精度にやや警戒感をにじませていますが、さほど深刻にはとらえていないようです。こうした台湾の小火器ですが、この記事が書かれた後、新たな動きがありました。次回はこれに触れたいと思います。