付加装甲の発展史

 今回は「ソ連・ロシア新型戦車の装甲技術の発展」の続編にあたるページの内容を紹介します。「ソ連・ロシア新型戦車の装甲技術の発展」では戦車の本装甲を扱いましたが、今回は付加装甲がテーマで、しかも本装甲編ではソ連・ロシア以外の国の装甲にはあまり触れられていませんでしたが、今回は全体の発展史なので他国の付加装甲にも詳細に触れられています。

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戦神の甲冑 付加装甲編

陸戦の神は鋼のような筋肉や骨格を持たねばならないだけでなく、当然堅固で破壊できない甲冑もまとわねばならない。戦車というこの陸地を突撃する中核戦力ももちろん例外ではない。戦車が初めて誕生した時、早くも戦車のためにこれに合わせた付加装甲を製造、装備し始めた設計者がいた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「撃ち壊されたMK戦車」 破壊が広範囲で敗れた装甲が内側に曲がっているところから見て、大口径砲弾の至近弾による破壊でしょうか。)

それは1918年、イギリスの「マーク」戦車がまさにこの世の春と得意になっていた時、突然K型弾が出現した。これは一定の距離内で「マーク」の装甲を打ち抜くことができるものだった。K型弾の脅威に対応するため、イギリス人は最も直接的な方法を考え出した。戦車製造に使われる高炭素鋼を小さなブロック状に作り、さらにこれをネジで戦車の外部に固定したのである。このひどく慌ただしく忙しい作業の中、最初の付加装甲がこうして誕生した(頑住吉注:どうでもいいですが「マーク戦車」というのはアメリカの戦車を「M戦車」、日本の戦車を「式戦車」と呼ぶようなものでちょっとおかしいと思います。なお、「K弾」という名称は日本でも使われ、Kはコアを意味する「Kern」の略だと思いますが、「K-Geschoss」で検索してもほとんど情報に行き当たらず、ドイツでこの名称が使われていたのか疑問です)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「付加装甲を装着しようとしているMK戦車。上部の突起物は付加鋼板を固定するためのボルトである。」 不鮮明でほとんど分かりませんが)

第二次大戦前、戦車の主要な脅威は運動エネルギー弾を主とする各種砲弾、弾丸であり、このため当時の付加装甲も薄い鋼板が主だった。基本的に全てボルトや支持架で主装甲の外部に設置され、これは実のところ直接的に装甲厚を増加させ、防御能力を向上させるものに他ならなかった(頑住吉注:後に登場する爆発反応装甲=リアクティブアーマーのように原理的に違うものではなかったということですね。)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ボイラー用鋼板を使って作られたMK戦車の付加装甲」)

第二次大戦中、成型炸薬弾の出現は戦車にまたしても新たな敵に直面する必要を生じさせた。ドイツは1942年に自軍の戦車に付加装甲を装備しはじめ、車体側面と砲塔に5〜8mmの装甲防御板を追加した(頑住吉注:これは当初はソ連の強力な対戦車ライフル対策だったようです)。砲塔に追加されたリング型(頑住吉注:馬蹄形でしょうね)硬化装甲は砲塔側面、後面の防御力をさらに一歩強化した。同時にドイツの装甲兵たちも暇にしてはおらず、多くの粗野な方法を考え出して自分の使用する装甲車両の防御能力を増強した。まず彼らは戦車に予備のキャタピラを吊り下げて装備し(画像参照)、鹵獲した敵のキャタピラさえも使った(頑住吉注:予備キャタピラとしては当然使用できないにもかかわらず、ということですね)。マンガン鋼で製造した戦車のキャタピラには極めて高い硬度があり、しかもキャタピラの形状はエッジが多く、敵が攻撃する徹甲弾に極めて跳弾を発生させやすかった! これにより戦車に20mm近い装甲を増加させたに等しかった。さらに戦車兵が用意していた転輪を後部から外してスチールワイヤーで車体正面や砲塔側面に吊り下げることもあり、側、後方の防御レベル向上に使われた。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「キャタピラをいっぱいに吊り下げて付加装甲としたドイツ戦車」 続いて2枚目。「第二次大戦中、多くの国の戦車兵がしょっちゅう雑多なものを戦車に吊るして付加的防御手段とした。」)

ドイツの戦車兵が慌ただしく自分の戦車に付加装甲を取り付けていた頃、アメリカの戦車兵も戦車にキャタピラを吊り下げていたが、その他にも砂を詰めた麻袋(頑住吉注:土嚢)、バケツ、丸太をたくさん積み、さらには鉄条網や自動車のタイヤを自分の戦車の外側に吊り下げる者さえいた。その戦車のいでたちは家を離れて逃げる難民のようだった。実はこうした細工の目的はただ一つ、成型炸薬弾頭をあらかじめ起爆させ、間隙を利用して射流を分散させ、その貫通力を非常に大きく低下させることだった。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「粗野な方法で雑物をいっぱいに吊るしたM4戦車」)

戦車の外部にいくつかの雑物や「土質装甲」を搭載する以外に、戦後の世界各国の戦車設計者たちはこの種の付加形式で装備する外部吊り下げ装甲を防御の1つの選択肢としてさらに一歩の研究を行った。最も早くスカート板を戦車の防御の重要な組成部分としたのはソ連陸軍だった。1960年代初期、軍の調達部門は設計人員に、成型炸薬弾頭を防御でき、もって車両両サイドの懸架システムと行動装置を保護する側面スカート板の研究開発要求を出した。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「T54初期型で行われるスカート板による防御実験。」)

多種のスカート板構造に対し大規模な総合的試験を行った後、最終的に選ばれたのは5枚の矩形アルミ板からなる魚のエラ式側面スカート板構造だった。個々のアルミ製側面スカート板には垂直の回転軸があり、コイルスプリングを介してキャタピラのフェンダー板に固定された。平時においてアルミ製スカート板が閉じている時はフェンダー板と平行で、作戦前、操縦手が車内の操作装置によってスカート板を90度開いて固定した。障害を通り抜ける時は操縦手によってコントロールされ側面スカート板は改めて閉じられた(図参照)。試験を経て、この種の形式のスカート板は真正面からプラスマイナス25度の範囲内で行動機構全体を有効に保護でき、成型炸薬弾の被害を免れることが証明された(頑住吉注:横から狙われたら当然効果ないですね)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「T64戦車に装備された開閉式スカート板を完全に開いた状態。」)

1970年代になり、T55やT62などのような旧式戦車の作戦能力を向上させるため、ソ連の科研人員は比較的複雑な外部吊り下げ式付加装甲を研究開発した。この種の構造は30mm鋼板を溶接して作った箱型の構造で、全体の厚みは150mmだった。内部には多層の5mm厚高硬度装甲鋼板が装備され、規則的に傾斜して配置されていた。間隙はポリウレタンゴムで充填されていた(図参照)。射流が外殻を貫通して侵入すると、モジュール内の鋼板に破砕や変形が発生し、特殊ゴム等の物質が砕けて一緒に混合し、これは金属射流の貫通を妨げるのに有利だった。同時に鋼板の間隙ある配置を利用して射流を邪魔し、発散させることもできた。同時に徹甲弾芯の衝突が生む運動エネルギーが粘りのある物質を介して鋼板に伝達され、同時に徹甲弾に対し向きを変えさせる垂直方向の力を生む。このため徹甲弾に対しても一定の防御作用がある。ただしその作用は限定的なものだった。ソ連軍のテストの結果によれば、この種の付加装甲は成型炸薬弾に対する200mm前後の防御能力を提供できた。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「カッタウェイされたT55戦車。付加装甲の装着位置がはっきり分かる。」 続いて2枚目。「T55戦車の車体前部に付加された装甲のカッタウェイ」 続いて3枚目。「T55とT62戦車の砲塔付加装甲のカッタウェイ」)

一方後のこの種の付加装甲に対する改良の中で、ノルウェーの専門家が行ったある実験が装甲の設計者たちに新たなインスピレーションを与えた。設計者たちは伝統的なポリウレタンゴムを微量の索姆丁(頑住吉注:検索しましたが不明。発音はsuo mu ding)炸薬(一種の高敏感度炸薬)を含有した高膨張性特殊ゴムに交換し、かつ全体構造を改変した。新しい装甲は付加式膨張装甲と呼ばれた。

この種の新型装甲は敏感な炸薬を含有したゴムを粘り強い薄い金属片で包んだ後、順序にしたがって6mm厚の装甲板で作った鉄箱の中に入れて密封したものだった。射流が外殻を貫通して炸薬を含有したゴムが起爆すると、ゴムで包まれた金属片に急速な運動が生じて射流に対し激烈な切り割り動作を行った。金属片単体の動作の幅は小さいが、装甲箱体内には大量の順序よく配列された金属片が装備され、異なる角度からそれぞれ射流に対し切り割りを行うため、有効に射流を破壊でき、有効に戦車を保護できるのだった。外部吊り下げ膨張装甲の効果は伝統的構造の付加装甲より良好で、しかも重量はより軽かった。さらに重要なのはこの種の装甲は爆発反応装甲とは違って作動時に大量の殺傷性ある破片を生まないことで、歩兵に対し傷害を起こさせない。このため近年来多くの国の研究の重点となっている。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「某国の膨張付加装甲に対する模擬標的テスト現場。」)

だがこの装甲の徹甲弾に対する効果は依然理想的ではなかった。そこで各国の設計者たちは申し合わせたかのようにセラミックに思い至った。すぐにセラミック挟層をはめ込んだ外部吊り下げ式複合装甲が出現し始めた。例えば我が国が生産した85III型戦車にはもうセラミック挟層を含む複合装甲ブロックが吊り下げ装備されていた(図参照)。一方イスラエルも多種の外部吊り下げ式複合セラミック装甲を研究開発し、いろいろな機種の戦車の改造に用いた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「外部吊り下げ型セラミック複合装甲ブロックを装備した国産85III型戦車」)

この他さらに多くの国が多種多様の形式を採用して成型炸薬弾に対する防御能力を増加させた。例えばイスラエルは国産の「メルカバ」戦車の砲塔後部に数十本の太い鉄製の鎖を吊り下げてロケット弾の弾道を妨害し、有効な角度での弾頭の爆発を不能にし、砲塔後部の防御を達成させるのに使った。一方スウェーデンの「S」型戦車はより徹底しており、直接車体前部に1m近い高さの鉄柵を立て、しかも高度の機密として数十年の長きに渡って隠していた。同時に「S」戦車はさらに扁平なジェリカンをスチールワイヤーでつなげて車体の両側に吊るし、付加装甲に充当した。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ジェリカンを付加防護の手段とするのはスウェーデンのS戦車が始めた」)

一方付加装甲のその他の選択肢である爆発反応装甲は戦後の発展においてさらに山あり谷ありで、時今日に至り大いに異彩を放ち、あらゆる国に認められている。

爆発反応装甲の概念は最も早くは1949年にモスクワのプルミティ学院のラフリエジェフ教授によって提出された。ソ連鋼鉄科学研究院はその後の十年のうちにさらに一歩の研究とテストを行った。1960年代中期にはT64試験用車両上に装備し実弾試験を行った。だが結果は理想的なものではなく、この試験用車両は命中弾を受けると多くの反応装甲ブロックの連鎖爆発を引き起こし、外部のあらゆる視察設備が破壊され、試験は止むを得ずしばらくの間停止された。再び行われたその後の数回の試験中、さらにミサイル弾頭の他にも機関銃弾、焼夷弾、大口径砲弾の破片等々でも全て反応装甲を起爆させることができ、実戦投入は全く不可能であると分かった。すぐにソ連はこれを技術上の備蓄に回し、このプロジェクトの研究を終えた。

だが1970年代初めになって、ドイツのヘルデ博士が2層の鋼板の間に炸薬を挟んで装備した現代反応装甲構造を提案し、その後イスラエル人がこの理論を基礎に研究を開始し、挟層の中に鈍感な炸薬を充填べきことを提案した。爆発反応装甲の基本原理は次のようなものである。成型炸薬の射流が一定の角度で反応装甲上に衝突すると鈍感な炸薬が起爆し、爆発の衝撃波が金属板を法線方向(頑住吉注:まあ金属板と垂直の方向、と思っていいと思います)に沿って駆動して運動させる。反応装甲は一般に一定の角度をもって設置されているので、運動中の金属板と射流はある角度をもって相互に運動することになる。射流は金属板の邪魔と切り割りを受け、したがって主装甲に対する貫通能力が削減されるのである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「爆発反応装甲作動の高速撮影写真。爆発が起きた後、射流の状態がすでに安定を失い、断裂が起きているのに注意。」)

この理論的基礎のもとにイスラエルのRafael社は世界初の爆発反応式装甲である「Blaser」を研究開発し、しかも1982年には早くもイスラエルがレバノンに侵攻した戦争で実戦投入した。当時の技術はなお不完全だったが、これら「Blaser」はまるで革靴箱のようにフレームを使って戦車の車体や砲塔など被弾確率が比較的高い、また防御が比較的弱い部位に吊り下げられた(図参照)。当時参戦したM48、M60および「マガフ」3型(頑住吉注:M48改良型)等のメインバトルタンクにはいずれも爆発反応装甲が装備され、実戦を経て「Blaser」を装備した戦車はソ連製AT3対戦車ミサイル(頑住吉注:AT-3「サガー」というのはNATOによるコードネームで、9M14「マリュートカ」がソ連での名称です。発射後、射手が有線で誘導操作する原始的なもので、中国でもコピー生産されました)およびRPG7ロケットランチャーの攻撃を有効に防御できることが証明された。メインバトルタンクの成型炸薬弾頭に対する防御能力は極めて大きく増強されたのである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「イスラエルが初期に装備した爆発反応装甲」)

この時、爆発反応装甲は一戦にして名を成し、世界各国の注目するところとなった。アメリカは1983年には早くもイスラエルから「Blaser」を導入した。しかも迅速に自分たちの反応装甲を研究開発し、M60戦車やM2歩兵戦闘車(頑住吉注:ブラッドレー。1980年生産開始)に大量に装備した。アメリカが使用した反応装甲にはM1とM2の2つのタイプがあり、M1の寸法は305x305x51mm、重量は1ブロック8.6kgで、M2型は472x305x51mm、重量は1ブロック12.7kgだった。これらは戦車のために250mm〜350mmの防御能力(成型炸薬に対し)を提供することができた。湾岸戦争において、アメリカは参戦するM60A3戦車全てにこの種の反応装甲を配備した。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「湾岸戦争中の爆発反応装甲を装備したアメリカ軍M60戦車」 他の画像と比べてカバーされている面積が小さい感じです。



ということでしょうか)

一方フランス陸軍はGIAT社が生産した「Brenus」爆発反応装甲を使用して自分たちのAMX30メインバトルタンクを改造した。この反応装甲の外形寸法は300x150x75mmで、重量は1ブロック10kgだった。内部には400gの鈍感炸薬が装備され、400mmの対成型炸薬能力を提供できた。同時に面板(頑住吉注:一番外側の板、という意味らしいです)が比較的厚いため100mm均質装甲に相当する対徹甲弾能力も提供できた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「「Brenus」爆発反応装甲を吊り下げ装備したAMX30戦車」 ちなみにこの戦車は成型炸薬の発達によりいくら装甲を厚くしてもどうせ防げないから機動力を上げた方が有利だという考えで、本来はメインバトルタンクとしては非常に薄い装甲しか持っていません)

イギリスはロイヤルオードナンスとビッカースディフェンスシステム社によって「ルオモA」型および「ワルマーII」型反応装甲を研究開発した。このうち「ルオモA」型はチャレンジャーメインバトルタンクおよび武士歩兵戦闘車(頑住吉注:何のことかと思ったら「ウォーリア」でした)に装備されて使用された。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ちょうど爆発反応装甲を装備中のチャレンジャー2戦車。RPG29に主装甲を貫通されて以来、イギリス人も慎重になり始めたのである」)

我が国は1970年代末に爆発反応装甲技術の研究を開始した。現在までにすでに相次いで3世代の爆発反応装甲の研究開発に成功している。最新世代の爆発反応装甲にはタンデム弾頭に焦点を合わせた新構造と技術が使用され、旧式戦車改造のために有効な防御が提供できる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「我が国が独自に研究開発、公開展示した多機種のFY系列爆発反応装甲」)

我が国が開発した爆発反応装甲は多機種の旧式戦車の改造に使用された。我が国は防御の強化と同時に、爆発反応装甲が作動時に生み出す衝撃波の車内人員に対する傷害にも非常に注意している。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「我が国の59D型戦車に装備された爆発反応装甲。その底部に乗員を保護し、衝撃波による傷害を受けることを免れさせる裏板が装備されていることに注意。」 続いて2枚目。「59D型戦車の車体に装備された爆発反応装甲の構造を示す写真。上半部は作動モジュール、下半部は保護裏板」)

我が国最新の輸出型VT1Aメインバトルタンクに早くも装備された独自研究開発による第3世代爆発反応装甲(図参照)。製品宣伝資料の表示によれば、この爆発反応装甲の防御能力は400mm(成型炸薬)、200〜250mm(徹甲弾)である。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「我が国の輸出型VT1A戦車に装備された爆発反応装甲」 続いて2枚目。「我が国のVT1A輸出型戦車外部に吊り下げ装備された爆発反応装甲を横から見たところ」)

イスラエル人が先頭に立つ形で爆発反応装甲が大いに発展している時、ソ連人も暇にはしていなかった。イスラエル軍とシリア第82装甲旅団との対決において、イスラエルは大勝利を収めたものの、数両の戦場に投入したばかりの「マガフ」6Bがシリア人に完全な状態で鹵獲された。ほどなくシリアはこれらの戦利品をモスクワに引き渡した(頑住吉注:ロシアは現在シリアの独裁政権による非人道的な民衆弾圧に対する制裁に中国と共に反対し続けていますが、いろいろな歴史的背景があるんですね)。「Blaser」の出現はソ連の設計者たちに、自国戦車の防御能力を大幅に向上させるチャンスが到来したと思わせた。そこで部長会議の批准を経て、ソ連は爆発反応装甲プロジェクト(EDZ)を再度始動させた。ソ連鋼鉄科学院が責任を負って研究開発を行い、すでに一定の技術的基礎があったため、たった1年の時間を費しただけでソ連の第1世代爆発反応装甲が製造された。これが「コンタクト-1」型(K1)で、短時間で軍のテストを通過し1984年末に部隊への装備が開始された。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「鹵獲された初期の爆発反応装甲を装備したイスラエル戦車(現在ロシアの某博物館に展示されている」 「某」ってクビンカじゃないんでしょうか。どういう説明書きになっているかちょっと興味ありますね)

K1型爆発反応装甲(図参照)の設計には非常に特徴があり、「Blaser」のような重くてかさばる図体を脱却していた。K1の外層は3mmの鋼板で作られ、間には2枚の15mm厚の装甲鋼板が角度をつけて配置され(抛板+背板)、さらに鈍感炸薬で鋼板の間の間隙を充填していた(図参照)。全体の寸法は250x138x103mmで、その中には350g前後の鈍感炸薬が添加されていた(頑住吉注:「(抛板」は爆発により弾丸が来た方向に急速な動きをする板を指すようです)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「K1型爆発反応装甲の構造を示す写真。2枚の抛板の構造がはっきり見て取れる」)

K1の防御原理は次の通りである。金属射流が外殻と抛板を貫通すると、鋼板の中間に位置する鈍感炸薬が起爆し、炸薬の爆発波に押し動かされて抛板が外に向かって飛び出し、一方背板は反対方向に運動する。抛板は射流の頭を叩き、射流の最も先鋭な部分を切断し、射流を消耗させる。さらに背板は射流の尾を叩き、射流に対し極めて大きなかき乱し、邪魔を行い、さらに一歩射流の主装甲に対する貫通力を削減する(頑住吉注:慣用句と引っかけた表現が使われてますが訳しようがないです)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「K1型爆発反応装甲の作動時にリアルタイムで撮影されたX線写真。射流の状態に注意。抛板と背板が前後に動くと、射流にねじ曲げと断裂が発生し、連続性を喪失している。」)

この種の「頭と尾を取り去る」(頑住吉注:これが慣用句です)の奥義は、K1が「Blaser」のような「サンドイッチ」構造の単純な模倣ではないことを示している。楔形に配置された鋼板を巧妙に利用し、炸薬に非対称の爆轟波を発生させ、鋼板を押し動かして急速かつ激烈に射流を消耗させ、また切り割り、西側の爆発反応装甲より良好な効果を獲得したのである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「作動後の爆発反応装甲。成型炸薬の射流が車体に対し小さな傷害しか生じさせていないことが見て取れる。」)

K1は装着時、専用のフレームを使用して水平線に対し30度の角度で設置される(図参照)。このようにする目的は爆発反応装甲が起爆時により良好な切り割り角度と効果を獲得させることである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「T64BV戦車にK1型爆発反応装甲を装着するために使う支持架」)

第1世代のK1は成型炸薬弾に対抗するための400mmの防御能力を提供できた。だが徹甲弾に対しては、K1の効果は非常に限られたものだった。後のさらに一歩のテスト中、K1の外殻が比較的薄いため、小口径機関砲の掃射時でも爆発して機能を失う可能性があることが分かった。そこで科研人員は素早く改良を行った。すなわち外殻の厚さを増し、同時に装甲ブロックの底部に厚さ5mmの鋼板を追加したのである。このようにすれば小口径砲弾によって起爆させられる確率を非常に大きく低下させることができた。一方ソ連軍の戦車兵は創造性をもって複数の爆発反応装甲を主装甲上に重ねて配置し(図参照)、さらに一歩成型炸薬弾に対する防御能力を高めた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ソ連戦車兵は創造性をもって複数のK1型爆発反応装甲をT72型戦車の上に層状に重ねて配置し、大型対戦車ミサイルに対する防御能力を極めて大きく向上させた。」)

K1の改良研究中、設計者たちは気付いた。爆発反応装甲が射流を破壊する方式は例えば射流の切り割り、射流のルートの妨害、射流自体の損傷等々であるが、これらはいずれも尾翼で安定するサボ付き徹甲弾が侵入した場合の破壊にも使えると。必要なのは異なる方法で同じ道理を実現することだけだった。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「K1型爆発反応装甲のクローズアップ写真。写真ではK1の面板が薄く、徹甲弾の打撃下では内部の炸薬を有効に起爆できないことが示されている。」)

だがサボ付き徹甲弾の攻撃は防御しなければならない。主要な問題はK1に使用される鈍感炸薬は普通の衝突が発生させる低い温度(これは金属射流に比べての話である)に対しては敏感でないことだった。実験中何度も弾芯が貫通しても炸薬が起爆しない問題が発生した。この問題を解決する方法は、反応装甲の外殻、内部の抛板、背板の厚さを増すことに他ならなかった。このようにすればサボ付き徹甲弾の弾芯が多層の鋼板を貫通する時に極めて大きな熱効果を生み、同時に灼熱の高温破片を大量に生み、したがって炸薬を起爆させる目的が実現される。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「T80某型車両に装備された重爆発反応装甲を側面から見たところ。その面板がK1型に比べて明らかに厚くなり、同時に内部に多層の付加鋼板がはめ込まれているのが見て取れる。」)

サボ付き徹甲弾を防御するためのもう1つの難題は、現代の尾翼で安定するサボ付き徹甲弾の弾芯は全て高密度のタングステン、ウラン等の合金で作られており、非常に硬い性質で、普通の破片が弾芯に対し邪魔や切り割りの動作をすることが難しいことだった。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ドイツで生産されたDM53型サボ付き徹甲弾。弾芯には高密度タングステン合金による製造が採用され、非常に硬い。」)

基礎研究を通じ、設計者たちは考えた。現代の大口径の尾翼で安定するサボ付き徹甲弾が命中して装甲を貫通する時、断面積あたりの運動エネルギーが高くなるほど貫通力も強くなる。つまり弾芯全体の運動エネルギーを断面積で割って得られた値こそ重要なのであって、このため尾翼で安定するサボ付き徹甲弾の弾芯がより長く、断面積がより小さくなるほど貫通効果が良くなる。だから現代のサボ付き徹甲弾は全て長さと径の比が重要な評価指標である。だが径に比べ長さが大きいことは弾芯の材料に対しより良好な要求を提出する。一般的に言って、弾芯が装甲を貫通する過程は不断に相互の消耗が起こる過程であり、弾芯などあらゆる貫通体が長くなればなるほど消耗が起きる長さも長くなり、貫通深度もどんどん大きくなる。このため近年来発展している徹甲弾は全て絶えず弾芯の長さが増加している。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「近年来、徹甲弾の弾芯の長さは不断に増加し、もってより高い貫通深度を期待している。」)

例えばM829A3の弾芯はすでに薬莢底部にまで届いている。だが弾芯を長くすることがもたらすのは弾芯全体の脆弱性の増加に他ならない。現代の戦車砲のマズルエネルギーは極めて高く、弾芯は装甲に命中した時に自身が極めて大きな運動エネルギーとポテンシャルエネルギーを持っている。この時もしも弾芯の進行状態と貫通角度に改変が発生すれば、必ず自身の巨大な応力によって破壊(折断あるいは解体)するか、もしくは進行姿勢が急速に変化する(頑住吉注:原文では「進行」は「飛行」になっています。中国語ではバレル内を弾丸が進むことも、装甲内を弾が貫通していくことも「飛行」と表現するようです)

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「M829系列弾薬。最新型の829A3の弾芯はすでに薬莢底部に届いている」)

以上の分析に基づき、研究開発人員は爆発反応装甲のサボ付き徹甲弾の弾芯に対する防御は以下の数点に基づくべきであると考えた。

1. 内部にはめ込む材料の激烈な運動を利用して侵入する尾翼で安定するサボ付き徹甲弾の弾芯を切断あるいは折断し、これを断裂、分解させる。

2. できる限り金属抛板の運動により不均一な力を生じさせ、弾芯の構造に極めて大きな材質疲労を起こさせ、弾芯頭部に破砕を発生させる。

3. 以上2点の目的が達成できない状況下では、できる限り弾芯に対して加える異なる角度、異なる大きさの力によって、弾芯に侵入過程で貫通方向の改変を強制し、攻撃角度の変化をもたらさせ、さらに一歩傾斜係数を増加させ、同時に弾芯を連動させ偏向湾曲(YAW)運動をさせる(頑住吉注:ヨーイング。航空機では機首揺れなどとも言うようです)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「我が国の科研人員が分析して得た貫通体自身の応力分布図。」 弾芯の後部上にある漢字は「拉」つまり引くという意味、前部下にあるのは「圧」です。貫通中に無理に方向を変えさせ、こういう力を加えて破断させようというわけですね)

爆発反応装甲のサボ付き徹甲弾に対する防御方式に基本的理解が得られた後、設計人員は全く新しい重爆発反応装甲を設計した。この装甲は25mm厚の高硬度スチールで外殻を作り、内部には2枚の比較的熱に敏感な炸薬によって包まれた10mm厚の高硬度合金製抛板を装備し、同時に隔離層の厚さを増して付帯傷害を減少した(頑住吉注:車体から離して乗員をより安全にしたということでしょう)。この爆発反応装甲は「コンタクト-5」型(K5)と命名された。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「T90に装備されたK5型爆発反応装甲」)

K5のサボ付き徹甲弾に対する防御原理は次の通りである。サボ付き徹甲弾の弾芯が、法線に対し30度の状態で配置されたブロック状爆発反応装甲に命中すると、弾芯が炸薬を起爆させるのと同時に外殻鋼板が即上方に向け飛び出し、弾芯に対する第1の破壊を行う。間を置かず炸薬内に包まれた高硬度合金鋼板も放出され、継続して傾斜方向に沿って弾芯の中、後部に対し切り割りとかき乱しを行う。抛板が激烈に運動している時、背板も炸薬の爆轟波に押し動かされて同時に装甲の内側に運動し、抛板と共に弾芯に対し「頭と尾を取り去る」式の破壊を行う。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「実弾テスト後の爆発反応抛板。その中央部に貫通物に切り割りを行ったことが生んだ痕跡があるのに注意(下の図のマーク参照)。」 続いて2枚目。「爆発反応装甲の作動原理。貫通物が異なる方向に運動した抛板に残した痕跡に注意」)

一方、爆発反応装甲が誘爆して機能を失う問題の解決に関し、ソ連の科研人員は多数の相互に連結された箱のセットから構成された爆発反応装甲のジャケットを発明した。この種の箱セットの4つの側壁には音響インピーダンスを変化させた3層あるいは4層の複合材料が採用されている。すなわち炸薬に接触している側壁層から始まって、隣り合う2層の音響インピーダンスの比が2より大きく、したがって爆発の衝撃波が減衰、消耗し、隣り合う箱セットに爆発を起こさせることはない(頑住吉注:難しすぎてさっぱり分かりません)。

実験は、この重爆発反応装甲は初期の尾翼で安定するサボ付き徹甲弾の弾芯に対し極めて大きな破壊作用を持ち、直接弾芯を切断あるいは損壊させることができることを証明している。ある試験では、3BM32(距離1800mでの装甲貫通力が命中角度90度で450mm)の弾芯は貫通過程でK5によって直接切断され、残余の部分はわずかに主装甲上に80mmにもならない小さな穴を開けただけだった。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ネット上に流布しているK5型爆発反応装甲が作動時に徹甲弾の弾芯を切断しているX線写真。弾芯の直径と形状から見て、西側の国が生産した某タイプの徹甲弾である公算が高い。」)

一方別のある試験中、更新型の3BM42がK5の破壊に遭遇した後、主装甲に正常な貫通経路と比較してずっと大きな射入孔(侵入深度はわずか150mm)を残した。これこそ弾芯が偏向やねじ曲げに遭遇して射入方向に重大な変化が発生したことの結果である。ここからK5が初期タイプのサボ付き徹甲弾に対して非常に良好な防御効果を持つことが見て取れる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「爆発反応装甲に邪魔され偏向させられた弾芯が主装甲に残したのは浅い窪みだけだった」)

一般的に言うと、K5は同時期の尾翼で安定するサボ付き徹甲弾に対し200〜300mmの均質装甲に相当する防御能力を持つ。一方成型炸薬弾に対しては少なくとも400〜500mmの防御効果を持つ。

K5が装備され始めてすぐソ連は解体し、装備の研究開発、製造体系全体が全て麻痺状態になり、K5もこれにつれ世界に広く拡散した。西側はこの機会をとらえ、素早くこの神秘的爆発反応装甲に対し大規模なテスト作業を展開した。1990年代中期、ドイツと韓国が相次いでDM43、M829A1など新型の尾翼で安定するサボ付き徹甲弾を使用してK5を装備したソ連製戦車に対し実弾射撃標的試験を行った。実験は、1980年代後期に発展した新型弾薬に直面しても、K5には比較的良好な防御効果があることを証明した。M829A1に対抗する試験中、K5は3BM32/42に対して行ったようなへし折って両断することはできなかったが、弾芯の射入方向の偏向と方向転換させる力の増大という方式によってM829A1の貫通深度を非常に大きく低下させた。また西側で普遍的に装備されているタングステン合金弾芯に対しては、K5の作用はより大きかった。DM43のK5を貫通した後の貫通ルートの直径を本来のそれと比較して倍近くにすることができ、同様に主装甲に対する貫通深度を有効に低下させた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ダブル層爆発反応抛板の徹甲弾の弾芯に対し行われる切り割り動作の説明図。弾芯自体に極めて大きい応力が存在するので、いかなる偏向、引っ張りの動作も弾芯に対し極めて大きな損傷を生じさせることができる。」)

新型弾薬の急速な発展が人を圧倒するほどに著しい形勢に直面し、ソ連の膨大な装甲戦力を継承したロシアは、経済が逼迫し、国家が衰弱していたにもかかわらず、依然装甲技術に対する研究開発を停止することはなかった。K5がすでに輸出等いろいろな形で広く外界に知られたこと、しかも一度は各種新型対戦車兵器の「サンプルターゲット」になったことで、「本製品はK5の防御ある各タイプのメインバトルタンクを有効に破壊できる」は、ほとんどあらゆる国の新型対戦車兵器宣伝の「標準用語」となったことにかんがみ、K5の設計者たちはK5の改良と平行して新しい重爆発反応装甲の研究開発を開始した。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「爆発反応装甲の出現後、対戦車ミサイルは次々とタンデム装薬の弾頭を採用した。これは前に置いた小型弾頭によって前もって反応装甲を起爆させ、メインの弾頭が直接主装甲に命中して破壊任務を完成させられることを確保するものである」)。

まずK5に対し構造の調整が行われ、もってK5自体の性能を向上させやすくした。本来の2枚の抛板の後面に、硬度がさらに高く粘りもより良好な合金鋼板1枚を追加し、同時に本来の熱に敏感な炸薬の爆発速度と敏感度をさらに一歩高めた。構造では、本来の2枚を角度をつけて配置する方式を、法線に対し60度の角度で順に設置し、3枚目の抛板を主装甲の方向に向け傾斜して配置した。これらの抛板はそれぞれ高性能の熱に敏感な炸薬で包まれた。

サボ付き徹甲弾の弾芯が改良型K5に突入すると、新たに研究開発された熱に敏感な炸薬が、より速度の早い爆轟波が前の2枚の抛板を押し動かすことで従来通りの「頭を迎え撃つ」形式で弾芯に対し破壊を行い、一方第3の抛板は自身の高硬度によってサボ付き徹甲弾の弾芯に対し「追尾」式の打撃を行う。垂直方向に弾芯の中、後部に対し切り割りを行い、また極めて大きな上昇力を加える。もし完全に弾芯を切断することができなくても、依然極めて大きく弾芯の射入角度を大きくし、弾芯が不均衡な力を受けるようにし、主装甲に転がるように接触させる。こうすれば弾芯の主装甲に対する貫通能力は大きく削減され、厚い主装甲を貫通することはできなくなる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「転がるように標的板に接触し、全体の痕跡を残した弾芯。この種の状況はテスト中極めて稀にしか見られなかった。」 弾芯そのものに見えますが、痕跡なんですね。ボディ部のギザギザにはどういう意味があるんでしょうか)

この種の新型K5は目下ロシア軍自身が使用する改良型T72BおよびT90Aにだけ用いられており、車両全体に装備される重量は約4.5トンである。ロシア軍部の報告によれば、この装甲は新型の、例えばM829A2、DM53等の新型で細長い尾翼で安定するサボ付き徹甲弾の攻撃に直面した時でも、依然300mm前後の均質装甲に相当する防御能力を提供できる。目下世界で最も先進的な爆発反応装甲でもある。

一方別の種類の重爆発反応装甲「Relikt」(サボテン)はまだ試験場でテスト中であり、まだ公表されていないが、筆者は「Relikt」は実はK5と同じ原理を採用し、設計上より巧妙で、材料の性能上やや良好なだけであると考える。新しい「Relikt」は複数層設計を採用している公算が高い。すなわち本来の単一の反応装甲が改良後は層が積み重ねられてより厚いスチールジャケット内で「複合」構造を形成し、全体構造はK5よりさらに厚いと思われる。筆者は25mm装甲スチール外殻+15mm高硬度合金板+熱に敏感な炸薬+10mm高硬度合金板+隔離層+熱に敏感な炸薬+15mm高硬度後部抛板からなっているかもしれないと分析する。防御原理はやはりより多くの抛板が前、中、後の3つの方向で来襲するサボ付き徹甲弾の弾芯に対し切り割りとかき乱しを行うもので、この過程がより複雑、激烈なだけだろう。果たしてこの種の新型爆発反応装甲がM829A3などといった超高硬度材料の弾芯に直面した時にどれくらい大きな効果があるのかは、まだ不明確であり、関連情報がさらに一歩公開されるのを待つ必要がある。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「テスト中のT80某改良型戦車。ロシアの媒体の報道によれば、この車両に配備されたものこそ「Relikt」新型爆発反応装甲だという。」)

他方においてソ連の著名なハルコフ設計局を継承したウクライナも、1990年代中、後期に技術力量を投入して既存のT80系列戦車に対する改良を開始した。同時にT80を基礎にob187プロジェクトの溶接砲塔に換装して全く新しいT84も作った。主装甲に関し、ウクライナ人はあまり多くの新基軸を盛り込むことはなく、より多かったのは当時ソ連が残した技術の継続使用だった。一方爆発反応装甲方面では、ウクライナ人には独自に到達した見解と他とは異なる製品があった。

解体前、ウクライナに所在したT64およびT80戦車部隊はK1型爆発反応装甲を装備済みで、ソ連解体前の一定期間においてハルコフィ設計局装備研究所は仕事上の関係を利用し、、鋼鉄科学研究院から獲得した一部の初期K5やその他のなお概念段階にあった爆発反応装甲の資料を獲得し、直ちに資料をウクライナに持ち帰って詳細な研究を行った。解体後ウクライナはあらかじめ獲得していた図面に基づき初期型のK5をコピー生産し、かつ輸出型T80UDに装備してパキスタンに販売した。だがユーザーによる試験を経て、ウクライナが製造したK5の効果はロシアのオリジナル品よりはるかに弱いことが判明した。このため、ウクライナ軍部と軍の販売部門はまさに成立したばかりのウクライナ国家戦車設計局(すなわち旧ハリコフ設計局)に、全く新しい爆発反応装甲を研究開発して21世紀の需要を満足させる要求を提出した。これは総設計者バリショックを極度に困らせた。必要な基礎研究が欠乏していたため、ウクライナはK5に類似した重爆発反応装甲研究開発過程において多くの困難に遭遇して継続し難くなった。この時ウクライナ国家戦車設計局装甲研究所の副総工程師ウラジミール アオリリョフが、1980年代中期に旧ソ連の鋼鉄科学研究院が提出した、成型炸薬を使用した反応装甲を基礎に研究開発した、全く新しい概念の爆発反応装甲を提出し、この提案は機を得て認められ、研究開発段階に入った。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「名声赫々たるウクライナ国家戦車設計局本部」)

軍調達部門が提出した要求は次の通りである。新世代の細長い尾翼で安定するサボ付き徹甲弾に対する防御能力の向上。タンデム装薬の成型炸薬弾に対する防御能力の保持そして向上。爆発反応装甲の中の熱に敏感な炸薬の作動信頼性向上。誘爆させられる確率の低下。自鍛成型対戦車弾薬(主にトップアタック弾)に対する防御効果の向上。維持メンテナンスや修理難易度の簡易化等。(頑住吉注:「自鍛成型対戦車弾薬」に関しては後で出てくるイラストが分かりやすいのでここでの説明のために不要な部分を切り取って先に示します。



これは対戦車弾薬ではなく徹甲弾芯に対抗するため「自鍛成型弾薬」を装甲に応用したものの図です。形は成型炸薬に似ています。成型炸薬弾の場合炸薬表面の漏斗状にへこんだ金属ライナーが爆発によって金属ジェットを形成して装甲を貫通しますが、「自鍛成型弾薬」はライナーが爆発によって強烈に圧縮され、徹甲弾芯のように成型されて前方に射出されて装甲を貫通します。成型炸薬の場合スペースドアーマーで効果が削減されるように、距離が離れると比較的すぐ金属ジェットが拡散して貫通力が低下してしまいますが、この「自鍛成型弾薬」は口径の1000倍の距離でも射出される「弾丸」が完全な形を保つのが特徴だそうです。)

3年の研究開発を経て、国家戦車設計局は2003年に最新型の成型炸薬構造を採用した爆発反応装甲「NOZ」の研究開発成功を発表した。ウクライナの発表した公的な資料によれば、「NOZ」爆発反応装甲は新型の爆発反応装薬を採用し、爆発反応装薬の外形を最適化し、その使用する細長い形の成型炸薬爆発反応構造は、防御性能が「コンタクト」5型爆発反応装甲の数倍である(頑住吉注:「細長い成型炸薬」というとイメージしにくいですが、次、さらに次の画像を見ればすぐ分かります)。以下は準公式のNOZに対する説明である。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「当局が展示したNOZ爆発反応装甲の外観と装薬構造の実物写真」)

この装甲は、一本の純度の高い銅合金で包まれた椀状成型炸薬(図参照)を5個1組で6mm厚の鋼板で作った箱の中に置き(図参照)、さらに箱の底部に熱に敏感な炸薬で作った、順次起爆装薬が装備されている。これは順序に従って爆発を起こす成型炸薬ブロックとして用いられる(図参照)。最後に若干のこのようにパッケージ済みの箱を10mm装甲鋼板で作った外殻内に密封し、爆発反応装甲とする。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「NOZ爆発反応装甲の成型炸薬の内部構造図。外殻は銅合金製である。」 続いて2枚目「NOZ爆発反応装甲全体の内部構造図。その炸薬ブロックの構造と配置の方式が分かる。」)

NOZの防御原理は次の通りである。対戦車弾頭が爆発反応装甲の外殻に命中すると、弾頭の金属射流、弾芯、あるいは自鍛成型弾丸がある1ブロックの爆発反応主装薬に命中し、この主装薬ブロックを爆発させ、主装薬の外表面は1層の金属製で装薬の形に合わせたカバーで覆われているため、外向きの金属射流が発生し、高速、高温、高圧の金属射流が来襲する弾体あるいは射流を切断するかも知れず、同時にその進行方向に変化を起こさせ、したがってその装甲貫徹機能の削減作用を実現する。爆発反応主装薬ブロックに爆発が発生すると、同時にその下にある付加装薬も起爆し、付加装薬に爆発が起こる。この爆発反応主装薬ブロックに属する爆発反応装甲モジュール内のその他の主装薬ブロックにも順次爆発が起き、来襲する弾に対しさらに絶え間なく破壊を行い、最大限にその装甲貫徹効果を削減する。専用徹甲弾に対する効果削減の程度は50〜90%に達する(図参照)。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「NOZ爆発反応機能過程の模式図。この装甲は成型炸薬の射流を使って弾芯に対する切り割りを行い、防御の目的を達成する。」 明記されてませんが、通常の成型炸薬の金属ジェットが針状であるのに対し、この場合はスクリーン状になって弾芯等に立ちふさがり、切断しようとし、また上に押し上げて弾道を変えさせようとするわけでしょう。続いて2枚目。「試験中にNOZによって切断された3БM42型徹甲弾の弾芯。」 本筋と関係ないですが、この弾芯は二重構造になってるんですね。)


NOZ爆発反応装甲は主に成型炸薬の射流の衝突エネルギーを利用して来襲する対戦車弾頭を破壊するものである。射流の温度は高く、速度は速く、比較的長い有効作用時間を持つ。これにはいかなる起爆装置も必要なく、投入使用後もいかなるメンテナンスや修正も必要としない。爆発反応装甲モジュールは小火器の射撃や砲弾の破片、あるいは焼夷弾の命中を受けた時に誘爆することはなく、しかも爆発反応装甲の起爆時、主装甲に対する損害が比較的小さい。この爆発反応装甲は戦場の環境下で使用する部隊によって自分で装着や交換ができ、特殊な装着設備は必要としない。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「試験中NOZ爆発反応によって切り割られた弾芯は、わずかに主装甲に50mmにも足りない小さな窪みを残しただけだった。図中の弾芯により残された痕跡に注意。」 原文では「弾頭の〜により残された」となっていますが意味不明の専門用語でしかも日本語にない漢字が使われてます。痕跡からしてボディ部のギザギザのある部分らしいですね。)

その後に行われた試験中、NOZは装甲貫徹能力2000mで550mmの3BM42(頑住吉注:上では1文字キリル文字になってますが同じものでしょう)尾翼で安定するサボ付き徹甲弾(図参照)の防御に成功した。図からは、NOZが発射した射流が弾芯に対し深刻な破壊を起こさせたことが見て取れる。弾芯は複数の射流によって切り割り、折断され、試験用のT80戦車の主装甲上に50mmにも足りない窪みを残しただけだった。NOZの防御能力の一端が見て取れる。

だが筆者はNOZに対しそれでもいくつかの疑問を持っている。まず、設計担当部署はNOZが使用する柱状成型炸薬は弾芯に対し損傷を与える充分に強い射流を発生させることができると称しているが、発表されている成型炸薬ブロックの形状と構造から見て、生じる射流は円柱状ではなく、刃物のブレードに似た扁平な形である。こうであると射流の弾芯に命中する位置に対する要求が高くなり、正確な命中が必須となる。もしやや大きめの偏差があれば、射流は直ちに弾芯を切り割ることなく、かするだけになってしまう(頑住吉注:何を言っているのか分かりません。ブレード状の方が命中しやすいと思うんですが。ポイントに集中するジェットでなくブレード状に広がる方が力が分散して弱くなるので、正確に命中しないと破壊できないというjことでしょうか)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「T84型戦車の砲塔正面に装着されたNOZ型爆発反応装甲」)

2つ目の問題。誰が第1の成型炸薬モジュールを起爆させるのか? ウクライナ国家戦車設計局の説明によれば、サボ付き徹甲弾の弾芯が侵入すると、最初に接触した成型炸薬ブロックが起爆して射流を発生させるという。だがこの第1の成型炸薬は何に頼って起爆するのか? 成型炸薬には一定の爆発する高さの距離が必要であって、さもないと効果は低くなってしまう(頑住吉注:だから成型炸薬弾には前方に伸びたコーン状の構造があり、その先端に信管があるわけです。成型炸薬自体が装甲板に激突してから爆発が始まるのでは遅く、これは装甲に応用した場合も同様で、成型炸薬自体に弾芯が突入してから起爆したんでは遅いだろう、ということです)。ならば弾芯命中以前にもう起爆することが必須であり、さもなければ爆発ユニットが破壊されてしまう。どうやって弾芯が成型炸薬に命中する前に、もう適切な距離で炸薬ブロックを起爆させることができるのか? またもし第1のブロックの成型炸薬が起爆させられたとしても、奥の層に配置された順次起爆薬はどうやって周囲の成型炸薬ブロックが予定された順序に従って順次起爆することを保証できるのか。また異なる末端速度で装甲に命中する弾芯に対し、どうやって適した爆発する高さの距離を保証するのか? (頑住吉注:成型炸薬弾の構造から類推すれば、成型炸薬の上に一定の空間を作ってその上を小口径弾薬程度では貫通できない装甲板で覆い、これが貫通されたら成型炸薬に起爆するような構造になっているんでしょうか。またこの部分は機密ということで隠されているのかも知れません。



どうもこれが臭い気がするんですがねー。上の装甲が貫通されると何らかの方法で伝火して底部から起爆する、と。)

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「T84戦車の車体前部に配置されたNOZ型爆発反応装甲。左側に展示された装着構造に注意。」)

最後にまだ1つ最も明確な自己矛盾の問題もある。NOZは機関銃弾や小口径砲弾の打撃を防御できると称している。つまりこれは装甲の外部に比較的厚いスチールの殻が必要で、もって各種の弾や破片の打撃を防御する、ということを意味している。また国家戦車設計局が公的に発表した資料によっても、15mm厚の鋼質外殻1枚が間違いなくある。問題はまさにここである。スチール殻はどうやって成型炸薬が射流を発生させる前に押し出されるのか? スチール製外殻と成型炸薬ブロックの間には外殻を離脱させるための炸薬は設置されていない。この位置にひとたび炸薬を置けば、炸薬が起爆して鋼殻を離脱させる時にはすでにその下の成型炸薬ブロックが破損していることになり、装甲も防御能力を失っている。しかし鋼殻が離脱しなければ、成型炸薬ブロックが発生させる射流はまず自分のスチール製外殻にさえぎられざるを得ず、15mm鋼板貫通後、射流にはまだ弾芯を破壊するどのくらい大きな力があるだろうか? (頑住吉注:前述の上の装甲板が貫通されることによる起爆時、箱状構造の4隅に設置された爆薬も爆発して上の装甲板を吹き飛ばす、というのはどうでしょう。まあタイミング等難しそうですが。)
 
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ここ数年のウクライナ当局の展示によれば、すでに元々の成型炸薬弾頭は自鍛弾頭に交換されているという(頑住吉注:飛んでいくわけじゃないので弾頭という呼び方はどうでしょう)。だがそうだとしても、依然として自鍛弾頭に対しては形成距離の要求があり、具体的効果がどうなのかに関してはさらなる観察が待たれる。」 この図では明らかに底部信管みたいなのがありますよね。また上の装甲は離脱せず、装甲側から発射される自鍛弾頭が内側から貫通してから攻撃してくる弾芯に命中するような図になってます。ただ、このタイミングでどうやって起爆するのかはさっぱり分かりませんね。)

2006年のある公開展示において、ウクライナ国家戦車設計局はある宣伝資料の中で次のように称した。すでにNOZに対して重大な改良が行われ、すなわち元々の成型炸薬ブロックの構造は爆発成型弾頭、つまり普通に言うところの自鍛破片弾頭にグレードアップされている。だがこのような装薬の採用後は、サボ付き徹甲弾の弾芯が装薬に接触する前の適切な距離で起爆させることが必須であり、さもないと自鍛成型弾丸の厚さが保証され得ないし、もし事前の起爆が実現できても爆発する高さの距離が依然短すぎる。実際上爆発成型弾頭の、普通の成型炸薬より優れている点は、弾の形の完成後の外形保持性が良好で攻撃距離が遠いところにある。だが成型距離が相対的により長い。弾丸に対し形状修正を行い、それを素早く成型させるため、筆者の推測ではウクライナ人は多層の材料を圧合した抽出式の炸薬の形に合わせたカバーを使用しているのかもしれない。だがもしこのようにしても、依然外殻カバー板分離の問題は解決されず、自己矛盾はより深刻になる。

以上のいくつかの問題は、筆者をこのいわゆる新概念爆発反応装甲に対しまだ懐疑的にさせる。その防御能力が一体どんなものかは、まださらに一歩の観察を待つことになる。

時は21世紀になり、大威力成型炸薬ミサイルや新型で大威力の尾翼で安定するサボ付き徹甲弾が拡散し、どんどん多くの国が装備するにつれ、西側の国も全力で外部吊り下げ式付加装甲や爆発反応装甲を発展させている。

アメリカのFMC社は無炸薬の受動式箱型反応装甲ユニットを発明した。その特徴は、1つのユニットの中に若干の小型抛板層を設置し、それらを多くの独立した抛板(はめ込み爆発ユニットの小型で薄いスチール板)によって構成させたことである。徹甲弾の弾芯あるいは成型炸薬弾の射流がこのユニットに打ち込まれると、抛板は焼蝕、破砕され、したがって弾芯や射流の貫通能力を妨害、破壊する。炸薬の爆発力が機械的侵入抗力に変わるのである。この箱型反応装甲ユニットは重量が軽く、体積が小さく、装甲車両の傾斜した前端、後端および内側の保護に用いられる(頑住吉注:何で無炸薬なのか分かりませんが)。

一方アメリカ陸軍の科研チームはサボ付き徹甲弾の弾芯専門に対抗する箱型反応装甲ユニットを発明した。その特徴は爆発反応部材が隔板方式でこの箱の内部に装備されていることだ。この部材面板の下側面は箱の下の壁面にヒンジ結合され、その上の側面は固定されておらずフリーである。この部材の背板の上側面は箱の上の壁面にヒンジ結合され、下側面は固定されておらずフリーである。サボ付き徹甲弾の弾芯が箱の外壁を貫通してこの爆発反応部材に侵入すると、その中の炸薬が爆発し、この部材の面、背板がヒンジ結合された側を軸に逆方向に向けて回転運動し、弾芯に対しねじりモメントを発生させ、これを貫通方向からそらせ、また破壊する。

(頑住吉注:



「面板」は表面側の板で、それの下が箱の下にヒンジ結合され上はフリー、「背板」は奥側の板で、それの上が箱の上にヒンジ結合され下はフリー、ということでこんな感じでしょうか。まあたぶん垂直に命中することを前提とした設置じゃあないんだと思いますが。)

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカ陸軍が歩兵戦闘車のために配備した新型反応装甲(注意、爆発反応装甲ではない)」)

最初に爆発反応装甲を発明したイスラエルが10年にわたる重要問題への取り組みを経て研究開発した複合構造の爆発反応装甲は、サボ付き徹甲弾と成型炸薬弾を有効に防御できる。その基本構造は次の通りである。スチール製面板+炸薬層+惰性構造層(アルミ、ガラスあるいはセラミック等の材料で構成)+スチール製背板。惰性材料層とスチール背板の間に第2の炸薬層が設置でき、別の構造を構成する。この1層の炸薬を加えると、砲弾が法線に対し小角度で攻撃してきた時の防御性能が改善できる。同時に基礎構造の中にさらに2層の炸薬を増設することもでき、他の新しい構造を構成する。異なる必要性に対応し、素早い改装を行うのに便利である。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「イスラエルが小型車両のために開発した反応装甲。比較的有効に対装甲弾薬の攻撃を防御できる。」)

ドイツが研究開発した新型爆発反応装甲も徹甲弾と成型炸薬弾の攻撃を同時に防御できる。その構造は次の通り。反応装甲ユニット(面板+炸薬層+箱カバー)+鋼箱(エポキシ樹脂を使って貼り合わせたセラミックの片状挟層が内部に装備されている)。この面板の厚さは5mmで、A1203セラミックブロックの寸法は150x150mmである。この複合構造は、貫通深度340mmの60mm口径対戦車成型炸薬弾に抵抗できる(頑住吉注:口径の割に貫通力が大きすぎる感じなんで、たぶんパンツァーファウストIIIのように発射管より大きい弾頭を使うタイプでしょう)。より大口径のサボ付き徹甲弾や貫通深度のより大きい成型炸薬弾に対処する必要がある時は、スチール箱の寸法とセラミックブロック全体の厚さを増大すればよい。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ドイツが研究開発した新型付加反応装甲。小型車両の防御能力を有効に高められる。」 本装甲からかなり離されているのは本装甲が薄い小型車両向けだからでしょうか)

ここに至り、戦車が誕生して100年にわたる装甲の発展過程に関する簡単な紹介は終わりである。この100年で装甲防御は常に「盾が堅くなれば矛はより鋭利になり、矛が鋭利になれば盾はより堅くなる」という螺旋状の発展を重ねてきた。だが伝統的な受動装甲の不断の加厚に伴い、道路、橋の戦車への受け入れ能力はすでに限界に達し、車両総重量の半分近くを占める装甲防御は戦車の機動性を深刻に制約している。戦車が存在しなくなる運命を避けるため、研究者たちはより軽く、より硬く、より粘り強い材料の探求を再び開始した。例えば硬度HB600〜700の装甲鋼、新型のアルミ合金装甲、低コストのチタン合金装甲材料およびチタン合金セラミック複合装甲材料、高密度高弾性係数繊維増強編み構造複合装甲材料(複合装甲中樹脂転移成型技術、センサー繊維編み集合製造技術等を含む)である。セラミック装甲SiC、AIN、TiB2、B4Cや複合セラミック、例えばTiB2-TiN-AIN、TiB2-AIN、TiN-TiB2、TiN-AIN、SiC-AIN等セラミック材料の抗弾性能の研究が継続され、同時に傾斜度セラミック装甲材料(例えばTiB-Ti/Ti)、超細晶粒セラミック装甲材料、混合型ナノメートルセラミック装甲材料の研究も展開されている。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「新型の装甲セラミック材料はさらに一歩装甲の抗貫通性能を向上させることができる。」)

目下全体的複合装甲材料技術の品質有効防御係数は、抗徹甲弾が1.5前後、抗成型炸薬弾が3前後である。そのダブルの防御能力をさらに一歩向上させるため、特に未来のより大威力な大口径の尾翼で安定するサボ付き徹甲弾の能力に抗するため、内装反応複合装甲材料技術の研究が継続されている。受動装甲が発展を継続しているのと同時に、科研人員は実用性、効果がより良好な能動防御システムも研究中で、同時に信号特性抑制材料や背景自適応塗料の研究と試験も展開されている(頑住吉注:「能動防御システム」というのは艦艇などではすでに使われている、ミサイル迎撃システム、「信号特性抑制材料」はステルス性、「背景自適応塗料」は光学迷彩的なものでしょうか)。

我々には未来の発展の中で、装甲と対装甲の対抗関係は勢力伯仲の中で継続していくと信じるに足る理由がある。戦車というこの陸戦の王は消え去るはずはないし、それどころか多くの新技術に支持され、依然陸戦の王という玉座を安定して占め続けるはずである!!!


 たぶん今まで訳した中国語の文章の中で最も長いものだったと思います。「ソ連・ロシア新型戦車の装甲技術の発展」の最初の部分よりはいくらか理解しやすかったですが、それでも相当に難しい内容でした。それに私にとってリアクティブアーマーと言えば、「命中すると爆発して成型炸薬の金属ジェットを吹き飛ばす奴でしょ」くらいの認識しかなく、基礎知識が乏しかったのでさらに大変でした。ただ、その分勉強にもなりました。

 この筆者が最後に書いているように、戦車が登場して以来、攻撃側と防御側はシーソーゲームで能力をエスカレートさせてきました。初めて対戦車専用に開発された兵器である対戦車ライフルは、兵が肩当て射撃するという制約から早々にこの競争から脱落していったわけですが、それ以後成型炸薬の普及まで、歩兵にとって戦車が基本的に対抗手段のない存在だった時期があります。また、途中で出てきた装甲の薄いAMX30戦車が示すように、成型炸薬の発展により最低限の機動力を保つという制約の中ではどんなに厚い装甲にしても簡単に貫通されてしまうという攻撃側絶対有利の関係になった時期もありました。しかしこうした付加装甲の発展により再び防御側が盛り返してきたわけです。しかし画像を見るとそれぞれの付加装甲の間には隙間がある場合が多く、また基本的にその防御機能は1回こっきりです。これはやはり苦肉の策に近く、現在でも攻撃側有利の力関係は続いていると見ていいんではないでしょうか。シーソーゲームが続くには、防御側有利の局面もなければなりませんが、そういう時代は今後果たして来るんでしょうか。来るとすれば最後に挙げられたような一種SF的な防御手段によることになるんでしょうか。

 吊り下げ式ライフルグレネードに関しても思いましたが、世界的な情勢を見れば自衛隊の戦車、装甲車がリアクティブアーマーを全く装備していないことには非常に疑問があります。















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