セラミック装甲の発展

 存在は知っているんですが内容はあまりよく知らないんで読んでみました。前後篇ですがまとめて紹介します。

陶瓷装甲的発展(上)


セラミック装甲の発展

セラミック材料は硬度が高い、重量が軽いというメリットを持ち、その運動エネルギー弾や弾薬の破片に対する防御能力は非常に強く、現在すでに防弾衣、車両、航空機などの装備に広範に応用される防護装甲となっている‥‥

基本的特徴と初期の応用

セラミックはすでに数千年の歴史を持ち、高温で焼かれる製造工程を経た材料であるが、装甲車両に応用される現代セラミックは決して我々が日常使用している陶器あるいはタイルと同じものではなく、主に強度に非常に大きな差異がある。現在セラミックの強度は非常に高く、現在強度最高のスチールより優れている(表参照)。だがこれにも弱点があり、引き伸ばされる力を受けた時に非常に容易に断裂し、極めて小さな引き延ばし変形しか受け入れることができない。もしセラミックが局部的に引き延ばす力の作用を受けても、内部にはクラックが発生し、従ってセラミック全体が砕ける結果が引き起こされる。このため、セラミックを車両の装甲に用いる時は慎重な考慮が必須である。

大多数の装甲システムは複合材料を採用している。すなわち「分解層」と「吸収層」によって組成され、来襲する弾頭のエネルギーを分解、吸収できる。セラミックは通常装甲の中の「分解層」に充当され、すなわち付加装甲として使用され、来襲する弾頭を破砕させ、あるいは急速に弾頭のエネルギーを分解させる。弾頭を破砕させ、あるいは弾頭の破片の方向を改変させれば、装甲構造全体に致命的損傷が生じることはなくなる。複合装甲の中のその他の材料は「吸収層」に充当される。これらの材料は比較的大きな塑性変形を生じさせることができ、もって弾頭の運動エネルギーを吸収し、運動エネルギーをその他の形式のエネルギー、例えば熱エネルギーに転化する。例えば、7.62mmx39小銃弾を防御したければ、およそ6mm厚のセラミック層とさらに加えて例えばケブラーのたぐいの裏打ち層があれば、もう7.62mm小銃弾頭を破砕させるに足りる。弾頭は破砕と同時に四方に飛散し、このようにすれば弾頭の運動エネルギーの密度が低下し、このため弾頭がセラミックやケブラーを貫通することはなくなる。

セラミック装甲の最も早い応用は第一次大戦終結後の1918年にまでさかのぼることができる。当時ヌベール モンロー ホプキンス少佐は試験を通じて、スチール装甲の表面に1層の厚さ1.6mmの瓷釉(頑住吉注:陶器の表面に使うものらしいです)を塗れば非常に大きく防護性能を向上させることができることに気付いた。

セラミック材料の発見はごく早かったが、長い年月が経った後にやっとセラミック材料は軍事用途に応用され始めた。セラミック装甲材料を広範に採用したのは旧ソ連軍で、アメリカ軍もかつてベトナム戦争で大量に使用した。1965年、UH-1ヘリの操縦手と副操縦手の座席に硬面複合装甲カバーが装着され、座席の底部、側面、後部にそれぞれ炭化硼素セラミック防護板とガラス繊維裏打ち層が追加装備され、7.62mm徹甲弾が防御できた。

セラミックの防弾メカニズム

弾頭がセラミック装甲に衝突した瞬間、衝突が生んだ超高圧の衝撃波はセラミック装甲と弾頭に沿って伝播し、両者の損壊をもたらし、特に超高圧の衝撃波がセラミック層と裏打ち層の境界面にまで伝播した時、より大きな破壊作用を持つ。現在大多数のセラミック装甲と裏打ち層の間は硬度が低く、密度が低い粘性ポリマーで粘着させてできている。超高圧の衝撃波がセラミックとポリマーが粘着する層の境界面まで伝播した時、超高圧の衝撃波は強烈な引き延ばす作用を生み、セラミック層を破壊し、同時に強烈なはさみで切るような作用がポリマーの粘着層を破壊する。引き延ばしとはさみで切るような作用の下で、セラミック層と裏打ち層は分離する。これと同時に弾頭は圧を受けて破砕する。衝突ポイントの周囲には円錐形の破砕区が形成される。

まさにセラミックが硬度が高いというメリットを持つからこそ、弾頭が装甲を貫通するのを阻止できるのである。硬度の高いセラミックは弾頭に対しより大きな反作用力を生み、弾頭の速度を低下させることができる。

例えばRPGー7ロケット弾に使われるような成形炸薬弾頭に対しては、セラミック材料の砕けやすい特性がこれにより良好な防護作用を持たせる。成形炸薬弾頭の爆発が生じさせた金属ジェットがセラミック装甲を貫通する時、金属ジェットの貫通を受けるセラミックは直ちにごく小さなかけらに破砕し、金属ジェットの貫通が形成する空洞の相対的な不安定化をもたらし、このため金属ジェットに対し比較的大きな妨害が生じ、したがってその貫通性能を非常に大きく低下させるのである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「『タイガー』式、AH-64『アパッチ』、MH-60『ブラックホーク』ヘリ(左から右へ)の座席に応用されたセラミック装甲」)

セラミックの防護装甲としての応用

酸化アルミセラミック

1980年代、装甲システムに応用されたセラミックは主に酸化アルミ(アルミナとも呼ぶ)セラミックだった。酸化アルミセラミックは性能が優良で、製造コストが相対的に低く、ごく薄いセラミック層でもう小火器弾薬を防御できた。イギリスで初めて大量生産された人体防護装甲が採用したのはまさしくこの酸化アルミセラミックの防護板だった。

1995年以後、各国の酸化アルミセラミックの性能向上に用いる投資は非常に大きかったが、その防護性能の向上は終始限られたものだった。こうであっても、酸化アルミセラミックの質量は軽いため、依然いくつかの航空機の防護あるいは人体防護装甲に広範に応用された。

炭化硼素セラミック

酸化アルミ以外のセラミック装甲材料も頭角を現した。このうち、最も人の注目を引くのは1960年代から応用が開始された炭化硼素セラミックである。炭化硼素セラミックは超越的に高い硬度を持つが、同時に驚くべき価格でもある。このため、このセラミックはいくつかの防護性能に対する要求がより高い特殊な場合にのみ用いられる。例えばアメリカ軍のV22「オスプレイ」回転翼機の機クルーの座席である。また、イギリス軍が使用する増強型人体防護装甲(EBA)も炭化硼素セラミックを採用し、これは12.7mmスチールコア徹甲弾を防御できる。EBA内部にはさらに「鈍器による傷害」防護層が1層あり、セラミックが衝撃を受けたが貫通されず、裏打ち層に変形が発生した時に人体が鈍器によるような損傷を負うのを免れるよう保護し、したがって人体の重要な器官が傷害を受けないよう保護される。

イギリスのBAEシステムズ社先進セラミック分社は炭化硼素セラミックを生産し、かつすでにアメリカ軍の「ディフェンダー」防弾衣の防護挿入板として用いられている。2002年までに、全部で1.2万着の「ディフェンダー」防弾衣が戦場に投入された。

炭化硼素セラミックにも当然不足の所がある。ここ何年かの事実は、炭化硼素セラミックは高密度材料で作られた高速弾頭の弾芯に対する防護能力が必ずしも思い通りでないことを示している。これは高硬度高速弾頭が炭化硼素セラミックに衝突した時、その物理的性質に変化を発生させることによってもたらされる。

炭化硼素セラミックの硬芯徹甲弾に対する防護作用は決して理想的ではないが、その普通のスチールコア徹甲弾に対する防護はやはり余裕である。

炭化珪素セラミック

ここ何年か、イギリスのBAEシステムズ社とアメリカのCeradyne社が登場させている熱圧型炭化珪素セラミックの防護効果はさらに一段上回っている。炭化珪素セラミックは高温(摂氏2,000度に達する)高圧の条件下で焼いて作られ、もって超越的に高い強度を獲得し、その強度は弾頭よりずっと高く、弾頭は衝突後すぐに破砕してその運動エネルギーを迅速に放出する。試験は、このセラミックは小火器弾薬や尾翼で安定するサボ付き徹甲弾に対し良好な防護効果があることを証明しており、かつ価格は相対的に低廉である。

熱圧技術の採用は炭化珪素セラミックと金属を圧着して良好な装甲材料に作ることができるようにする。熱圧技術の目的は金属とセラミックが熱を受けて冷却する時に異なる物理的変化を生み、炭化珪素セラミック内部に比較的大きな応力を生じさせ、したがって超越的に高い強度を獲得させることである。また、熱圧炭化珪素セラミックは複数回の打撃に抗する能力も向上する。

炭化珪素セラミックはさらに化学反応技術で生産することもでき、この生産技術はセラミックの寸法を正確にコントロールすることができるが、化学反応が生成するいくつかの金属雑質がセラミック内に留まり、このためセラミックの強度を低下させる。化学反応技術を利用して生産される炭化珪素セラミックは、受ける脅威が比較的小さい装甲システムに中に用いることができる。

その他のセラミック

上述のセラミックの他、さらにいくつかのセラミックを装甲材料に用いることができる。例えば窒化アルミセラミック、窒化珪素セラミック、炭化タングステンセラミック、二硼化チタンセラミックなどである。窒化珪素セラミック、窒化アルミセラミックなどは装甲システムの中への応用はごく少ない。炭化タングステンセラミックは価格が非常に高いが密度が大きく、(およそ炭化珪素セラミックの6倍)、強度が高く、徹甲弾に対し良好な防護効果がある。炭化タングステンは、装甲材料の体積に対する要求があるが、装甲の重さに対する要求がない場合に適する。二硼化チタンセラミックの性能も非常に優良で、密度は炭化珪素より大きい。炭化タングステン同様、二硼化チタンも電導性を持ち、電気化学的方法によって加工でき、しかもその他の方法を用いたのでは切削は非常に難しい。炭化タングステン同様、非常に高い価格が二酸化チタンセラミックの応用を制限している。

(頑住吉注:前編の最後にある次回予告と、後編最初にある「前回を振り返る」は省略します)


陶瓷装甲的発展(下)


透明セラミックを防弾ガラスに取って代わらせる応用

近年、例えば「ハマー」などの車両に応用される防弾ガラスの発展が非常に重視されているが、防弾ガラスに一定の防護クラスを達成させたければ、その厚さに一定の保証が必要になる。だが厚さの増大はまた相応の重量の増加をもたらし、特に大面積の防護を提供する透明防弾ガラスはさらにそうである。例えばSTANAG 3級防護基準(7.62mm銃弾を防御)に到達させたければ、普通防弾ガラスの厚さは100mm必要である。もしSTANAG 3級防護基準に達する普通防弾ガラスを日本のトヨタ社の「ランドクルーザー」オフロード車に装備したら、防弾ガラスの重量だけでもう250kgに達し、さらに防弾ガラス装着に必要なスチールフレームなどの付属品を加えると、その全体重量はさらに大きくなる。

だが透明セラミックの硬度は普通の防弾ガラスに比べずっと高い(頑住吉注:この記述はどうですかね。防弾ガラスは硬度によって弾丸を止めるものじゃないですから)。このため同じ防護クラスに達する透明セラミックの重量と厚さはいずれも普通の防弾ガラスより小さくなる。現在、3種の透明セラミックが車両の装甲に応用できる。単結晶酸化アルミ(サファイア)、単結晶窒素酸化アルミ(AI ON)、アルミ酸マグネシウム(スピネル)である。

このうち、単結晶窒素酸化アルミセラミックは粉末から窒素ガスの保護環境の中で成形され、焼き固めて作られる。単一結晶窒素酸化アルミには結晶の境界がなく、光線の透過時に屈折を発生させず、防弾ガラスに取って代わることができる。そのビッカース硬度は2,500〜3,000に達する(普通ガラスは400〜500でしかない)。だが単一結晶窒素酸化アルミの加工には時間と労力が費やされる。

アルミ酸マグネシウムセラミックは粉末から熱圧あるいは圧力なしで焼き固めて作られる。加工過程ではさらに対象物に対し一定の圧力下での熱処理が必要で、もって機械的性能を向上させ、透明度を増加させる。普通の熱処理と比べ、一定の圧力下での熱処理のメリットはアルミ酸マグネシウムの結晶体の方向の一致を保持し、もって安定した構造を保持し、強度と透明度を高めることにある。

上述の3種の透明セラミックの他に、ドイツのある会社がもう1種類の透明セラミック技術の開発を行っているところで、彼らが開発する先進モジュール化防護装甲(AMAP:Advanced Modular Armored Protection)は多くのタイプを含む。このうちAMAP-T型製品(Tは透明を意味する)はSTANAG 4級防護基準に到達可能である。4級の防護レベルとは大多数の7.62mmx54Rスチールコア徹甲弾の近距離からの打撃、あるいは初速911m/sの14.5mmx114 B32徹甲焼夷弾の距離200mでの打撃を防御できることを意味している。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「透明セラミックの価格は非常に高く、現在応用範囲はまだごく限られている」、続いて2枚目、「グルジア技術学院が開発中の新たな炭化硼素成形技術は、炭化硼素セラミックを複雑な形状に加工できる。画像に示されるのはヘルメットの形状。」、続いて3枚目、「現在3種の透明セラミックが車両の防弾ガラスに応用できる。画像は透明アルミ酸マグネシウム(スピネル)セラミック。」)

セラミック装甲の性能向上の新たな方法

相対的に言って、車両のセラミック装甲の重量に対する要求は、人体防護装甲のように厳しくはなく、また車両の装甲は複数回打撃に抗する能力と比較的高い維持修繕性を持つことを必要とする。旧ソ連によるセラミック装甲の最初の応用は、これをメインバトルタンクの半円形の砲塔の正面にはめ込んで徹甲弾への対抗に用いるものだった。T-72およびT-80メインバトルタンクにも類似の方式が採用されている。後に大多数のセラミック装甲は接着する小さい板の形式で装甲車両に装着された。この種のセラミック装甲は六角形の構造で、圧力に反応する接着剤によって車体に接着され、需要によりセラミック装甲片の層数を増加し、もって防護クラスを上げることができる。接着方式以外に、さらにベルクロファスナーを利用してセラミック装甲片を装甲車上に取り付けることもできる。この方式のメリットは装着が迅速で、作戦時にセラミック装甲片を車体に固定すれば即OKなことである。

セラミック装甲を接着する方式は接着剤の性能に対する非常に高い要求がある。さもないとセラミック装甲片がずれ、甚だしきに至っては脱落する現象が起きる可能性がある。接着剤の性能以外に、セラミック装甲片の形状にも充分注意する必要がある。通常は六角形が採用され、こうすれば縁の破壊効果を最小に下げることができる(頑住吉注:鋭角に近い部分ほど破壊されやすいということですかね)。最近イギリス国防省国防科学技術試験室はパテントを獲得したはめ込み方式を採用して装着できる六角形のセラミック装甲片を発明し、1片のセラミック装甲片が打撃によって損傷を受けたら、隣のセラミック装甲片から分かれて破壊作用の蔓延を防止することができる。

その他の、装甲に複数回の打撃に抗する能力を持たせる新しい方法にはさらに、機能が級別に分かれた材料(FGM:Functionally Graded Material)が含まれる。この種の材料は最も早くは1960年代後期に見られ、最近再度軍の歓迎を受けている。これは最大限にセラミックのメリットを利用する単一構造材料で、その打撃に抗する層は非常に硬く、通常金属含有量が前から後ろに順次増加する多くの焼き固め層によって構成される。この材料の作用メカニズムは前述の分解層/吸収層の防弾原理と同じである。例えば、アメリカ陸軍試験室は一種の硼化チタン(titanium monoboride)材料をテスト中で、これは7層から構成され、前の層から後ろの層へとチタンの含有量が徐々に増加し、最後の1層は金属チタンである。この材料は比較的理想に近い防護クラスを達成できるとされる。

単一の打撃に直面した時、セラミック装甲は間違いなく優良な防護作用を発揮できる。だがスチール、チタン、アルミに比べ、単一構造セラミック材料の多数重なる打撃に抗する能力は依然比較的劣る。弾頭が金属材料を貫通する時形成される穴の直径は弾頭の形の2倍を超えないが、セラミック装甲に対してだとその大きさはあまり大きくないものの貫通効果はセラミック装甲全体に波及する。


 透明なセラミック装甲の存在は全く知りませんでした。複数回打撃に弱い、打撃を受けると透明度が下がってしまうというのは防弾ガラスも同じですが、セラミックの方が極端かもしれないですね。















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