建造中とされる055駆逐艦の意義とは

 まだ公式な情報はないわけですが。

http://military.china.com/important/11132797/20160408/22394603.html


中国の055艦は「天下第二」:軍に空母がない急場を解決

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「画像はネット上に流れ伝わる『055駆逐艦第1号艦着工式』の画像」)

最近ネット上で「055型ミサイル駆逐艦第1号艦が2014年12月に正式に建造に着工」、汎用垂直発射を採用、発射ユニットは128に到達、対空、対潜、対艦ミサイルが発射でき、対地攻撃巡航ミサイルも発射でき、冷・熱発射いずれも達成でき、米軍を超越する先進的な発射方式となる、と熱く騒がれている。

こうした見方はさらに次のように考える。排水量が12,000トンに達する055型ミサイル駆逐艦が就役すれば、DDG-1000のすぐ次の、現在の世界で「第2番目に強いミサイル駆逐艦」となる。この型の艦は中国海軍第4世代ミサイル駆逐艦で、全面的総合的な多機能作戦能力を持ち、中国の新たな空母艦隊最強の「帯刀した護衛」である。

だが筆者は、055型駆逐艦の建造は中国海軍が小幅の駆け足をするまた1つの例証で、その中国海軍の中での地位は、我が国が前世期末に就役させた051B型167号「シェンジェン」艦と非常に似ていると考える。

意義は各項目の新技術の検証にあり

まず、時間的に見て、我が国が新たな空母と新型055駆逐艦の建造に着工した時間は非常に近い。一般に1隻の新たな空母は建造から進水まで6〜8年を要して完成する。1隻の駆逐艦の建造時間は4,000トン以下が1年を必要とし、大型駆逐艦は2年を必要とする。つまり、055型駆逐艦の完成から戦闘力を形成するまでの時間、国産空母はまだ進水していないかもしれない。

西側の空母建造の規律に照らせば、それぞれの艦載機飛行員の陸上、海上訓練は3〜4年を要し、1機の艦載機は1.5名の飛行員の養成を必要とする。もしそれぞれの空母に40機搭載するとして計算すると、全部で60名の飛行員を必要とし、飛行員の養成も非常に長い過程である。また、空母はさらに夜間航行、複雑な気象条件などのさまざまな方面の訓練を必要とする。もしアメリカ海軍のような非常に成熟した空母使用者であっても、1隻の新たな空母が戦闘力を形成するには2〜3年の時間を必要とする。空母に全く接触したことがなかった中国海軍に関して言えば、この過程はより長いだろう。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「ネット仲間が作図した055型駆逐艦」です。)

このため筆者は、中国の新たな空母の就役まで待った時、055型駆逐艦はすでに就役して十年以上であると推断する。就役して十年以上の駆逐艦に新たな空母の航路護衛をさせるのは選択肢の1つではあるが、最も良い選択ではない。何故なら十年の時間の軍事科学技術の発展は非常に大きな飛躍を出現させるからである。その時になれば戦闘力がより強い新型駆逐艦がすでに就役しているかもしれない。

次に、駆逐艦の発展の経験から見て、過去国力、技術、造船レベルの制限を受けて、我が国は1970年代からやっと第1世代旅大級駆逐艦を装備し、1980、90年代になって112号、113号に代表される第2世代旅滬級駆逐艦まで発展した。1990年代末期、中国の駆逐艦は高速で発展する黄金期に入り、「神州第一艦」と呼ばれる167号051B艦は、第2世代駆逐艦から「第3世代駆逐艦まで進歩する中間の過渡型艦」である。この後、052B、052C、051C、052Dで井噴(頑住吉注:爆発的発展)現象が出現し、054A、056という2種の護衛艦の進水が加わり、メディアに中国海軍の「下餃子」(頑住吉注:水餃子をどぼどぼ鍋に入れるよう)と呼ばれた。

だが難なく気付くことがだが、我が国の現有の大トン数駆逐艦が基本的に7,000トン前後で、インドのコルカタ級との差が大きくないだけでなく、さらには日本のあたご級、韓国の世宗大王号とは比較できず、我が国が初期に導入したロシアの現代級駆逐艦であっても、9,000トン級に到達していたのである。

このため、055型駆逐艦の建造着工は我が国が万トン級大型遠洋駆逐艦に向かう検証あるいは実験艦である可能性が高い。051B艦が167号1隻しか建造されなかったことから見て、過渡的機種として、その主要な任務は船体の性能と建造技術を試験し、次世代主力駆逐艦のために技術的蓄えと参考を提供することである。

055型駆逐艦が我が国の海軍の現有の艦載武器に質的飛躍がないその前に、ひたすら艦載武器の数だけを増やすことには意義が大きくないことが目立つ。当然、もし我が国に万トンの巨艦とマッチする動力システムがあると証明され、かつ055艦で検証が得られれば、その意義はまた別のことになる。

要するに、現有の海軍体制の下で、055型駆逐艦の意義は各項目の新技術の検証にある。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「中国海軍の052D型ミサイル駆逐艦」です。)

海上艦隊の主力を応急的に担当できる

第三に、大型作戦艦艇の使用という角度から見る。中国海軍の歴史を回顧すると、我が国は長期にわたり近海防御戦略を行い、海軍装備の上では「空、潜、快」(頑住吉注:海軍航空隊、潜水艦、快速艇)の建設を突出させた。これは一方ではソ連海軍建設の影響を受け、もう一方では国力と地縁環境の制限を受けてのことだった。当時の海軍ではソ連から導入した「四大金剛」(頑住吉注:ここでは4隻の現代級駆逐艦のこと)のみが一定の遠洋能力を具備していたが、有効な防空武器装備の欠乏はやはり遠洋作戦を制限していた。

第2世代駆逐艦112号および113号の出現になって、やっと中国海軍は初級の防空能力を持った。第3世代軍艦の就役でやっと中国海軍に区域防空能力を持たせ、したがって空母に真の艦隊を持たせ遠海作戦任務を執行するようにさせた。

我が国の現在の空母発展水準について見れば、052C、052Dはすでに艦隊の現在の実際の需要の任に堪えられ、このような艦隊の規模と能力は、周辺のいかなる海上力量の挑発にも対応するに足りる。

ならば055を建造する意義はどこにあるのか? 筆者は、055型は一定の実験機能を担う他、さらに海上艦隊旗艦の作用を担おうとしていると考える。何故なら我が国は近い時期に非常に多くの空母を持つことはないだろうし、しかも空母艦隊動員のコストは非常に高い。加えて空母は長期にわたり戦備状態にあることは不可能である。ならばひとたび有事になれば、055に海上艦隊の主力を担当させ作戦海域に行かせることができる。このようにすれば055駆逐艦の総合作戦能力を検証することもできれば、また空母がない焦眉の急を解決することもできる。

要するに、我が国の現在の海軍の全体的実力はアメリカに比べ比較的大きな隔たりがあり、新たな空母が就役したとしても実力の比率を改変することはできないが、我が国の防御戦略は我が国がアメリカのような海軍を必要としないことをも決定している。055型駆逐艦の建造は、中国海軍が真に遠洋化、大型化、総合化を実現する1つの検証である。

055型駆逐艦の建造、使用は、有効に我が国の大型戦闘艦製造能力、各種装備の整合能力を向上させ、海軍のために大型戦闘艦を操作し、遠海航行と作戦を行う将兵多数を養成する。055型駆逐艦の不断の更新、改造を通じて、055A、055Bなど後続の駆逐艦の建造のために有益な参考を提供する。

055型の後の駆逐艦こそ中国海軍遠洋空母艦隊の主力であって、時間の上でも、装備の成熟度の上でもそれが最良の選択である。


 アメリカのカーター国防長官もズムウォルト級駆逐艦3隻全てを太平洋艦隊に配属するとしていますが、私は中国が055型を多数建造して戦力で勝ると思われるズムウォルト級を数で圧倒しようとすることは充分考えられると思います。














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