イギリスはインドへの援助を打ち切るそうですが

 日本にとっても非常に考えさせられる話題です。

http://military.china.com/news2/03/11078240/20121122/17544322.html


イギリス、インド援助を停止すると宣言 戦闘機の大量注文が導火線に

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「インドがフランスの『ラファール』戦闘機の購入を決定したことが、英印両国の仲違いの導火線となった。」)

イギリス政府は今月中旬、来年からインドに対する直接の財政援助を毎年2億ポンド削減し、2015年からは完全に終えると宣言した。その後、イギリスは対インド援助の重点を貿易、技術、医療などの方面に置き、かつ毎年の援助のための出費を2,800万ポンドにまで切り下げる。これは現在の予算の10%である。

これはインド独立から70年近く後でのイギリスとの関係の新たな転換点となる。イギリスでは「インドはすでに卒業した」と見ている。このことは往年の植民地と宗主国を、今またどんな新たな葛藤に直面させるのか。

100億ポンドの戦闘機発注が「導火線」となる

インドはずっとイギリスの援助を受けること最も多い国家である。ここ3年、イギリスの毎年の対インド援助は平均2.8億ポンドに達している。2010年、この数字はさらに4.21億ポンドにまで達した。

だがインドの心には決して感激がないようである。イギリスのメディアが明らかにするところによると、2010年当時インド外務大臣の任にあったラーオは、イギリスは過剰に「インドの貧困に対しマイナス面の宣伝を行う」、「彼らのインドに対する貧困救済計画はインドにマイナス面のイメージをもたらしている。」とした。

今年3月、イギリスの「サンデーテレグラフ」はまた一面のトップニュースで、インドの財務大臣ムケルジーは去年8月、「イギリスの援助するはした金は我々の発展への投資に比べれば、まるでちっぽけな落花生1粒のようなものだ。」とした、と暴露した。事実、毎年2.8億ポンドの援助はインドのGDPの0.03%に相当するに過ぎず、インド政府の食品助成と農村就業計画に支出する2%にも満たない。

この一言が出るや、直ちにイギリス民衆の激しい不満が引き起こされた。「サンデータイムズ」の今年のある調査は、69%のイギリス民衆が、イギリスは対インド援助を停止すべきと考えていることをはっきり示している。「インドはすでに宇宙計画を行えるほどに富裕であり、しかも億万長者の人数はイギリスの3倍だ。」というのである。

ついに今年2月8日、価値百億ポンドの戦闘機調達契約が、両国の仲違いの導火線となった。

当時、イギリス、フランス両国は同時にインドに向け戦闘機を売り込んでいた。イギリス人は、長年大きな力を費やして援助してきた「弟」は、きっと自分を選ぶと考えていた。2011年、イギリス国際発展局大臣ミッチェルはインド向けにさらに11.2億ポンドの援助を提供し、「社会的財産の創造」、教育、医療、安全治安、貧困と飢餓の解決、エネルギー改革などの方面に用いることに固執した。当時彼は、この主旨はインド向けに「タイフーン」戦闘機を販売するチャンスを探ることにあると漏らしていた。

意外にもインド人は身を翻してフランス人にオリーブの枝を投げ、さらにこの協力を「フレンチ・キス」として盛んに誉め称えた。

イギリス人は上から下までこれに対し大いに憤慨し、言論や文章で非難攻撃し、インドを援助することに見返りはないと考えた。インド人も弱い立場に甘んじず、すぐに政府にイギリスの援助を拒絶するよう要求し、相手のメンツを全くかえりみずにイギリス人の「傲慢と偏見」に反撃した。

(頑住吉注:これより2ページ目)

イギリスは虚勢を張っているのか?

現在、イギリス国内経済は停滞している。財務省は、2012年だけでイギリス政府は476億ポンドの債務の利息を支払う必要があるとした。このため、政府はやむなく本国人の生活を切り詰め、社会福祉への支出を不断に削減している。

こうした状況の下、多くの人が対外援助は虚勢を張る行為だと考えている。記者は調べて気づいたのだが、インド以外にイギリス国際発展局はまだ他の国も援助している。例えば、2007年から2011年、ベトナムはイギリスから全て合わせると5,000万ポンドの無償援助を得ている。ナイジェリアが2009年に受け取った無償援助は1.1億ポンドである。ガーナは2007年に約3,140万ポンドの援助を受け取った。高額な援助は今日のイギリスにとって、疑いなくすでに負担になっていると言える。

一方イギリスのインドに対する態度には、今日になっても依然かつての「宗主国」の感情がにじみ出ているようである。2010年、イギリス首相キャメロンはインド訪問時、両国は「共通の歴史」を持っていると強調した。

「イギリス人はもしインドに援助を提供すれば、すぐなにがしかの利益が獲得されるべきだと思っている。」インドの情報部門の元主管ソードは語る。ここ20年、イギリスの対インド援助は貿易の手段と見なされている。戦闘機に関する契約がイギリスにおいて引き起こした非難は、まさにこの鮮明な表れである。

さらに、インド経済の発展速度が現在すでにイギリスを超えているからなおさらである。「インドにはすでに自分の対外援助プロジェクトがあるし、発展計画を処理する充分な能力もある。」イギリス保守党メンバーピーター ボーエンは語る。

インドは本当に卒業したのか?

インド人は、イギリスの援助停止はインドが成熟に向かい、経済的実力が認められたことの表れだと考えている。「援助は過去を象徴し、貿易は未来を象徴する。」 インドの新任外務大臣クーシドは語る。

近年、インド経済は急速に発展し、中国、ブラジル、ロシアと共に「BRICs」(頑住吉注:発展著しい4か国の頭文字を並べたもの)に列せられただけでなく、イギリスの3大外来投資国の1つ、イギリスのEU以外の最大の輸出市場でもある。しかし、インドは本当に「卒業」したのか?

インド政府が発表した数字は、今年の経済成長は2003年以来最低レベルにまで減速したことをはっきり示している。国際格付け機構スタンダード・アンド・プアーズは、インドは初の「BRICs」の脱落者となるかもしれない、と考えている(頑住吉注:原文では「BRICs」の中国語「金レンガ」に引っ掛けて「色あせた金レンガ」になる、という表現が使われています)。欧米の主流メディアの大見出しも「インドの物語はすでに終わった」、「さらば不可思議なるインド」などの言葉を使ってこの国の衰退を唱え始めている。

国際慈善機構「セーブ・ザ・チルドレン」の責任者アリアイ女史は、インドの進歩は人の注目を引くが、2011年には依然160万人の子供が夭折し、全世界の子供の死亡総数の1/4を占めている、と語る。

イギリス国際発展局のデータによれば、インド援助プロジェクトは毎年1.7万人を救い得ている。2005年以来、プロジェクトはすでにインドの230万人の貧民を貧困から脱させる助けをした。この部門の官僚ダンカンは語る。「もし援助を止めれば、それは何千何万、甚だしきに至っては数百万のインド貧民の死亡を意味することになる。」

この他、イギリスの「デイリータイムス」は、約85%の援助資金が汚職により流出し、有るべき効果を収めておらず、「このことはインドの腐敗者をさらに肥え太らせ、貧民を依然困窮に留まらせる。」とする。インドの反貧困組織責任者モーラは、「資金援助は現有の硬化した体制を変えることはできない。‥‥もし問題の根元を意識するに至らなければ、援助はインドに対しいかなる変化ももたらすことはできない。」と語る。


 皆さんお判りでしょうが、これが考えさせられる内容だと書いたのは、日本の対中国ODAとの比較においてです。中国も宇宙飛行を行い、他国の援助をし、感謝もせず(ただし拒否せよという意見はないようですが)、さらにはインドがイギリスに対し行うことは考えられない領土主張や武力による威嚇を行っているのに、ODAは依然継続されています。インドが大きな経済成長を遂げたのに、富が一部の人に独占され極貧にあえぐ人々がなくならないのは社会体制の問題であって、援助はむしろその問題ある社会体制の温存に力を貸すことになります。そしてこれは対中国ODAにも同じことが言えます。









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