中国とトルコの軍事的関係

 あまり知られていない中国とトルコの軍事面でのつながりについて触れているページの内容の紹介です。これからお伝えするシリアによるトルコ戦闘機撃墜事件を中国がどう見ているかという問題にも関連します。

http://blog.ifeng.com/article/18400029.html


中国とトルコの軍事協力はずっと活況を呈す

中国の武器は何故NATOの裏庭に進出するのか

中国とNATO構成国であるトルコの安全保障上の協力には多くの成功した前例がある。中国の対空ミサイルが今回トルコ軍の調達入札に入選したことは、再度両国、両軍の間の関係が尋常なものでないことを証明した。

「もしこれが本当のことになれば、NATO構成国の武器庫内に中国あるいはロシアの製品が出現することを意味し、これはブリュッセル(NATO総本部の所在地)には全く想像もできないことだ。」 6月中旬にトルコ国防部が、対空ミサイルを含む中国、ロシアの大型武器がこの国の総額40億アメリカドルに達する軍調達プロジェクトに参与すると宣言した時、アメリカの「安全保障業務ニュース」ウェブサイトはこのような評論をした(頑住吉注:ドイツは旧東ドイツの旧ソ連系兵器を当然大量に入手しましたし、加盟国の中にはポーランドなど旧東側の国もたくさんありますが)。

NATO、技術的支持を提供することはない、とする

時間の推移につれ、この時各国軍事ウォッチャーの目を引き付けた軍調達は、より多くの詳細を続々と明らかにしていった。トルコの「時代報」の情報によれば、トルコの遠距離対空およびミサイル防御システムの入札作業は2009年の始動後、依然最終的に確定していない。合同の価格が高騰したため、このプロジェクトは中国、ヨーロッパ、ロシア、アメリカの多くの企業の参戦をしっかりと誘い込んだ。トルコ国防工業執行委員会は7月4日には協力相手を選択してから協議を開くこと計画し、その時には結果あるいは少なくとも一部の入札者の淘汰を発表する。この委員会のメンバーはランクが高く大きな権限を持ち、エルドアン首相、イスマート エルマズ国防大臣、ネツデット オジル総参謀長、ミュラド バヤル国防工業部副部長などを含む。

各方面の情報を総合すると、アメリカのRaytheon社とロッキード・マーティン社は「パトリオット」-3防空システムを提出し、ヨーロッパ防空ミサイル社(EUROSAM)は「シオン」-30(SAMP/T)システムをプッシュし、ロシア国営武器輸出社はS-300およびS-400システムをメインとし、中国精密機械輸出入社(CPMIEC)は国産の紅旗-9システムで入札に参加した。

多くの西側の専門家の意見では、ロシア、中国のシステムとNATOの既存のシステムは互換性がなく、もし両国の企業が入札に勝てば、彼らの製品がNATOの作戦指揮センターにアクセスする権利を持つことになり、したがって同センターの秘密保持業務にとって脅威が生まれる(頑住吉注:問題は旧東側兵器自体ではなくネットワークへの接続だというわけです)。ある内情を知るNATOの官吏はすでに明確に次のように表明している。「我々がこの種の状況を発生させることはない。もし中国あるいはロシアがトルコのこのプロジェクトで入札に勝てば、彼らのシステムの独立した運用を要求し、そのNATO情報システムへの接続は許さない。」 この官吏はさらに次のように強調する。「トルコに関して言えば、中国やロシアを入札に参加させ続けるやり方には1つの解釈がある。それはアンカラには元々中国やロシアの製品を選択するつもりはなく、彼らに入札に参加させるのはアメリカやヨーロッパメーカーに圧力をかけ、価格を圧縮する目的を達成するために過ぎない、というものである。」

中国の武器は単にその場を通り過ぎるだけではない

中国のミサイルは本当に「陪太子読書」(頑住吉注:皇太子に勉強させるのに寂しくないようにいわばダミーを一緒に勉強させる、といった意味らしく、要するに単なるにぎやかし、というようなニュアンスでしょう)の役割なのか? イスラエル海法大学教授アイザック シフォーはこうは思わない。彼はかつてある格言を引用した。「共同の脅威があればパートナー、同じ敵がいれば友達」と。中国とトルコの軍事技術交流は尋常なものではなく、特にミサイル兵器の開発に関する協力は非常に密接である。ある情報は、中国とトルコの軍事協力は1996年には早くも密かに展開されていた、とする。中国サイドは国際条約の許す範囲内でトルコに向け弾道ミサイル技術を輸出することに同意し、トルコが射程150〜300kmの「Yildirim」ミサイルを研究開発するのを助けた。そしてこれは2007年に挙行されたアンカラ勝利記念日閲兵式でデビューした。2009年、中国サイドは今度はトルコ空軍演習全過程見学の招待を受け、2010年にはさらに連合空中演習への共同参加にグレードアップした。これは中国とNATO加盟国による初めて行われたこの種の演習となった。

実際、公開されている情報からトルコ兵器の出所を分析すると、中国は何らの「脇役」ともみなせない。1998年から今まで、中国はすでにこのヨーロッパとアジアに横にまたがる国に向け、推定3億アメリカドルの兵器を輸出している。これにはミサイルや火砲などの装備が含まれる。外国メディアの分析によれば、中国サイドが今回積極的にセールスしている紅旗-9ミサイルシステムは対航空機、対ミサイル機能を兼ね、トルコはより少ない出費でアメリカ、ヨーロッパ製品に近い作戦能力を獲得する希望を持っており、さらに生産許可証の獲得も望んでいる。一方この入札に参加するアメリカ、イスラエルないしロシアのサプライヤーはいずれも類似の承諾をなすことはない。

中国とトルコの武器技術協力に関する、もう1つの参照に資することのできる模範例はロケット砲技術の転移である。1990年代、トルコとアメリカのM270ロケット砲共同生産の交渉が決裂し、ワシントンは人権問題を理由にしてトルコへの武器販売を制限した。アメリカによる援助獲得の望みがないのを確認し、アンカラは1997年に中国と軍需品購入の契約を結び、24門の「衛士」-1型302mmロケット砲を導入し、別にトルコにあった144門と組み合わせた。すぐ後、中国サイドが生産許可証を提供すると、トルコはさらにTR-300型ロケット砲(名称は「風暴」)を独自に生産し、何度ものNATO連合演習でのパフォーマンスは悪くない。

これと呼応して、中国とトルコの軍事人員交流も活気にあふれている。アメリカのメディアの統計によれば1985年以来トルコは相前後して18の軍事代表団を派遣し、全部で約200名の代表が中国を訪問している。これと同時に、中国も14の軍事代表団にトルコを訪れさせている。中国当局メディアのリークした状況によれば、多くの中国人が学生としてトルコの軍事学校で研修した(陸軍特殊部隊、空軍飛行員、海兵隊の将兵含む)。これは解放軍の訓練の質を高めるのに非常に助けになった。

トルコ軍エリートは「東を見る」ことを重視

中国、トルコの両軍はいわゆる「雨降って地固まる」である。1950年11月末、5,000名のトルコ兵士がアメリカをメインとする「国連軍」に加入し、北朝鮮において中国人民義勇軍と数度交戦し、これには残酷な軍隅裏(頑住吉注:地名らしいです)遭遇戦も含まれた。戦争終結時、トルコ軍の死傷者数は3,277人に達し、このうち721人が死亡、175人が行方不明、234人が捕虜となった。当時、駐韓国トルコ軍司令タクシン アジズは中国軍人を描写する時に、「あれは一群の猛々しく、恐ろしい闘士だった」と表現した。

この戦争を経て、トルコは完全に西側の安全体系に溶け込んだ。1951年10月22日、トルコはNATOに受け入れられ、翌年の2月18日にNATOの正式な構成国となった。そして黒海の出口を守り、ソ連の南翼攻勢を警戒する重責を担った。1972年のニクソン訪中後、トルコと北京の軍事的関係は雪どけを始めた。当初トルコサイドは中国人にその他の東アジア諸国のようには「友好」を感じなかったが、交流を通じ、かえって社会的エリート視される軍がまず中国をパートナーと認めた。

中国、トルコ両国の安全保障上の関係が日増しに密接になるにつれ、北京はアンカラとの対テロ協力を模索し始めた。特に共同での東トルキスタン独立派勢力の活動の封じ込めである。1999年5月28日、トルコ陸軍副総参謀長が訪中している期間に、中国と「中国・トルコ軍事訓練および協力協議」に署名し、外界からは双方が踏み出した実質的ステップと見られた。2000年2月14日、中国・トルコ両国は初めての安全保障協力協議に署名し、領土保全活動の破壊を厳重に懲罰することを強調した。イスラエルの「週刊DEBKA情報」によれば、トルコの軍、警察は東トルキスタン独立派分子のトルコ国内での活動を監視、制御し、かつ中国に情報提供している。ある情報は、トルコ情報機関はすでに東トルキスタン独立派組織内部に入り込み、独立派分子相互の猜疑心を煽り、受け身の立場に陥れている、とする。

現在トルコ常備軍の総数は50万前後に保持され、これはNATO内部ではアメリカにすぐ次ぐものである。このような実力はその独立した決策のための基礎を提供する。ある視点は、トルコはヨーロッパの国との自負を持ってはいるが、近年ヨーロッパ「主流社会」からの排斥に何度も遭っている、と考える。中国が徐々に勃興するにつれ、トルコ軍内の少なからぬ「欧州派」の人々が中国をEUないしアメリカの潜在的な代替者と見るようになり、トルコとこの東方の大国との間のさらに一歩の深化した協力を強く促すのである。


 親日的ともされるトルコですが、近年では中国との軍事的つながりを深めているんですね。また自身も民族問題を抱えているとはいえトルコ自身にとってどういう直接的メリットがあるのかいまいち分からんのですが、国内のウィグル族独立活動家の活動をスパイ活動で抑えたり情報を中国に提供したりもしているということです。













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