「パトリオット」トルコ撤退の影響は

 希望的観測による度を越えた深読みのようにも思えるんですが。

http://military.china.com/important/11132797/20151012/20542309.html


米軍のパトリオット撤去がトルコを憤怒させる 中国のミサイルの勝ち目が大いに増える

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシアの巡航ミサイルの攻撃の説明図。カスピ海からイランとイラクを飛び越え、最終的にシリアに到達している。地図の左上の角がトルコ。」)

(頑住吉注:以下黄色の字で表示する部分は10月14日にコラムで紹介した内容との重複で、今回の記事の前提となる情報です。)

ロシア空軍のシリアにおける不断の活動と共に、NATO諸国のトルコにおける安全保障措置はそれにもかかわらず珍しくアップせずかえってダウンしている。トルコの道安(頑住吉注:意味での訳なのか発音での訳なのか不明です)通信社9日の報道によれば、アメリカは当日トルコ東南部地域から「パトリオット」対ミサイルシステムを撤収させ始めた。

報道は、アメリカはすでにトルコ東南部のガジアンテプ州に配備する「パトリオット」対ミサイルシステムを南部のイスケンデルン港に輸送し、輸送されての帰国を待っている、とする。アメリカの駐トルコ大使館は声明を発表し、こうした対ミサイルシステムはアメリカで改めて配備された後で「カギとなる重要な近代化グレードアップ」を受けることになる、と語った。

トルコ政府の請求に応え、アメリカ、ドイツ、オランダは2013年にそれぞれトルコ・シリア国境地域に「パトリオット」対ミサイルシステムを配備し、もってシリアから来る可能性のあるミサイル攻撃に防備した。

今年年初、オランダはトルコからその対ミサイルシステムを撤収させた。今年8月、アメリカとドイツはトルコから各自の対ミサイルシステムを撤収させることを言明し、理由はシリアがもはやNATOメンバー国であるトルコに対し「深刻な」脅威を構成しないことだった。

1日前、トルコ政府はかつてNATOの同盟国に、トルコ・シリア国境に配備するミサイル防衛システムを保持するよう懇切に促した。そして10月3日、ロシア国防省の情報によれば、1機のスホーイー30SM戦闘機がトルコ・シリア国境のトルコ側領空に「何秒間か」進入した。NATOは、さらに1機の戦闘機が4日トルコ領空に入った、とした。


米軍のパトリオット撤去がトルコを憤怒させる 中国のミサイルの勝ち目が大いに増える

薛満意

フェニックス軍事:10月9日、ロシア軍のシリア国内のIS組織に照準を合わせた空襲行動は勢い盛んで、世界で最も強大な武装集団であるNATOは最初の何日かの口喧嘩を経た後、初めて実質的な動作を採った。トルコのアンカラ通信社の報道によれば、アメリカは当日トルコ南部地域から「パトリオット」対ミサイルシステムを撤収させ始めた。数日前ロシア軍のスホーイー30などの実戦機が2度トルコ領空に進入し、NATOはかつて1度、すでにロシアに対する忍耐心を失い、交戦規則を始動させると威嚇していた。

アメリカはデリケートな時に突然身を引き、中東のシナリオのどんでん返しの早さは人に言葉をなくさせる。「アラブの春」以後シリア、エジプトないし全中東情勢に対し不面目なトレーダーの役割を担当しているトルコには、盟友と兄貴に犠牲にされた境地がすこぶるある。パトリオットミサイルの撤収はトルコに、使用できる遠距離防空システムがない窮迫した局面に遭遇させ、ロシア軍実戦機が頻々と国境を侵す挙に対し、トルコ空軍には戦闘機を駆けずり回らせるという1つの対応の道しか残されていない。

アメリカ大使館は遅れず説明した。トルコ東南国境に配備するパトリオットはすでに南部の港まで輸送されて船に積み込まれ、送り返されて帰国しアメリカで配備されるのを待っている。その後「カギとなる重要な性質の近代化グレードアップ」を受ける。こうしたパトリオットミサイルはトルコに配備されてすでに2年を超え、このタイミングで突然撤去され、アメリカがロシアに対し弱みを見せるのにはやはり別に隠れた事情があるのだろうか? またトルコの始動して6年の巨額な対空ミサイルプロジェクトにはどのような変数が生じるのだろうか?

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「アメリカ、ドイツ、オランダはかつて2013年にトルコに向けパトリオットミサイルを配備したが、三カ国のミサイルは2016年1月末までにトルコを全面撤収することになる。」です。)

PAC-3にはあるいは実戦での欠陥があるのか アメリカ、身を引いて災いを避けることを迫られる

8月中旬には早くも、アメリカはもうすでに在トルコパトリオット撤収の決定をしており、その後ドイツも2016年1月31日までにパトリオットおよびドイツ軍将兵を撤収させ、作戦任務を終わらせることになる。ここに至れば、2013年から始まりトルコにパトリオット対空ミサイルの配備していたアメリカ、ドイツ、オランダはすでに各自に所属するミサイルを全部撤去していることになる。「ニューヨークタイムズ」は、アメリカサイドがPAC-3ミサイル撤去を告知した時、トルコ当局が非常に「憤怒」したと明らかにした。

このことから、米軍のトルコにおけるPAC-3の撤去は決して臨時の挙ではないことが見て取れる。だが興味深いのは米軍が決して厳密に撤去の期限を設定していなかったことである。米軍の一貫した作風をもってすれば、突発的安全への脅威に直面しあるいは政治的考慮から出て、海外軍駐留を延長し軍事力配備を調整することには決してあまり大きな障害はない。しかし、今回米軍はミサイル撤去をかくもてきぱきと行い、ロシア軍のテンポたけなわな空襲行動を無視しており、明らかに別の内情がある。

政治上、アメリカはロシアとの正面衝突を避ける。ISが席巻しほしいままに中東を虐げることはすでに制御不能となり、かつて楽屋裏でISを含む各路線の反体制派武装勢力を支持しアサド政権を転覆させるのを待っていた多くの国は、自業自得の苦痛をなめている。シリアの百万の難民の大波はヨーロッパに打ち寄せ、長期にわたり不面目な役割を演じ、過激武装勢力が越境するルートに充当されてきたトルコはひどくEUを不快にさせている。オランダ、ドイツが相次いで本国のPAC-3を撤去したことからその一端が見られる。アメリカは中東の難民に対し身にこたえる苦痛はなくヨーロッパと齟齬をきたすのを見たくもないが、決してこれは米軍がトルコのためにロシアと意図せず衝突するリスクを冒したいことを意味しない。アメリカの戦略の重心が東方に転向する背景の下で、ロシアとの衝突を避け中東の大型戯曲を座視することは、明らかにアメリカの利益により符合する。

軍事の上では、PAC-3はあるいは実戦の欠陥を暴露したのかもしれない。10月7日、ロシアのカスピ海艦隊の4隻の千トン級軽護衛艦は密集して26発の3M14「クラブ」巡航ミサイルを発射し、1,500km離れたISの目標に正確に命中させた。ロシア国防大臣ショイグは、ロシア軍のミサイルが遠距離で有効に目標を打撃する能力を持つことを証明したと称した。ロシア軍最新改良型遠距離巡航ミサイルである3M14は水上発射、潜水艦発射、空中発射など多くのプラットフォームによる打撃能力を持ち、「トマホークスキー」と呼ばれる。近代化された電子部品やナビゲーション体系に頼り、ロシアは26発の巡航ミサイルの誤差は3m未満で、いかなる一般民の死傷ももたらしていない、と言明する。アメリカのパトリオット-3は世界最先端の防空システムとしてすでに名を成して長年になり、ロシア軍のスホーイー34、スホーイー24および古いスホーイー25に対応するには決してあまり大きな圧力はない。だが航路計画、地形マッチング技術を融合させた巡航ミサイルはこれまでずっと各国の防空の難度の高い課題で、今回の米軍のPAC-3電撃的撤去の時機の巧みさは外界に、米軍が誇る先進対空ミサイルに某いくつかの顕著な実戦の欠陥や不足が存在する、と信じさせる理由がある。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「パトリオット-3対空ミサイル発射の瞬間。」です。)

トルコのミサイル購入が弄するはかりごと、冷や水を浴びせられる 紅旗-9の勝ち目が増える

2009年、トルコは金額40億アメリカドル近い遠距離対空ミサイルシステム入札募集プロジェクトを打ち出し、中国、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア四方の激烈な争奪を引き起こした。何度もの選択を経た後、トルコ首相は2013年9月に中国のFD-2000の購入を批准し、その後トルコサイドの態度は何度も反復して入札募集プロジェクトを遅延させて今に至っている。NATOはかつて不断に圧力をかけ、中国のミサイルはNATOの防空体系と互換性がなく、中国の防空システムが同盟内の「ウィルス」となることは容認できない、と言明した。

各国の武器貿易で、技術性能と政治的協力関係は交易が達成され得るか否かを左右する基本的要素である。NATOのメンバー国であるトルコがアスター-30あるいはPAC-3を購入して獲得される収益についてはくどくど言う必要はない。しかし、トルコの立場は動揺して定まらず、NATOに背を向けて中ロという部外者と手を組み、中国のミサイルを用いてアメリカやヨーロッパの製品を相互に価格圧縮させ、さらには比較的低コストをもって世界先進対空ミサイルを購入し、甚だしきに至ってはフルセットの生産技術を手に入れることを欲した。トルコサイドの政治的はかりごとはずるくないと言うことはできないが、ずっと自信を持ってきたアメリカやEUは決して価格で妥協したがらず、増してや核心技術を移転したがらなかった。

中国のFD-2000ミサイルは実弾試験競争入札段階で早くももう9発中9発命中の成績をもってアメリカ、ヨーロッパの兵器商を驚きに呆然とさせ、しかも最低の入札価格であり、技術協力、移転したいという優遇された条件も中国のミサイルがかつて契約を勝ち取ることを保証した主要な原因だった。だがトルコはまだ決して中国サイドの誠意を受け入れておらず、その遠距離対空ミサイルプロジェクトが今に至るまで遅延する結果をもたらしている。

このため、米軍が突然パトリオットミサイルを撤収させることは、トルコに使用可能な遠距離対空ミサイルがない結果をもたらし、トルコサイドに一杯の冷や水を浴びせたと言うことができる。トルコにとって、もし米軍のパトリオット-3ミサイルがロシア軍の強力な空襲の前に怯えを露呈したのが技術性の挫折であると言うならば、NATOの盟友をカギとなる重要な時に「犠牲」にする挙は正真正銘の政治的損傷である。将来トルコがもし継続して遠距離防空システムプロジェクトを推進したら、中国の紅旗-9は真の勝利の時までの距離が遠くない。


 パトリオットが現在の進歩した巡航ミサイルなどの兵器との対決を避けなければならなかったのではと疑われる動きをしたことは日本にとっても不安材料で、そうでないことが事実をもって証明されるといいんですが。

















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