中国国産「太行」エンジンの殲ー10への大量装備が開始される?

 いよいよ高性能航空エンジンのボトルネックがなくなるとなれば影響は多方面に及びますが。

http://military.china.com/important/11132797/20151022/20607092.html


換骨奪胎:新たな太行エンジン、殲ー10戦闘機に大量装備される

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「新たな太行版殲ー10」)

最近ネット上に2機の太行エンジンを装備した殲ー10が並んでいる画像が出現した。太行エンジンは最初からもう殲ー10プロジェクトに照準を合わせて手配されたこれとセットになるエンジンの機種であり、1980年代初めから現在まで、30年あまりを経てついに修業した結果悟りを得ることの有望さが見えてきたことは、実に喜び祝うべきことである。

一:太行エンジンが長期にわたり大量に殲ー10上で就役できなかったことには原因がある

太行エンジンが殲ー10上で長期にわたり大量就役できなかった問題は多方面であり、設計、試験、製造など多くの方面に関わる。殲ー10は単発レイアウトを採用しているため、エンジンの信頼性に対する要求が双発レイアウトに比べずっと高く、このため太行が不成熟および不安定な段階では、それはスホーイー27ファミリーをベースにした殲ー11上で大量就役することしかできなかった。製造管理の上だけで、太行エンジンはもう相当長時間の混乱期を経た。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「太行エンジン」)

例えば太行エンジンの部品の中には、強度が高く、重量が軽いチタン合金を大量に用いる必要がある。チタン合金の高温に耐える能力は宣伝の文章の中で吹聴するように凄いものにはほど遠く、アルミ合金に比べてずっと強いというだけのことである。航空エンジンは直接ガスに接触するタービンに全くチタン合金が使われてこなかっただけでなく、実際にはずっと後の1980年代、アメリカのF404の温度が相対的に低い区域のチタン合金部品が同様に非常に容易に加熱して出火した。このことは航空エンジン領域においては専門の名前さえあり、「ティアンフオ」(頑住吉注:日本語にない漢字が使われた語で「チタン+火」)と呼ばれる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「F-18戦闘機はかつて一度F404エンジンのティアンフオ故障頻発に困らされた」)

チタン合金の高温の下での化学的活発性ゆえに、その溶接などの工程を行う時に必ず真の不活性ガス、例えばアルゴンガスを用いて保護を行う必要がある。しかし「某三級ファン回転子電子ビーム溶接問題の処理」など故障排除の論文が明らかにするところによれば、まさに太行の部品の製造過程の中で、まだ部品製造機関が密かに低価格の窒素ガスを用いて高価格のアルゴンガスの代わりにしていた事情が出現していた。窒素ガスも高温の下での化学的性質が非常に活発なため、チタン合金部品の溶接部位に大量の窒素・チタン化合物が形成され、部品の強度と寿命が極めて大きな損傷を受ける結果がもたらされた。

(頑住吉注:これより2ページ目)

二:現段階で機に装備される太行エンジンには極めて大きな改良がなされ、ほとんど換骨奪胎と呼べる

太行問題の不断の暴露とフィードバックにつれ、設計、試験、製造など多くの部分に照準を定め大きな力を入れた整頓と改良の作業も全面展開を開始し、かつ数年持続している。最も新しく殲ー10に装備された新たな太行エンジンは、この段階の努力の後の産物に他ならない。製造、組立の技術と質のコントロール水準が大幅に向上した他(例えば太行の相当な一部分の基準を超えた振動は、エンジンの回転子の組立時、センター合わせが厳格でなかったことによりもたらされた)、それには各種具体的設計の上でも極めて多くの間違いの修正と最適化改良設計が行われた。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「画像:エンジンは毎秒ごとに100kgあまりの空気を吸入して燃焼に参与させる必要があり、ひとたび人の呼吸のように不順になり、呼吸が途切れると、深刻にして激烈な振動、温度超過ををもたらし空中でのエンジン停止など致命的な故障に至るだろう。」)

設計上の最大の突破として、改めて手堅く一通りの設計、試験、フィードバック修正の過程を経た後、本来の太行エンジンの高、低圧圧縮機の作動状態の不安定、マッチング不良、容易にサージして停止するという問題に極めて大きな克服が得られたこと以上のものはない。単に第1級ケース構造設計に対する改良だけで、太行エンジンの70〜80%の回転速度区間のサージ余裕度を12〜21%向上させた。

設計と製造の各方面において、ほとんど換骨奪胎と呼べる新たな太行の成熟、安定、かつ大量生産、装備の開始と共に、我が国の西側第3世代航空エンジン(例えばF-15やF-16上のF100、F110エンジン)に追いつく努力は、現在ついに基本的な成功を宣告することができる。これは殲ー10プロジェクトの上で1つの歴史的な遺憾を避けただけでなく、同時にやはり極めて重要なのは、それが今後10年から20年内、中国空母体系発展の基石だということである。

(頑住吉注:これより3ページ目)

三:中国空母体系は現在殲ー10に比べより新たな太行に依存する

現段階の中国海軍にとって、殲ー15最大の問題は終始生産能力と装備数である。人と装備は同等に重要な要素であり、空母の運用は人員の身体、心理、専業技能全てに対し要求が極めて高く、合格点の出せる養成訓練過程は多くの時間と武器装備の実際の操作体験を必要とし、うまく立ち回っての速成方法はないのである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「殲ー15」)

最大の能力を尽くし、殲ー15の装備速度と数を国内生産能力の極限にまで拡大してのみ、やっと未来の数個空母作戦群の規模の人員の訓練のために充分な物質的基礎を提供し、中国海軍の戦略的モデルチェンジおよび未来の大規模な艦載機部隊構築のために物質的基礎を提供することができるのである。

エンジンの選択の上で殲ー10には現在まだ輸入の制限を受けないAL-31FNエンジンが予備として選択できる。だが殲ー15は中ロ間のスホーイー27導入契約執行の紛糾のしわ寄せを受け、ロシアはすでに中国が自らコピー生産、改良したスホーイー27ファミリー向けに新たなAL-31FNエンジンを輸出することを拒絶している。このため現在殲ー15には少数のAL-31FNエンジンを応急として使っているが、決して持続可能で信頼できる装備のルートではない。

太行エンジンの殲ー10への大量装備は、疑いなく太行の心臓病が完全治癒に向けすでに極めて重要な第一歩を踏み出したことを証明した。一方殲ー15の大量生産にとって、疑いなく雪中送炭、久旱甘霖(頑住吉注:いずれも困っている時の助け、本当に望んでいたものの入手、といった意味です)な良い情報である。


 現在分かっているのは中国国産エンジンを搭載した殲ー10が2機存在するというだけで、「大量装備」が始まったかどうかは分からず、これまでも大いに手をかけて作った少数の試作品ならうまく動くが量産するととたんに問題が頻出するという傾向があったようで、問題が解決されたかどうかは分かりません。しかし全体として問題解決に近づいている1つの兆しである可能性は大いにあり、今後が注目されます。















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