V-94スナイパーライフル

 あまり情報のないロシアのアンチマテリアルライフルに関する記事です。

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ロシア初の大口径スナイパーライフル V-94スナイパーライフル

現在大口径スナイパーライフルはその射程の長さ、威力の大きさゆえに、まさに雨後の竹の子のごとく各国の軍隊に装備されている。今日我々が語ろうとしているのはロシア初の国産大口径スナイパーライフル、12.7mm口径のV-94大口径スナイパーライフルである。

1980年代中期、ソ連はアフガン戦争の戦闘経験を取り入れ、12.7mm大口径スナイパーライフルの研究開発を開始した。ソ連解体後、ロシアのツーラ機器製造設計局は小火器専門家シプノフの指導の下、継続し、加速して12.7mmV-94自動装填型スナイパーライフルを研究開発し、1994年に初めてその試験サンプル品が公開、展示され、1996年に強力な部門の特殊部隊への装備が開始され、ロシア初の国産大口径スナイパーライフルとなった。

V-94スナイパーライフルが執行可能な戦闘任務の範囲は非常に広く、主に距離2,000m以内の各種大型目標、例えば運動中の、暴露した、あるいは偽装された軽装甲(15mm)および非装甲目標の殺傷、敵サイドのレーダー設備、ミサイル発射装置、火砲システム、地上で静止状態の飛行機やヘリの破壊、1,000m以内の将来兵個人防護設備を身につけた敵サイドの生体戦力(小目標)の殲滅に用い、遠距離区域の地雷排除、敵サイドの機雷や小型水上艦船を射撃しての爆破、沿岸地域の安全の防護、国境警備にも使える。この種の武器の射程は比較的長く、戦闘力が超越的に強く、狙撃手は敵の小火器の照準火力の射程外で行動できるので、非常に大きく戦場の生存能力が向上した。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「折りたたみ状態のV-94スナイパーライフル。」)

V-94ライフルは伝統的構造レイアウト、自動装填を採用している。チャンバーの閉鎖と開鎖、空薬莢のチャンバーからの排出と投げ出し、マガジンからの弾薬の供給、チャンバーへの送り込みなどは全部自動で完成される。自動装置の作動原理は弾丸の発射時に生じる火薬ガスのエネルギーの利用を基礎としている。(頑住吉注:以後作動の説明が続いていますが、通常と全く異なる独自の用語法が用いられ、例えば「機匣」は普通レシーバーのことですがこの人はボルトキャリアをこう呼んでいるようだ、「保険」は普通セーフティですがこの人はロッキングのことをこう呼んでいるようだ、など一部はおぼろに想像つくんですが大部分は分からず、お手上げなので非常に残念ですが飛ばします。ただ、通常のガスオペレーションと大きく異なるところはなさそうです。)

V-94スナイパーライフルの威力は強く、発射時の後座力は相当に大きく、設計当初にはもう後座力の打ち消しが充分に考慮され、最大程度射手に対する影響の問題が減少された。V-94には独特の銃口ダブルチャンバー制退器および消炎器が採用され、大部分の後座力が打ち消せ、さらに人間工学的性能が突出した木製ストックと緩衝ショルダーパッドもあり、バットプレート上には減震ゴムがある。だがストックの長さと高さは調節不可である。このライフルの射撃時の主要なコントロール機構は強化プラスチックのピストルグリップで、コッキングハンドルはレシーバー右側に位置し、着脱可能な金属マガジンによって給弾し、5発の弾薬が互い違いに配置されている。マガジンキャッチはトリガーの前にあり、マガジンを銃に装着する時はマガジンキャッチをレシーバーの突出部にひっかけ、支えの突出部とロックを噛み合わせ、マガジンをレシーバーの開口部内に固定する。空薬莢は右方に向け投げ出される。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「V-94スナイパーライフルに装備されたPSO-1照準具」)

ツーラの武器設計師は当初V-94スナイパーライフルを研究開発する時、成功裏にあらゆる大口径ライフル特有の1つの主要な問題を解決した。すなわち、全長が長すぎることである。V-94最大の特徴は折りたたみ可なことで、非常に大きくライフルの全長を短縮している。バレル尾部にはちょうつがいが装備され、半分に折りたためる。V-94は折りたたみ状態で全長が最短化され、1,700mmから1,100mmまで短縮され、したがって輸送や携帯に便利である。この特徴はライフルにとって絶対に余計なものではなく、戦闘状態のV-94は全長が1,700mmのため、戦闘携帯が非常に不便で、航空降下時にスムーズに装甲設備、あるいはヘリ上の狭いバラ積みのキャビンを通過する時一定の難度がある。折りたたみ後、全長は1,100mmに短縮し、幅と厚みはそれぞれ125および196mmである(頑住吉注:意味不明ですが後者は全高でしょうかね)。行進状態下ではバレルとガス導入システムは一緒に右後方に向けて折りたたまれ、ロック金具を用いてレシーバー後部に固定される。バレルや機械装置が汚れたり詰まったりするのを防止するため、バレル尾部断面とレシーバーはいずれも特殊レバー機構を用いて相互に遮断される。ライフルの中部、重心に近いところのバレル上には回転式キャリングハンドルがあり、携帯に便利である。V-94には全部で2種の固定状態があり、1種類は銃の尾部方向に向けてで、戦闘状態の携行に用いる。もう1種類は銃口方向に向けてで、折りたたみ状態での携帯に用いる。マガジンと照準具を装備していない時、V-94スナイパーライフルの空虚重量は11.7kgである。

V-94ライフルの照準装置は固定フロントサイト、バランスレイアウト性能良好な照準機構および部品からなる。支持架を使用して照準射撃でき、そのためにバレル上に折りたたみ式バイポッドが固定され、ライフルの横面に相対してヒンジ結合され、旋回でき、このスナイパーライフルが安定していかなる表面にも支えられることを保証できる。行進状態下ではバイポッドの支柱はロックによって固定され、バレル方向に沿って展開する。だが、バイポッドとキャリングハンドルがバレルの負荷を増加させているので、射撃精度に対し一定程度の影響を生じさせている。レシーバー左の板のアリミゾ式標準固定具には照準具支持架が固定され、V-94ライフルの比較的長い射程とマッチしている。バレル上にはドラグノフスナイパーライフルに使用するPSO-1改良型4倍スコープ、重量が3.5kgに達するPOS13x60型高倍率(13倍)スコープ、専用昼間照準器、POS12x56小型高倍率(12倍)照準器、各種可視光線および赤外線周波数スペクトルレーザーポインターなどの照準装置が装備できる。光学照準器使用時の照準射程は2,000mだが、実際に目標を射撃する時、このように遠い距離を達成しようというのはやはりやや困難で、戦闘射程は通常1,500m前後である。5倍夜視光電子照準器使用時の夜間照準射程は600mである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシア軍が装備するV-94大口径スナイパーライフル。」)

V-94スナイパーライフルは5発マガジンによる自動装填を使用し、高速の照準射撃ができ、射手の疲労感を軽減する。だが、武器設計師たちはまだ成功裏にこのライフル特有の欠陥を矯正できていない。すなわち、比較的大きい射撃時の音である。射撃時の音が大きすぎると、武器の位置が暴露するだろうだけでなく、さらに射手本人に対し非常にネガティブな影響が生じ、射撃時の感覚はまるでびんたを食らったようで、このため射手には必ず耳を保護する器具を使用することが要求される。

V-94/OSV-96はいかなる類型の12.7mmx108口径弾薬をも発射できるものの、比較的高い射撃密度を保証するためには、やはり専用の狙撃弾薬の研究開発が必要である。ウリヤノフ軍事工場はこのライフルのために専用に「12.7SN」狙撃弾薬を研究開発した。この新型狙撃弾薬は装甲貫通能力が増強され、射撃密度が高められ、総重量は141g、このうち弾頭重量は56g、火薬の重量17g、弾薬の全長147mm、薬莢の長さ108mm、弾頭の長さ64.6mm、弾頭頭部は黒色である。「12.7SN」の弾丸の内部には焼き入れ鋼の弾芯があり、100%照準射程内のあらゆる敵サイドの生体戦力を殺傷することが保証できる。この狙撃弾薬の製作は比較的精密で、要求は厳格で、設計上の公差は標準弾薬に比べずっと小さく、したがって比較的良い射撃密度が保証される。100mの射程で4〜5発点射すると、散射横面は50mmを超えず(頑住吉注:検索しても全く他にヒットしない独自の用語ですがグルーピングと考えていいのでは)、射撃密度性能は同類武器である7.62mmSVDスナイパーライフルに比べ1.5倍高い。この点は実戦で目標を射撃する時非常に重要で、この12.7mm弾の飛行時の側向偏流比は7.62mm編成小銃弾に比べ1.5〜2倍縮小しており(頑住吉注:これも他にヒットしない独自の用語のようですが横風により着弾点への影響のことでしょう)、したがって1発での1,200m距離内の大目標の破壊が保証される。「12.7SN」狙撃弾薬の他、V-94ライフルはさらにその他の12.7mm弾薬が使用でき、これにはBZT-44徹甲燃焼曳光弾、BSおよびB-32徹甲燃焼弾が含まれる。BSおよびB-32徹甲燃焼弾は敵サイドの液体燃料の点火、装甲掩体内の生体戦力の殺傷に用いる。BS弾薬の弾頭は黒色で、本体は赤である。B-32弾薬の弾頭は黒色で、赤い帯がある。BZT-44徹甲燃焼曳光弾とB-32弾薬の構造は似ており、曳光成分は燃焼時に赤色の痕跡を形成し、弾頭は紫色で、赤い帯がある。これらのあらゆる12.7mm弾薬の薬莢の製造材料には真鍮もあれば、銅でコーティングしたスチールもある。弾丸の初速は900m/sで、発射速度は毎分15〜20発である。

V-94に対しいくつかの小さな改良を行った後、このスナイパーライフルはOSVのコードネームで部隊に装備され始めた。事実として、V-94とOSV-96には銃口制退器の構造上やや差異があるだけでなく、ストックとキャリングハンドルの形状という方面にもいくつかの差異がある。現在、V-94/OSV-96スナイパーライフルは主にロシア内務省内務部隊、連邦安全保障局およびその他の強力な部門に装備され、チェチェンでの戦事の中で広範に戦闘使用された。だが、比較的高い戦闘使用性能を持つものの、V-94スナイパーライフルは決してまだ7.62mmSVD自動装填型スナイパーライフルに取って代わってはおらず、狙撃手の武器装備の補充として実質的にその戦闘能力を向上させているだけである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「実戦の中のV-94スナイパーライフル」)

第一次チェチェン戦争の中で、チェチェン非合法武装勢力は狙撃という手段をもってグロズヌイ市(頑住吉注:首都)に進入したロシア軍を重大に殺傷し、初めて市中心に攻め入ったロシア軍第131旅団だけで、3日でもう800人近くと20両の戦車、102両の装甲車を損失した。

第二次チェチェン戦争が開始されてほどなく、ロシア軍の80%の人員の死傷は依然チェチェン非合法武装勢力の狙撃行動がもたらしたものだった。だが今回は、ロシア軍は注意して非合法武装勢力の狙撃行動の特徴を研究し、不断に対狙撃戦術を研究し、参戦部隊の対狙撃訓練を強化し、すぐに受動から能動に転じ、包囲攻撃作戦の勝利を勝ち取った。

チェチェン非合法武装勢力は地形環境を熟知していること、武器装備が軽便なこと、隠蔽された機動に便利なことなどの優勢を利用し、都市、山地などの防御戦闘の中で広範に狙撃戦を展開し、かつ以下のいくつかの主要な特徴を見せた。

1つは装備が先進的で技術が厳しい試練に耐えたものであること。何年か以来、チェチェン非合法武装勢力は各種のルートを通じて大量のロシア、アメリカ製の先進武器装備を購入済みで、その中のロシア製装備には、レーザー照準具を持つ「シャプノフ」スナイパーライフル、生産されたばかりの「カラシニコフ」自動小銃、「青蝿」型ロケットランチャーなど、アメリカ製のM16自動小銃、オートマチックグレネードランチャー、対戦車ミサイル、「スティンガー」兵個人対空ミサイルなどの武器があった。こうした武器の射撃精度は高く、射撃距離は遠く、重量は軽く、機能は大きく、狙撃行動を展開するのに理想的な武器だった。

また、彼らはさらに国際イスラム原理主義組織の紹介により、アフリカ、中東、南アジアなどの10近い国から数千人の傭兵軍を募集した。これらの傭兵軍は技術が熟練し、戦術が柔軟で、戦闘力が非常に強かった。チェチェン非合法武装勢力はこうした傭兵軍によって多くの狙撃手を養成した。

2つ目は戦法が柔軟で変化が多いことである。チェチェン非合法武装勢力は通常「防御を設けない防御」形式と「ヒットエンドラン」の戦術を取り、行動は神出鬼没だった。山地での防御戦闘の中では、狙撃手は通常敵サイドが発見し難い有利な地形に隠れ、突然にして正確な火力をもって進攻するロシア軍を殺傷し、要地、峠、隘路を支配した。都市防御戦闘の中では、彼らは2階以上の階、街道、地下施設を利用し立体の狙撃網を構成し、しかもさらにしばしば学校、病院などの公用施設を利用して狙撃陣地とした。狙撃人員はそれぞれの射撃位置で、通常何発か銃砲を撃ってすぐ逃げた。

ロシア軍を有効に射殺するため、一部の狙撃手はもっぱら車両のタイヤ、エンジン、燃料タンクを撃ち、人員が車外に暴露するよう強制し、しかる後に狙撃効果を再度拡大した。あるいは何人かの負傷者、死体あるいは装備を陣地前、交差点、都市内の地下鉄や地下施設など狙撃に便利なところに捨て、やってきて搬送あるいは救護するロシア軍人員を殺傷した。ロシア軍が掃討を実施する時、一部の狙撃手はまた変身し、「赤十字」の腕章をつけ、あるいは現地住民に偽装した。ロシア軍が行ってしまうと、彼らはまた武器を手にして背後から相手方を射殺した。ある非合法武装分子はさらに現地住民に変装し、複雑な都市あるいはその他の地形で道案内に充当され、ロシア軍を狙撃地域に引き込んだ。

3つ目は作戦単位が小さく、戦闘機能が大きいことである。チェチェン非合法武装勢力は通常3〜5人が1つの狙撃小グループを編成し、1つあるいはいくつかの小グループが1つの建築物を占拠し、1つの比較的大きな地域の支配を担当した。小グループ内の人員には視察、射撃など具体的な分業があり、行動時には情報の相互通信、相互の援護、支援ができた。あるかつての第一次チェチェン戦争の目撃者は次のように書いている。1人の経験ある狙撃手は、1両の戦車、1挺の機関銃あるいは一個歩兵分隊がなし難いことを成し遂げた。彼は敵サイドの指揮員を殺傷し、その戦車を破壊し、1本あるいは2本の街道を支配できた‥‥最も重要なのは相手方をずっと一種危険で不安なムードの中に置き、いつも突如やってくる射撃を心配させることだった。第一次チェチェン戦争の中で、多くのロシア軍指揮員、無線電信員など「重要人物」がチェチェン非合法武装勢力狙撃手のターゲットとなった。

第二次チェチェン戦争の中で、ロシア軍は非合法武装勢力の狙撃行動に照準を合わせ、自らの武器装備の優勢を充分に発揮し、敏捷多様な戦法をもってその狙撃行動を抑止し、その優勢の発揮を制限し、したがって有効に相手方を制圧し、味方サイドの人員の死傷を減らし、顕著な戦果を取得した。

先進的な対狙撃手段を運用し、対狙撃訓練を強化した。チェチェン戦争が開始されてほどなく、ロシア国防省はすぐに遅れず決定をなし、作戦部隊のために新型スナイパーライフルを装備し、かつ先進的なレーザーテレビシステム、夜視装置など戦場視察機材を配備した。

チェチェン戦争の中で、V-94スナイパーライフルは距離2kmの敵を狙撃して殺すことができた。次に、テロ分子はしばしば壁、掩体の後ろに身を隠し、しかもテロ分子はしばしば防弾チョッキなどの防護器財を装備しており、普通のライフルの射撃に不利な要素をもたらしていた。だが12.7mm弾の貫通力は非常に強く、直接掩体を打撃し、かつテロ分子に命中させることができ、しかも12.7mm弾のエネルギーは非常に大きく、いかなる部位に命中しても人の戦闘力を喪失させることができた。このような狙撃手は、テロ分子の体の暴露している部位を視察することによってその体の方位を判断でき、したがって射撃が実現できた。つまりテロ分子の建築物の後ろでの位置さえ確定できれば、すぐ発砲でき、威力が巨大な大口径弾は直接建築物を貫通してテロ分子を殺傷した。V-94スナイパーライフルはチェチェン非合法武装勢力の狙撃手に巨大な圧力と殺傷をもたらしたのである。

実戦の中でV-94スナイパーライフルは大口径スナイパーライフルの優勢と威力を充分に顕示し、これは世界のそれぞれの大きな軍事強国が全て争って大口径スナイパーライフルを装備する原因でもある。


 やむを得ず飛ばした機構の説明以外にもこの人は独自の用語法を用いる癖があるようで非常に読みにくかったです。これはさておき、

http://www.firearmsworld.net/russain/sr/v94/v94osv96.htm

 ここには多数の画像やマニュアルの内容などがあります。折りたためるという以外には特別大きな特徴はないようですが、非常に強力な弾薬を使用する銃を折りたたみ可能にし、しかも重量を過大にしないというのは設計上ある程度困難だったことでしょう。比較的短時間でガタが出る可能性もありますが、耐久性に関しては言及されていませんね。ちなみに貫通力は100mで18から20mmの鋼板を貫通できるとされています。















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