2.9.1.4 後方に位置する取り去り可能なストッパーによる結合

 これまで我々は分解システムについて論評してきたが、それらにおいては閉鎖機構が包底面を越えて前方に延長され、後退の制限はチャンバー前方でなされた。我々はここで短い閉鎖機構を持つ構造に取り組みたい。この場合閉鎖機構のストッパーはチャンバー後方に位置する。

 図2.9.4は最初の.22lfb(頑住吉注:LR)弾薬仕様のセルフローディングピストルであり、J.M.ブローニングによって設計されたコルトウッズマンの一部断面図を示している。閉鎖機構(b)は通常通りノッチと突起によってバレル方向にスライド可能にフレーム(1)と結合されている。スライドの運動は前部ではバレル端部とフレームによって制限される。後方のストッパーは阻止体(2)によって形成され、この阻止体はフレーム内のフライス加工部内にフィットしている。阻止体は上部はフレームにあてがわれ、下部は1本のピンによって保持されている。分解のためには閉鎖機構を後方に引き、ボタン(3)を介しての阻止スプリング(4)の押し下げによって閉鎖スプリングを圧縮された位置に保持する。その際阻止スプリングの端部はスプリングガイド(5)のすこし深くされた頭部にあてがわれている。保持ピンが銃から引き抜かれた後、阻止体は矢印の方向にまずフレーム内に、そしてその後上に押し動かされ、取り出すことができる。すると閉鎖機構はたやすく後方に抜き取れる。



図2.9.4 後方に位置する閉鎖機構ストッパー(コルトウッズマン)

(頑住吉注:いまいち分からん部分があるので全米ライフル協会刊「FIREARMS ASSEMBLY」で確認しました。リコイルスプリングガイドの「すこし深くされた頭部」というのは少し太くなった頭部の後端の中心がすり鉢状にくぼんでいることを指しています。図b)のようにツライチまで押し込まれてしまったボタンは手では引き戻せないはずですが、再度の組み込み後、スライドをいっぱいに引けば4の板バネの力でパチンと戻るようです。図では示されていませんが英語では「メインスプリングハウジング」とされている「阻止体」は下部において横に貫通するピンで固定されており、これを抜いた後矢印の方向に順に動かすというよりも反時計方向に回転させるようにして上部後方の突起によるかみ合いを外した後、言うまでもなく後下方に抜き取ります。なお、二式拳銃の「実銃について」の時には考慮に入れませんでしたが、これも「スライド型」「ストライカー式」「フレーム保持型」「後部持ち上げ型」という元々問題ある組み合わせの解決法の1つですね。ただ個人的にはあまり自然でないと言うか、気持ちよくないシステムです)

 この分解システムは比較的面倒である。だが短い閉鎖機構は製造技術上のメリットを提供する。このため他の設計者たちによっても後方ストッパーのための解決法が開発された。例えば初期のハイスタンダードモデル群では同じ位置にこうしたストッパーがある。ただこれが快適な方法で下方にスイング可能に作られているだけである(頑住吉注:これも前掲書で確認しましたが、フレーム右面にレバーセーフティに似たテイクダウンラッチがあり、下の図のようにその軸の一部が切り欠かれていて、テイクダウンラッチを回すと切り欠きが真上に位置してスライドが後方に抜ける、というだけのようです。低威力の.22LRだから問題なかったんでしょうがちょっと不安を感じるシステムです)。



 図2.9.5は特別に単純な構造を示している。閉鎖機構(3)はこの場合バレル(2)後方のフレーム(1)に開けられた穴内を走る。ピン(4)は閉鎖機構の運動方向と垂直の穴内に位置し、閉鎖機構の後方への動きを制限する。そして片側では頭部によって、他の側ではノッチ内に位置する保持スプリングによってずれが防がれている。閉鎖スプリングは一部は穴内に、一部は閉鎖機構内部でオープンに位置している。閉鎖スプリングはスプリングガイド(5)によって誘導され、スプリングガイドは後部にピン(4)用の切り欠きを持つ。閉鎖機構端部はフタ(6)によって閉鎖されている。ファイアリングピン(7)は閉鎖機構内で低く位置している。このスライド保持方法はハンガリーでブタペストのLampagyarによって1955年から1960年頃に作られた.22クルツ弾薬仕様のオリンピック用ラピッドファイアピストルで使われた。



図2.9.5 閉鎖機構ストッパーとしての横ピン a)原理的断面図 b)閉鎖機構の断面図

(こちらは非常に単純なので問題ないでしょう。閉鎖機構の組み立ての際、上の穴内に後方から、リコイルスプリング、ガイドを順に入れ、フタを押し込んでいちばん後ろのピンを横に貫通させるとリコイルスプリングはやや圧縮されて保持されます。この閉鎖機構を後方からフレームに入れ、4のピンを横に貫通させると閉鎖機構は後方に抜けなくなり、後退させるとピンの存在によってリコイルスプリングガイドだけは動けず、リコイルスプリングが圧縮されます。ピンは頭がやや太くなっていて向こう側には突き抜けず、先端はスプリングで保持されるとされています。要するにM16のテイクダウンピンみたいな感じでしょう)


 これらは閉鎖機構が軽いほうが望ましく、また工具なしで素早く分解できることがあまり重要視されない.22LR弾薬使用のスポーツピストルだから許された方法でしょう。








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