南シナ海の国際仲裁裁判関連2題

 フィリピンに有利な裁定が出そうな一方、フィリピンで裁判自体に否定的で中国との談判を主張する大統領候補が当選するなど、先行きがよく分からなくなりつつある感じですが。

http://military.china.com/news/568/20160525/22733474.html


「仲裁法廷」は南海情勢をさらに複雑にさせる 中国が執行しないのは合法

【グローバルネット報道 記者 任梅子】 香港の「文匯報」5月25日の報道によれば、フィリピンが一方的にハーグ国際海洋法廷に提出したいわゆる「南海仲裁案」は6月に結果が発表される見込みである。外界は、いわゆる「仲裁法廷」が「マニラ当局に対し有利」な裁決を出すと予測している。中国社会科学院中国国境研究所党委員会書記、副所長の李国強研究員は、仲裁裁決の後、アメリカなどの国は中国の仲裁裁決不承認、不執行を理由に、中国に対し新たな外交攻勢を発起し、南中国海情勢は仲裁によってかえってより複雑さと動揺を加える可能性があるが、国家の領土主権と海洋権益を維持保護する中国政府の決意と意志を動揺させることはないだろう、と考える。

最近、いわゆる「南海仲裁案」の結果発表が近づき、フィリピン、アメリカ、日本、イギリスなどの国が大きな力を入れて国際世論を煽り、中国に服従を迫ることを企図している。だが李国強は、「仲裁法廷」の組織は一連の間違った基礎の上に建立されている、と指摘する。彼は、フィリピンが提出した仲裁事項は本質の上では島礁の領土主権問題であるが、領土問題は「国連海洋法条約」の調整範囲ではなく、慣習国際法の調整範囲であって、「仲裁法廷」は領土問題に対し裁定を出すことはできず、このため本案に対しては最初からもう理の当然に受理しないべきである、と語る。

フィリピン、「約定は遵守が必須」の国際法の原則に違反

李国強は、「中国は関連の争いにつき強制争い解決プロセスを受け入れることに同意したことは全くないが、フィリピンは一方的に強制仲裁を提起し、『国連海洋法条約』の規定に違反しており、『仲裁法廷』は当然締結国が自ら争い解決の方式を選択する権利を充分尊重すべきである。」と語る。

説明によれば、「国連海洋法条約」は領土主権問題に関わらない。海域画定問題に対しては、「条約」は締結国が強制仲裁など強制争い解決プロセスの適用を排除することを許している。李国強は、「排除」声明は「条約」の争い解決プロセスの不可欠な組成部分を構成し、「条約」のあらゆる締結国に対し法的効力を持つ、とする。仲裁を受け入れず、参加せず、は「条約」が賦与した権利である。

2002年中国とASEAN諸国は「南海各方行為宣言」を締結し、その中の第4条は、関連の争いは直接当事国によって談判と協議を通じて解決される、と規定しているが、フィリピンは明らかに「約定は遵守することが必須」の国際法の基本原則に違反している。

李国強は次のように言う。中国・フィリピン間には談判方式によって関連の争いを解決する協定が存在し、双方の外交協議は決して尽くされていない、フィリピンは強制仲裁提出前、「条約」が規定する「意見交換の義務」および「救済方法を極力用いる」など強制的性質の国際的義務も尽くしておらず、「仲裁法廷」は当然関連国が争いを平和的に解決するためになす努力を充分尊重すべきである。だが遺憾なことに、海洋法廷は不公正な選択をし、それが組織する「仲裁法廷」はこの前提を深刻に軽視した。この権威ある専門家は指摘する。「仲裁法廷」が「どのような裁決を出そうとも、必ず領土主権争いや海域画定に関わり、このため「仲裁法廷」は明らかに司法権拡大濫用行為に属する。前提が間違っている以上、その結果は当然正しいことはあり得ない。

仲裁後南海情勢はあるいはさらに動揺するか

仲裁の結果に対し、中国政府はすでに何度も承認せず、執行せずの厳正な立場を表明している。李国強は、仲裁後南海問題は依然長期的に存在し、決して採決結果ゆえに徹底した解決が得られることはない、と指摘する。彼は、仲裁裁決後、アメリカなどの国が中国の仲裁裁決不承認、不執行を理由として利用し、中国に対し新たな攻勢を発起し、南海情勢は仲裁ゆえにより複雑さと動揺を加えかもしれず、例えば某いくつかの国はさらにほしいままに南海で軍事活動を行い、より多くの国が仲裁プロセスを濫用して外交努力を放棄するなどである、と判断する。

李国強は強調し、フィリピンが国際仲裁を強硬に推進することは、中国・フィリピンの南海の争い解決の助けにならず、中国が南沙諸島およびその付近海域に対し主権を持つという歴史と現実を改変することはなく、中国政府が国家の領土主権と海洋権益を維持保護する決意と意志を動揺させることはなく、中国が外交談判によって関係の争いを解決する、および当地域の国家と共同で南海の平和と安定を維持保護する政策と立場に影響することはないだろう、とする。


http://war.163.com/16/0525/08/BNT8D50F00014OMD.html


中国、南海仲裁案に強力に反撃 外交部:アメリカの中立を望む

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:解放軍南海艦隊が南沙を巡航」)

【グローバル時報総合報道】 南海仲裁案の裁決が近づくにつれ、フィリピン・アメリカなどの国が南海の争いの真相を混淆させる世論攻勢への中国政府の国際的な反撃も高潮に到達している。24日、外交部長の王毅は上海協力機構タシケント(頑住吉注:ウズベキスタンの首都)外交トップ会談に出席した後で記者会見した時記者に、「南海問題の上で、基本的事実をかえりみず、あくまで盟友の線引通り、わざと政治的に騒ぎ立てるいかなる行為も人の共感を得ず、自ら信用と評判を損ない、ついには実りなく終わる。」と語った。同じ日、上海協力機構組織秘書長のアリモフは南海問題につき声明を発表し、我々は域外の国が南海問題に介入するのに断固反対し、南海問題を国際化することに反対する。」とした。

24日、中国外交部ウェブサイトは今月19日外交部副部長の劉振民がアメリカメディア代表団と会見したことを発表し、南海問題のクエッション・アンサー内容を紹介した。アメリカの「週刊ニュース」記者の「中国には南海問題の上で譲れない裁定ラインはあるのか否か」との問題に回答する時に劉振民は、南海問題の上で、我々の譲れない最低ラインは「アメリカが片方を選んで徒党を組まないよう希望することだ。つまりあなたがたはいわゆる同盟国を支持して中国に対応するなということだ。」とした。フィリピンが推進する南海仲裁案に言及した時に彼は、これは一方がもう一方を侮辱する政治操作で、国際法の歴史上悪名高い案件となり」、「時間の推移につれ、仲裁案の背後に隠された深遠な哲理や陰謀も世に明らかになると信じる。」と語った。

最近、多くの中国駐外国大使も次々手に出、国際的に「南海権利維持」を行っている。駐イギリス大使の劉暁明は「金融時報」に「誰が南海の緊張した情勢を作り出しているのか?」を発表したのに続き、またロンドン国際戦略研究所で「中国は南海の平和と安定を維持保護する中核力量」と題する主旨演説を発表した。中国駐モルディブ大使の王福康はこの国の主流メディア「太陽オンライン」上に「いわゆる『南海仲裁案』の真相」を発表し、中国駐ルーマニア大使の徐飛洪はルーマニアの大手新聞「真理報」に「あなたは中国南海を理解しているか」を発表し、中国駐アラブ首長国連邦大使の常華は「湾岸時報」に署名入りの文章「フィリピンの南海仲裁案は国際法理に違反」を発表した、等々である。

アメリカの「クリスチャン・サイエンス・モニター」は次のように言う。何十年来、アメリカが東アジアの利益を保護する方法は一連の二国間関係を締結することである。今アメリカのこうした友達たちは直接連合し作戦している。まずは「三角関係」で、例えば去年以来日本、オーストラリア、インドは海上の安全方面でハイレベル談話を展開しており、次は「二国間交易」で、例えばインドはベトナムに1億アメリカドルを貸して巡航船を購入させ、日本は偵察機をフィリピンに賃貸している。「だが中国には譲歩の兆しはないようだ。」 専門家は、続く何週かは「非常に重要なカギたる時間的ポイントになる」とする。ハーグ仲裁法廷の裁決に直面し、もし中国の立場が強硬だったら、中国に対抗する「四カ国連合」(アメリカ、日本、オーストラリア、インド)が形成されるかもしれない。

「国際仲裁がもたらす面倒は(頑住吉注:他の?)方法に比べずっと多く、それは地縁政治の緊張度を激化させるだけだろう」 アメリカのメリーランド大学教授Schottはオーストラリアメディアに対し、「中米間の衝突は本来は妥当に管理でき、何故なら双方のグローバルな目標と経済利益には比較的大きな重なる面があるからだ。だが現在人々の最大の危惧は、南海の争いの局部小事件がコントロールを失い、続いて多くの国が巻き込まれる戦争の導火線に発展変化するという心配だ。」とした。


 本当に「続く何週かは『非常に重要なカギたる時間的ポイントになる』」んでしょうか。法律の高度な専門家の集まりであるはずの国際裁判所が本来できないはずの裁定を出したら当然歴史的汚点になるでしょうが、それは彼らも当然分かっているはずで、ならばそういうことはせず、裁判所に裁定を出す正当な権限があるという論理を展開した上で裁定を出すはずだと思われ、その内容、およびさらにそれに対する中国の反論にも注目したいです。















戻るボタン