台湾の機密入りノートパソコンがミサイル艇上から消失

 コラムでも触れた事件です。もう少し詳しく論評したページがあったので内容を紹介しますが、まずコラムの内容を転載しておきます。

6月16日

 北朝鮮スパイ、ウクライナで逮捕、という情報もそうでしたが、これもスパイ映画ばりの事件です。

http://military.china.com/top01/11053250/20120612/17252064.html


台湾軍ステルス艇の秘密パソコンが消え、すでに大陸の手中に落ちたと伝えられる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:光華六号ミサイル艇」)

原題:伝えられるところによると核心的機密入り 大陸の手中に落ちることが心配される

台湾のステルス快速艇の機密パソコン、不可思議な消失

台湾で伝えられるところによれば台湾海軍の核心的機密の入ったパソコンが、台湾軍最新の「光華六号」ミサイル艇の上で不可思議にも消失して半月、今に至るもいかなる手がかりもない。台湾の「林檎日報」が11日に公表したこの情報は、島内に1発の大型爆弾を投下したがごとしで、関係する台湾海軍、「中科院」(頑住吉注:台湾最高のハイテク研究機関)、およびメーカーが互いに責任を押し付けあい、台湾の「国防部長」高華柱は激怒して徹底調査を下令した。だが調査で何の結論も出ていない状況下で、軍は習慣的に猜疑の目を大陸に向けている。

報道は、台湾海軍の「小をもって大と戦う」新戦術の主力として、「光華六号」ミサイル艇は去年続々と引き渡しが行われ、主に台湾海軍「海蛟」(頑住吉注:海にすむ竜、みずち)大隊に配備された。だが「中科院」により依然、各種の武器、通信システムのテストが行われ、「中科院」はまだ多くのプロジェクトを民間メーカーに委託する。告発者は、台湾の民間メーカーが先月末台湾軍に対し不満げに、あるノートパソコンが高雄左営軍港内で紛失したと告げた、とする。それによれば、このノートパソコンは「光華六号」ミサイル艇上に装備され、戦術テストの使用に供されていた。海に出てテストした時にはミサイル艇上にあったが、帰投して岸に近づいた時には取り外されていた。関係するテストデータは全て機密資料に属する。台湾海軍「海蛟」大隊の大隊長である呉立平大佐は、台湾の「中科院」の人員が5月3〜4日の期間、船上に来て装備をテストし、5月25日に船上で装備の検査を実施した時、パソコンが定位置にないことに気付いた、とする。保管人員は、「中科院」がすでにパソコンを検査、修理のため送り返したと考えたため、直ちに上部に報告しなかった。台湾海軍はその後「中科院」およびメーカーに連絡したが、精査を経ても三方いずれもパソコンを探し出せていない。

台湾メディアは、「光華六号」ミサイル艇は4発の「雄風-2」対艦ミサイルを装備しており、ステルス性、高速という特徴を持ち、150km離れた解放軍戦闘艦を直接攻撃できる、台湾海軍が唯一「素早く、容赦なく、正確に」の方式で大陸の軍艦を攻撃できる作戦武器である、とする。このパソコンは「光華六号」のテスト作業をすでに少なくとも半年執行し、パソコンと艦上システムは接続されていたため、「雄風-2」対艦ミサイルおよびミサイル艇の実戦テストデータが入っている可能性がある。事情を知る人は驚きに叫んだ。もしパソコンを大陸に獲得させれば、「光華六号」と「雄風-2」のあらゆる戦術が全て中国に掌握されるのに等しい、と。

台湾の「中央社」は11日、台湾軍は5月25日にはもうパソコンが見当たらないことに気付いていたのに、6月10日にまで遅れてやっとプロジェクト調査チームを作り、「海蛟」が事件を2週間以上隠しただけでなく、「中科院」と台湾海軍は10日午後になっても調査機構を発動しなかったのだ、とした。


 「光華六号」と「雄風-2」については「中国から見た台湾のミサイル艦艇」の項目にも登場しました。現在中国は無人機に非常に力を入れており、「中国、無人攻撃機を開発中」の項目には、「超小型偵察無人機〜は建築物あるいは艦艇内部に進入して偵察を行うことができ」なんて記述があり、中国の小型無人ヘリコプターがノートパソコンを奪って逃げる図が目に浮かびますが(笑)、まあいくらなんでもそんな可能性は低いでしょう。戦艦「武蔵」の建造にあたり、スパイでも何でもないある作業員が仕事の不満から図面を1枚焼却してしまい、スパイの仕業かと大問題になった件のように、実際には簡単な事件である可能性の方が高いと思いますし、またそうあってほしいです。


 続いて今回初めて紹介するページです。

http://creationhk.blog.ifeng.com/article/18265726.html


誰が台湾軍のパソコンを動かしたのか?

光六快速艇の設備が消失 不適当な管理が自らスキャンダルを招く

概要:台湾軍の軍用ノートパソコンが意外にも消失して半月、こともあろうに軍全体が全く分からないのである。台湾軍の購入は国防部軍事調達局を経由して行われる。以前台湾軍はラファイエット戦闘艦(頑住吉注:フランスのラファイエット級フリゲート艦)を購入したが、グレードアップの詳細が同時に大陸にも与えられた。フランスが同時に両岸の間で利益を得ることを望んだとも伝えられるが、台湾軍の手抜かりは内因的なものだった。

安全薄弱:「戦いを忘れれば必ず危うし」と快速艇の盗難事件

ほんの先週、馬英九は初めて台湾三軍の総指揮官として、ヘルメットをかぶって「天下は平安だが、戦いを忘れれば必ず危うしだ」と叫んだのだが、事実としては台湾軍の軍力、軍心、軍備の三つは皆たるんでいた。

(頑住吉注:原ページのここに馬英九台湾総統が自ら台湾軍の演習を視察した時の画像がありますが、細かい字の方は判読できません。ちなみに明らかにスチールヘルメットと書いてありますがどう見てもケブラー製ですよね)

台湾の「時報週刊」は以前、台湾軍大平島守備軍がベトナムの挑発に遭遇し、目いっぱいに涙さえ光らせたというばつの悪い醜聞を披露した。台湾軍部は事後この報道を否定したが、台湾軍の危機広報能力は相次ぐ事件の中ですでに不断に削減されている。

当時林毅夫(頑住吉注:台湾陸軍士官学校を卒業したがその後大陸に投降、北京大学の中国経済研究センター主任、教授などとして重用されている人です)が金門から大陸に渡ったことが台湾の軍心に与えた影響は、ありありと目の前にあるように回想される。現在でさえ台湾は林の逃亡を赦免し得ていない。台湾の「国防部」は林毅夫がもし台湾に戻ったら、依然訴追の必要があると表明している。筆者は林に対する死刑判決の可能性がすこぶる大だと思う。

つい先月台湾軍のミサイル曳航標的が民家の上空で爆発し、そして今回の台湾軍軍用ノートパソコンの思いがけない消失が再度爆発して半月だが、こともあろうに軍全体が全く分からないのである。この件に関しては大平島でのベトナムとの遭遇とは異なり、台湾軍部はミスを認め、調査の必要があることを表明している。だが、このことは元々すでに瀬戸際だった台湾軍の自信を再度谷底に落とした。

(頑住吉注:原ページにはここに画像がありますが、細かい字はやはり読めません。上は「密かに追跡でき、速度が速い 光六快速艇は敵を制する主力」、下は「光六艇のノートパソコン遺失 軍部手落ちを率直に認める」となっています。)

部門の問題:台湾の多くの部門は責任をなすりつける

台湾海軍の光華六号ミサイル快速艇上の軍用テストノートパソコンが盗難に遭って失われて半月近くになるが、「国防部」と海軍司令部がこともあろうに全く分からないというのは実に不可思議である。事情が昨日メディアによって明るみに出た後、海軍、中科院、メーカーは互いに責任をなすりつけ、依然このはめ込み式に装備されていたノートパソコンが一体どのように盗難に遭ったのか、はっきりしていない。

「台湾海軍海蛟大隊の大隊長である呉立平大佐が昨日認めたところによると、台湾の中科院の人員が5月3、4日の期間、船上に来て装備をテストし、5月25日に船上で装備の検査を実施した時、やっとパソコンが定位置にないことに気付いた。保管者が、中科院人員が検査、修理のため送り返したと言ったため、艇長は直ちに報告しなかった。検査、連絡を経ても、今なお明確な結果は出ていない(頑住吉注:太字は頑住吉による。前のページと明らかにニュアンスが違い、これではこの保管者が怪しいように思えてしまいます)。

彼は、「海蛟中隊はずっとパソコンは中科院の検査に送り返されたと思っていた。確認、精査を続ける。状況が確定する前であっても大隊に直ちに報告しなかった仕事の仕方には間違いなく手落ちがある。」旨表明した。」

(頑住吉注:原ページにはここに画像があり、見出しは「機密、中国に見られる」です)

いかに責任転嫁しようとも、台湾軍の安全保障の手落ちが頻繁に起き、台湾の軍心のたるみに対する民間の批判がこれ以上ないものになるのは必然である。

台湾軍、機密性を買う

(頑住吉注:原ページにはここに画像があり、今回の事件が起きた光華六号ミサイル艇および搭載の雄風-2対艦ミサイルと、1世代前のものと思われるミサイル艇、対艦ミサイルのサイズを比較しています。いずれもより大型であることが分かります。)

「中科院資通所所長代理の林高洲大佐は次のように語る。海軍はパソコンが見えないのに気付くと、中科院およびメーカーに連絡したが、精査を経ても三方いずれも、今に至るもなおパソコンを探し出せていない。中科院にもサインして受け取ったという記録はない。林高洲は次のように強調する。このパソコンは海軍の必要によって計画し作られた通信システムであり、快速艇の現有の戦闘システムとは無関係で、(頑住吉注:入っていたのは?)テスト用ソフトウェアに属し、主にデータ転送に用いられる。メールは通信システムの一部分で、かつ装備(頑住吉注:しようとする?)段階にあり、いかなる指揮管制に関係するデータもなく、国家の安全に関わる情報が外に漏れる懸念はない。」

台湾軍部の軍事的購入は国防部軍備局調達センターを経由して行われる(前身は国防部調達局)

(頑住吉注:原ページにはここに台湾国防部公式サイトの画像があります)

ラファイエット艦のスキャンダル(台湾がラファイエット戦闘艦を購入したが、そのグレードアップ装備の詳細が同時に大陸サイドに知られた。この時フランスの武器販売方は両岸の間で同時に武器と情報の代価を獲得することを希望したとも伝えられる。だが台湾の情報機関が手落ち百出であることこそ内因である)から始まり、また今回の戦闘艦のパソコン盗難に至るまでを見ると、何度もの軍の調達に「抽水」事件が発生していたか否か、調査の価値がある(頑住吉注:「抽水」はポンプで水をくみ上げるといった意味ですが、ここでは情報漏えいを指しているんでしょうか)。

(頑住吉注:原ページにはここに光華六号ミサイル艇および雄風-2対艦ミサイルのスペック等が載った台湾サイトのページの画像、および今回の事件を報じたページの画像があります)

台湾の外部からの侵略に抗する戦力に疑いが生じる

アメリカの台湾に対する武器販売は両岸関係発展の足かせになる。親子兄弟のような最も親密な関係についてはこの際言わないが、両岸は手を携えて中国の南海の権利を守ることができるか否か? 台湾軍の大平島を防衛する戦力、補給は不足しているが、もし台湾がアメリカから購入したF-16戦闘機やC-130輸送機を大平島防衛に用いれば、あるいは一定の作用があるかもしれない。

(頑住吉注:原ページにはここに、雄風-2対艦ミサイルとC-130輸送機の画像があり、後者のページのタイトルは「台湾軍特殊部隊、4時間以内に南沙諸島に増援可能 F-16がC-130を護衛」となっています。)

だが今回の戦闘艦のパソコンの思いがけぬ消失は、外界をも意外に思わせた。もし台湾の軍備管理がこのように混乱し、パソコンさえ消失させ得るならば、戦争になっても弾がなく砲が沈黙する可能性も排除できない。

いかにして大陸と軍事的に対抗し、アメリカの支持するいわゆる「対上陸戦力」を発展するかはもちろんのこと、ベトナム軍サイドと南沙諸島の大平島で台湾が対峙したら満面に涙を流す(頑住吉注:見たんかい)臆病さでは国土も守れない。

台湾は軍心を粛清し、軍備調達管理と登記をしっかり行うべきである。全くダメだ。すぐに祖国の軍隊に助けを求めるしかない。‥‥大平島がもし失われたら馬英九が責任を負うことは必須である。


 思うんですけど中国人って他国(まあ台湾は国じゃない建前ですけど)の失敗やら不幸をものすごく嬉しそうに書きますよね。嬉しがるだけならまだしも、今回の事件を台湾を実質的に支配下に置く好機にしようとしているわけで、何とも嫌なトーンと主張です。台湾軍の重要情報漏えいの可能性はないという主張が正しければいいんですが。

 本題と関係ないですが、林毅夫という人は本当に実力通りに評価されて多くの重要なポストが与えられたんでしょうか。それとも続いての造反を促す意味もあっての措置なんでしょうか。この人のことを検索していて、台湾版Wikipediaのこんなページを見つけました。

http://zh.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%8B%E8%BB%8D%E8%88%87%E8%A7%A3%E6%94%BE%E8%BB%8D%E9%96%93%E7%9A%84%E9%A7%95%E6%A9%9F%E5%8F%9B%E9%80%83%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 大陸と台湾の間で起きた、軍用機に乗っての亡命事件に関するページです。日本に直接関係するミグ-25事件は有名ですが、両岸でこんなに多くのこの種の事件が起きていたというのも意外でした、

両岸相互の造反逃亡が起きた数の統計
時期 台湾軍 解放軍
1945〜46年 2 0
1948年9月〜50年1月 27 0
1951〜56年 12 0
1960年〜65年 1 4
1969年 1 0
1977年 0 1
1981〜89年 3 8

 イメージ的には台湾に逃げてくる方が多そうな感じがしますが、1940〜50年代には逆の方がずっと多かったんですね。1978年に中国で改革開放が始まった後に一時期中国からの逃亡が増えた理由、その後ぱったりなくなった理由も気になります。











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