C919初飛行

 この記事は初飛行直前のものですが、いろいろ興味深い内容を含んでいました。

http://military.china.com/news/568/20170505/30490252_all.html#page_2


中国のC919大型機、今日初飛行へ すでに全世界で570機の受注を獲得

もし突発的な劣悪な天候状況がなかったら、中国初の完全自主知的財産権の国産支線旅客機C919は5日初めて地面を離れ初飛行を行う。今回大きな期待を寄せられる飛行試験は全世界の航空業界の視線を吸引しているが、C919の研究開発サイドである中国商飛社の眼中では、国産大型旅客機の天空への飛翔は「万里の長征でまた前に踏み出す一歩」としか評価できない。

C919の初飛行にはどんな見所があるか

報道によれば、5日初の試験飛行に参加するC919の内部レイアウトは普通の旅客機と大きく違い、機内には列をなした座席はなく、大量の専用の機器設備が追加装備されている。「グローバル時報」記者の理解によれば、この機が測定試験を必要とするパラメータは4.4万を超え、その中の数千のパラメータは試験飛行時に地上に伝えられ、管制塔はすぐに飛行機の試験飛行時の完備された状態を監視下に置くことができる。

商飛社試験飛行工程部部長の由立岩は「グローバル時報」記者に教えた。このC919旅客機の初飛行任務を担当する機クルーメンバーは豊富な操縦経験を持つ5人の小グループから構成され、その中には2名の飛行員、1名の視察員、2名の試験飛行工程師が含まれる。

このうち視察員は機のキャビン内で飛行員の操縦時の動作が試験飛行の要求に符合するか否かを視察するのを担当し、試験飛行工程師は客室内で随時機載測定試験システムのパラメータを記録および判読し、それぞれの試験飛行動作が合格し有効か否かを判断する。

由立岩が明らかにするところによれば、第1回目の飛行時間は90〜120分かかる。一般人が想像する「試験飛行は簡単に飛んだ後さらに降着する」といったような「様子工程」(頑住吉注:形だけみたいな感じでしょうか)とは異なり、C919の初飛行はもう多項目の初飛行任務を完成させる。それが飛び立つ前から降着後まで、全部で15の試験ポイントがあり、多くの段階に分かれ、それぞれ地上検査段階、上昇段階、水平飛行段階、模擬アプローチ、タッチアンドゴー段階、着陸段階である。初飛行の過程の中で、C919の最大高度は1万フィートで、最大速度は170ノットである。

簡単に見える試験飛行だが、実は全プロセスが非常に謹厳である。説明によれば、C919の飛行過程の中で、機クルーメンバーはさらに手持ちのGPSデータによって、C919飛行機自身、地上遠隔測定などの途中で獲得するデータと対比し、飛行機の空中速度測定システムが正常か否かを分析判断する。多くのルートで空中速度データを獲得することは、初飛行する機にとって非常に重要だということを知る必要があり、もし飛行機自身の空中速度測定システムだけを使用したら、このシステムの異常発生がミスをもたらし、結果は非常に深刻になる可能性がある。データの検査を待って誤りがなかった後でも、C919は直ちに降着せず、8,500フィートの高度を模擬滑走路として、タッチアンドゴーを行うだろう。全過程に誤りがないのを待った後、やっと真に降着する。慣例に照らし、完全確保のため、初飛行時C919は全過程脚を収納せず、かつフラップを下げた状態を保持する。

報道によれば、今回のC919初飛行時、さらにもう1機の飛行機が随伴飛行を行い、これは中国民間航空機試験飛行の中で初のことである。説明によれば、随伴飛行する飛行機は事前に初飛行空域に進入し、付近の風、温度、雲の状況など気象の実際の状況を了解し、飛行に影響する危険な天候の存在を排除する。それはさらにC919機の外観、例えば舵面、脚、油漏れしているか否かなどの状況に対し視察を行い、C919機のために高度/速度の参考を提供することができる。もし条件が許す状況下なら、随伴飛行機上の人員によってC919機に対し外部撮影録画を行い、初飛行の映像資料を留保する。

全民間航空の付随する産業のグレードアップを連動させる

某種の意味の上から言って、C919の初飛行のタイミングはこれまでにかつて何度も変更され、外界の関心を受ける重要な原因でもあった。「グローバル時報」記者の理解によれば、国産大型機が羽根を広げるのが困難なのは、さらにそれが全民間航空の付随する産業のグレードアップを連動させる期待を寄せられていることにも理由がある。

C919大型旅客機副総設計師の周貴栄は4日インタビューを受けた時次のように言った。自身のカギとなる重要な技術研究開発の完成と同時に、C919は国内航空産業発展を連動させかつ国内の有名なカギとなる重要システムの供給商をも作り出す。これには国内企業と国内外合資企業の本土化生産が含まれる。だがこの種の政策は客観的にはC919の研究開発難度を上げもした。

例えば「control law」というこのあまり見ない航空専門用語は飛行員の操縦動作と飛行機の相応の姿勢の関係を直接反映し、「飛行機の霊魂」と形容され、フライバイワイヤ飛行コントロールを実現する核心技術でもある。上海飛行機設計研究院の操作安定特性・control law室設計主管の羅東徽は、アメリカが厳格に中国サイドに向けこの核心技術を提供するのを禁止しているため、自分たちは止むを得ず「一切をゼロから」この研究開発難度が極めて高い作業を開始し、control law問題は一度はC919初飛行の「道を阻む虎」とも見られた、と認めた。だが慶祝に値するのは、今関連技術を突破した後、第1回の蓄積があり、後続の機種の研究開発時にはもう相対的に容易なものに変わるだろうことである。

C919が研究開発の中で中国民間航空産業の付随する施設のグレードアップを連動させるのはまだ非常に多い。例えば中国商飛は快速反応センターを設立し、それぞれの関連領域の工程師は当番ビルで随時命令を待ち、突発事件に遭遇した時はいちはやく解決できる。このセンターは同時にさらにC919旅客機に対するリアルタイムの監視コントロールを担当し、随時機載設備のデータリンクによってリアルタイムにデータをアップしまだダウンロードし、飛行機の健康状態を掌握し、これには位置、速度、設備運行が異常か否かなどが含まれる。こうした国際先進指標に符合する自動監視コントロールパラメータは地上人員にはっきりと旅客機の状況を了解させることができる。

C919の未来はどうか?

初飛行完成後、C919の研究開発作業は新たな段階に入り始める。説明によれば、C919は将来全部で6機の試験飛行機が製造され、それぞれ異なる試験飛行任務を担い、もって研究開発進度を加速する。だがC919副総設計師である傅国華の見たところ、C919初飛行は「万里の長征でまた前に踏み出す一歩」でしかない。試験飛行後、C919が直面する最大の挑戦は局サイドの航行適正鑑定試験飛行段階入りし、飛行機の性能が航行適正証書を獲得することを検証し、最終的に市場での運営に入ることである。

多くの航空業界内の人物も「グローバル時報」記者に教えた。エアバス、ボーイングなどの航空の巨頭も、日本の三菱社といったこのような民間航空の新人も、全く新しい旅客機の研究開発時にはかつて全て各種の挫折に遭遇しており、予見できるのは、C919も研究開発過程の中で完全に曲折がないことはあり得ないということだが、これに対し社会各界は平穏な心的態度をもって見るべきである。

傅国華は、現在C919が主に照準を合わせる国際市場はすでにボーイング737およびエアバスA320によって占拠されていることを認める。ボーイング、エアバスの強大な挑戦に直面し、C919最大の優勢は後発の優勢である。結局のところこうしたライバルの当初設計は全て何十年前の設計であって、2大航空巨頭はいずれも相応のニューバージョンの旅客機を登場させているが、以前のいくつかの不合理な当初設計に制限を受け、いくつかの特性は改変が非常に難しい。例えば航空会社は普遍的にボーイング737の座席は過度に狭いと報告しているが、これはその機体の幅によって決定されている。C919はこうした不足を総括し、機体と客室の幅を拡大することによって、旅客により良い搭乗体験を持たせる。

報道によれば、現在C919はすでに全世界570機の発注を獲得しており、その中にはさらにアメリカのゼネラルエレクトリックリース、ドイツのプーレン航空、タイ都市航空などの国際顧客が含まれる。だが正式引き渡しの前、C919はまだアメリカ連邦航空管理局(FAA)とヨーロッパ航空安全局(EASA)の航行適正証問題を解決する必要がある。だが「グローバル時報」記者の理解によれば、C919は現在中国民間航空局の航行適正審査を受けつつあり、同時に中国・ヨーロッパ間航行適正談判の一部分となる。アメリカのブルームバーグ社は、中国は年内にアメリカおよびEUと新たな航行適正協定を達成する計画である、とする。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「C919初飛行機クルー人員」)


 技術封鎖により独自に手探りで開発せざるを得ない部分があるということは思いもよらない不具合が隠されている可能性もあり、それはすぐには顕在化しないかもしれず、初期には問題がいろいろありそうですね。


















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