「ミストラル」関連2題

 中国が獲得する可能性はどうなんでしょうか。

http://military.china.com/news/568/20150519/19709114.html


外国メディア、中国が2隻の「ミストラル」艦を引き継ぐと推測 ロシア・フランスいずれも興味なし

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。)

5月16日はロシアがフランスに向け提出した「ミストラル」強襲揚陸艦引き渡しの最終期限だった。しかし2隻の建造が整ったばかりの軍艦は5月17日、依然静かにフランス西部のサンナゼール造船工場の埠頭に停泊している。このことは、フランスの契約破棄がすでに決定事項となったことを示し、残された賠償の紛糾をいかに解決するか、および「ミストラル」の未来の行く末がメディアの関心を注ぐ新たな焦点となっている。

2011年6月、フランスはロシアと談判の反復を経て最終的に契約を締結し、これはフランスはロシアのために2隻の「ミストラル」級強襲揚陸艦を製造するという大型契約で、契約の総額は12億ユーロにも達する。「ミストラル」は排水量2.1万トン、航行速度は18.8ノット(およそ時速33km)を超え、最大航続距離は2万海里である。定員は160人、最多で450人搭載できる。全長200m、全幅32m、兵士を輸送して上陸させる35機の小型ヘリあるいは16機の大型ヘリを搭載でき、このうち6機は同時に発着甲板上に駐機でき、ゆえに「ヘリ空母」の呼び名がある。またこの艦はさらに水陸両用装甲車や戦車などの大型装備が搭載できる。「ミストラル」は遠征指揮ステーション、ヘリ空母、上陸艇プラットフォームなどの機能を一体に集めており、同時に遠距離兵力投入、水陸両用作戦および指揮能力を持つ。フランスメディアはこの多機能軍艦を「海上のスイスアーミーナイフ」と称する(頑住吉注:以前ラファールもこれに例えられているという記述ありましたね)。「ミストラル」はフランス海軍現役のうち2番目に大きな艦船で(頑住吉注:ちなみに一番大きいのは空母シャルル ドゴールですね)、2011年にフランスはリビア戦争の中で「ミストラル」級戦闘艦を動員し、NATOの快速反応部隊海上戦力の枢軸として、その独特の軍事的価値を見せた。ロシアは「ミストラル」の性能を非常に気に入っており、この級の艦船を持てば、ロシア艦隊に元々26時間を必要としてやっと完成できた軍事行動を40分以内に完成させられる能力を持たせることになる、とされている。

ロシア、「ミストラル」に対し興味を失う

契約によれば、フランスサイドは2014年11月にロシアサイドに向け第1隻目の「ミストラル」を引き渡すと定められていた。しかし、去年突如起きたウクライナ戦争がこの兵器に関する商売をかき乱した。

去年3月、西側諸国はモスクワがクリミアを「併合」したことおよびウクライナ東部を戦乱に巻き込んだことを非難してロシアに対し制裁を実施した。フランスは「ミストラル」引き渡しを道具にロシアに向け圧力をかけた。このようにして、本来は純粋な兵器に関する商売だったものが、西側とロシアの間の政治的勝負に発展変化したのである。去年11月フランス政府はすでに建造が完成している第1隻目の「ミストラル」のロシアに向けての引き渡しの暫時停止を決定した。ロシアサイドは強烈な反応をなし、フランスサイドが直ちに契約を執行することを要求し、かつ2015年5月16日が「ミストラル」引き渡しの最終期限であり、さもなければ高額の損害賠償訴訟を提起すると明確に提示した。フランス政府は引き延ばし続け、継続してモスクワにウクライナ問題に関する停戦協定を実行するよう要求した。

今年4月、この紛糾に転機が出現した。ロシア大統領プーチンとフランス大統領オランドはアルメニア民族虐殺100周年記念活動に参加した期間に会見を行い、「ミストラル」問題解決の道を探求した。会見後双方が明らかにした情報から見て、契約破棄はすでに避け難く、解決を必要とするのはいかにしてこの紛糾を「体面を保って終わらせる」かである。オランドは、現在討論しているのは賠償金額の問題であると強調する。プーチンはできる限り早くこの休止することなき論争を終わらせることを要求している。

賠償金額に関しては、5月15日にロシアサイドが明らかにしたところによれば、モスクワはフランスサイドに11.63億ユーロの支払いを要求し、この中には軍艦を使用する人員に対する養成訓練および停泊する港の施設の建設などの費用が含まれる。フランスサイドは現在、ロシアがすでに引き渡した8億ユーロは返すとだけ答えている。双方が出した条件には一定の隔たりがあるが、明らかに商談の余地があり、この商業的紛糾の解決は時間の問題である。

注意に値するのは、フランスサイドの一方的契約破棄に対し、ロシアがほとんど過度に強烈な反応をしておらず、甚だしきに至っては高額の損害賠償を提出していないことである。これにはたぶん3つの原因がある。第1に、「ミストラル」導入に対してはロシア国内に終始論争があり、「自力更生」を主張する軍事工業企業はこの契約に断固反対していた。現在国防大臣を担当するショイグには軍事工業の背景があり、このためフランスの契約破棄はまさに願ったりかなったりであるとされる。第2に、ロシアが当時この2隻の軍艦を導入しようとしたのは極東の太平洋艦隊に配備しようとしたのであるが、現在ヨーロッパに出現した緊張した局面はこの計画を時代遅れにさせ、一方もし黒海あるいはバルト海に配備したら、現在の情勢から見て疑いなく火に油である。まさにロシア軍関係者が言うように、「ミストラル」はすでにどこに置くか分からない「お荷物」となっているのである。第3に、ウクライナ危機以来、フランスはずっとロシアと政治的和解の道を探求し、特に去年オランドはノルマンディー上陸70周年慶祝活動を利用してハイテンションでプーチンを接待し、彼に外向的孤立を突破する機会を与えた。西側の制裁圧力に直面し、モスクワはヨーロッパから突破口を探し出すことを早急に必要とし、フランスはまさに1つの選択肢なのである。

「ミストラル」に嫁ぎ先を探してやる

造船埠頭に停泊する2隻の軍艦に関しては、その将来の行く道もメディアが関心を注ぐ話題である。1つの道はフランス海軍が引き取ることである。だがこの2隻の艦はロシアのヘリなどの装備のためにオーダーメイドされたものであるため、もしフランスの装備序列に納入してもさらに巨額の資金を費やして技術設備の改造を行う必要がある。軍事費が逼迫するフランス軍にとって興味は高くないようだ。もう1つの方法は「フィガロ報」の大胆な仮説で、ひとたび引き渡し、使用が不能となれば、この2隻の艦は公海で撃沈、破壊される可能性があるという。だがこの新聞も、この方案はもしサンナゼール造船工場の労働者の角度から見れば、やはり容認できない、と認めている。

ならば、残る選択は第3国への転売だけである。潜在的買い手のリストの中にはカナダ、エジプトおよび北欧の某国がある。当然これは全てメディアの推測に過ぎない。だがアメリカの「ワシントンタイムス」ウェブサイトの嗅覚はさらに鋭敏で、彼らはフランスの艦隊が少し前上海を訪問したことに対し特別の興味を見せている。5月9日、「ディックスモード」号投入指揮艦および「アケニート」号護衛艦からなるフランス艦隊が上海に到着して一週間の訪問を行い、これはフランス艦隊第10回目の中国訪問で、双方定例の艦隊相互訪問でもある。だが「ワシントンタイムス」はあるディテールに特別に注意した。すなわち「ディックスモード」はフランス海軍に就役する第3隻目の「ミストラル」級強襲揚陸艦なのである。このアメリカメディアは、フランスがこの軍艦を派遣し上海を訪問させた目的は、「中国海軍当局者や専門家にこの艦を評価し、もって当初はロシアのために建造されたかの2隻の軍艦を購入したいか否かを決定する機会を持たせる」ことであると考えている。この報道は明らかに推測であり、証拠があるかないかは短時間内には判断し難い。

肯定できるのは、2隻の「ミストラル」のために嫁ぎ先を探し出すことはすでにフランス政府の当務の急となっている、ということである。(新華社世界問題研究センターの研究員 沈孝泉)


http://military.china.com/news2/569/20150520/19716714.html


ロシアメディア、フランスが「ミストラル」を中国に売るというのはあるいはデマか、とする 中ロ関係を挑発

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションは本文の一部を切り取ったものなので省略します。)

ロシア軍事資料ネット5月15日の報道によれば、フランスは7.85億ユーロをロシアに返し、かつロシア海軍に「ミストラル」級ヘリ空母を供給する契約を終わらせる準備をしている 報道によれば、フランスはロシアに向け契約を終わらせる文書を渡した。

フランス政府に「ミストラル」級軍艦を第三国に販売する書面の許可をした時、ロシアはこの金を受け取ると見られる。しかしロシアは決して同意を表明してはおらず、何故ならロシアが契約終了によって受ける「費用および損失」は11.63億ユーロと見積もられているからである。しかもすでにフランスに支払った8.92億ユーロの事前支払い金は含まれていない。

●だがどうなろうと、ロシアはもはやフランスのヘリ空母を受け取ることはないだろう。ならばこうした軍艦の運命はどうなるのか? また中国が購入する可能性はどのくらいあるのか、またこのことはどのように世界の海軍戦力バランスを改変することになるのか?

ロシア国家下院委員会メンバーのウェヤチェスラフは、「ミストラル」級を中国に販売することに関する情報はむしろデマであるかもしれない、と考える。通常兵器販売に関する談判は公開されず、特にこのように大きなことに関わる契約はそうである。メディアが暴露したと言うが、兵器販売談判の初期段階は特別機構によって行われる。このためこの種の「ミストラル」級に関する情報の「漏洩」が情報戦の1つの策ではなく、中ロ関係を挑発するためという可能性が排除されない。中国はこの種の方式を通じて自らの極東における海軍艦隊の実力を高め、したがってロシアを刺激することができる、とされる。

しかもアメリカはフランスが「ミストラル」級を中国に売ることに嬉しさを感じないだろうことはごくはっきりしている。このためアメリカはオランドに向け圧力をかけ、その協議を取り消させるだろう。アメリカは「ミストラル」級をNATOの範囲内に行かせることはないだろう。

全体的に言って、フランスはすでに自らを袋小路に追い込んでいる。フランスはどのようにすべきか決して分かっていない。この種の状況下で、軍艦を水底に沈めるとのクレイジーな考え方が出現した。ちょっとましなのは軍艦を金属に解体すると言っている。

●もし中国が最終的にヘリ空母を得たら、その防御能力はどのくらい強化できるのか?

ロシア海軍の元第一副司令のバレンティンは、「ミストラル」級ヘリ空母は浮かぶ「たらい」に過ぎず、いかなる特殊なところもないと考える。実際上いかなる船を作れる国もこのような軍艦を建造できる。その作用は装備と兵士の輸送に他ならない。大型ミサイル巡洋艦に比べると、この種の輸送船の設計はずっと簡単である。増してや原潜は言うまでもない。我々は今戦略多用途潜水艦を建造しつつあり、「ミストラル」級輸送船の技術に比べ2倍も複雑だろう。「ミストラル」級にはいくつかの特殊なコントロールシステムがあるとされているが、フランスはたぶんこの種のシステムをロシアに渡すことはないだろう。ロシアには現在自ら上陸艦を建造するチャンスがある。フランスのヘリ空母に関する論争は情報戦、商業とは関係があるが、一国の防御能力に影響することはできない。

逆に、もしフランスがロシアのあらゆる金を返すことができたら、ロシアはこうした金を使って真に必要な遠洋戦闘艦を建造することができる。

ロシアの軍事に関する主張は防衛で、大型上陸戦力で攻撃性の行動を行う必要はない。海上でロシアは潜水艦や遠洋戦闘艦を必要とし、例えば巡洋艦、駆逐艦、空母である。このためフランスがロシアに向け「ミストラル」級を販売するのを拒絶したことは、ロシアを大いに助けた。この事件の終了後、ロシアは自らの金を取り戻し、より有効にそれを防御に用いることになる。

(頑住吉注:これより2ページ目)

●理論上中国は「ミストラル」級を使用して自分たちと領土の争いがある日本に対し圧力をかけ続けられるか否か?

釣魚島は面積が非常に小さく、大規模上陸は意味がない。しかもこうした小さな島嶼ゆえに、中国が主要な相手であるアメリカと開戦することはないだろう。同様に南沙諸島も同じである。当然中国は海上強国としてこうした軍艦に対し興味を感じる。だが需要は大きくなく、彼ら自身でもう建造できるのである。

●中国に「ミストラル」級購入の意志はあるか否か?

実はこの種の状況はロシアにとっても中国にとっても最適な局面である。中ロは地中海で合同海上演習を行った。このため「ミストラル」級を中国に売ることはロシアの盟友の力量強化と見なせる。某種の意味上、ロシア自身の防御能力強化とも言える。このためフランスが中国に「ミストラル」級を売ることは全くないだろう。

よりあり得るのは、フランスがそれをNATO加盟国に売ることだが、いくつかのNATO加盟国は必要とせず、その他はといえば今度は高くて買えない。インドは買うかもしれないが、最大の問題はインドが必要とするか否かである。

●ロシアは「ミストラル」級交易の破棄によって非常に多くを失うか?

ロシアはこうした軍艦を必要とし、ロシアは極東や黒海地域における防御能力を強化することができる。だが別の面から言うと、「ミストラル」級は非常に高価である。フランスメディアの報道によれば、現在フランスはすでにこの2隻の軍艦の維持保護のために300万ユーロを費やしている。つまりフランスは毎年およそ3,500〜4,000万ユーロで維持保護作業を行う必要がある。もしロシアに関して言っても、これは非常に大きな出費である。このため現在契約破棄がロシアにとっていいことか悪いことかまだ判定できない。(知遠)


 中国国内でも、すでに多数の上陸艦を建設中なので2隻のフランス製強襲揚陸艦を高い金額で買う必要はないという意見が多いようです。一方インドが買えば中国に対するある程度の牽制にはなるでしょうね。















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