ロシアの新たな空母は極東に配備される?

 まだ配備の場所を云々するのは早すぎるでしょうけど。

http://military.china.com/news2/569/20150218/19316104.html


ロシアの新空母、あるいは極東に優先して配備か T-50戦闘機を搭載して米日を威嚇

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシアの新世代空母の模型」)

中国ネット2月17日の情報 周知のように、海軍大国ロシアには現在「クズネツォフ海軍上将」号現役空母しかなく、しかも艦齢はすでに20年余りで、1年の大部分の時間「巣ごもり」状態にある。ゆえに新型空母を建造して海上の威風を復活させることが、ずっとロシア軍界の人々の心中の夢想としてつきまとっている。最近ロシアのサンクトペテルブルグのクルイロフ国家科学研究センター(その前身は「クルイロフ中央科学研究所」)が設計した新世代空母の方案模型が明るみに出、再度世論の熱い議論を引き起こしている。

見たところ「非常に強大」

クルイロフ科研センターはロシア最大の艦船および海の装備の科研機構で、ロシア海軍が建造するそれぞれの軍艦は定型、生産への投入の前にいずれもこのセンターの専用の試験池で試験をパスする必要がある。「ロシア報」の報道によれば、クルイロフ科研センターが展示した新世代空母の実体模型は2m近い長さがある。外観から見て、その艦橋の占める面積は伝統的なロシア式空母に比べ顕著に減少している。一方甲板面積は顕著に拡大し、2カ所の方向が異なる滑走区が開設されている。搭載される飛行機の機種は少なくとも5種以上で、ロシア現役の「クズネツォフ」号やインドのために改装した「ヴィックラマディヤ」号より顕著に多く、正真正銘の多機能空母と称するに堪える。

クルイロフ国家科学センターの副主任ヴァレリー ボリヤコフと空母模型研究開発チーム責任者ワリャンジン ベロニェンコの説明によれば、新たに設計される新世代空母は最も先進的な科学技術の成果を運用し、ロシア海軍の実際の需要を満足させることができる。甲板はおよそ100機の飛行機を収容でき、艦体も最適化設計され、航行抵抗を20%減少させており、このことはエネルギー源を顕著に節約もするし、かつ航行速度や航続距離を増強させることができる。暴風等の劣悪な気象条件下でも、飛行機はスムーズに発着できる。飛行甲板の下には最新の混合動力装置、および先進的なミサイルや電子武器装備が装備される。

新空母は見たところ確かに「非常に強大」だが、結局のところまだ展示台に置かれた模型に過ぎない。ロシアの「星々」テレビ局は、新空母のこの概念模型は現在まだ試験を経ておらず、学会や軍の認可を得てもいない、とする。あるベテランの専門家はより辛辣に、クルイロフ科研センターが新空母の模型を明るみに出したのはむしろソ連時代の「政治ショー」に似ており、設計サイドはこの艦がスキージャンプとカタパルトの2種の飛行機発進方式を採用できると説明するが、甲板上には決してカタパルトはなく、普通の早期警戒機は甲板からスキージャンプ発進することは全くできない、と指摘する。専門の対潜固定翼機がなくてヘリで間に合わせたのでは、熊猫換太子のきらいがある(頑住吉注:事情をよく知らず相手方が本当に望んでいないもので代用する、といった意味らしいです)。しかも艦載型T-50は現在概念構想でしかなく、それを空母に運び込もうというのは純粋に独りよがりの願望に属する。

曲折や誤りの多い空母の夢

実は2004年には早くもロシア海軍は初めて対外的に新型空母建造計画を発表していた。当時海軍総司令の任にあったクロドゥイェフは、2017年までにロシアは新型空母を完成させると言明し、1年後に彼はさらに具体的な進度表を開示した。すなわち、2005年に設計開始、2010年以後建造に着工、である。現在見たところ、この声明は間違いなくいささか楽観的すぎた。

この後ロシアのそれぞれの海軍司令はいずれも空母プロジェクトをその任期内に力を入れて推進するトップの「政績工程」と見なした(頑住吉注:指導幹部が個人やセクションの目的や利益のため、民衆の需要や現地の現実をかえりみずに権力を振りかざして推進するプロジェクトのことらしいです)。2007年5月、海軍司令マソーリンは、「将来空母方案の研究作業は進行中である。それは排水量6万トンの原子力空母となり、およそ30機の飛行機が搭載できる(固定翼機とヘリ含む)。例えばアメリカ海軍のような100〜130機の飛行機を搭載できる巨大空母を我々が建造することはないだろう。」と言明した。当時のある兆しは、サンクトペテルブルグで召集されたロシア海軍のそれぞれの科研所、船舶工業部責任者およびロシア海軍指導層の連席会議で審理が行われ、かつ新空母プロジェクトの技術任務書が起草され、かつロシアは将来3〜4隻の新型空母建造を必要とすると提示されたことをはっきり示している。

(頑住吉注:これより2ページ目。)

2008年4月、新たな海軍司令ウェイソツジフイーが就任し、すぐ雄大な意気込みに満ちた空母建造計画を宣言した。すなわち、2012年に空母プロジェクトを始動させ、2017年までに5〜6個の空母打撃群を配備する、というものである。1年後彼はまた、伝統的な空母には全く前途はなく、このため「海上航空システム」の建造が必要であると指摘し、同時に新型空母はセベロドビンスクの「北方機械製造工場」あるいはサンクトペテルブルグのバルト海造船工場で建造される可能性があると言明した。ロシアメディアも北方艦隊と太平洋艦隊のために3席の空母が建造され、将来ロシア空母の数は10隻に到達する可能性がある、と騒いだ。

2010年2月末、ロシア軍事工業関係者はメディアに向け、ネバ設計局は年末に新型空母の技術方案研究開発作業を完成させる、と明らかにした。同年末、タス通信社は国防省の消息筋の人物の話を引用し、ロシアは2020年末までに4隻の空母の建造を計画しているとしたが、この情報はその後ロシア国防大臣自らの口で否認された。軍事工業を主管する副首相イワノフも、2010〜2020年の国家武器発展計画の中に空母プロジェクトは決してない、とした。

2012年末にロシアメディアはまた、サンクトペテルブルグのクルイロフ中央科研所とネバ設計局が共同で起草した空母方案はすでにロシア海軍本部に送られている、と明らかにした。ロシアの「情報報」は海軍本部の消息筋の人物の話を引用し、「提出された設計方案は依然1980年代の技術に基づく排水量6万トン級の空母に傾いている」とした。この消息筋の人物は、2020年にロシアの第1隻目の新空母が海に出る時までに、アメリカはすでに最新型のフォード級空母を持っており、しかもその図体はロシアの空母の倍近く、「ロシア空母の立ち後れは艦橋の体積が大きすぎて敵サイドのレーダーによって発見されやすいことに体現されているだけでなく、しかも先進的な電磁カタパルトが欠乏している。それが装備する伝統的な蒸気カタパルトは作動効率が低すぎ、しかも現代の空母打撃群が必ず必要とする利器である早期警戒機には空母甲板上で依然身の置き所がない。」と直言する。

以上の簡単で短い回顧からは、充分な技術と資金の論証が欠乏し、加えて上層部の意見が統一されていないため、ロシア新空母発展の考え方の筋道は比較的混乱し、しかも大山鳴動してネズミ一匹だということが見て取れる。一方今回クルイロフ科研センターが対外的に晒した、まだ軍の最終確認を獲得していない新空母の模型は、むしろロシア空母研究開発作業が依然初歩的な技術論証段階にあり、空母の夢が正夢になるまでには依然非常に長い行かねばならない一定の道があることを説明している。

クルイロフが空母構想模型を発表した後ほどなく、2月14日にロシア海軍航空隊司令であるイゴール ケーレン少将は再度空母計画について発言し、ロシアの新世代空母の第1号艦は8〜10年後に完成し、一方後続の空母の建造進度は顕著に加速するだろう‥‥3〜4年でもう1隻が建造される、と言明した。現在学術界はすでに「若干の非常に慎重で成熟した空母方案」を起草済みである、と言明した。彼はさらに一歩、空母戦闘機自動着艦システムも研究開発中で、着艦精度は1mに達し得、このことは艦載機の複雑な天候条件下での着艦という難題を完全に解決する、と明らかにした。

新空母は優先的に極東に配備される?

21世紀初め、ロシア軍界および学会にはかつて空母を建造すべきか否かに関する激烈な論争があった。支持者は、ロシアの広大な大陸棚は空母の守護を必要とし、海軍水上艦艇、潜水艦、航空隊も大型海上作戦プラットフォームが支持を提供することを必要とする、と考えた。反対者は、ロシアの大陸棚の多くは北方の寒冷な高緯度地域に位置し、空母の活動には決してあまり適していない、と考えた。また、視界が悪い白夜に艦載機の発着は電子機器に頼ってナビゲーションを提供するしかなく、難度とリスクが相応に拡大する。だがここ何年か以来、米軍空母の地域衝突の中での出色のパフォーマンス、中印などの国の空母発展の積極的措置、およびロシアが遠洋の利益を維持保護する現実の需要にかんがみて、ロシアの朝野には新空母建造の必要性に対しすでに基本的に共通認識が形成されている。新空母の設計論証作業もすでに議事日程に上がっている。

ロシアの「視点報」2月11日掲載の文章は次のように指摘した。ロシアが必要とするのは真の攻撃型空母であって、現役の「クズネツォフ海軍上将」号のような空母ではない。「クズネツォフ」の基本構造は先天的に欠陥のある大型航空機搭載巡洋艦を換骨奪胎したもので、艦載航空戦力は防空戦力の補充および対艦の手段であって、補助的作用しか果たさない、という。一方「クズネツォフ」号と双子である中国の「遼寧艦」とインドの「ヴィックラマディヤ」号は、改装後の艦載航空戦力がある程度強化されているが、やはり「防空型空母」にしか属し得ず、主要な職能は艦艇の艦隊が敵サイドの空襲に遭うのを免れるよう防御することで、決して積極的な攻撃作戦には適していない。また、カタパルトが欠けているため、艦載機の発進重量が制限を受け、かつ甲板で大型空対地ミサイルを搭載した全戦闘負荷の飛行機を発着させることができず、完全な意味での早期警戒機もスキージャンプ甲板からは非常に発進し難く、このためこれらの3つのソ連式空母の作戦能力は大きく割り引かれる。

(頑住吉注:これより3ページ目。)

この文はさらに未来のロシア空母艦隊がいかに配備されるべきかに関し詳細な分析を行っている。文章は、ロシアは南部海域および西大西洋には決して深刻な地縁政治的利益の訴求はない、と指摘する。ロシアが置かれる地理的環境は独特で、北方航路の他には大型艦艇を動員して保護する必要のあるその他の貿易航路や海上ルートはなく、しかも大部分の北方航路も水上艦艇の攻撃を受けやすくはなく、地上あるいは氷面の飛行場から実戦機を発着させ、より便利に航路に対する空中の援護が実施できる。しかもひとたび必要になれば、例えば「北極」級のような砕氷船も迅速に、武装ヘリやその他の大型武器を搭載する沿岸防御巡洋艦に改装することができる。このため、極東地域がロシア新空母の優先配備の方向となるべきである。一方においては、ロシア極東地域は非常に長い海岸線を持ち、かつ沿岸の地形が複雑で陸上の飛行場を建設するのに適さず、空母は海軍艦隊強化の有効な手段である。他方においては、空母は水中を遊弋する味方サイドの潜水艦に対しても有効な保護が実施できる。

文章は、極東地域に空母を配備すれば、少なくとも三重の戦略目標を実現できると考える。1つ目は東シベリア海とベーリング海から北方ルートに入る入り口をしっかり守り、オホーツク海および日本海の大部分を有効に支配すること。2つ目は敵機を迎撃する防空境界を非常に大きく前に移し、ウラジオストック、ナホトカ、マガダンといったような極東の戦略の重要地域から遠く離すこと。3つ目はアラスカや日本に駐在する米軍基地に対する圧力を高め、かつ日本の本島に対し直接の脅威を形成すること。これまでこの方向において、ロシア軍は遠距離爆撃機と潜水艦を出動させて威嚇を実施するしかない。(劉聖任)


 ロシア空母が米軍に対抗できるような戦力になるのは少なくともはるか先のことのはずですが、それでも日本の安全保障に大きな影響を与えることになるでしょう。ちなみにロシアはインドの国産空母に関与して新技術を事前に試したりとかはしてないんですかね。















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