閲兵に出現した北朝鮮の大型ミサイルを分析する その2

 昨日の続きです。


現場の人物は、閲兵の中で北朝鮮の「東風-31」発射筒が行進と共に顕著に振動するのさえ発見した。このことは、筒の中が空っぽの可能性が高いことを説明している。2種のミサイルはいずれも冷発射設計のはずで、すなわちガス発生器によってミサイルを筒から射出した後、ミサイルにやっと点火されるのである。この種の発射技術はすでに北極星-1、2ミサイルで応用されている。

北極星-1、2の性能から見て、北朝鮮の固体燃料推進剤ミサイルは推進剤の比推力でも弾体の重量軽減の上でも比較的初級で、巨浪ー1の性能との隔たりは比較的大きく、増してやアメリカのノースポール潜水艦発射ミサイルとは比較できない。真に固体燃料大陸間弾道ミサイルを掌握するまでにはまだ非常に遠い距離がある。中国は1980年代初めに巨浪ー1潜水艦発射ミサイルを掌握し、これより大陸間弾道ミサイルの発展を「液体を個体に転じる」道に乗せた。だがそれでも20年近い時間を費やしてやっと東風-31型大陸間弾道ミサイルを完成させたのである。

だが、固体燃料大陸間弾道ミサイルを作るには行くことのできる近道がないわけではない。例えば4段ロケットを作ることであるが、これは当然ロケットの運搬効率を向上させる。その先端の段は甚だしきに至っては液体燃料段を採用し、ロケットの比推力を増加させるだけでなく、さらには中国の快舟ロケットに似た設計を採用することができ、すなわち第4の液体燃料段がさらに第2、3の固体燃料段の姿勢制御を担当するのである。第1段の固体燃料段は空力面によって制御する。このような設計は最大限度姿勢コントロールシステムを簡略化している。だが大陸間の要求を達成しようとすれば、やはり推進剤の比推力と弾体の重量軽減の上で技量をつぎ込む必要がある。

最後に、外形だけから見て、この2種の大陸間弾道ミサイルは間違いなく固体燃料推進剤ロケットである。ならばそれらは内面に液体燃料ミサイルを包み込んでいるのか否か? 筆者は可能はあるが、その可能性は高くないと見る。内外を縦覧すると、液体燃料大陸間弾道ミサイル冷発射が見られることはやはり比較的少ない。筆者の印象の中では地上サイロに配備されるR-36M一種類だけである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「北朝鮮のロケットエンジン試運転」)

同時に中ロスタイルの2種の設計を展示しており、これはたぶん固体燃料大陸間弾道ミサイルプロジェクトがまだ概念段階にあることを説明する。いつ飛べ、いつ就役するかは、おそらく誰にも分からない。このため、筆者はこの2種の模型に対し分析をすることには何の意味もないと考える。だが平壌がこの2種の模型を展示したのは、外界に向けシグナルを発し、「我々は固体燃料大陸間弾道ミサイルを作りつつある」の意志を表明しているのである。

2010年代初めの閲兵から今に至るまで、北朝鮮はすでに2〜3種の火星-13液体燃料大陸間弾道ミサイルの模型と2種の固体燃料大陸間弾道ミサイルの模型を展示している。しかし今に至るもなお1回の試射活動もまだ行ってはいない。同時期に展示した火星-10(ムスダン)ミサイルの試射成績も非常に劣り、これはソ連の複雑な当初設計と切り離せない(例えば、段に分かれた燃焼技術、浸没設計である。これは陸上基地ミサイルにとって必要ないだけでなく、さらに北朝鮮の工業技術水準を非常に大きく超える)。もし火星-13が依然火星-10のエンジンの並列連結を採用していたら、その信頼性はやはり全く楽観できないだろう。

火星-10のソ連の原型は潜水艦発射ミサイルで、エンジン浸没技術(エンジンの大部分を燃料ボックス内の中に浸没させ、ミサイルの全長とデッドウェイトを減少させるものだが、非常に複雑で、日常の維持保護にも不利である)も潜水艦のミサイルに対する過酷な寸法の要求を満足させるためにこそ発明されたのである。このため、潜水艦発射ミサイルプロジェクトに火星-10を用いることは本来ごく自然な選択であるが、北朝鮮人はミサイル潜水艦プロジェクトの中でそれにもかかわらず固体燃料ロケットを採用した。このことは、北朝鮮人も、ムスダンのエンジンはうまく作られていないかもしれないことをよくわかっており、あえてミサイル潜水艦というこの重大プロジェクトの上で冒険しない、ということを説明している。

俗に没有金剛鑽別攬瓷器活(頑住吉注:腕や設備がなくて自分にできないことはやるなみたいな意味らしいです)という。筆者は、信頼性の高い簡単なロケットは「先進的な」技術の自爆弾に比べずっと良いと断固として思う。衛星発射任務のために最適化設計された銀河-3運搬ロケット自体にも大陸間ミサイルとしてのポテンシャルがあり(700kg/8,000kgあるいは500〜600kg/10,000km)、ちょっと改造すれば大陸間弾道ミサイルにするのにとてもいいのではないか? 大きすぎる? 東風-4は直径2.25m、全長およそ29m、これでも使いやすくない? 銀河-3の第一段目は東風-4に比べ15cm太いだけで、長さも大差なく、適当に大陸間用に改造するのに問題ない。火星-13の技術はより先進的でも液体推進剤で、発射準備時間も欠くことができないからなおさらである。北朝鮮の先進的な小型中・遠距離、大陸間ミサイルに対するたゆまぬ追求は筆者の見たところ蛋疼(頑住吉注:つまらないことに夢中、というネットスラングらしいです)そのものである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「左の画像は北朝鮮の銀河-3運搬ロケット。右の画像は中国の東風-4遠距離ミサイル」)

当然、北朝鮮も最近悟ったらしく、前述のように先月公開試運転したエンジンは原理が簡単、堅実なロケットエンジンで、あるいは非常に大きな軍事ポテンシャルを有するかもしれない。金正恩は破顔一笑、これは「革命的」エンジンで、ロケット工業を教条主義、形式主義、対外技術依存などから徹底して離脱させる、と語った。ほどなく、我々はもうこの新たなエンジンの実際の応用を見ることができるかもしれない。

要するに、閲兵の模型は作りたければどのようにも作れ、いっぺんにこんなにも多くの新たなミサイルを展示することは人をちょっとクラクラさせる。だが、現段階の研究開発製造水準を非常に大きく超えたミサイル概念は人を恐れさせることはできない。戦争ができるロケットを作り出すことこそが正道である。だが話を戻すと、遠距離ミサイルはまだうまく作れていないが、北朝鮮は現在射程1,500km以下の弾道ミサイルは製造でき(火星5、6、7、射程延長型スカッド、北極星-1、2)、区域内の目標に対し比較的信頼できる威嚇を形成できるのである。


 知識不足で分からない部分も多いですが、専門的に見れば北朝鮮の大陸間弾道ミサイルはこけおどしでまだまだ、ということでしょうか。しかし日本を攻撃するにはそのレベルの射程は必要ないわけですからね。















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