台湾の戦略に重大な変化?

 ‥‥があると言ってるんですが。

http://military.china.com/news/568/20130601/17867708.html


台湾の学者:台湾の軍事戦略転向 大陸はもはや唯一の仮想敵ではない

原題:台湾の軍事戦略に転向の兆し現れる 大陸はもはや台湾の唯一の仮想敵ではない

台湾海ネット5月31日の情報 28日、馬英九は就任後第3回目の「政軍兵推」(頑住吉注:検索しても何の略だか説明しているページが見つからないんですが、政府と軍による軍事演習のようです)を終え、台湾当局の東海と南海の軍事衝突に直面しての対応能力が演習された。今回の演習の前後、島内メディアの注意力はほとんど全て、馬英九の初めての「専用逃生車」雲豹装甲車への搭乗に注がれた。品質問題ゆえにこの台湾が自ら生産する装甲車はずっと外界から疑問を持たれている。だが今回の演習の核心的設計、別の言い方をすれば真の意義に対しては、大多数の人は充分な関心を注いでいない‥‥

誤解された「政軍兵推」

28日昼12時11分、5両の雲豹装甲車が「総統府」の外に姿を現した。暗い色の洋服を着た馬英九は核心的幕僚とボディガードに取り囲まれ、あわただしく彼専用の「万鈞号」に乗り込んだ(頑住吉注:「鈞」は昔の重さの単位で、重いというたとえに使われるそうです)。12時16分、車列は出発し衡山指揮所に向け出発し、そこで今回の「政軍兵推」の核心的内容が完成された。

これは馬英九が2008年に就任して以来参加した第3回目の「政軍兵推」である。第1回目は2009年6月5日で、馬英九は中興寓所(頑住吉注:大統領官邸のようです)からCM31六輪装甲車に搭乗して指揮所に入り、自ら兵棋演習を見て指導した。第2回目は2011年6月21日に行われ、馬英九は「政軍兵推」を通じて、「政府」と軍のトップの重大自然災害、軍事的危機などの「複合型危機」に対する検討判断、決策、執行能力を試した。

単に過程から見れば、この演習に特別に優れた所もないようである。秘密保持程度のすこぶる高い軍事演習なのに、馬英九が歩いて乗車した5分間が意外にも全過程、メディアおよび通りすがりの民衆の注視の下で行われ、甚だしきに至ってはその間少なからぬ大陸の観光客が野次馬として取り囲み撮影した。「馬英九の危機にあたっての脱出計画完全に明るみに、全く機密なしと言える。」 台湾メディアの次の日の報道は決してこの種の瑕疵を見逃さなかった。

「実は今回の演習に対しては、皆が完全に重点を置く場所を間違った!」 台湾成功大学政治経済研究所の教授周志傑は記者のインタビューを受けた時このように言った。

この演習の計画を担当した「国家安全保障会議」が明らかにしたところによれば、今回の演習が設定した仮想敵はもはや大陸に限られず、東海、南海全体のあらゆる近隣の発生するかもしれない衝突の台湾地区への影響にまで拡大されていた。

今回の演習のシナリオは、日韓朝の衝突、釣魚島海域での武装衝突、およびフィリピン、ベトナムなどの国の台湾「領海」、「領土たる島」侵犯などの複雑な状況が含まれた。演習の内容は主に、台湾当局がいかにしてあらゆる政治および「外交」手段を運用して東海あるいは南海の危機を解消するかであり、軍は軍事的に衝突の危機を解消する方案を準備した。

周志傑は、今回の演習最大のハイライトは、実は大陸がもはやすでに台湾によって唯一の仮想敵とは見られておらず、台湾に対する「直ちに起こり得るはっきりした」危険の出所が、すでに長期にわたり仮定されていた大陸から、フィリピン、ベトナム、日本などの相手に転じられていることだ、と指摘する。

(頑住吉注:これより2ページ目)

「将計就計」の演習シナリオ(頑住吉注:相手の策略の裏をかく、といった意味だそうです)

馬英九は就任早々、すぐ両岸の軍事的相互信頼の議題を能動的に出し、大陸もすぐにポジティブで正面からの回答をなした。だが政治的相互信頼が不足している状況下で、この議題は遅々としてステージに上がることはできなかった。両岸関係が空前の緩和を見せているここ何年かであっても、台湾当局の大小の軍事演習は、依然大陸を唯一の仮想敵とする設定で展開されることが必須だった。

周志傑は、今回の「政軍兵推」は相当に偶然のようだ、とする。台湾漁民がフィリピン公務船によって射殺され、島内民衆感情の激怒が引き起こされ、演習の内容は自然に、以前は関わっていなかった南海の紛争へと転じたのである。

今回の事件で最も台湾人の大きな期待を寄せられたアメリカは遅々として明確な態度表明をせず、最も簡単な真相究明、台湾・フィリピン漁業協議推進への支持に関してすら、ずっと言葉を濁したままだった。白か黒かは問わず、大事を小さくし、小事を無にすることだけを願う態度は台湾を非常に失望させた。他方において大陸はすぐに厳しい非難と具体的な法執行行為によって明確に台湾を支持し、持続的にフィリピンに向け圧力をかけた。2種の全く異なる態度は、当然台湾に少し思わせるところがあった。

周志傑は分析し、最近の東海、南海の争いの中でのアメリカの態度と具体的行いは、日本、韓国、フィリピン、台湾という4つの「戦略的パートナー」の中で、台湾の重要性がすでに末席に置かれていることを非常にはっきりさせた、とする。「軍事同盟」としてフィリピンの戦略的地位は明らかにより台湾より一段上なのである(頑住吉注:アメリカ・フィリピン間には「米比相互防衛条約」がありますが、アメリカ・台湾間には明確なそういったものはない、ということのようです)。

アメリカは2010年から「アジア太平洋回帰」戦略の執行を開始しているが、アジア太平洋の各方面の、領土、経済水域、漁業をめぐる紛糾および争奪に直面し、アメリカは自らの利益だけを優先することが非常にはっきりしている。一方両岸関係の持続的発展は、両岸にどんどん多くの共通の利益を生じさせており、台湾も新たな戦略的利益の転換のチャンスを迎えている。すなわちかつてのアメリカの利益の下で自身の利益を勝ち取る形から、アメリカと大陸の利益を比較判断し、その中からより多くの台湾の利益を考慮する形へ、である。

周志傑は、両岸と島内の業務の中で、馬英九当局は多くの政治的牽制を受けている、と強調する。だが「政軍兵推」はまさに馬英九自らの「国家安全保障」団体が完全な決定権を持つ業務であり、今回の演習の中で、馬英九の団体は明らかに巧妙に台湾・フィリピンの突発的衝突の「勢い」を借りて、敵の策略の裏をかき、大陸を唯一の仮想敵としないシナリオを設計し、緻密に全く新しい戦略の変化を操作して作り出したのである。

激励を必要とする戦略のモデルチェンジ

「だが今回のやり方には、実質的にはやはり小さからぬ危険性がある。何故なら台湾は依然非常に多くの方面でアメリカに制約されているからである。」

周志傑は言う。軍事的戦略の変更は重大なことに関わり、もし小さめの変化でもアメリカと島内野党の強烈な反発を引き起こす。結局のところ、安全保障と国際的空間方面において、台湾は現在依然アメリカによって首根っこを抑えられているのである。今回の演習の仮想敵の変化を見れば、心ある人ならその中の重要な意味に気付くのは難しくない。だが馬英九当局は事前にも事後にも鳴り物入りではばかりなく声を張り上げることはなかった。党と政府の発声筒(頑住吉注:不明ですがスポークスマン?)と核心的シンクタンクの学者も共に沈黙を守り、この事に対し多すぎる延伸をしていない。

大陸の「唯一の仮想敵」から「主要な仮想敵」への変化は、控えめに言えばある演習のシナリオの設定に過ぎない。だが大げさに言えば軍事戦略上の重要なモデルチェンジの現れであり、両岸の公権力の協力のために非常に多くの想像の余地を留保した。「その内なる意味が頼るのは以心伝心である。」

周志傑は強調する。今回の演習の後、台湾は実はずっと各方面の後続の反応に留意している。アメリカの過度な反発を希望してもいないし、大陸の妥当でない回答も希望していない。事実として馬英九は汪辜会談(頑住吉注:1993年の中国・台湾による会議。シンガポールで開催。関係改善に向かったが後に李登輝登場によってぶち壊しになった、と中国では評価されてます)20周年の時、「二つの中国」、「一つの中国一つの台湾」、「台湾独立」も含めて推進することはない、と態度表明している。これは両岸の平和的発展方向に対する保証でもあり、この種の戦略的モデルチェンジに対する政治的伏線でもあった。この種のモデルチェンジの兆しに対し、台湾は大陸の肯定と激励を必要とするし、大陸の善意の回答をもっと必要とする。充分な暗黙の了解と互いの影響さえあれば、この種の仮想敵の微細な改変は、非伝統的安全領域の拡張性の協力によって、両岸の軍事的相互信頼の良好な端緒に発展させることが完全にできる。


 これは大陸の希望的観測を多分に含んだ分析ですが、こうした流れを暗示する現象は確かに見られ、今回のフィリピンとの摩擦なども台湾をアメリカから離反させる要因になり得るという指摘はなるほどと思いました。「アメリカと大陸の利益を比較判断し、その中からより多くの台湾の利益を考慮する形へ」というと台湾により有利なように聞こえますが、言うまでもなく一歩間違えれば完全に中国に取り込まれる危険性を含んでおり、その影響は日本にとっても重大です。














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